大千軒岳
基本情報
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山名
大千軒岳(だいせんげんだけ)
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標高
1,072m
(一等三角点)
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山域
渡島半島
4
都道府県
北海道
5
位置
N41.34.46/ E140.09.39
6
地図
2万5千分の1地図「大千軒岳」
20万分の1地勢図「函館」
7
山岳区分
日本三百名山・北海道百名山
花の百名山
登山記録
山歩No
3070-25028
登山日
2025年6月24日(火)
歩程
10時間40分 (林道ゲートー奥二股登山口千軒平ー大千軒岳ーゲート)
天候
快晴
形態
前日テント泊日帰り
アプローチ
函館市内より国道228号の福島町千軒から町道澄川線を進み、林道を経て奥二股登山口
パーティー
1人
動画URL
https://youtu.be/JKoczyC5DJk
大千軒岳は北海道の山の中でもかなり登ることに躊躇いが最後まであった。標高1072mという高さは北海道の三百名山の中でも決して高いとは言えない。道南というロケーションの点で函館からのアプローチが近く、比較的登りやすいというイメージがあった。そんな印象を払拭したのは、2023年に大学生の登山中に死亡した事故からある。大学生を襲ったヒグマはその後、消防隊員3人をも襲い格闘の時にナイフで刺された傷で結果的に駆除された形にはなった。しかしながら登山者を襲うヒグマが福岡大学ワンダーフォーゲル部事件以来、数十年ぶりのニュース見たことで自分がこの山に単独で登ることができるかどうかは相当に迷った。
知内町ファミリースポーツ広場
2023年の夏に、3週間かけて北海道の山に登りその2年後の2025年に再度北海道遠征をトライした。今回は道南の函館をベースに三座、そして千歳と苫小牧をベースに2座という計画である。 6月20日の金曜日の午後新幹線に乗り、新函館北斗駅まで行き、きじひき高原でキャンプをして、翌日は駒ヶ岳に登頂、一日おいて狩場山に登った。その後、狩場山からの下山後に、道道と道央道を150キロ運転して道南の知内町へと入ってきた。川沿いの知内町ファミリースポーツ広場テントを張って翌日の大千軒岳登山に備えた。
奥二股林道ゲート
朝4時起床。朝食を済ませテントをたたみ、途中で道の駅しりうちでトイレを済ませて国道を南へ進み、奥二股登山口へと向かう。 千軒の集落を過ぎ国道228号線から大千軒岳の登山道に向かうときに、林度ゲートは閉鎖しているという情報が看板に記載されていた。6月の上旬に登山の前に、観光協会に電話をして今年の夏山シーズンはゲートを開けないことは知っていたので、林道ゲート前に駐車してそこから3.3km余分に歩くことを覚悟して進んでいく。駐車地に着いたら、案の定、登山をしている人は誰もいない。 6時22分、登山届をボックスに入れて林道ゲートから歩き始める。ラジオを流しながら進む。 途中でこれから進む稜線と思われる山が見えた。あこれは前千軒岳であろうか。
広い川原
6時50分奥二股登山口に到着。 ここからが本当の登山であろう。 歩き出してすぐにまず最初の渡渉地点となる。そこそこに水かさがあるので登山靴を脱いでスニーカーに履き替えて渡った。渡渉の後は再び足を拭いて、靴下を履いて登山靴に履き替える。 沢の切り立ったところは右岸に付けられた高巻きルートを一応ピンクテープに従って上がっていく。やがて狭戸と言われるところに到着。ここで標高270mぐらいまで一気に標高を上げた。その後少し下り坂となり、8時15分広い川原と呼ばれる地点に到着した。
樹林を進む
2日前に道南では結構な雨があったことで、川はそこそこに増水している。道南のカムエクと言われるくらい、渡渉を繰り返す意味で難易度が高い山なのだろう。沢の音でクマ鈴が聞こえなくなるので、近づいているヒグマがいないかと言うことについてはかなり注意深く辺りを見回して、また沢用のスニーカーに履き替えする。今度は左岸に渡渉をして、しばらくここからピンクテープに従って進んでいく。一つ沢を越えて少しずつであるが標高を上げていく。シダを踏み分けて進むルートがあるが登山者が少ないせいだろう、やはり荒れていてルートがはっきりしないところもある。大きな木が倒されているがこれがヒグマのせいなのかと思うと、正直その怪力にぞっとして気になった
金山番所跡
9時22分、金山番所跡に到着。 139年に松前藩により隠れキリシタンの処刑が行われたという悲しい歴史のある場所である。大きな岩の上に十字架が固定されていた。現代にいたるまで毎年7月の最終日曜日には教会によるミサが行われているそうである。ここから再び知内川本流に沿ってのルートが始まる。 残雪期に雪の重みでかなり木が折れているのか、登山道に覆いかぶさって歩きづらい場所もあった。 10時、開けた沢に降りて行くルートがある。 ここが千軒銀座と呼ばれるところのようである。 かつて金の採掘を行う労働者の家が1000軒あったという伝説の場所である。ここから先で沢は右側の銀座の沢と、左手に切戸ノ沢とが分かれることになる。ピンクテープもトレースも目立たないのだが、休み台と千軒平に向かっての登山道はこの二つの沢の中間にある尾根上を上がっていくことになる。ここからおよそ標高差で600mの登りである。 途中登山道が土砂崩れで崩壊したようなところもあり結構な急登を登って行く。
前千軒岳を見晴らす尾根にヒグマ?
10時20分、休み台に到着。 本当は休憩に適した場所なのであるか、二つの沢の間を繋ぐような十字路になっていることで、ヒグマの通り道になっているのではないかという分析を別の人がしていたので、ここで休憩することは結構危険と考えて、そのまま通過することにした。休み台から次第に樹林を越えて、右側が笹藪となる登り路となる。 左側に前千軒岳から切戸の沢に至る谷筋がよく見えた。 ふと見ると尾根上の少し平になった部分に、黒い動物のような影が見えた。 相当遠かったのでヒグマなのかエゾシカなのかよく判別はしなかったが、二頭いるように見えた。 ヒグマだとすると谷を挟んでいるし、数百m以上離れているので、こちらに来ることはないだろうと少し安心するか、やっぱりこの山がヒグマの生息地だということを改めて思い知らされた。
千軒平
11時15分、千軒平が見えた。 標識の横にあった鐘を鳴らす。 意外と大きな音がした。 千軒平に到着して十字架のたもとで、トラピスト修道院で買ったお土産を出し、合わせてアミノバイタルとドライフルーツでをお供えをする。 黙とう。この先のルートにヒグマらしきものはいないことを確認して出発する。ここから山頂まではお花畑の気持ちの道である。
大千軒岳山頂
11時59分、 大千軒岳の山頂に到着。 ここは北海道で初めて一等三角点が設置された場所である。 山頂には誰もいなかったのでラジオをつけて昼食にアルファ米をかき込む。いつもの万歳三唱をした。 360度動画を撮影する。 前千軒岳はきれいに見えたが、駒ヶ岳の方はもう遠いので少し霞んでいる感じであった。 奥尻島や松島小島が見えた。山頂には綺麗なチョウがいた。ひとしきり休憩して三角点の写真も撮った後 12時24分出発。
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千軒平へ下る
下りの道で、千軒平にいたる途中の稜線の影にテント場跡が見えたが、ヒグマの生息地であることを考えるとここでテントを張るのは結構スリルがあるなと感じた。 千軒平を過ぎてガレた登山道を歩いているときにこの日初めてソロの男性とすれ違った。フェリーでやってきて、自分より4時間くらい後に出発された方のようである。少し会話をして、再び下る。
渡渉
の繰り返し
途中、千軒銀座を過ぎてから樹林をまたいだときに、今回準備した秘密兵器の「クマおぼる」を落としてしまい、もどって回収した。金山番所跡を過ぎてからもホイッスルを吹きながら歩く。90分で登山口に行けるように道標には書いてあるが渡渉もありそんなに早くは進めない。 広い川原に来てからもスニーカーに履き替えて、渡渉後また登山靴に履き替えるというので手間どる。その後も、意外と高巻きの箇所が多く、終盤にきての登りでこたえる。
奥二股登山口
16:40最後の渡渉を通過、その際に靴下をひとつ落としてしまったようである。 16時渡渉が終わると林道に出たがそこで1台自転車がデポしてあるのを見た。 先ほどすれ違った方は林道を自転車を使って時間短縮したのである。 16時45奥二股登山口に到着。 ここでもう一度登山靴に履き替える。 5分ほど休憩をして17時、最後の林道をこなすべく、歩き始める。
下山 こもれび温泉
17じ38分奥二股の林道ゲートに到着。先程自転車を置いていた追い越していった男性も、ここで自転車を解体して車に積み込んでいた。 今日は我々2人だけだったようである。 ここからゆっくり林道をレンタカーで走り、国道228号線に出る。昨日はこもれび温泉の共同浴場が休業日で、入ることができなかったが、この日は営業していたので、さっぱりと汗を流す。セイコーマートで食材と飲み物を買った後、昨日と同じ知内町のファミリースポーツ広場でキャンプをする。 19時になったのでテントを張って寝る準備をするが、昨日猫を連れたご夫婦連れがテントを張っていた向こうにヒグマの糞らしきものがあったので、気になってみた。 どう見てもヒグマの糞のようである。 そこで木古内警察に電話して見に来てもらうことにした。 その前にネットで調べると6月24日の正午すぎに国道228号線を横切るヒグマの目撃情報があった。知内川沿いにまだ潜んでいるかもしれない。 もう飲んでしまったのでここ退避することができないので、まずキャンプ場に泊っている自転車ツアーのオーストラリア人の女性2人のテントに警官に注意喚起してもらった。。結局この日は自分は車の中で寝ることにした。 女性2人は車のすぐ横にテント張って非常時には大声を上げられるようにした。 22時に就寝した。
大千軒岳に登ったこの日は北海道遠征の中で最も天気が良かった日だと言える。 やはり道南のカムエクと言われるだけあって渡渉が厳しく、またルートが整備されていないこともあり、かなりきついコースだったといえよう。常にヒグマとの遭遇の恐怖におびえながらの登山であったが、キリシタンの歴史にふれまた2年前に遭難した若者の供養もできたのではないかと、自分の中に満足している。町が登山の自粛を呼び掛けているので、自分の動画はしばらく時間が経ってから一般公開することに決めた。
(2025年7月記)
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号 平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています