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基本情報
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山名 |
扇ノ山(おうぎのせん) |
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標高 |
1,310m (二等三角点) |
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山域 |
中国山地東部 |
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都道府県 |
鳥取 |
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位置 |
N35.26.23/ E134.26.27 |
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地図 |
昭文社 山と高原地図52「氷ノ山・鉢伏・神鍋」
2万5千分の1地図「扇ノ山」
20万分の1地勢図「鳥取」 |
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山岳区分 |
日本三百名山・関西百名山・中国百名山 |
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登山記録
山歩No |
3860-14033
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登山日 |
2014年10月18 日(土) |
歩程 |
3時間25分(扇ノ山)
2時間05分(氷ノ山)
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天候 |
快晴 |
形態 |
小屋泊り1泊 |
アプローチ |
JR山陰本線鳥取駅 |
パーティー |
2人 |
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扇ノ山という山の全貌を眺めたのは、2010年に氷ノ山に登った時である。北にそびえる平な山頂は、氷ノ山とちょうど対峙するように構えている。 南北に連なるなだらかな尾根筋と裾野に広がる広大な高原からなり、遠くから見ると扇のように見えることからこの名がある。冬から春にかけ、鳥取市からみるこの山の雪景色が扇を広げたように見えることからこの名前がついたと言われる説もある。今回、兵庫県に単身赴任をしている学生時代の後輩のY.S君に誘われてこの山を登る企画を立てた。 |
姫路駅
10月17日(金)、19時に仕事を終えていったん家に帰り荷物をまとめて静岡駅からひかりに乗車。 途中、名古屋でのぞみに乗り換えて22:30に姫路に到着した。 兵庫県はかつて住んでいたところであるが、姫路の駅にはさほど馴染みがない。 お決まりのセントラルパークと姫路城とに行ったときに下車したぐらいしか記憶がない。 しかしながら夜だというのに、駅の前には人通りも多く、新幹線停車駅としての面目を躍如していた。 これも、軍師官兵衛のふるさととして今年ブレイクしたことと関係があるのだろうか?
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上郡駅にて智頭急行
10月18日(土)早朝5:40に起床。 ビジネスホテルをチェックアウトして姫路駅へ向かう。 岡山行きの山陽本線の電車のホームでY.S君と合流。 彼に会うのは4か月ぶりである。 しかしながら、数えてみると一緒に山に登ったのはもうかれこれ30年前のことだったろうか? 月日の経つのは早いものである。 6:34に各駅停車発車。 電車の中ではお互いの近況報告をして最近登った山の話などをする。 上郡で乗り換えだと思い、智頭急行のホームへ行く。同じ各駅停車に乗っていたたくさんの学生たちが、智頭急行の車両に乗り込んでいって、ちょっとしたラッシュアワーだった。 駅員に聞いてみると我々が乗る特急「スーパーいなば」はJRのホームから出発するという。 もともとはJRの智頭線として開発が進められていたが、第三セクターに変わり、現在は京阪神と鳥取を結ぶ線の収益でそこそこの収益を上げているという。
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ふるさとの森キャンプ場
7:25に特急「スーパーいなば1号」に乗る。 自由席の乗車率は20%というところだろうか。車窓から見えていた雲にかかった大原町・智頭町にもやがて朝日がさして晴れ晴れとした景色が広がるようになっていった。 8:40に鳥取駅に到着。 駅の北口を5分ほど歩いて予約していたレンタカーの店舗に立ち寄る。 三菱自動車のコルトが今回の我々の足である。 駅の南口のAEONで食糧を買い出したあと、智頭鉄道の郡家駅を通り、そこから若桜鉄道に沿うように走る国道29号線を東へ。 丹比駅を過ぎたところで北の扇之山林道に入る。 林道といっても傾斜はさほどきつくもなく、舗装もされた走りやすい道である。 20分も行くと、八東ふるさとの森キャンプ場に到着した。 ここに車を停めて出発である。
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登山口
10:50歩きだし。 当初の歩きだし計画よりも30分遅れてしまった。 晩飯の宴会メニューを選ぶのにスーパーで時間を使ってしまったことが原因である。 扇ノ山自体はさほど時間もかからずに下山できるだろうが、今日は、扇ノ山を下山後、日没までにもう一つの山である氷ノ山まで登ってしまわなくてはいけない。 この時間の制約にとって30分の遅れが致命的にならなければいいのだがと思いつつ。 まずは車道をふるさとの森登山口まで40分歩く。11:50登山口を出発。 ここから最初は緩やかな樹林帯の中の道。 12:15にベンチを通過。 ここからは少し傾斜が急になってくる。
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中腹から見る紅葉
12:18林の中で休憩。 実はここから少し先に行ったところが稜線の尾根のとりつきだったのでそこまでがんばればよかったのだが、水が飲みたくなり休んでしまった。 木々の間から今日扇ノ山下山後に登る氷ノ山が見えている。 稜線に取り付くと、傾斜は少し緩やかになってきた。 1194mのピークを越えると正面に目指す扇ノ山山頂が見えてきた。思ったよりも紅葉が進んでいる。 以前、10月の20日前後に山形の朝日岳に登ったが、その時は山頂付近は紅葉が終わりかけていたが、中腹は素晴らしい紅葉だった。 ここは、山形よりもずっと西なので紅葉はまだ先だと思っていたが、今年は10月に急に気温が下がったせいか葉はいい色合いになってきている。
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扇ノ山山頂
12:35、最後の傾斜を上がりきると、そこが扇ノ山山頂の避難小屋であった。山頂小屋には、どこか子供会の集団か15人くらいの子供たちと数名の引率の若者がいて、絵をかいたり楽器をたたいたりと楽しそうに過ごしていた。我々もベンチの一角に腰を下ろして昼食にする。 氷ノ山を見ながら持ってきたヤマザキのランチパックを食べる。 山頂には二等三角点があり、西からの上池コース、北からの河合谷コース、 東からの畑ヶ平コースと4方向から登れるように分岐がしっかりと示してあった。 子供たちはやがて点呼をとると姫路コースへと下山していった。 おそらくこのコースが最短のようだ。
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頂上避難小屋
食後、子供たちがいなくなったあと、われわれも避難小屋の2階へ上がってみることにした。 小屋の外装は冬に備えてか、工事業者の人が数名補修工事をしていた。 小屋は地面から2mほど高くなっており、さらに2階へは直接通じるハシゴがつけられていた。 このあたりが豪雪地帯であることを物語るものである。 そういえば隣の氷ノ山に行ったときは3月、私もスキーを担いで登った。 2階に上がると、日本海の海が見えた。 東には蘇武岳、南には氷ノ山の颯爽とした姿が見えてよい景色だった。 きれいな小屋で、こんなところで星を見ながら一晩を過ごすのも悪くないなと感じた。
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ふるさとの森に下山
13:20に下山開始。 ほぼコースタイムどおりの45分で、ふるさとの森登山口まで下山した。 登山口には車が数台停められそうであったが、1台も駐車車両はなかった。 山中ですれ違った人が数名いたが、皆、姫路コースとの周遊をしているのかもしれない。ふるさとの森のキャンプ場の駐車場にも、もうわれわれのレンタカーしか停まっていなかった。 この時期、キャンプ場も来る人が少ないのかもしれない。 |
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わかさ氷ノ山ふれあいの里
さて、車に荷物を積み込んで、一路、わかさ氷ノ山ふれあいの里を目指す。 ここまでは15㎞ほど、車で約30分ほどの道のりである。 事前に調べておいたとおり響の森の駐車場に駐車させてもらう。 響の森はリニューアルのため、来年3月まで展示が一部閉鎖になっているようだが、それと知ってか知らずか、結構な数の車が入ってきていた。紅葉シーズンだということでの観光客も多いのだろう。 扇ノ山と違って、今度は、小屋泊まりの装備を一通り持っての登山である。 標高差約650m、2時間の本格的登山である。 15:29、駐車場を出てわかさ氷ノ山スキー場方面に歩きだす。
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仙谷コース
15:39仙谷登山口に到着。 民宿の裏のようなところから登山口に入る。 最初ゲレンデにぶち当たるまであるいて、そのあと、ゲレンデの中を上に登っていく。 しばらく行くとゲレンデに隣接した林の中の道を登り始める。 事前にヤマレコで調べておいておいたとおり2度渡渉して道標に従って高度を稼いでいく。 歩き出して約1時間、16:30に沢沿いで休憩をする。 第三渡渉地点からは、もはや川を離れて登っていくと記録にあったので、そこだとおぼしきところで、持ってきたペットボトルに水を一杯にする。 一人3L、2人で約6Lの水を持ったので少し荷が重くなる。16:45、沢を登るルートがわかりにくくなってきた。 ルートファインディングの技術が要求される。 なるほど、このルートが登山道の説明で上級者コースと記載されていたのがわかる気がする。 あまり、小中学生の団体などは入らないほうがよさそうである。
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稜線で日没
沢をつめて鎖場を上がると、徐々に標高を上げて、稜線へと近づいていく。 標高1200mを超えるとずいぶんと息が苦しくなるとともに日没が気になり始めた。 17:26、樹林の中を歩きながら日没を迎える。さてここからあと30分程度は薄暮に中を歩くことができるだろうが、小屋にたどり着くまでにヘッドランプに頼らずに行けるであろうか? 夕方になると現れるというクマの存在も気になる。 17:34氷ノ山越からくるルートとの分岐にたどり着いた。 よかった。 ここからはあと山頂まで20分ほどである。 おそらく18時ごろには到着するであろう。
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氷ノ山山頂
17:34正面にコシキ岩が見えた。 夕焼けに映える姿と、紅葉とが混じりあってきれいだった。 17:53行く手に氷ノ山山頂の避難小屋が見えた。 ようやく、今日の終着駅である。 17:58氷ノ山山頂到着。 日没後にガッシャブルム2峰にたどり着いた世界的登山家の竹内洋岳さんはこんな気持ちだったのだろうかと思いながら静かに暮れていく夕闇の中写真を撮影した。
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避難小屋にて(写真は翌日朝の撮影)
避難小屋に入ると、先客が4名、単独の男性と、男女混合の3人パーティーがいた。 パーティーの方は、しばらくするとテントを張るといって小屋を出ていったので、結局、小屋は我々2人と単独の方の3人だけになった。 しゃぶしゃぶ鍋をそれぞれのEPIで加熱して作り、担ぎあげた日本酒を平らげた。 夕食が終わると、単独の方は寝るしたくをしていたので、シュラフを2階に上げて短時間ウイスキーで宴会の続きをやった。 畳があって、毛布もあってと至れりつくせりの小屋で、まったく寒さは感じることはなかった。 外にでて星の多さに感動したあと、21時には夢の中の人となった。
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市民に親しまれる扇ノ山のたおやかな山容は登ってみてそのイメージを確たるものにした。 子供たちが遠足のごとく登り、そして展望のよい避難小屋でくつろぐとはなんとのどかな風景なのだろうか。 あの避難小屋にはぜひ今度宿泊したいという気を起させた。 さらに気持ちを高ぶらせたのが、2度目の来訪を果たした氷ノ山である。 前回は3月にスキーツアーで単独でやってきた。 今回はパーティーを組んで紅葉の中、小屋どまりであるが、違う種類で同じ山を2度楽しむことができたのは収穫であった。兵庫・鳥取県境の山の素晴らしい星空はきっと忘れることはないだろう。
(2014年10月 記) |
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