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鉢伏山
鉢伏山

基本情報
1 山名 鉢伏山(はちぶせやま)
標高 1,221m (三等三角点)
山域 中国山地東部
都道府県 兵庫
位置 N35.23.43/ E134.32.10 
地図 昭文社 山と高原地図52「氷ノ山・鉢伏・神鍋」
2万5千分の1地図「氷ノ山」
20万分の1地勢図「鳥取」
7 山岳区分 関西百名山
登山記録
山歩No 5390-14035
登山日 2014年10月19 日(日)
歩程 8時間25分
天候 快晴
形態 小屋泊り1泊
アプローチ JR山陰本線鳥取駅
パーティー 2人

 鉢伏山は扇ノ山と同じく、前回、氷ノ山に登った時にまるで手の届く距離のごとくに眺めた山である。 日本三百名山には入っていないが、関西百名山に入っている山だったので、いつかは登ってみようと思っていた。 今回、大学時代の後輩のY.S君と兵庫の山に登る計画を立てた時に、第一候補にしたのがこの山である。 Y.S君の希望もあって氷ノ山から縦走しようということになった。 

氷ノ山の朝

 10月19日(日) 朝5:50起床。 Y.S君はもっと早くに起きてそとに出ていたようだったが、飲みすぎモードの私はなかなかシュラフから出ることができなかった。 5:50にもう少しでご来光だということで、Y.S君が起こしに来てくれた。 外に出てみると思ったほど寒くはなく、 小屋の宿泊者以外に数名の登山者がすでに山頂に上がってきていた。 ご来光は見事な光だった。 朝日に当たりながら、記念写真を撮影した。 

氷ノ越への縦走路

 朝食にうどんを食べて、用意をして7:40出発。先に進む縦走路がはっきりと見えた。 鞍部に荷物をデポする氷ノ山越の避難小屋が見えた。 氷ノ山山頂にどんどんと、トレイルランの集団が来ては少し休憩して我々の進む氷ノ山越・鉢伏山の方へ進んでいった。 「OSJ氷ノ山山系トレイルレース」という全国大会だった。 あとで記録を見ると出走者490名、完走者357名というすごい大会だった。我々鈍足の登山者は彼らの邪魔にならないように道を開けるのが精いっぱいだった。 

氷ノ越避難小屋

 氷ノ山越の避難小屋に我々が到着するころには、トレイルランの集団はほとんどみな通過していった。 大会役員の方が、最終ランナーが通過するのを確認して、道案内表を回収していった。 これだけの人がいると、途中で道を間違えたりする人が1人や2人いるんではないだろうかと心配になった。8:24氷ノ山越の避難小屋前で休憩。 鉢伏山をピストンしてここに再び下りてくるので、できるだけ荷物は軽くしてサブザックで行くことにした。 雨具をどうしようかと思ったが、一応持っていくことにした。 

大平頭

 赤倉山までは少し登り。 1382mのピークから天狗岩が見えた。 ロープを使う急な崖を下ったあとは比較的平坦な道が続き、標高1264mの布滝頭。 さらに進むとブナの原生林があり、 およそ1時間ほどで大平頭の避難小屋に到着した。 地図上のコースタイムでは1.5時間になっているので、だいぶ時間短縮を図ることができた。 避難小屋から先にボード―杉への分岐があった。 興味はあったが、500m先だと、少し距離があったので行ってみるのはあきらめることにした。 

1019mの鞍部と鉢伏山を臨む

 ロープが張った急な下りを降り切ると突然視界が開けた。 樹林が切れて、下に1019mの鞍部とそこからたおやかに鉢伏山の山頂まで続くススキ林の稜線が見えた。 ここからが縦走路のメインコースである。なぜこのように樹林がない景色になったのか、これが自然がもたらしたものなのか人工的なのかはわからなかったがとにかくそこから先の樹林がないところが南東側に切り開かれたハチ高原スキー場だった。 関西の小中学生は林間学校やスキー教室でここへやってくることが多いと聞く。 小代越まで歩いて、木道沿いに腰をかけて、持ってきた梨を剥こうとしたときにナイフをリュックサックにしまったままでえサブザックに入れていないことに気づいた。 残念だ。

鉢伏山山頂

 鉢伏山までは、ハチ高原から上がってきた老夫婦と前になり後になりしながら急な坂を登っていく。 元気はY.S君には先に行ったもらった。 鉢伏山の山頂にも避難小屋のような建物が見えた。 木道の階段を登りきると、そこが山頂だった。 標高1221m。 登山をしたような気がしたが、それでも、リュックをデポした氷ノ山越の標高が1245mなので、鉢伏山の山頂の方が低いという事実には驚いた。 山頂で記念写真を撮って、休止しているリフトの降車口に腰を下ろして、昼食を食べる。 今日はカレーパンである。さすがに山頂には風が吹いており、防寒着なしでは寒かった。 

布滝の頭から見る紅葉の稜線

 11:46、 避難小屋(と思われたが、リフトの計測施設だったか?)を見学して、下山開始。 氷ノ山越到着目標は15時である。 それより遅くなると、18:40に鳥取を出る静岡に今日中に帰る特急に間に合わなくなる恐れがある。 すすきをくぐるようにして1019mの鞍部までは気持ちの良い縦走路だった。 そこからは少し厳しい登りになり、Y.S君には自分のペースで先に行ってもらった。 大平頭の避難小屋では、トレイルランの大会役員と思われる人が残留者はいないかチェックしに来ていた。 さらに午後の秋の日差しをあびて進み、布滝頭では自主休憩。きれいに高揚した稜線が見えた。 今日一日でさらに紅葉が進んだように感じたのは気のせいだろうか?  

氷ノ山キャンプ場

 14:30、目標より約30分早く、氷ノ山越に到着。 時間があるので、一風呂浴びて帰れるということでテンションも上がる。 リュックから果物ナイフを出してきて梨を向いて食べる。 なぜか、鳥取産でなく長野産の梨だった。氷ノ山越からのルートは昔から伊勢道といわれた鳥取と兵庫を結ぶメインの街道だったこともあり、よく整備されたルートだった。 仙谷コースの100倍歩きやすい。 ルートは電気を通した動物よけの金網を過ぎると氷ノ山キャンプ場の中に下山すべく続いている。 キャンプをしている人はさほど多くなかったが、静かで気持ちのよさそうなキャンプ場でこんなところでゆっくりとしてみたいとも思った。 

若桜ゆはら温泉

 15:10響の森の駐車場に到着。駐車場につく手前で、トレランの先頭集団がゴールするところであった。 73㎞を9時間ほどで走るなどと、同じ人間とは思えない。 自分には絶対にできない世界がそこにあることを知り、何か寂しくなる。 とはいうものの悩んでいても仕方ないので とりあえず、風呂に行こうということで若桜ゆはら温泉ふれあいの湯に立ち寄る。 おそらく、あと3時間後にはトレランの人たちで恐ろしくこの温泉混雑するのではないだろうか? 洗い場が5つほどしかない小さな温泉であったが山の疲れを癒すにはうってつけだった。 

鳥取から特急「スーパーはくと」乗車

 若桜ゆはら温泉から車を走らせておよそ1時間で鳥取市内に到着。 予定より1時間早くレンタカーを返却した。 鳥取駅で駅弁を買おうとしたら本日の分はすべて完売だと。 さすがは好天の日曜日である。 砂丘を見に来た旅行客も多いのだろうか? 18:40に特急「スーパーはくと」に乗車。 この電車は京都まで行く列車だが姫路で下車して新幹線に乗ることにする。 駅の売店で買った寿司やかにちくわで、また電車の中で宴会。 幸い乗客が少なかったのでゆっくりできた。 20:10に姫路に到着。 Y.S君とはそこで分かれて新幹線乗り場に行く。 さすがに日曜日の夜だということもあり、のぞみの自由席は満席だった。 名古屋で乗り換えて最終のこだまで静岡に帰った。


 秋らしい日差しの中、素晴らしい登山を楽しむことができた。 日本三百名山ツアーは少しマイナーなため、ひとりで行くことが多かったのだが、こうして昔の仲間と元気で山に行けるというのは本当にありがたいことだと思った。鳥取・兵庫県境という、少し離れたところに電車で訪ねてみるのも悪くない。健康には留意しながら、慌てずにたくさんの日本の名山を訪問しようと改めて思った。
(2014年10月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています