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白神岳
白神岳

基本情報
1 山名 白神岳(しらがみだけ)
標高 1,235m (一等三角点) 
山域 白神山地
都道府県 青森
位置 N40.30.27/ E140.01.06
地図 2万5千分の1地図「白神岳」
20万分の1地勢図「弘前」
7 山岳区分 日本二百名山・東北百名山
登山記録
山歩No 2110-23069
登山日 2023年10月29日(日)
歩程 6時間30分(白神岳登山記帳所ーマテ山ー白神岳ー白神岳登山記帳所)
天候 曇りのち晴
形態 日帰り
アプローチ R五能線白神岳登山口駅から
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/j-M_7E8xLxQ

 白神山地が世界遺産に登録されたのは1993年である。したがって今年は30年目にあたる。 前から一度は行ってみたいと思っていた世界遺産であるが、この青森県の西部のこの場所になかなか訪れる機会がなかった。 いまだに残る原生林も然りであるが、山登りを趣味とする者にとっては、日本200名山である白神岳がある意味特別に神聖な山のような感じで思っていた。そして白神岳といえばそこは手つかずの自然とツキノワグマの生息地だという漠然とした思いがあった。本当は2023年6月に秋田の太平山とともにこの白神岳を登ることを計画していた。秋田のホテルもレンタカーも予約が済んでいたのだが、直前の天気予報でその週末の雨天が予測されたので泣く泣く延期をしたという経緯がある。今回も本当は10月21日と22日の2日間で行くつもりであったが、 なぜか秋田県と青森県は全国の中でもここだけが雨の予報だったので、さらに一週間見送ることにした。 金曜日に夜行バスで出発する2日前の水曜日に確認したら、土日の降水確率は40%と結構微妙である。 最初は太平山から白神岳の順番で行こうと思っていたが、どうも土曜日の天気が良くなさそうなので、土曜日に車で秋田から弘前まで北上して歩行時間の短い岩木山に登山して、 そして日曜日に白神岳を登山、そして、有給休暇を使って晴天が期待できる30日月曜日に太平山のの登るという全体的に計画を一日ずらしたような形で決行することにした。

深浦町不老ふ死温泉

 2023年10月27日金曜日、仕事を終えて夕食後に、新宿へ電車で移動。 新宿バスタを22時10分に出発する夜行バスに乗って秋田へ行く。予定どおり、土曜日は岩木山に登り、幸いに雨に降られるyことはなかった。 下山後に鰺ヶ沢・深浦を経由して、黄金崎不老不死温泉で入浴したあと、ぱらつく小雨の中、日野林道を進んで、白神山地の麓に入ってきた。白神岳登山口で車中泊する。晩飯は深浦のスーパーで買った寿司と焼き鳥である。 

登山口休憩舎

 10月28日(土)、いよいよ白神岳にアタックする朝である。 5時15分まで寝て目覚めて外に出てみるとまだ、まわりは暗かった。 登山口駐車場の横にはきれいな水洗トイレを併設した休憩舎がある。 登り出しは休憩舎の裏からなのでそこに荷物を置いてパッキングをしていた。 すると地元の自然観察員のかたが6:30に入ってきた。 これから登るというので聞いてみると天気はもしかすると日中に雨がパラパラくるかもしれないが、ザーザー雨にはならないだろうということなので出発を決意する。

登山記帳所

 6時50分休憩舎の裏手を出発。10分程度車道を歩いて旧登山口に到着。ここには登山届提出のポストがある。ポストはむき出しではなくはちゃんとした小さな電話ボックスのような小屋に中に設置されている。 今日はまだ誰ものぼっていない前日にも登山者はなかったようである。 自然観察医の方に聞いたところ2年ほど前にはツキノワグマの目撃されているそうである。 今年は特に、ふもとの町に降りてくるクマも多く、 腰にクマを消すプレーを装着しいざとなった時に格闘することも想定してピッケルを持って登る。

二俣コースとの分岐

登山届ポストから先はしばらく平坦な道である。歩きやすい登山道を少し進むとだんだんと登りの道になってきた。 約40分ほど歩いたところでマテ山コースと二股コースの分岐点に到着した。二股コースは谷筋を歩いていき最後は尾根筋の急登が続く危険なコースなので、下山ではなく登山コースとして利用する人が多く健脚向けと言われている。 自分は単独でもあるので上級者向けと言われるこの二股コースに入らず、 一般コースであるマテ山コースを往復することにした。マテ山コースの落葉を見ながら進むコースは道がよく整備されており、また道標もはっきりとしてるので迷う心配はない。 それでもところどころはクマを警戒してホイッスルを吹きながら登って行く。


最後の水場

30分ほど歩いたところで先ほどの自然観察園の方がルート上に立ち止まってていた。 聞くと手帳を落としたということである。 大事な記録が記載された手帳らしく、彼はそこから先ほどの二股コースとの分岐まで戻ることにしたようで、せっかく登ったがあわててそこから下って行った。 さらにそこから先道はゆっくりと登りになっていく。 マテ山コースは45分ほど歩いたところで最後の水場があるが、 その手前にも二つほど給水できるところがあった。 なので本当はハイドレーションをいっぱいにしてくる必要はなかったのかも知れないが、 まあ自分は2.2リッターほど水を持ってるので多分最後まで水補給する必要はないだろう。 
 

マテ山山頂

分岐から一時間半ほど経った9:15にマテ山分岐の標識が現れた。ここが標高で840mである。歩き出しが250mぐらいのところからなので白神岳の山頂まで標高差ちょうど1000mほど登ることになる。標高840mはほぼ半分の高さまできたということになる。マテ山分岐に到着して、マテ山山頂まで行くかどうか迷ったが、道もはっきりしてそうだったので、マテ山の山頂にも立ち寄ることにした。マテ山の山頂は展望がなくただ三角点はあった。 ここで行動食のカロリーメイトを食べて元気を補給する。 


稜線の展望

 マテ山から先、大峰の分岐まで約一時間に50分のコースタイムである。最初は落ち葉の中の紅葉のきれいな歩きやすいコースで気持ちも上がってくる。途中足元が悪いところには固定ロープが張ってあった。 しんどい上り下りを続けていくと、10時20分ようやく稜線が見えて来た。稜線の先の方に白神岳の避難小屋も見えた。 先が見えてくるとやはり気持ち的には楽である。 標高1000mぐらいのところで森林限界を超える。 そこからは眺めのよい尾根筋を一気に標高を稼いで大峰分岐に到着した。 
 

大峰分岐

 大峰分岐から北方向へは十二湖へ抜けるコースが続いている。 ただ健脚向けで薮の濃い部分も多く注意が必要ということがガイドマップには書かれている。大峰分岐から白神岳までは700mと標識があった。コースタイムでおよそ20分である。 この大峰分岐では14年前に登山者がクマに襲われている。 時折ホイッスルを吹きながら白神岳の山頂向かって進んでいく。 11:07白神岳の避難小屋に辿り着いた。 トイレを使わせてもらう。 それから避難小屋の中も覗いてみた。登山口の休憩所には白神岳の避難小屋にスズメバチの巣があると書いてあったので、こわごわドアを開けてみたがスズメバチの巣は撤去されているのかその気配もなかった。


白神岳避難小屋

 綺麗な小屋で屋根裏まで泊まれる快適そうなところであった。入り口にぶらさげてある掛け時計が正確な時刻を示していたので意外であった。寝具は備えられていないが銀マットは置いてあった。 食料は置いていかないでください、と書いてあったので備蓄はないということだ。 まあ当たり前であるが山頂の避難小屋に泊まるときは寝具も食糧も炊事道具も自分でかついであげる必要がある。 NHKの日本百名山で白神岳に登っていた人たちも寝具は自分でかついで上がっていた。 山頂はここから50mほど高台に向かって進んでいく。

 

白神岳山頂

 11:10白神岳の山頂に到着。山頂には誰も人がいなかった。西側の海の方はよく見えたが東側の産地の方にはガスがかかっており残念ながら白神山地の全部を見ることができなかった。太陽が顔を出さないので山頂は風が冷たく結構気温が低いと言う印象をもった。 山頂のベンチにリュックおいてGopro立てて万歳三唱の動画を撮影した。そうこうしてるうちにひとり登山者の方が避難小屋の方に到着するのが見えた。この方は小屋に荷物置いたまま山頂までピストンしてきていた。 一年ぶりの登頂だということである。 自分は持ってきたアルファ米と卵スープで昼食を取る。デザートに持ってきたドライフルーツがなかなか良かった。

下山 駐車場へ

11時44分山頂を出発。 自分が出るときにさらにもう一人ソロの男性が山頂へ上がってきた。 小屋にいた先ほどの登山者の方に挨拶をして下山を開始する。 彼は今日の天気が良いからどんどん人が上がってくるよと言っていた。 実際そのとおりで、後ろから結構数多くの登山者の人が来ておりすれ違った。マテ山分岐の手前で自然観察員の方に追いつく。 彼は山頂までは来なかったようである。 聞くと途中でなめこを収穫していたと言うことで、リュックにはいっぱい入っているということであった。 マテ山分岐の先の最終水場で5分休憩をする。 最終水場からさらに一気に登山口まで降りた。 到着の動画を撮ってる時に自然観察員の方も下山してきた。 結構な健脚である。 14時27分下山。 帰りはストックとピッケルを使ってバランスをとりながら駆け降りるように下ってきたので、思ったよりも早く降りて来られた。 やはりトレイルランニングシューズで来ているのでその分下りはスピードが出せることになる。 14時45分車で登山口を出発する。 

十二湖

まだ日没まで時間があるので十二湖に立ち寄ることにする。 ナビのないレンタカーなので、道を間違えて森山トンネルの先まで行ってしまったが、引き返して十二湖エコミュージアムセンターの横を通って十二湖の方に進んでいく。 紅葉が見事である王池の横を通った時にはたくさんの観光客の人が写真を撮っていた。 十二湖ビジターセンターに15時15分到着。 中の展示を拝見させてもらう。ビジターセンターの見学が終わった後は車でさらに奥の青池の方まで行ってみることにした。青池の手前にある森の物産館キョロロに駐車場があったが、その手前の池の前に駐車してそこから歩いてみることにした。 途中ですれ違った年配の女性のかたが、青池まで行こうとしたが遠い遠くて傾斜があるので断念した、と言うことだった。 自分にとってはまあ大した標高差でもないのであまり苦にもならず16時青池到着。 写真を撮影する。 本当に水の色が青いのでちょっと驚いたが、なるほどこれは見る価値があると思った。青池も素晴らしかったが、大崩山を見ることができる池の紅葉が見事だったので、それが素晴らしいと思い池のふちまで降りて写真を撮ってみた。

秋田のビジネスホテルへ

日没の時刻まで十二湖を見物して、暗くなりはじめた中、湖を後にする。 国道101号まで出てJR五能線に沿うような形で南へ向かう。 この日の泊まりは秋田のカプセルホテルである。 能代まで行き、能代の道の駅で休憩。 さらに能代市内の吉野家で夕食を食べて19時50分秋田のカプセルホテル湯ーランド八つ橋に到着した。 日曜日の晩であったがう温泉施設が賑わっていた。併設された居酒屋もあるのだが、満席で入ることができなかった。 帰る途中で夕食を済ませておいてよかった。 一時間ほど風呂に入って22時にカプセルホテルの狭いブースで消灯・就寝した。


長年の夢だった世界遺産の白神岳に登ることができた。 十二湖の見学も合わせてこのような素晴らしい紅葉を見ることができたのがとてもラッキーだと思った。山頂から白神山地の核心部を眺めることができなかったのは少し残念であったが、それでも、東の海側は雄大な景色で東北の山のまたひとつ素晴らしいところを発見できたように思った。

(2023年11月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています