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美ヶ原
美ヶ原

基本情報
1 山名 美ヶ原(うつくしがはら)
標高 2034m(三等三角点)王ヶ頭
山域 筑摩山地
都道府県 長野
位置 N36.13.33/ E138.06.28 
地図 昭文社 山と高原地図33「八ヶ岳・蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰」
2万5千分の1地図「山辺」
20万分の1地勢図「長野」
7 山岳区分 日本百名山
登山記録
山歩No 1610-19024
登山日 2019年8月11日(日)-
8月12日(月)
歩程  1時間40分
天候 1日目 曇り
2日目 晴れ時々曇り
形態 キャンプ1泊2日
アプローチ 上信越道東部湯の丸ICから国道152号
パーティー 2人

 ここ数年、仕事の都合でお盆の前後というのはまともに休みが取れなかった。 2017年には海外出張が重なった。2018年は国内出張だった。 2013年の8月に後立山連峰を縦走して以来、この時期の日本アルプスというのから遠ざかっている。 とはいうものの、今年の山の日の休日は3連休で休めることになった。 10日土曜は家の用事があったが、11日(日)と12日(月)に1泊で山登りというよりは避暑に出かけることにした。目的地は信州の鉢伏山である。 日本三百名山のこの山は簡単に行けるようで今まで計画してこなかった。 最初、前の週に大腸検査をしてポリープを切除することになったら翌週の山はだめですと医者から言われていたが、幸い、ポリープがなかったので無罪放免。 天気も最初は台風9号・10号の影響が気になったが、幸い本州への影響はないということになったので、8日(木)から計画を立て始めた。

美ヶ原自然保護センター

鉢伏山から近いキャンプ場に電話をしたが予約がいっぱいと断れて、上田のキャンプ場を予約した。 ここからであれば、鉢伏山に行く前日に車で美ヶ原に立ち寄ることもできそうだと考えた。美ヶ原は日本百名山の一つである。 記録を見ると1999年に美ヶ原は来ていることになっている。 前回、駐車場に車を停めて王ヶ頭まで片道20分程度を急ぎ足で登った記憶があるが、残念ながら、1枚も写真が残っていない。 何しろ、もう20年も前のことである。 この時に日本百名山登頂は意識していたように思うが、その12年後にホームページを立ち上げることなど考えてもいなかったので写真がないのは仕方のないことだろう。 そこで、今回の鉢伏山登山にあたって、日本百名山「美ヶ原」の再チャレンジも記録にアップすることにした。 
 

渋滞の関越道

08/11(日)山の日の祭日。 7:30起床。9:00に家を出る。ラジオのニュースでは関越自動車道はUターンの車で混雑しているという。 環八を通って10:20に関越に乗る。 まあ、混雑しているとはいえ、この程度の遅れであればまだ許容範囲である。 とはいうものの練馬ICから高速に上がったとたん、渋滞の最後尾にくっついた感じであった。 三芳PAで早速トイレ休憩をして屋台で団子を買う。えんえんと渋滞の中を走って12;15に上里PAでうどんのコーナーでうどんの昼飯。 練馬ICから70㎞なのですいていたら1時間かからないところをすでに2時間もかけてしまっている。はたして、今日は何時にキャンプ場にたどり着くのだろうか。


上信越道から見る浅間山

道は上信越道に入って次第に渋滞は解消していった。涼を求めて軽井沢あたりに避暑に来る車も多いようである。群馬に入ったあたりで天気は曇り空となり、少し小雨がフロントガラスを濡らすようになってきた。 妙義山の雄姿も見えず。 長い八風山トンネルを過ぎて長野県に入ってからは天気も回復し太陽がさしていた。 先日噴火して警戒レベル3に引き上げられたために実質登山禁止となってしまった浅間山は上部が煙なのか雲なのか見えない状態だった。

 

武石観光センター

  東部湯の丸ICで降りて、すぐのベイシアで夕食と酒の買い物をする。自宅からカレーとアルファ米は持ってきていたのでおかずにからあげと餃子とトマトサラダを買う。ビールを買ったのもいうまでもない。 国道152号線を南に走って、県道62号武石沖から美ヶ原公園沖線に入る。 15:40に、武石観光センターに到着する。釣り堀で時間を使ってもよかったのだが、ここから美ヶ原まで行けるかどうかわからなかったので、とりあえずチェックインだけすませて、受付の人に美ヶ林道が王ヶ頭手前の自然保護センターまで通行止めがないことを聞いて先に車を走らせる。


王ヶ頭までの林道

 時間が16時を過ぎてしまっていたこともあり、自然保護センターの前の大きな駐車場には15台くらいしか駐車車両もなかった。松本方面に行く最終のバスがまさに目の前を出発したところだった。自分が以前来た時もここに停めたのか。 もう20年も前なのであまり記憶がない。 まだ、マイカーできて散策をしているハイカーがいるので道を間違うことはない。王ヶ頭ホテルの宿泊客が車を停めている駐車場(こちらは軽く50台くらいは駐車車両がある)を右手に見て林道を上がっていく。 王ヶ頭までに徒歩25分。 「国定公園美ヶ原高原 天狗の露路」と書いた札の前を林道を進む。 美ヶ原は正確には「八ヶ岳中信高原国定公園」の一部分である。 ただ標高からしても広さからしても、国定公園の中心であることは間違いないだろう。 王ヶ頭ホテルの宿泊客はマイクロバスで送迎してもらうので林道を進んでいくのだが、われわれハイカーは林道から別れて木道を歩いて進む。 

山頂(王ヶ頭)

  やがて山頂のパラボラアンテナがたくさん見えてきた。 SBCというロゴがあるので信州テレビの電波塔がるようだ。 パラボラアンテナの集まったところに「美ヶ原」の大きな看板があるのでそこで写真撮影。 山頂には王ヶ頭ホテルの宿泊客がほろ酔い加減で周りの景色を見るために外に出ていた。 気温は20度くらいだろうか? 都心の最高気温が37度だったので確かに天然のクーラーにあたっている快適さだ。ホテルから北西に100mほど進んだところに山頂がある。 空いている山頂で写真を撮影。南方面には大きく切れ落ちており、その先に県民の森の建物が見えた。 さらに南の高台には美ヶ原ハイランドロッジがある。 ただこの山荘は今は閉鎖しているようである。 西には1kmほど先に王ヶ鼻が見えている。 今いる王ヶ頭より25mほど標高が低いようだ。 せっかくなので王ヶ鼻を目指すことにする。 

王ヶ鼻

 王が鼻までは林道歩きである。 王ヶ頭ホテルの客を運んでくるマイクロバスとすれ違う。 この時期、マルバダケブキの群落が黄色い花をきれいにつけている。霧が出て先の見通しはあまりよくはないが、歩くのには支障はない。 パラボラアンテナを右手に見て登山道を入っていくとすぐに王ヶ鼻は見えた。 もはやこちら側の展望台には誰もいなかった。 雲の中にいるという感じだったので、残念ながら、晴れていれば見えるという日本百名山の約3分の1の数の大展望を楽しむことはできなかった。 記念写真を撮って、王ヶ鼻を後にする。 林道を鼻歌なぞ歌いながら自然保護センターへと向かう。 ゲートはちゃんと鍵がついていて、王ヶ頭ホテルが管理しているようである。

うつくしの湯

 駐車場まで20分、さらに車は少なくなっていた。もはや売店も営業が終了している。 駐車場で靴を履き替えて車で戻る。 思い出の丘に駐車スペースもあるようだが立ち寄るのはパス。 武石峠からもとの観光センター方面へとエンジンブレーキを多用しながら坂を下っていく。 観光センターはもうしまっていたので駐車場に車を停めたまま、割り当てられた4人用のバンガローに入る。 電灯がつくので快適である。 荷物を運びこんだあと、風呂に行く。 9.5㎞先なのでそこそこ遠いが「うつくしの湯」は結構にぎわっていた。 開館20周年になるそうだ。 要するに私が前回美ヶ原にやってきた1999年にこの施設もできたということである。0時に風呂をあがり車でキャンプ場に戻る。 そこそこの施設が整ったキャンプ場であるが、宿泊者はさほど多いようには見えなかった。 バイクのツーリングで来てテントを張っている人もいた。バンガローの土間で湯を沸かし、アルファ米とカレーの夕食。 音楽を聴きながらビールも飲んで22:30就寝。

美ヶ原高原美術館

08/12(月)朝、6:30に目覚ましで起床。 朝食は湯を沸かして昨日の残りのカレーを食べる。 食器を洗い、8:06片付けをおわらせて、バンガローの鍵を受付に返却。 トイレを済ませて出発。 キャンプ場の前の道をそのまま上がっていくと美ヶ原のメインストリートを経由してビーナスラインに入る、本当のドライブコースとなる。美ヶ原公園西内線 9:10に美ヶ原美術館前の駐車場に到着。 この美術館は1981年6月、箱根・彫刻の森美術館の姉妹館として開館したという。 広さ4万坪で、自然の中に200種類以上の高山植物を見ながら、現代彫刻を楽しめるという。 美術館を見たいという気持ちもあったが、それは直ちに鉢伏山に行くことをあきらめるという選択になるのでやめて、とりあえず車を停めて、牛伏山の山頂まで歩いてみる。 徒歩15分ほど遊歩道の上を歩いて到着。 美術館の敷地に隣接している感じで山頂まで続いている。

牛伏山

牛伏山の山頂は、牧場に隣接しており、放牧された牛が20頭以上見えた。あまり際立ったピークではないが、1990mのこの山頂にはケルンが積まれており、西の王ヶ頭、南の茶臼山方面の眺めがよかった。 ここから15分で山本小屋がありされにそこから20分で美しの塔がある。この塔は1954年(昭和29年)に霧鐘塔(霧で視界が悪い時に登山者のために鳴らす鐘の塔)として建てられた。現在の塔は1984年(昭和59年)に再建されたもので、高原のシンボルとなっている。

美しの塔

 塔は美ヶ原産の鉄平石でできた高さ6メートルの塔で中は避難場所となっている。塔には尾崎喜八の詩集『高原詩抄』に掲載された詩「美ヶ原溶岩台地」が刻まれている。毎年4月25日に塔の前で開山祭が行われる。 この区間はマイカーは入れないので、ハイキングコースになっており、山頂からそちらに歩いていくハイカーも多かった。 ハイキングがてら山本小屋まで行こうと思ったがちょっと遠回りに思えたので、一回、駐車場に帰る。


山本小屋

  駐車場は次第に入ってくる車が増えてきていた。道の駅美ヶ原高原美術館というだけあって、駐車場の料金が必要ないので、観光客はちゃんとお金を落としていかないといけないだろう。  お土産は買わずに、ラムネを買って、車で山本小屋へ行く。山本小屋は1930年に開業した歴史ある小屋である。 今ではスターウオッチングや冬のスノーシュー講習をやる宿泊施設になったが大変な人気のようである。ちょっと休憩しようと思ったのだが、残念ながら 駐車場がいっぱいで停めることができないので、ソフトクリームはあきらめる。そのまま、ナビのさす通りに高ボッチ高原を目指す。

 20年ぶりに訪れた美ヶ原であるが、99年に来たときには、黒部立山アルペンルートがメインの行き先でその帰りに立ち寄っただけのように思う。今回はふもとのキャンプ場に宿泊して美ヶ原ロングトレイルというのを楽しむ余裕があったので、美ヶ原と鉢伏山・高ボッチ高原をワンセットで眺めることができてよかったと思う。 今、トレランのシューズを買おうかどうしようか迷っている最中である。自分が本格的なトレランの世界に入っていけると思えないが、もし、山を駆けるチャンスがあればぜひ、美ヶ原には来てみたい。
(2019年8月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています