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宮之浦岳
宮之浦岳

基本情報
1 山名 宮之浦岳(みやのうらだけ)
標高 1,936 m
山域 大隅諸島(屋久島)
都道府県 鹿児島県
位置 N30.20.10/ E130.30.15
地図 昭文社 山と高原地図59「屋久島」
2万5千分の1地図「宮之浦岳」
20万分の1地勢図「屋久島」
7 山岳区分 日本百名山、九州百名山
登山記録
山歩No 1999-09035
登山日 2009年11月27日(金)
歩程 第一日40分(11/26淀川登山口から淀川小屋
第二日7時間25分(11/27淀川小屋から新高塚小屋まで)
天候 晴れ
形態 小屋泊2泊3日(宮之浦岳から縄文杉・白谷雲水峡縦走)
アプローチ 安房よりタクシー淀川登山口
パーティー 1人

休暇を取って念願の屋久島登山を決心する。 2週間前にぎりぎりで申し込んだが、時期としてはピークでないことから予約はできた。 同行予定者が休みはとれたのだが直前でインフルエンザでダウン。 結局一人旅となった。 11/26(木)朝4:10に起きて、横浜から電車で羽田へ。6:35飛行機に乗り込み、8:45に鹿児島空港到着。9:30にバスに乗り金生町で降りる。 好日山荘でEPIガスタンクをひとつ調達して港の北埠頭へ。 11:30のロケットに乗船。 ちょうどいまの時期は、運行する2台のうち1台がドッグに入っている関係で、このロケットは種子島経由となり、いつもよりも30分程度、余分の航行時間となる。 そのため10時半には鹿児島市内に到着する必要があり、早朝の飛行機に乗らざるを得なかった。 佐多岬に別れをつげて、種子島経由で14:10に宮之浦港到着。

出発

観光センターで酒を買い込んだあと、バスで牧野まで乗る。 おりてすぐに、まつばんだタクシーに電話をする。 すぐ前に営業所が見えて運転手さんがでてきてくれた。 およそ40分ほど、運転手さんと観光スポットや木霊の話などをする。 途中、いい水場があると教えてくれたところで車を停めておりてポリタンクに給水する。 16:10淀川登山口到着。他に1台とまっている車があるだけだ。タクシーが転回するのに支障はないが、車を停めるスペースとしては数台というところだろう。 登山届を提出して、体操をして16:20歩き出し。

11/26淀川小屋へ

淀川登山口から出発してからは起伏の少ない登山道。 鹿児島を出て屋久島についたところまでは晴れの天気だったが、島の山間は低い雲がたれこめていて標高が1400mある淀川登山道は雲の中である。 樹林の中を西北西に進み、だらかな広地に出ると17:10淀川小屋到着。 サッシの入り口を開けると中に登山者はだれもいなかった。 こころ細かったが腹をくくるしかない。夕食は白米をたいて牛丼。 三岳を飲みながらチーズかまぼこを食べていい気分になる。 20時就寝。


11/27 花之江河

11/27(金)快晴。 5:30起床。 電池を使い果たしてしまいヘッドランプの明かりが少ない状態。 なんとかパッキングをすませ。 小屋の前を通る朝早い登山者の足音にプレッシャーをうけながら、明るくなるまでまって7:00出発。 ガイドつきの夫婦と歩き出して淀川のきれいな水を見て感動する。 7:47休み。 7:56出発。 8:12高盤岳展望台までくる。 そこで写真を撮るが山の上は少しガスがかかっている。 8:29展望所。 あとから来た奈良の4人組みの若者(男3人、女1人)の集団と屋久島の見所の話をしながらシャッターを押してもらう。 8:36花之江河に到着。 実は、そこは花之江河ではなく、小花之江河で本当はもう少し先だった。


黒味岳

ひとつ丘陵を越えて8:50こちらが本当の花之江河。 ザックをおろして休憩。 ここからは黒味岳がきれいに見える。 8:56発。 9:17黒味分岐。黒味岳に向かって進路をとる。 少しあがったところでザックをおろして、黒味山頂を目指す。 結構、岩の上をはいのぼったり、据付のザイルをつかんであがったりとスリルがある。 山頂はとても高所恐怖症の人にはつらい大岩の上。 さきほどの若者に写真をとってもらう。 黒味岳は標高1831m。 屋久島の三岳の中のひとつである。 大忠岳や、黒割岳などの屋久島の外郭をなす山が一望できた。 快晴の山頂にもう少しいたい気持ちはあったが、先が長いので、若者に別れを告げて、9:48山頂発。


投石平

10:28に先ほどの黒味分岐まで戻って、再び重いザックを背負う。 30分ほど歩いて11:04投石平。ここは水が豊富である。 投石岩屋を経て、投石岳の小高いピークを見る場所から振り返って黒味岳の勇壮な姿を見る。 11:23安房岳の水場で休む。11:28出発。翁岳の斜面を登る。 緑色と花崗岩の白色のコントラストが屋久島の山の特徴である。


翁岳ののぼり

さらに、ゆるやかなのぼりを進む。 翁岳は山頂への道もあり、登山者の声がしているが、そこを右手に見ながら先を急ぐ。 ここにも水場がある。 1800mの稜線だというのに、屋久島は本当に水が豊富だ。 屋久島の荒川で年間降水量が8000ミリと、日本の平均の約5倍という雨の多さがもたらすものだろう。 水の色は本州の山では見ることのできないエメラルド色である。 12:13くりお岳の上り途中で休み。12:18出発。 淀川小屋を出るときに先に行ったガイド同伴の夫婦が降りてきたので、山頂で景色はあったか?ときいたら、タッチの差で雲に覆われて見られなかったといっていた。 

宮之浦岳

くりお岳の山頂には、山岳信仰のあとを示すような祠と雨風を避ける岩屋があった。 くりお岳からは標高差70m、おおそ15分ののぼりで、宮之浦岳を目指す。 もうあたりは雲につつまれて残念ながら景色は期待できそうにない。 12:50宮之浦岳山頂。 最初は登山客が誰もいなかった。三脚で4枚ほど写真を撮る。 これより天気がよくなるか悪くなるかわからなかたので、晴れているうちに周り(永田岳など)の写真も撮る。 ラーメンをつくって食べていると、後ろを歩いていた登山者も山頂に上がってきた。 彼らも朝早く淀川小屋を出た人たちだった。 山頂にいる間に、雲は晴れ始めた。


永田岳

雲が晴れてくると、黒味岳・永田岳の三岳の姿も見ることができた。 13:50宮之浦岳山頂出発。 下って14:10焼野三叉路。 ここから往復1時間半で、永田岳の頂を踏むことができる。 稜線がきれいに見えていたのでのぼりたい気持ちはやまやまだったが、11月は陽が短い。 永田岳へ行くと、明るいうちに新高塚小屋にたどり着くことができなくなるのであきらめる。 14:27水場、ここで水をポリタンクにつめる。インターネットで新高塚小屋の水場があまりきれいではないと書いている人がいたので、できるだけ水を運んでおこうという考えである。ためしに飲んでみたが、太吉が峰から流れおちるこの水はうまかった。  14:29出発。 14:40平石。ここは誰かが幕営した形跡がある。 ただ、季節にもよるだろうが稜線なので風が強いだろう。 ザックをおろして休憩。


新高塚小屋

平石を14:45出発。 15:56第一展望台。 ここで野生の鹿に遭遇。 写真を撮ってもにげる気配もない。 展望所というほどは眺めはよくないが、高塚小屋から逆に宮之浦岳に向かって登る人にとっては樹林をぬけてほっと一息つくところなのだろう。 7時間におよぶ長い本日の行程の最後の休憩。あめを3つほどほおばる。 16:02発。 16:21新高塚小屋到着。 先に登山客は若者4人がくつろいでいた。 (結局あとから山頂で会った4人組と男性2人組とが到着したので結局、その晩は11人の宿泊だった。 定員40名の小屋なので余裕である。) テラスで夕食の支度をしながら三岳を飲む。 白米をたいて中華丼ともずくスープを食べる。 18時になるともう真っ暗になるので、外にいるわけにもいかず、寝袋に入るしかない。 携帯で音楽を聴いているうちに歩いた疲れもでて20時前に就寝。



木曜日の晩に淀川小屋に一人で泊まったときはさすがに孤独で、夜中、動物の遠吠えなどが聞こえて、おまけにヘッドランプの電池が消耗してあまりつけていられない状況になったときはいい気持ちはしなかった。 しかしながら、翌朝の抜けるような青空は、1ヶ月に35日雨が降るといわれ、出発前の11月の毎日の天気の記録でも2-3日しか晴れがなかったことを考えると、とてもラッキーだったというべきだろう。 特に、黒味岳からの360度展望は、これまでの山頂での展望ベスト20に入るくらいだった。 宮之浦岳も、島の最深部というにふさわしく堂々たる風格の山だった。 新高塚小屋に泊まった私は翌日、縄文杉を経由して、小杉谷ー辻峠ー白谷雲水峡と下山していくのだが、そこでは、屋久島名物の大雨の洗礼をうけることになる。 晴れた美しい稜線と、雨の峡谷と両方を楽しむことができたのはすばらしい経験で、重い荷物を担いできたかいがあった。

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています。