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雲ノ平
雲ノ平

基本情報
1 山名 雲ノ平(くものだいら)
標高 2825m(祖父岳)
山域 飛騨山脈(立山連峰)
都道府県 富山
位置 N36.24.40/ E137.35.28 
地図 昭文社 山と高原地図37「剣・立山・北アルプス」
2万5千分の1地図「薬師岳」
20万分の1地勢図「高山」
7 山岳区分 ハイキング百選
登山記録
山歩No 9120-20021
登山日 2020年8月28日(金 )
歩程 6時間50分
天候 快晴
形態 前日発3泊4日
アプローチ 富山地鉄有峰口駅バス折立
パーティー 1人

赤牛岳に行くことと決意したのは8月9日の山の日の前日に丹沢から帰ってきてからだった。  高瀬ダムから野口五郎経由で登る案も考えた。でも、やはり自分がこだわったのが雲ノ平を経由する今回のコースである。 我が家に1979年の「山と渓谷社 臨時増刊 槍・穂高・雲ノ平」という古い本がある。 この雲ノ平の高原でどうしてもテントを張りたいという気分になり、4日間という登山期間が確保できる時期をずっと狙っていた。雲ノ平は黒部川とその支流である岩苔小谷に挟まれた標高2,500 - 2,700 mの日本で最も高い位置にある溶岩台地で、祖父岳火山 2,825 m) により形成された。面積は25万平方メートル。池塘と岩が点在する高山植物の宝庫であり、それぞれ○○庭園と名付けられた区域がある。北アルプスの最深部に位置するため、どの登山口からでも当日中にたどり着くことが困難であり、「日本最後の秘境」と呼ばれる。


折立から太郎平小屋を目指して登る

8月26日の夜新幹線で富山へ移動。 ビジネスホテルに泊まって、翌朝8月27日(木)の6:12の富山地方鉄道立山線に乗車。 この4日間幸い天気は良さそうである。 有峰口で7:06に下車。 そこから折立へ行くバスに乗る。 この日は折立から太郎平までゆっくり歩いた。 太郎平の小屋では薬師峠でテントを張ったときに飲む日本酒を買う。ビールはテント場で売っているというから驚きである。
 

薬師峠キャンプ場出発

8月28日(金)4:15起床。 テント場は一番東のささやぶに近いところに張っていたので、早朝から行動している人の音で目が覚めるということもなく、目覚ましの音で目が覚めた。 薬師峠のテント場は水は豊富である。 本日の行程はコースタイム6時間半ほどでさほどきつくはないが、 途中で水が汲めないかもしれないので、ハイドレーションに2.5L とそれ以外に500mlのペットボトル2本に水を入れる。 5:45出発。 そろそろ山が明るくなってくる。 


池塘の向こうに鍬崎山

 太郎平まで木道を歩く。 途中、看板があり、雲の平のキャンプ場・三俣キャンプ場は完全予約制です。 と書いて携帯番号が記載されている。 確か7月には連休中やお盆の期間はキャンプ場の予約分が完売となっていたが、7月終わりのホームページの記録では、完全予約制は緩和されたはずである。6:04池塘の向こうに頭に雲をかぶった山が現れた。 鍬崎山だろうか?
 

朝の太郎平小屋

 さらに木道を進んで6:10太郎平小屋に到着。 いよいよここから北アルプスの深部へと入っていく。 太郎平を起点として、1982年に北ノ俣・黒部五郎を目指した。 その7年度の1989年は立山から薬師を縦走してこの太郎平から折立へと下山した。 今回は、初めて、薬師沢へと入っていく。 太郎平は3回目であるが、21世紀になって初めてのコースをたどることに少しばかりの不安を思いながら興奮する。 


薬師沢分岐

太郎平を出て約1分、分岐が現れた。そこから北ノ股・黒部五郎岳へいく縦走路と別れて薬師沢へと下る。薬師沢へ向かうルートは木道が整備されており歩きやすい。 途中、チングルマの群落がある。 7月に来れば様々な高山植物があったのだろうが、少し時期が遅いので、チングルマとトウヤクリンドウが目に付くぐらいか。振り返ると薬師岳の姿がきれいに見える。
 

中俣の沢出合い

7:00中俣の沢の出合い。 1時間近く歩いたので休憩する。 単独の女性が追い越していった。 橋を渡っていよいよ中俣沿いのコース歩きである。 太郎平の小屋で水をくんでいた20代の3人組(男性2人、女性1人)のグループが登りの斜面で追い越していく。 学生さんたちだろうか? 本日はあまりグループで歩いている人がいないので(やはりコロナウイルスの不安があり皆山が好き人も単独行動が多い。)


薬師沢小屋

8:30薬師沢小屋到着。 ここで水を補給し、トイレを使う。 バナナチップスの行動食を食べてジェルを飲み中休止。トイレも借りる。自分が付いたときは3人くらいだったがトイレから出てくると小屋の前の休憩場所は10人くらいいて結構にぎわっていた。 先ほどの学生さん3人が吊り橋を渡っていく。 吊り橋もそうであるがそれを渡ったあと河原に降りる梯子段がかなりスリルがありそうである。 休憩終了8:40出発。 おそるおそる橋を渡る。増水時にはもっとスリルのあるう回路を通ることになるようである。沢を渡ると高天原との分岐を過ぎ、ここから雲ノ平方面には急登が始まる。コースタイム2時間10分、木道の末端までが正直今回一番きつい登りだった気がする。 

 

岩の転がる厳しい登り

40分登るが全く平坦にならないのでリュックを置いて休憩。 YAMAPのコースガイドでは1時間30分で少し平たくなるように記載があるのだが、実際はそうでもなかった。 途中木道が現れてからは樹林の中を進むのだが、木道の上に比較的新しいクマの糞があったり、木の洞の前にどんぐりが固めてあったりで、これって結構ルートの近くがツキノワグマの生息地じゃないの、という気もして、鈴を意図的にならしながら進んだ。 11:00前に驚くべきことに2名のトレランの恰好をした人が自分の背後から抜かしていった。 いったいどこから来たのであろうか?


アラスカ庭園

標高2564mのアラスカ庭園まで来ると展望が開けた。 正面に薬師岳がどんとそびえている。 昼飯のラーメンを作りながら、単独の女性と話をする。 彼女も折立まで同じバスで来てやはり薬師峠に泊まったということでる。 水晶岳・赤牛岳には行かずに三俣蓮華岳から双六経由新穂高温泉に降りるという。水晶岳・赤牛岳に行って読売新道を降りるというと、自分もいつかはそこに行きたいと思っているがまだ自信がないと言っていた。

雲ノ平山荘

アラスカ庭園から、アルプス庭園を経て、雲ノ平山荘へ。 テント泊の手続きをして、25分さらに東に進んでテント場に到着。 雲ノ平山荘のホームページでは今年はキャンプ場の三密を避けるために海の日の連休やお盆の時期のテント数を先着50張に限定するという。 自分が言った28日金曜日は、ざっと数えると張っているテントの数は35張くらいであった。 4人テントが張れる広いスペースを見つけて自分のアライテントソロを悠々と張った。

雲の平キャンプ場

雲ノ平のテント場は面白いことに水場がテントを張っている場所よりもかなり高いところにある。祖父岳からの雪渓がある場所の伏流水なのだろう。 決して水の勢いが強いわけではないが、水場まであがって水をくむ。散歩のためスイス庭園まで行ってみる。 食事はテントの外でガスを焚いて、アルファ米とさんまの缶詰を開けて食べた。水場で冷やしたビールを飲んだのは言うまでもない。 



雲ノ平は最後の念願の赤牛岳に登る前にたどり着いた今年初めての100名山登山であった。 日本でもっとも遠い200名山と言われる赤牛岳に30年来の夢であった雲ノ平のテント泊と組み合わせて実現することができたのは感無量であった。水晶岳は黒部川の源流である。 そして富山市の最高地点でもある。 このあと、赤牛岳を通り黒部ダムまで下山するのであるが、いつか行きたいと思っている下の廊下の遡行と合わせて黒部川沿いの旅をしたいものである。 

(2020年9月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています