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黒部五郎岳
黒部五郎岳

基本情報
1 山名 黒部五郎岳(くろべごろうだけ)
標高 2840m (三等三角点) 
山域 飛騨山脈
都道府県 富山・岐阜
位置 N36.23.33/ E137.32.24 
地図 昭文社 山と高原地図37「劔・立山」
2万5千分の1地図「三俣蓮華岳」
20万分の1地勢図「高山」
7 山岳区分 日本百名山・花の百名山
登山記録
山歩No 1510-22024
登山日 2022年8月4日(木)
歩程 第一日目 5時間20分(折立ー薬師峠)
第二日目 9時間30分(薬師峠ー三俣山荘
天候
形態 テント泊縦走
アプローチ JR富山駅から富山地鉄バスで折立大倉まで
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/I7pQOs5GfTQ

北アルプスセブンサミットの縦走は自分の登山生活の中でも集大成のように考えていた計画であった。 2020年に雲ノ平へ行ったときに、必ず黒部五郎岳に登ってやろうという決意をした。 北アルプスセブンサミットなどというカテゴリーの山はない。 自分にとって大切な学生時代の北アルプスの夏山合宿のコースをなぞる縦走ルートを考えたときに、日本百名山・日本二百名山・日本三百名山をつないでこの7つのコースが思い浮かんだ。 最後に登る餓鬼岳だけは未踏の山である。

北陸新幹線で富山前泊

18時に家を出て上野まで行く。 19:00到着。19:30上野発のかがやき17号 7号車6番E席、駅の売店で買ったチューハイをのんで富山へ向かう。 上野の次が大宮ー長野で21:38に富山に到着した。 ホテルは最初は藤江旅館を予約していたが、雨で中止にするかもしれないと思いキャンセル料金がかかる前の8月1日に一回キャンセル。 雨の状況を見て出発を決意した8月3日当日にビジネスホテル桜橋を再予約した。駅からホテルに歩く途中のローソン富山桜橋通り店で翌日の折立までのバスのチケットを買う。 4,300円。 寝酒も買って、桜橋ホテルでチェックイン。 翌朝は6:00前に出ていくといったら鍵の返却ボックスの場所を教えてくれた。 部屋でシャワーを浴びて寝酒を飲んで23:20就寝。

折立・薬師岳登山口

8/04(木)5:10起床。 天気予報では昨夜から大雨になるはずだったのにまだ降っていない。 徒歩7分ほど歩いて富山駅に行くと2番線に山の恰好をした人が数人並んでいた。 6:10の折立行きバスに乗車。 有峰林道は雨量が一定以上になると通行が規制されると聞いていたので心配していたが、大丈夫だった。 バスの中では爆睡して8:40に折立到着。 バスを降りると小ぶりの雨になっていたので、折立キャンプ場の炊事場の下でコンビニで買ったおにぎりと豆乳を朝食に補給する。クマが出没するためにまだ折立キャンプ場は宿泊不可である。 9:00歩きだし。 2年前に登ったと同じルートで薬師岳登山口から出発。 荷物は2年間より軽い気はするがそれでも天気が良くないので決して足取りは軽くない。

三角点ベンチ

 1時間くらい歩いたところで太郎を愛する会のあられちゃんのILove薬師岳という看板があるはずだったが、気が付かなかった。 今回10:13に休憩したところに太郎を愛する会の標識はあったので看板だけ取り外されてしまったということだろうか? さらに1時間進んで1870mの三角点ベンチに到着した。 12:45五光岩の手前の少し手前で休憩。 薬師岳がしっかりと見えている。 雨は降っているのだが雨雲で真っ白になってしまうという天気ではないようである。ただ気になるのは遠くから雷鳴が聞こえるようになってきたことだ。

太郎平小屋のラーメン

 13:30正面に太郎平小屋が見えてきた。 このあたりで雨の強さが増す。登りだしからレインスーツは着ているが 帽子と雨具の隙間から水が入り込むようになって気持ちが悪い。 13:45太郎平小屋に到着。 食堂は14時までの営業だったのでぎりぎり間に合った。 行者ニンニクをたっぷり入れているという名物の太郎ラーメンをオーダーする。 温かいラーメンをすすりながら薬師岳方面を見ていると鋭い閃光がありそのあとに太鼓のような雷の音が聞こえた。 あとここから薬師峠のテント場までは20分ほどなのであるが、外を歩くことの危険を感じるような荒天だった。 仕方なくラーメンを食べ終わってからも40分くらい太郎平小屋の食堂で雨宿り。 この時点で薬師岳ピストンはおろか薬師平ケルンへの往復もなくなった。 今日はなんとか無事にテント場で過ごすことである。  


薬師峠キャンプ場

15時覚悟を決めて雨の中を出ていく。 15:30に薬師峠キャンプ場に到着。 受付を済ませてテントを張る。 前回雲の平へ行ったときに張ったのと同じ場所に張ることができた。100張のテント場であるが実際この日は30張ほどしかなかったのではないかと思う。 テントに入って早速濡れた衣類を着替える。 初日から替え下着を使うことになると思わなかった。ビールを2本買って、16:00夕食の準備を始める。今夜はカレーメシとカニ雑炊である。食後はラジオをつけたが、福井県では線状降水帯が確認されるほど湿った空気の影響で相当の雨量となっている様子。富山ではまだ状況はさほどひどくないのかもしれないが、それでも横殴りの雨にあまり落ち着かず、食後は柿の種をつまみにちびちびとウイスキーを飲んで19時半に就寝した。 22時半ごろ目が覚めたとき雨音が少し小さくなっていることを感じた。 

 

稜線から槍ヶ岳と対面

08/05(金)4:20起床。 当初の計画より30分寝坊してしまった。 テントの外に出てみると雨はあがってガスが出ていて水晶岳方面は見えにくいものの高いところに星が見えている。 よし晴れる兆候だと考え、早速湯を沸かして朝食にうどんを食べて昼食用のアルファ米エビピラフもつくっておく。 5:45出発。 薬師峠から太郎兵衛平へ向けて歩いていると、雲の切れ間から槍ヶ岳の穂先が見えた。 今回の縦走で初めての槍ヶ岳とのご対面である。次第に雲が晴れていく中を木道を歩いているとライチョウが姿を現した。 よく見るとひなもいる。幸先の良い縦走のスタートです。 北西の空はもう晴れ初めていて今回も鍬崎山がきれいな姿を見せていた。

太郎山山頂

 6:23太郎兵衛平到着。前回は分岐を薬師沢・雲ノ平方面に向けて降りて行ったが、今回は右手に進路をとり太郎山へ向かって登っていく。 緩い傾斜を一登りしてルートからすこし西へ踏みあとをたどると太郎山の山頂に到着した。 標高2,373mのピークには三等三角点がある。 北西の方角には富山湾が見えた。この時間にはもう雲は切れて快晴の青空となっていた。 6:42太郎山を出発。北ノ俣岳までの縦走路は気持ちのよい道である。 ところどころ木道があり、ハクサンイチゲの群落があったりする。北ノ俣岳のピークに見えたところは実はピークではなく台地になっていてその先に山頂が広がっていた。   

北ノ俣岳

8:15北ノ俣岳に到着。 9:12赤城山到着 1000中俣乗越についた。 広くなった鞍部で女性2人が休憩していた。食事をとっていたという。 確かに中俣乗越の標高は2457mなので黒部五郎岳までの登りは標高差400m近くあることになる。自分も座ってカロリーメイトをほおばった。  12:XX 黒部五郎岳の肩に到着。 荷物をおいてピストンする人が多いようだが自分はそのまま進む。 

黒部五郎岳山頂

12:19黒部五郎岳山頂到着。標高2840m。山頂標識は柱があるわけではなく木のプレートが置いてあるという形だった。  さきほど中俣乗越にいた女性二人がいたのでシャッターを押してもらう。 前回登頂が1982年の8月5日なので、ちょうど40年ぶりである。前回ここへ一緒に来た先輩のH.Mさんをしのび山頂の三角点に持ってきたウイスキーをかけてあげた。 昼食にアルファ米を食べる。そうこうしているいちに山頂で一人になってしまった。 やはりアプローチの長い山なので登山者も多く入ってくる山でないから静かな山旅となるのかもしれない。 この山頂には黒部五郎岳以外に、中ノ俣岳という呼び名もあって、黒部五郎岳は富山県側、中ノ俣岳は岐阜県側の古来の名称である。日本百名山になっている理由には東側の大きなカールの特徴があるだろう。 12:57黒部五郎岳山頂出発。
 

2020年に眺めた黒部五郎岳の山頂に立つという目標をかなえることができた。 天国の先輩もきっと喜んでくれているのではないだろうか。 今回の黒部五郎岳の登頂は2回目、2022年8月5日であったが、前回先輩も含めた9人のパーティで登ったのは1982年8月5日だった。 ちょうど40年の今日この日であるというのも感慨深いものがあった。

(2022年9月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています