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鷲羽岳
鷲羽岳

基本情報
1 山名 鷲羽岳(わしばだけ)
標高 2924m (三等三角点) 
山域 飛騨山地
都道府県 富山・長野
位置 N36.24.11/ E137.36.19
地図 昭文社 山と高原地図37「槍ヶ岳・穂高岳」
2万5千分の1地図「三俣蓮華岳」
20万分の1地勢図「富山」
7 山岳区分 日本百名山
登山記録
山歩No 1530-22026
登山日 2022年8月6日(土)
歩程 10時間15分(三俣山荘-槍ヶ岳山荘)
天候
形態 テント泊縦走5泊6日
アプローチ JR富山駅から富山地鉄バスで折立まで
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/9Ol8EFqzmy0

 北アルプス7サミットに登る山旅の3日目がやってきた。 前日は、薬師平のテント場を出発して太郎平経由北ノ股岳・黒部五郎岳に登り、そこからさらに黒部五郎小屋を通りすぎて夕刻に三俣蓮華岳の山頂へと立った。 残念ながらガスがあがってしまっており、三俣蓮華岳の山頂からの槍ヶ岳を見ることはできなかった。 本日2022年8月6日はいよいよ槍ヶ岳に登る日である。 その前に日本百名山である鷲羽岳に登っておきたかったので早起きすることにした。 昔と違って歳をとると睡眠時間が短くても少々のことは平気なので不思議である。

早朝のテントの中の朝食

 8月6日(土)朝3:30起床。 EPIで湯を沸かして即席麺のそばを食べる。 腹ごしらえが終わって、テントはそのままにしてサブザックに水と防寒具と行動食とカメラだけを入れて三俣山荘のテント場を出発する。 4:33、まだ周りは暗いのでヘッドランプをつけての行動である。 

伊藤新道分岐

 三俣山荘を過ぎると鷲羽岳への稜線がずっと眺められる。 ところどころヘッドランプの明かりが見えるので、山頂や山腹からご来光の写真を撮ろうと狙っている方がそこそこいるようである。 いったん少し下って伊藤新道との分岐がある。 登山者の流れを変えたともいわれる新しい道を開拓した故・伊藤さんの情熱と信念、開拓秘話がある。 高瀬渓谷の湯俣と三俣山荘をつなぐこの道は三俣山荘のご主人であった故・伊藤正一さんによって開かれた。 現在は吊り橋が落ちていて通行困難となって秋の水量の少ない時期に上級者だけが入るコースになっているという。


槍ヶ岳モルゲンロート

 伊藤新道との分岐から鷲羽岳への登りが始まる。 地図ではコースタイムは1時間半である。 2536のピークへたどりつく手前で夜が明けて槍ヶ岳がモルゲンロートに輝くようになってきた。思わずGoProを出して撮影を始めた。 ハイマツの中を登っていくが振り返ると三俣山荘もよく見える。 三俣山荘は1992年に烏帽子岳から野口五郎岳・水晶岳を越えてこの鷲羽岳に登りそこを下りたあとに宿泊している。 今回小屋の中に入ったのだがあまり当時のことを覚えていなかった。

三俣蓮華岳を振り返る

 5:01、日が昇ってくると神々しい景色が広がり始めた。 バックの三俣蓮華岳は山頂に雲がかかっていて天空の楽園のような様子に見える。 西には昨日登った黒部五郎岳も見えている。 そこから道が険しくなってきたが、早朝から山頂へ行っていた方が下山してくるのにすれ違う。 彼の歩く足音に驚いたのだろうか? 親子の3羽のライチョウが登山道を横切った。 雲の中に溶け込むように歩いていってしまった。 下山してくる方も驚かせてはいけないと思いつつも、ライチョウを見ることができてラッキーという様子で満足げな顔をしていた。

鷲羽岳山頂

 5:40鷲羽岳の山頂到着。 標高2924m。 あいにくガスがかかっていて水晶岳や黒部五郎岳の展望を見ることができなかった。 山頂は風が強く。かなり寒い。 4名の登山者の方が山頂にいたが、雲が晴れるのを待っている様子である。 自分ももう少し待ちたいという気持ちはあったが、何しろこの日はコースタイム10時間以上の強行行程である。 先を急ぐことにした。 朝早いのであまり大きな声ではなく登頂万歳をひとりでやって、三脚を立てた動画の自撮りをした。

 

鷲羽岳下り

 6:01山頂から少し下ったところで360度の動画を撮影した。常念岳は雲の切れ間からその姿を見ることができた。6:10、少しガスの下に入ったのか、下っていくルートがよく見えるようになった。結構険しい道なので落石しないように注意が必要である。 槍ヶ岳が遠くに見える。 このころから登ってくる登山者も増えてきたようで三俣山荘からぽつりぽつりを間隔をあけて1人または2-3人の登山者が来る。 自分は学生時代にこの登路を10人のパーティ―で登ったがそのような大人数での登山は最近はあまり見かけない。


三俣山荘テント撤収

 6:44三俣山荘到着。 小屋で水を補充してトイレを済ませる。 再びテントサイトへ行って、テントを撤収する。 朝テントを出発するときはまだかなりテントの表面は濡れていたが、朝の日射で少し表面が乾き始めたようである。 何しろ2日前の薬師峠では大雨洪水注意報が出るほどの激しい雨であったのでテントもフライもずいぶんと水を吸ってしまった。 歩いている最中は乾かすわけにはいかないのでどこかで乾燥させないとずっと水分を吸った重いままである。


三俣峠

再び荷物が重くなって急な坂を登っていく。 ゆっくりと歩を進めて8:26三俣峠の到着した。 このころには結構晴れ上がっていて、北には先ほど登った鷲羽岳の全貌を眺めることができた。ゆっくり小屋で食事をして6時を過ぎてから鷲羽岳に登った方は結構きれいな展望を山頂から見ることができたのではないかと思った。 残念だが時間がないので仕方がない。 10分ほど休んで、水平道を双六岳へ向かって進むことにした。 

双六小屋への水平道

 地図の上では水平道を行くと双六小屋まで1時間40分、三俣蓮華岳・双六岳を経由する稜線コースだと2時間20分と、約40分の差がある。 展望のよい稜線コースを行きたいという思いはあったが、槍ヶ岳までの長い行程を考えると難しいと判断した。 稜線コースは今回の山旅の中でもっとも多く登山客とすれ違った場所ではなかったかと思う。 双六岳の東面の融雪がつくったU字谷をみながらゆったりとしたコースを進んでいく。

 

振り返って鷲羽岳

 双六小屋まであと30分くらいというところで少し登り傾斜となる。 ちょっと登りきったところから眺めると鷲羽岳の向こうにワリモ岳と水晶岳が見えた。9:50に双六岳の稜線コースとの分岐に到着した。自分をぬかしていった単独の登山者の方も結構焦っていた顔だったので今日のうちに槍ヶ岳まで行く予定なのかもしれない。 下りでは結構靴の中に小石が入ってしまったので痛くて途中で一度靴を脱いでしまうというタイムロスもあった。

双六小屋

 10:10双六小屋に到着。 小屋の南側のベンチはそこそこに休憩している人もいたが、まだ朝早くて、鏡平から来る人たちも到着していないからか思ったよりも休むスペースにことかかなかった。 昼食の食堂は営業を開始しており、 XX番でお待ちのうどんの方、とか、カレーライスの方とか呼び出しがアナウンスでされていて、自分もお金を出して暖かい食事をとればよかったかなと少し後悔もしつつ、朝三俣山荘のテント場でお湯をいれたアルファ米の山菜おこわをかきこんで昼食を済ませた。


 30年ぶりの鷲羽岳登頂であった。 下山してから思ったが鷲羽池を見ていない。 鷲羽岳は三回登ったが一度も池を見ていない気がする。意外と縁がないのかもしれない。 三俣山荘から鷲羽岳は裏にそびえるように立っておりすぐ登れそうにも見えるのだが、意外と時間もかかるので安易な気持ちでアタックしないほうがよいだろう。双六岳から先がいよいよ槍ヶ岳へ登るメインルートとなる。
 
(2022年9月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています