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八ヶ岳
八ヶ岳

基本情報
1 山名 八ヶ岳(やつがたけ)
標高 2,899m (赤岳 一等三角点補点)
山域 八ヶ岳
都道府県 山梨・長野
位置 N35.58.15/ E138.22.12 
地図 昭文社 山と高原地図32「八ヶ岳・蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰」
2万5千分の1地図「八ヶ岳西部」
20万分の1地勢図「甲府」
7 山岳区分 日本百名山・甲信越百名山・山梨百名山・一等三角点百名山・信州百名山
登山記録
山歩No 1640-13033
登山日 2013年7月13日(土)~15日(月)
歩程 (第一日)5時間30分
(第二日)6時間10分
(第三日)4時間55分
天候 曇り後晴
形態 小屋泊2泊3日
アプローチ JR中央東線茅野駅バス美濃戸から下山口は小淵沢駅
パーティー 4人(第三日は3人)

八ヶ岳は、1986年の7月に大阪に勤務していた時に初めて山岳部でリーダーの指名を受けて縦走した夏山である。 その時は男性2名+女性2名の若いメンバーばかりで小屋泊で硫黄岳から編笠山までを縦走した。学生時代も八ヶ岳には毎年来ていたのであるが、あまり天気が良かった記憶がない。 この1986年の縦走はとても天気に恵まれ、小屋も快適だったのが記憶に強く残っており、27年の年月を経てまったく同じコースをたどることを決めた。 

八王子駅 -あずさに乗車

7月12日(金)17時半に会社を出て、夕食を食べたあと、横浜線で八王子に向かう。京浜東北線の車両トラブルの影響で9分も接続する横浜線も遅れているとのこと。 まあ、なんとか乗るあずさの八王子発の時刻には間に合うだろうと思いつつ、八王子到着21:27. 33分の定刻に入ってきたあずさ34号に乗って甲府まで行く。乗車しているのは帰省客だろうか旅行客だろうか。 あまり登山の格好をした人はいない。 甲府駅22:40に下車。 駅を出て、渡り廊下を通るとコンビニが見えたのでまたおつまみとビールを買って、23時にホテルにチェックイン。 料金は前払いしていあるのであとは寝るだけ。23時半就寝。

美濃戸口-八ヶ岳山荘

 7月13日(土)目覚ましをかけておいて5:20起床。 顔を洗って5:50に出発。 駅の待合に、大阪から来たH.H氏、R.M氏はすでに来ていた。 トイレをすませて電車に乗る。 通学の高校生がたくさん乗ってきた。約1時間の乗車で7:07に茅野駅に到着。 昨夜、大阪から来て茅野に宿泊していたA.D氏も合流。今回一緒に登る4人がここでそろった。 タクシーに乗って、次第に標高を上げていく高原の景色を楽しむ。 約30分でタクシーは美濃戸口へ到着。 マイカーは美濃戸まで入れるが、逆にバスやタクシーは手前の美濃戸口までしか入れないという説明だった。 八ヶ岳山荘で100円のチップを払ってトイレをすませて8:10に歩き出し。

北沢の登り

 美濃戸までの道はたしかに鎖で車が入れないようになっていた。ここから車のわだちのある林道を約50分進む。 途中でマツダのRX8を運転した二人組みの女性の車とすれ違う。 車の底をすらないようにと慎重な運転だった。 9:00に美濃戸の赤岳山荘に到着。 小屋の前でトマトを売っていたので食べて元気になる。 美濃戸山荘は昔の面影のままである。 通過してすぐに北沢と南沢の分岐である。 赤岳鉱泉を目指すわれわれは、北沢のルートを取る。 さらに30分ほど進むと、何か給水小屋のような建物があった。給水小屋を過ぎると澤沿いの堰堤を越えて、登山道が始まる。 傾斜は急ではないので歩きやすいコースだ。 

赤岳鉱泉--昼食は名物のカレー

 11:35に赤岳鉱泉に到着。大きな小屋である。 たくさんの人が小屋の前で休憩している。 というより、本日はここで宿泊という人も多いようだ。 われわれは入り口で名物のカレーとビールを注文し、中へ入る。 靴を脱いで食堂に上がり、お昼ご飯である。食事を運んでくれるアルバイトの女性は、広末涼子に似た美人だった。 辛度2のインドカレーはまあまあの味。 辛度5のジャワカレーを頼んだH.H氏も至って美味であると満足そうだった。 ビールはMammutのブランドのジョッキが特徴。さすがである。広い小屋の中を通って寝室も拝見し、それからトイレをお借りする。テレビ番組でも紹介されていたがとても快適そうな小屋だ。 

赤岩の頭

12:30出発。 行者小屋へ行く平坦な道を横目に見て小屋の裏手から樹林を上がる。途中のふみ跡のある分岐は大同心へのバリエーション・ルートだそうで、間違って入らないように注意を促す札があった。 樹林の登りは想像していたとおりしだいに急傾斜となってくる。 標高2334mのところでいったん休憩して、森林限界の上に出てからはハイ松の中に石楠花を見る。 最後に砂地の急坂をつめるとそこが赤岩の頭だった。 ピークのあるところまで行ってみる。 残念ながらガスが出て景色はよくない。 14:13に出発。 ここから硫黄岳への登りはあまり急傾斜だった記憶はないのだが、何しろ、最後に登ったのは27年前である。

硫黄岳山頂

 一歩一歩踏みしめて14:30に硫黄岳の山頂に到着。 避難小屋に見えたものはロボット雨量計の跡地だった。 硫黄岳の山頂標識の2760mはそのすぐ横にあった。 地図で見るともっと北東に歩いたところにあるように見えているのだが、おそらく火口に近づきすぎると危険だからであろう。 そちらにはルートは見当たらなかった。 三角点の位置もわからない。 何しろ、風速8m以上の強い風である。 おまけにガスに巻かれて視界もまったくない。 立ち止まっていると寒くて仕方なかった。 15:10に硫黄岳を出発。 ケルンを目印にしながら、他の登山者の進むほうに歩いて硫黄岳山荘に到着した。 

今夜の宿---硫黄岳山荘

  ちょうど登山者が入ってくるピークタイムだったこともあり、料金を支払ったあと、案内されるまで少し待つ。 2Fの更衣室兼荷物置き場のようなところにリュックを置いて買ってきたビールで乾杯。 夕食の17時半まで反省会となる。 若いR.M氏の近況で話題が盛り上がる。 それからも団体客も続々と入ってきて、小屋はほぼ満室となった。 あてがわれた布団は、3人で2枚。 まあ、最盛期の北アルプスに比べると余裕である。 夕食はから揚げにマッシュポテト、きざみキャベツといった典型的な山小屋の食事。 2Fに上がって宴会の続きをやっている間に、まずはR.M氏、続いてH.Hと夜行バスで早朝に甲府まで来たお2人はダウンしてしまった。 20時の消灯時間を見ることもなくしっかり足を延ばして眠る。 

硫黄岳山荘の朝食

7月14日(日)朝5:20起床。 朝食は5:00からだったので、まあ初回ではテーブルに座れないだろうと思って2Fでごろごろしていたら、小屋の従業員の方がお食事まだの方はどうぞと呼びに来た。 意外や意外、1回転で入りきるくらいの食堂のテーブルの収容力があるのだ。 そう言えば、朝食時間の前から、団体の16人グループなどは、出発の準備をしていたので、小屋食を食べないという人も多いのかもしれない。6:18硫黄岳山荘出発。 シカの食害から高山植物を守るための網の向こうでは、コマクサが可憐な花をつけている。

横岳

 7:00、ついに鎖場が現れた。 ここからが横岳の厳しいルートだ。すれ違いに時間がかかるようになる。 ちょうど赤岳天望荘に宿泊して天狗岳方面に行く人が通過する時間と重なるからなのだろう。  積雪期用の階段を回り込んで細い岩場をあがっていく。登り切って、2829mの横岳山頂に到着。山頂は狭いので、写真を撮影するのに順番待ちとなる。横岳奥ノ院を過ぎると、稜線を歩いて10分で三又峰に到着。7:47ここから杣添尾根伝いに東に下山するルートがある。山頂には大権現と書かれた石が置いてあった。 西側が切り立っているが、たくさんの高山植物が花をつけている。西側のはるか遠くの雲海の上には中央アルプスと思われる山の塊が見えていた。 東の雲の下には野辺山や清里の建物群が見えるようになってきた。 

赤岳天望荘から見る横岳・硫黄岳

ここからも稜線の上は気の抜けない岩場の道である。 日ノ岳の一枚岩を迂回すると赤岳天望荘が見えた。 8:42に地蔵の頭に到着。 ここから見る地蔵尾根はなるほど急傾斜だ。 横岳からの歩いてきた稜線がはっきりと見える。 天望荘の前のベンチに休憩してこれからの赤岳の急な登りに備えるべくビスケットを食べる。 18枚入りと4人で割れる数ではなかったので、じゃんけんして勝者を決める。 自分は早速、一回戦で敗退。天望荘のトイレを借りる。 この小屋には五右衛門風呂もあるようだ。 小屋の裏手では20人ほどの団体がミーティングをしていた。  9:05、赤岳に向けて出発。 県界尾根との分岐を左手に見ながらガレバの傾斜をあがっていく。

赤岳山頂

9:45赤岳頂上山荘到着。 ここはもう山頂の一角である。 日本武尊を祭る石碑が置かれていた。 頂上三角点にタッチしたあと順番を待って山頂写真を撮る。 シャッターを人に押してもらい、あとは適当に。H.H氏とA.D氏はともに百名山を目指しているが今回初めての八ヶ岳だ。これでリーダーとしてのお役目のひとつである2人を無事登頂させる目的をクリアしたことになる。 R.M氏はここから下山するということで、最後に反省会の名目で天の窓と呼ばれる小屋の食堂に入って缶ビールで乾杯(生ビールはまだ時間が早すぎて準備できていなかった。)10:30に出発。 文三郎道は山頂から3分進んで分岐がある。 R.M氏とはここでお別れ。 彼は急な尾根を下らなければならないので大変だ。 残ったわれわれ3人は権現岳方面に向けて出発。 龍頭峰を通過するところで東の雲が晴れて富士山がきれいな円錐形の姿を見せた。

キレットへの急な下り

 10:54にルンゼを通過。 ここには梯子がかかっているが、下を見ると目がくらみそうだ。10:57に真行寺尾根との分岐。小天狗を巻いて 2504のピークを過ぎてからは文字通り絶壁のようなガレバを下る。 落石をせぬように要注意だ。 阿弥陀岳がよく見える。 正面の雲も晴れて権現岳もピークを見せてくれた。 12:10にキレット小屋到着。 ここは鞍部の静かな小屋である。 ベンチに腰をおろしてEPIに火をつけてラーメンを作る。 下のテント場まで降りてトイレを使って12:54に出発。


 27年前にまったく同じコースを歩いているわけであるが、正直あまり覚えていない。 何しろ探してみたのだが、写真が残っていない。 赤岳はまるで初めての山のような思いで頂上を楽しむことができた。 それにしても3連休だということもあり、すごい登山者の数である。 一方、赤岳からキレットへの縦走路はほとんど人に合わない。 ルートも難しいので、あまり山なれない人は入らないほうがいいということなのだろうが、その意味では、現在の山ブームも人気のある一部のコースに登山者が集中しているという事実を知る場となった。 さあ、ここから権現岳を越えて、今日は楽しみにしていた青年小屋泊まりである。
(2013年7 月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています