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白馬岳
白馬岳

基本情報
1 山名 白馬岳(しろうまだけ)
標高 2,932m (一等三角点本点)
山域 飛騨山脈後立山連峰
都道府県 富山・長野
位置 N36.45.30/ E137.45.31 
地図 昭文社 山と高原地図34「白馬岳」
2万5千分の1地図「白馬岳」
20万分の1地勢図「富山」
7 山岳区分 日本百名山・花の百名山・甲信越百名山・信州百名山・一等三角点百名山
登山記録
山歩No 1450-13036
登山日 2013年8月14 日(水)
歩程 6時間30分
天候 快晴
形態 前夜発小屋3泊縦走
アプローチ JR大糸線白馬駅ー川中島バス猿倉
パーティー 2人

 白馬岳は、日本で槍ヶ岳・穂高岳の次に有名な北アルプスの山ではないだろうか? この高原のお花畑と独特の頂は多くの登山ファンだけでなく、一般の人も魅了してやまないようだ。 かく言う自分もこの山は3度目の登山なので、槍ヶ岳・穂高岳と並んで登頂回数の多い百名山ということになる。 今回、初めて日本最大の山小屋である白馬山荘に泊まるのも楽しみである。 さて、2年越しの計画であった3泊4日の後立山連峰の縦走の日がやってきた。  

夜行バス「さわやか信州号白馬線」白馬到着

 8月13日の新宿発、夜行バス「さわやか信州号白馬線」で白馬町へと向かうことにする。 予約はなんと1ケ月前に、八ヶ岳の硫黄岳山荘に宿泊した時に、携帯電話で予約センターに電話してとった指定席だ。 当日まで切符を買う必要がなくキャンセルしてもキャンセル料がとられないなんてなんていいシステムだろう。ヨドバシカメラの近くの立ち飲みで日本酒の八海山を寝酒にいただいて、それから乗車。高速バスは禁酒だと思っていたが、前の席のご夫婦連れは堂々と缶チューハイで乾杯していた。 途中、双葉SAにトイレ休憩で立ち寄った。8月14日(土)の朝、隣の席の男性は穂高で下車していった。それから1時間ほど後の4時すぎに扇沢を経由して、 白馬町には5:10に到着した。 予定より50分以上早い時刻だった。200mほど歩いて白馬の駅まで移動する。 

猿倉

  白馬駅では、荷物を置いてトイレを使う。 朝食に買ってきたシリアルを食べる。 駅の待合室には水道もあって水を補給することができた。 H.H氏から電話があり大阪からのバスも無事に着いたが、八方まで乗ってしまい、そこから川中島バスでもう猿倉に向かったとのことだったので7:05に白馬駅前を出るバスで追いかけることにした。  バスは、八方スキー場前に停車。 駐車場にマイカーを停めた白馬岳ピストンの人がたくさん乗り込んできた。 車内で大雪渓を登るときの注意点や、ごみ持ち帰りのマナーなどを放送してくれた。 バスは30分ほどで猿倉に到着。トイレから出てきたらH.H氏がいた。 入山届を提出して遭対協の方から注意を聞く。 大雪渓での熱中症とキレットの通過に気を付けてくださいという注意喚起。 なにしろこちとら中高年登山者である。 

白馬尻

 7:44に猿倉出発。小屋の横から林道を登り始める。 途中で開けて両側に尾根が見えるところに来る。 いやでもテンションが上がる。 8:50 白馬尻に到着して休憩する。 「おつかれさん。ようこそ大雪渓へ」と書かれた大きな石があったのでその前で写真を撮る。白馬尻の小屋の前ではたくさんの人が休憩していた。 ここから大雪渓の眺めが見事だ。 貸出用のアイゼンも小屋の前に並べられている。 9:00出発。 しばらくは石を踏み分けて進むが15分で雪渓の入り口に到着した。 まだ、傾斜が緩やかなのでアイゼンは履かずに踏みあとの上を進む。  

大雪渓

 10:12に1880mの地点で休憩をする。雪渓から少し左手に外れたモレーンの上に乗り、足にアイゼンを装着する。雪渓には時期が遅いせいか、いたるところにクレバスのような陥没地がある。 遭対協が、雪渓の上の石はすべて両側の尾根からの落石です。 注意してください。 という札をつけている。 10:22出発。 大雪渓の上のルートはさすがに雪の上を歩いているだけあって涼しいが、天気は快晴で雲一つないために、日差しが強く、特に頭の後ろをガンガン照らされるのには参った。過去2回、大雪渓を歩いたことがあるが、二度とも霧が出て視界が悪かったが、言い換えればそんなに日差しに照らされることなく歩けたということだ。  バンダナを帽子の下にとりつけて進む。 

葱平から頸城山地を眺める

 11:16に葱平に到着した。雪渓を歩ききって小さな沢のようになった岩の上でたくさんの人が休んでいる。 アイゼンを外す人と休憩する人が交錯しているので、きわめてルートの上が渋滞した状況である。われわれも広いところを探したかったが、ちょうどいいところがなかったので、少し傾斜のあるところで立ち休憩のような形を取らざるを得なかった。 そこで昼食。 持ってきたシリアルと、おにぎりを一つH.H氏に支給してもらって食べる。 そうしている間も登山客がひっきりなしに上がってくる。振り返ってみると、妙高・火打など頸城の山が遠くに見えた。 11:33に出発。 問題はここからだ。 実は白馬大雪渓のコースは大雪渓が終わってから、つまり葱平からが傾斜が急になってくるのである。 なおかつ、雪の上ではないので歩くにも暑い。 ここからが正念場だ。

避難小屋

 岩屋のあとを越えて上に見える稜線がはるかにまだまだ遠いことを確認しながら登ると、やがて上に人工構造物が見えてきた。 12:29に避難小屋に到着。 前回、1985年に登った時にはここに避難小屋があった記憶はないので結構新しいものなのだろうか。というか、前回の1986年というのが大昔過ぎるのであるが。 避難小屋の中はさほど大きくもないようであったが、小屋の裏手が日陰になっているのが助かった。 ちょうど夜行バスの疲れがでるころだからか、昼寝をしている登山客も多かった。 自分たちも睡魔に勝てず、10分ほど足を抱え込んでうつらうつらとする。 

村営頂上山荘

 12:39に避難小屋を出発。 ここからはお花畑の景色のいいいところである。 ハクサンフウロやクルマユリが可憐な花をつけている。 急だった傾斜も少しゆるやかになり、正面に目指す白馬岳を見るとテンションが上がってくる。遭対協のパトロールの方が座って、高山植物の写真を掲載したパネルを置いていてくれた。30分ほど進むと、行く手に、村営頂上小屋が見えてきた。 ここが一番苦しいところだ。 目の前に見えているのだがなかなか届かない。 単独行の方と後になり先になりしながらそれでも13:50、なんとか倒れこむように村営頂上山荘に到着した。調べてみると前回よりもほぼ1時間ほど早いコースタイムで到着である。 テントを担いでいないので当然といえばそうか。 小屋の前の休憩ベンチに荷物を置いて、H.H氏と自販機で買ったスーパードライのロング缶で乾杯である。 つまみに芽昆布を開ける。 至極の時間である。 本日の宿泊地である「白馬山荘」まではまだ20分ほどの登りが残っているのであるが。 

白馬岳山頂

 気分もすっきりしたろころで、14:11に、ロング缶のごみを捨てて、白馬山荘に向けて歩き出す。 稜線を通らずにガレ場の最短コースを経由して14:29の白馬山荘に到着する。 受付を済ませて、料金を支払い、指示された16号室へ行く。 すでに2名の男性の方が到着してゆっくりされていた。荷物を置いて空身になって、白馬岳の山頂を目指す。 小屋の裏手から上がっていくがそろそろ雲が出始めて、360度の展望というわけにはいかないようである。新田次郎の小説「強力伝」で登場した白馬岳の山名盤がある山頂までは20分強で到着する。 白馬岳の山頂からは北方向には思ったよりも展望が開けており、小蓮華山へと続く稜線がきれいに見えていた。眼下には栂池スキー場と思しきリフトの姿もあった。 白馬岳の山頂は東側が切り立っており、あまり近づくと転落の危険があるようでロープが張ってあった。 15:35に山頂を出て、帰りは白馬岳開山の祖、 松沢貞逸 翁の碑の前を通って下りた。 今でも5月下旬には小屋で貞逸祭が行われている。

白馬山荘

 白馬山荘に下りてきて、夕食の17時半まではまだ時間があるので、さっそくお楽しみの時間である。 レストラン・スカイプラザ白馬に入って生ビールを注文する。 H.H.氏が持参してくれたみりん干しが標高2800mの高地で食べるとビールにあうとてもいいつまみである。 まわりを見渡すと、コーヒーとケーキというような、まるで原宿あたりのカフェにでもいそうに午後のひとときを楽しんでいるグループもあった。夕食はデミグラスソースのかかったハンバーグ。 たっぷりとキャベツもあってありがたい限りである。それでも一度に300人くらい入れる食堂はいっぱいになり入場制限されていた。 日本で一番大きな山小屋のすごさである。 夕食が終わると外に出て景色を楽しんだ。 ガスは晴れていて、夕日の中に白馬三山の姿がきれいに見えていた。20時就寝。 

白馬山荘出発

 翌8月15日(金)の朝、4:10に起床。 朝食は5時からなのでその前にご来光を見に行こうと、H.H氏は外に出ていった。 自分も小屋の外に出てみるが、一面雲が垂れ込めた天気なのでご来光を楽しむことはできない。 5:20になったので朝食に行く。 大きな白馬山荘であるが食堂の収容力もたいそうなものであるので並ばずにすぐに座ることができた。 朝食に鰆の切り身があるのは嬉しい。 ヘリによる大量輸送のなせる業であろう。 日本百名山・白馬岳という小屋の前にある標識の前で写真を撮っていざ出発しようとしたら帽子がないことに気が付いた。 小屋から持ってくるのを忘れたわけではないので前回、どこで帽子を脱いだか思い出してみると昨日、スカイプラザで生ビールを飲むときに椅子の上に置いたのを思い出した。 探しに行ってみると、小屋の受付に忘れ物として届いているということ。 よかった。 これがないと炎天下ではつらいだろう。 そんなこんなをしているうちに6:26になってしまった。 出発時間は30分ほど計画より遅れている。 何しろ、今日は8時間を超えるコースタイムである。 先を急がないといけない。

杓子岳

 小屋を出て稜線伝いの登山道を下っていく。 目指す杓子岳は半分ガスの中に隠れているが、次第に晴れてきているようで、先ほどより姿がくっきりと現れている。 正面に村営頂上小屋のキャンプ場が見える。テント泊の人たちもあわただしく出発の準備をしている。 前回来たときはここに宿泊したのを思い出した。 杓子岳への登りは、まき道から離れて軽いジグザグを切りながらガレ場を登っていく。 白馬岳から来る人の7割くらいは杓子岳に登っているだろうか。 7:54に杓子岳の山頂に到着。 白馬岳の山頂に垂れ込めていた雲はすっかりあがって快晴の空が広がっている。 決して広い山頂ではなく、白馬岳と同じように東側が切り立っているがとてもいい眺めの山頂である。


白馬鑓ヶ岳

 8:12杓子岳の山頂を出発。 ここから少しなだらかになった山頂部を進んで50mほどでまき道と合流して下っていく。 鞍部から眺める白馬鑓ヶ岳はかなり迫力のある山容である。 イブキジャコウソウの群落がきれいな花を見せてくれている。 鞍部から白馬鑓ヶ岳の登りの40分は疲れた体にはこたえるが途中のこぶまで行くと、そこからなだらかな稜線になって最後はルートから分かれて登っていく。 9:23に山頂到着。 東西に馬の背のようになった山頂にはたくさんの人が休んでいた。 ここへきて初めて南に延びる縦走路の全貌があきらかになる。 はるか前方に鹿島槍がその姿を現した。

 白馬岳に来るのは3回目であるがいつきてもここの稜線にお花畑の美しさには目を見張るものがある。 思えば、初めて登った北アルプスの山が白馬岳だった。 35年以上の歳月が過ぎたが、今また、この山がブームとなってたくさんの若い人、家族連れが訪れていることはうれしいことである。 実は日本最大の山小屋である白馬山荘に宿泊したのも今回が初めてであった。テレビ番組などでお決まりのレストランにも入り景色を満喫することができた。   
(2013年8月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています