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基本情報
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山名 |
水晶岳(すいしょうだけ) |
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標高 |
2986m(南峰 北峰は三等三角点) |
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山域 |
飛騨山脈(立山連峰) |
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都道府県 |
富山 |
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位置 |
N36.25.35/ E137.36.10 |
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地図 |
昭文社 山と高原地図37「剣・立山・北アルプス」
2万5千分の1地図「薬師岳」
20万分の1地勢図「高山」 |
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山岳区分 |
日本百名山 |
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登山記録
山歩No |
1520-20022
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登山日 |
2020年8月29日(土 ) |
歩程 |
3時間30分
8月29日全体は11時間10分 |
天候 |
快晴のち曇り |
形態 |
前日発3泊4日 |
アプローチ |
富山地鉄有峰口駅バス折立 |
パーティー |
1人 |
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8月の下旬2日間の休暇をとって土日とくっつけて、2013年の白馬ー鹿島槍縦走依頼の北アルプスにやってきた。 今回の一人夏合宿のターゲットは雲ノ平と赤牛岳である。 10年くらい前からどうしても行きたかった山が赤牛岳である。 その記録は赤牛岳のページに譲るが、今回の山行の最高峰は赤牛岳ではない。 水晶岳である。 そしてここれは自分にとって、筑波山に続いて約6か月ぶりの日本百名山であるとともに、2015年の木曽駒ケ岳以来の2900m峰ということになる。 おそらく今年の最高峰地点がこの2986mの水晶岳ということになるであろう。 前回の水晶岳は天気は悪くなかったが、朝烏帽子岳を出発しての午後の到着だったのでそんなに展望を記憶していない。今回は朝の展望となるのでそれも楽しみである。
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折立バス停から太郎平小屋へ
8月26日の夜新幹線で富山へ移動。 ビジネスホテルに泊まって、翌朝8月27日(木)の6:12の富山地方鉄道立山線に乗車。 この4日間幸い天気は良さそうである。 有峰口で7:06に下車。 そこから折立へ行くバスに乗る。 この日は折立から太郎平までゆっくり歩いた。 太郎平の小屋では薬師峠でテントを張ったときに飲む日本酒を買う。ビールはテント場で売っているというから驚きである。
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薬師峠から薬師沢
8月28日(金)4:15起床。 5:40出発。 太郎平まで木道を歩いて、そこから北ノ股・黒部五郎岳へいく縦走路と別れて薬師沢へと下る。 薬師沢小屋で行動食を食べて中休止。 そこから、薬師沢を渡っていよいよ雲ノ平への登りである。 沢を渡ると高天原との分岐を過ぎ、ここから雲ノ平方面には急登が始まる。コースタイム2時間10分、木道の末端までが正直今回一番きつい登りだった気がする。
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雲ノ平
標高2564mのアラスカ庭園まで来ると展望が開けた。 正面に薬師岳がどんとそびえている。 昼飯のラーメンを作りながら、単独の女性と話をする。 彼女も折立まで同じバスで来てやはり薬師峠に泊まったということでる。 水晶岳・赤牛岳には行かずに三俣蓮華岳から双六経由新穂高温泉に降りるという。水晶岳・赤牛岳に行って読売新道を降りるというと、自分もいつかはそこに行きたいと思っているがまだ自信がないと言っていた。
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雲ノ平山荘から眺める水晶岳
アラスカ庭園から、アルプス庭園を経て、雲ノ平山荘へ。 テント泊の手続きをして、25分さらに東に進んでテント場に到着。 雲ノ平山荘のホームページでは今年はキャンプ場の三密を避けるために海の日の連休やお盆の時期のテント数を先着50張に限定するという。 自分が言った28日金曜日は、ざっと数えると張っているテントの数は35張くらいであった。 4人テントが張れる広いスペースを見つけて自分のアライテントソロを悠々と張った。
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キャンプ場を出発
2020年8月29日(土)今日はいよいよ赤牛岳に登頂する日である。3:10起床。 4:40出発という計画で目覚ましをかけた。 今回、読売新道を下る長いコースを2013年に10人パーティーで進んでいた人達の記録を見た。 その方たちは水晶小屋に宿泊、6:45に水晶小屋を出発して、17時前に奥黒部ヒュッテに下山している。 自分は雲ノ平出発なのでさらにコースタイムで2時間40分余分に歩かなければならない。下山して小屋の夕食に間に合うという締め切り時刻はないものの、 一方でテントも食料も担いでいるのでおのずと時間がかかるはずである。 4:40出発というのは遅いかもしれないなどと思いながら前夜8:00前に寝てしまったが、隣のテントが2:45から起きだして出発の準備をしていたので物音で起きてしまった。 まだ3時になっていない空は満点の星であった。
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スイス庭園との分岐
雲ノ平のテント場は面白いことに水場がテントを張っている場所よりもかなり高いところにある。祖父岳からの雪渓がある場所の伏流水なのだろう。 決して水の勢いが強いわけではないが、暗いうちから水場まであがって水をくむ。 食事はテントの外でガスを焚いて、アルファ米で雑炊のもとと一緒にかきこむ。 ついでに昼食用のアルファ米にも湯を入れて、赤牛岳の山頂あたりで食べるつもりで時間の節約をする。 朝4:00のスタート、もちろんまだ夜中なのでヘッドライトをつけての歩行である。 昨日、スイス庭園まで散策に来ていたのでその分岐を間違えないようにし、今回は三俣蓮華・岩苔乗越の方面へと進む。
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祖父岳分岐
4:56祖父岳分岐へ到着。 このまままっすぐ南に進むと三俣山荘方面である。水晶を目指す自分は祖父岳の山頂を踏んでいくことになるのでさらに直登のコースを進む。 次第に東の空が明るくなっているのがわかるが残念ながらこの稜線からはご来光を見ることはできない。途中で道を譲った二人組は昨日薬師沢から雲ノ平まで登るときに後になったり先になったりしていて、雲ノ平山荘の前で話をした人たちだった。 雲ノ平連泊ということなので、今日は、水晶と高天原周遊だそうである。 5:15だんだんと回りが明るくなってきた。 もうヘッドランプなしでも歩ける明るさである。ちょうど、太郎平から北ノ俣岳に登るところもこんな傾斜のこんな景色の登りだったなと思い出す。 正面にケルンが見える。 祖父岳の山頂も近い。
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祖父岳山頂
祖父岳の登りでライチョウを発見。 うまく望遠を使って写真を撮ることができた。5:29祖父岳山頂到着。標高2825m。 祖父岳は祖父岳火山で、雲ノ平はそこから流れ出た溶岩台地らしい。 山頂からたなびく雲に向かってブロッケンを移すことができた。南の空を見ると三俣蓮華岳から笠ヶ岳までが雲がたなびいていてなかなか幻想的な景色だった。
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三俣蓮華岳・笠ヶ岳が見えた
南東に目を転じると三俣蓮華岳・槍ヶ岳が穂先を空へと突き立てている姿が見えた。 今から38年前に黒部五郎から槍ヶ岳まで縦走したがその稜線が今自分の目の前に当時と変わらない姿で裾野を広げていた。思えば当時は10人くらいのグループでテントを2つもって行った。 山に行くためにはホエーブスと呼ばれる加圧式のコンロと白ガソリンをキスリングと呼ばれる布のリュックに入れてもって上がった。 当時は一人20gから30㎏の荷物を担いでた。 今、自分の担いでいる荷物が水が3L
入っていて22gなのでテントやコンロ、それから食料がどれだけ軽量化されることになったかという時代の変化が明らかである。 槍ヶ岳まで縦走した38年前は、私自身がこの年でテントを担いで北アルプスを縦走している姿など想像さえできなかった。
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岩苔乗越
祖父岳から岩苔乗越へのルートは一か所、ふみあとと思しきところを進んでいったら道がなくなってしまい、後ろからついてきた2人組にまで3分ほどロスタイムを使わせてしまった。岩苔乗越で5分間休憩。 ちょうど日陰になっているので助かる。 10分ほど頑張って登ると岩苔乗越からはワリモ・鷲羽からの主稜線のルートと合流してワリモ乗越まできた。 情けないがまたリュックを下ろして休憩である。 このあとの備えて日焼け止めを顔にも首にも塗る。、いよいよ正面に水晶岳の大きな山塊が現れた。
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稜線の登り
ワリモ乗越から森林限界を超えたがれきの道を登っていく。 振り返ると西には、さっきのごった祖父岳とその向こうに黒部五郎岳が見えた。水晶小屋までのぼり10分の小さな札が見えた。この札には見覚えがある。水晶小屋はワリモ分岐から登っていてもその姿は見えない。 なぜなら赤岳と言われる山の陰にあるからである。 なのでひたすら水晶に向かって歩いているときにはじめて景色として現れるものである。 ちなみに赤岳の山頂には阿弥陀仏と三角点がある。 水晶小屋から見る野口五郎岳の方面はえらく険しい岩稜コースに見えたが、昔ここを通ってきたのである。
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水晶小屋
7:13水晶小屋到着。 水晶小屋は北アルプスで一番小さい小屋だと言われてきた。 定員は80名。 ただ、今年はコロナウイルスの感染拡大に伴いソーシャルディスタンスを確保するために完全予約制にして20人しか宿泊を入れないようである。宿泊も原則素泊まりであるが、アルファ米をベースにした夕食セットの提供はしてくれるようである。 営業期間も9月1日から9月11日までは休止で、 12日から営業再開という予定である。昔1992年の8月に裏銀座縦走をしたときにこの小屋で休憩したと思うが記憶がない。 本当は時間があれば、限定10食のカレーも食べてみたかった。水晶小屋でトイレ休憩。 祖父岳の山頂で一緒になった単独の男性は大きなリュックをここに置いてピストンするようである。 自分は大きなリュックのまま縦走である。
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水晶岳山頂
朝涼しいこともあり、水晶岳までの50分はさほどばてることもなく、ゆっくり進んでいった。ヘリが荷物を下ろしている場所があり、水の入った容器が置いてあった。 山頂直下はやはり岩場の険しいところがあるが注意深くのぼり、8:15、水晶岳の山頂に到着した。 1992年に初登頂した懐かしの山に、2度目の来訪である。山頂は広くない。 ただ、いつもと違って団体で登ってくる人はほとんどおらず、ソロで来ている人が圧倒的である。 山頂にいた男性に頼んでシャッターを押してもらい記念写真を1枚だけとって先を急ぐ。 多くの登山者がここが終着点かもしれないが、私にとって、ここは本日の行程のまだ1/3地点なのだ。
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北峰三角点
水晶山頂から足元に気を付けながら三角点のある北峰に登る。 ここは初めて来る世界である。最高峰が南峰なので皆、ここまで来る人は少ないようである。 北峰を出て道標がいよいよ赤牛岳・読売新道と記した標識になる。 前に進む方向に赤牛岳がよく見える。 9:40温泉沢の頭に到着。 前の日の雲ノ平の登りから一緒だった2人はここから高天原温泉に下るのだという。 自分はここで20分の休憩。 靴下を履き替え、バナナチップスの行動食を食べる。ここから2時間いよいよ赤牛岳までの長い縦走路となる。
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念願の赤牛岳に登る前にたどり着いた今年初めての100名山登山であった。 日本でもっとも遠い200名山と言われる赤牛岳に30年来の夢であった雲ノ平のテント泊と組み合わせて実現することができたのは感無量であった。水晶岳は黒部川の源流である。 そして富山市の最高地点でもある。 このあと、赤牛岳を通り黒部ダムまで下山するのであるが、いつか行きたいと思っている下の廊下の遡行と合わせて黒部川沿いの旅をしたいものである。
(2020年9月 記) |
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