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剱岳
剱岳

基本情報
1 山名 剱岳(つるぎだけ)
標高 2,999m (一等三角点本点)
山域 飛騨山脈立山連峰
都道府県 富山
位置 N36.37.24/ E137.37.01 
地図 昭文社 山と高原地図36「剣・立山」
2万5千分の1地図「剱岳」
20万分の1地勢図「高山」
7 山岳区分 日本百名山
登山記録
山歩No 1480-08029
登山日 2013年9月14 日(日)
歩程 7時間35分
天候 快晴
形態 前夜小屋3泊縦走(立山・奥大日岳含む)
アプローチ 富山地方鉄道立山駅ー立山ケーブル美女平ー室堂ターミナル
パーティー 1人

9月の連休を利用して、念願の剣岳アタックを試みる。 今回のコースは一の越から立山を超えて剣沢にテント泊。 そこから剣山荘を通過して剣岳をピストンし雷鳥沢を下るルートである。 前日は大変混雑した室堂ターミナルから悪天の中をついて立山登頂。 剣沢へと下りてきた。シーズンということもあり、結構テント場は混雑している。

早朝の剣沢小屋

09/14(日)朝3:30起床。 まだ暗いがおきているテントはかなりある。 天気は雲がかかっていて星は見えない。 夜中に雨という予報は外れてくれたので幸い。 鮭雑炊の朝食を食べた後、テントを撤収して、4:30にヘッドランプをつけてトイレに行く。 まだ時間が早いせいだろうか。幸いすいていた。 重い荷物を担いで5:15明るくなり始めたところで出発。 最初は下りである。 剣沢をわたりきると平坦になりハイマツの中を抜けていく。 振り返ると剱沢小屋が見える。 昨日はさんざんな天気の中を歩いてきたのだ。 

剣山荘

 5:52剣山荘到着。 このころにはもう明るく晴れてきている。 山荘のアナウンスで、今日は一日お天気マークの予報ですというのを聞いてうれしくなる。剣山荘は2007年にリニューアルしたきれいな小屋である。シャワー室もあるという。6月上旬から10月まで営業している。今回は連休だということもあり、比較的荷物の小さいたくさんの団体客が朝食を済ませて出発の準備をしていた。 6:05出発。日が昇ってきたので稜線に朝日があたりきれいである。ハイマツの中の登山道をゆっくりと登っていく。

一服剣

 次第に高度を上げて 6:29一服剣到着。標高2618m。ここから先のルートが見渡すことができる。 6:32出発。正面に前剣が立ちはだかる。 結構岩場が多そうで緊張する。 ルートも難路だが、何といっても登山者も多い。浮石だらけの急登なので、注意して進まないといけない。 尾根を右にまいたところで一枚岩が見えた。ルートは、トラバースする形で続いている。岩の面には足場になりそうなスタンスが、水平方向につくられて いる。手は、足場と並行に、水平に張られた鎖につかまる形だ。 さすがに登山者は列をなして慎重に進んでいるので、おのずと渋滞が発生している。

前剣

 7:15前剣。標高は2813mである。 少し休んであめを食べる。ここまで一服剣を出発してから一時間かかった。ここまで来ると、剱岳の山頂がドーンという迫力で見えてくる。 7:26出発。前剣からの下りはガレ場の下り。慎重に下りる。下り切った場所では両側が切り立っていてはるか下に雪渓が見えた。リッジ部分に鉄製の簡易梯子が渡されているが、風が強いと恐怖の場所である。鉄製の梯子を越えるとスラブのへつり。 

カニの縦バイ

 足場を慎重に見極めながら鎖につかまって通過する。山頂へ至る最大の難所、 カニの縦バイの前ではさすがに渋滞ができていたので、もってきたカロリーメイトを食べて待つ。 足場がしっかりしているので、遠目から見るほど怖くはなかった。見れば剣沢の大雪渓が眼下に見える。 最近、この剣沢に流れ込んでいる三の窓雪渓が日本で唯一の氷河であることが確認された。 

剣岳山頂

岩場をいくつか越えて8:36山頂到着。 別山のほうの雲も切れ始めてはいる。天気がようなってきたので機嫌よく山の写真を撮影する。山頂で軽食を摂っていると、反対側の斜面をヘルメットを被ってザイルを担いだ二人組の男性が上がってきた。  源次郎尾根から上がってきた登山者だ。彼らを迎えてルートファインディングの苦労話などを聞きながら、ゆっくり休憩を取って景色を楽しむ。  

カニの横バイ

9:30山頂出発。うまくできているもので登山者と下山者の歩くコースは別となっている。 登山者はカニの縦バイを一気に直登りするが、下山者は稜線沿いに進んでカニの横バイを通っていく。  カニの横バイの前では完全に渋滞してまったく進まない状態になっていた。 通過するのに20分以上かかる。 確かにこちらのほうが縦バイと比べて恐怖感があった。 結構な高度のところを横に進む。 鎖を持ちてにできるのだが、足場が見えない。

別山乗越からの剣岳

 そろそろと進んで、下山ルートに入ったときにはさすがにほっとした。 剣山荘まで途中一度前剣で休んだだけで一気に降りる。 10:56前剣で写真を撮り、11:06出発。 12:05に剣山荘に到着。 デポしてあった荷物を拾い上げて、EPIで湯を沸かし、とんこつラーメンを食べる。 食後にコーヒーを入れて、トイレをすませたあと、13:05に別山乗越を目指して出発。

雷鳥坂から見る立山

 別山乗越までは右手に劔御前を見ながらゆるやかな登り。 途中、平坦なところで剣の写真を撮る。 気温があがって暑い。 14:30剣御前小屋到着。 剣御前小屋は別山乗越にある。 立山から上がってくれば、ちょうどここにたどり着いたときに劔岳の姿が見えるということになるのだ。 どこから来たのかと話かけてくる人がいた。 14:41小屋出発。 そこからひたすら雷鳥坂を下りる。雷鳥坂は結構急な坂に感じられた。 ハイマツが多い茂っている中にところどころお花畑があり目を和ませてくれる。 15:26に途中の日陰で立ち休憩して、15:56に雷鳥沢のキャンプ場へ到着。 

雷鳥沢キャンプ場

 事務室に行って500円のテンバ料金を払った後、ヒュッテに行ってビール2本と明日の行動用にポカリを1本買う。 テントを張った後、半ズボンに着替えて、しばし、ビールを飲みながら暮れ行く立山を見渡し感慨にふける。 日没後、湯を沸かし、賞味期限の切れた五目めしのアルファ米をたいて、トン汁と一緒に食べる。 中華丼の具もスープがわりに食べた。 梅酒を飲んで20時就寝。



 日本百名山全山登頂を目指し始めた時から、自分に登れるだろうかと不安だった山がいくつかあった。 剱岳はその一つだった。明治の測量調査まで未踏だといわれていた歴史。 必ず山中1泊しなければならないコース。 しかも、岩登りの基礎技術がないとカニの縦バイなどの難コースは通過できない。 単独で行くことに最後までためらいがあった。 しかし、この山はその荘厳な姿とは裏腹にとても優しく登山者を迎えてくれる山であると感じた。 天気が回復して素晴らしい景色を見ることもできて、忘れられない登山になった。 
(2014年4月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています