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基本情報
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山名 |
唐松岳(からまつだけ) |
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標高 |
2,696m (二等三角点) |
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山域 |
飛騨山脈後立山連峰 |
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都道府県 |
富山・長野 |
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位置 |
N36.41.14/ E137.45.17 |
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地図 |
昭文社 山と高原地図34「白馬岳」
2万5千分の1地図「白馬町」
20万分の1地勢図「富山」 |
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山岳区分 |
日本三百名山・甲信越百名山・信州百名山 |
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登山記録
山歩No |
3440-13037
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登山日 |
2013年8月15 日(木) |
歩程 |
7時間40分 |
天候 |
晴れのち曇りにわか雨 |
形態 |
前夜発小屋3泊縦走 |
アプローチ |
JR大糸線白馬駅ー川中島バス猿倉ー白馬山荘 |
パーティー |
2人 |
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27年ぶりに後立山連峰の縦走を試みた。 これは、大阪の山岳部仲間であるH.H.氏がいよいよ日本百名山も残り10強となり、普通の人とはまるで違う、白馬・五竜・鹿島槍が残っていますという申告に対して、サポート隊として同行することを決めたことから再度の縦走となったものである。 実はこの計画は2年ごしなのである。 昨年もまったく同一のコースを計画し、夜行バスまで予約していたのだが、悪天のために中止した経緯がある。 自分としては300名山で踏み残している唐松岳の登頂を含めてなんとか今年は成功させたいとトレーニングを重ねてきた。 |
白馬槍ヶ岳
8月14日(木)夜行バスを降りて猿倉から白馬大雪渓を登り、白馬岳をアタックしたあとに白馬山荘に宿泊した。 夜行の疲れもあったがずいぶんと泡盛の久米島の久米仙を飲んで眠ってしまった。 翌日はガスのかかった稜線を歩き、白馬杓子岳を越えて白馬鑓ヶ岳にやってきた。 この2903mの高みからは素晴らしい景色が広がっている。 朝垂れ込めていたガスはもう晴れあがり、山頂からは歩いてきた白馬からの縦走路と南にはこれから進む唐松への長く険しい道が続いて見えた。白馬鑓ヶ岳は白馬三山という名前でややもすると白馬岳本峰に隠れた存在になっているがどうしてどうして2903mという標高もその山容も山頂からの展望もどれをとっても一級の嶺であることを二度目の登頂にして感じた。 前回この山に登ったのは1981年の7月、それから32年の歳月が経過している。 |
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鑓温泉への分岐
険しい道に至る手前はゆるやかな稜線が続いてその平たいところに天狗山荘が見えた。下り切った鞍部には遭対協の方がいて、道を間違えないように案内してくれているようだった。 鑓温泉に下りる分岐のところには「午後から雷雨の確率が高くなります。 早めに小屋に着くように行動しましょう。 」と書いてあった。 先ほど、ラジオの天気予報で「今日は午後からにわか雨で雷を伴って強く降るでしょうといっていたのでまさにそのとおりである。 でも考えてみたら、この注意看板は毎日取り換えているとは考えにくい。夏山の一般論が記載さえているのだろう。 |
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天狗山荘
後を振り返ると、白馬鑓の堂々たる姿が見えた。 こちらから見る白馬鑓の姿は美しい。白い砂の上に一直線に下りのルートがついているのがわかる。 10:26に天狗山荘に到着。 ここでトイレを借りて(手を洗うところからお湯がでたのは驚きだった。)水を汲み、ビスケットを食べて、これからの険しいルートに備える。 11時を過ぎたら唐松岳の方へは進まないでくださいと書いてあった。 かろうじてセーフである。 ここから不帰の剣を越えて難所が続くのに小屋は唐松頂上小屋までおよそ5時間の行程で一つもない。 悪天の時は進めないと踏んで予備日も設けていたがなるほど然りである。 |
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天狗の大下り
10:38に天狗山荘を出発。前を大きなザックを背負った高校生の5人組が進んでいる。 その後ろを親子連れ2人が歩いている。 少しピークになったところが天狗の頭。 11:01、ここから少し稜線を進んだところで、天狗の大下りが現れた。 ここからはまともに休憩するところもないかもしれないと思い、EPIを出して湯をわかし、持ってきたアルファ米に注いで昼食の準備をした。 20分は蒸らす必要があるので、この天狗の大下りの難所を過ぎたところで、昼食になるだろう。 案の定、大きなザックを持っている高校生5人組にはすぐ追いついた。 鎖場を通過したところで先に行かせてもらう。
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一枚岩の鎖場
天狗の大下りは緊張する岩場が続く。 正午になった。 一箇所、一枚岩のスラブを鎖に捕まりながら降りるところがあった。ここで、ちょうど登りの二人組が上がってくるところだったので、行き違いに時間を費やしてしまう。 ちょうど朝、唐松頂上小屋を出た人とこのあたりですれ違うのだろうか。12:43、天狗の大下りが終わって不帰の峰へと登る鞍部に到達した。 ここの広くなったところで昼食を摂る。 先ほど、下りの前に湯を入れておいたアルファ米のドリアをいただいて、これからの難所に備える。 休憩している間に高校生5人組も追いついてきた。 ヘルメットにハーネス、腰にはシュリンゲをぶら下げておりなかなか本格的ないでたちだ。
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不帰の剣
13:05鞍部を出発。 いよいよここから不帰の峰の登りとなる。 まずは不帰第一峰。 登りだしの傾斜は急であったが、ルートとしてはさほど難しいところもない。 後からトレランスタイルの若者の単独の人が追い越して行った。 すごいスピードだ。 荷物はほとんど持っていない。今日のうちに八方尾根から下山するのだろうか?13:35に不帰第一峰に到着。 小さな木の札が第一峰の山頂であることを示している。 トウヤクリンドウがきれいに咲いている。 水だけ飲んですぐに出発。 ここからガスの晴れ間に不帰第二峰が見えた。恐ろしい岩壁である。 いったいどうやってルートを取るのだろうか。
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不帰二峰の岩壁
ちょうど、こちらへ向かって第二峰を降りてくる人が二人見えた。 まるで谷川岳一ノ倉沢を懸垂下降で降りてくるかのような様である。 向かって左の絶壁になったようなところに鎖がついているようで、二人で声を掛け合いながらスタンスの取り方を指示しあっている。 お二人が降りてくるのを待ってわれわれも岩壁に取り付く。 実際に登り始めると、そこそこにスタンスとホールドがあるので、さほど難易度が高い壁ではないと思われた。槍ヶ岳の穂の登りより少し緊張する感じであろうか。 それでも足元を見ると転落したら一貫の終わりという高度である。ガスが出てあまり下がはっきり見えないのがむしろ幸いである。
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不帰二峰北峰
15mも登るとカニの横ばいのようにトラバースして梯子が岩をとりまいて、ルートは岩峰の東側を巻いて草付の岩場をあがっていった。「不帰剣」と書かれた古びた道標が、地面に打ち付けられているのではなく、岩に針金で巻きつけられている。 急な岩を3つ4つ登りきると不帰2峰北峰の山頂に到着した。 山頂標識の横にトンカチが置いてある。 やれやれ、最大の難所を通過できたことになる。ここからはハイマツの稜線を進み15:11に不帰第二峰の南峰に到着した。 このあたりで、冷たい雨が降り出してきた。 天気予報では、午後からにわか雨か雷雨と言っていたが、雷だけは勘弁してほしい。 最初はぽつぽつだった雨も急に雨粒が大きくなってきたのでレインスーツを着ることにした。 20分ほど降り続いたであろうか。 |
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唐松岳山頂到着
結局第三峰をいつ通過したのか気が付かなったが、最後に急な登りを15分ほど歩ききるとそこが唐松岳の山頂だった。2696.4mの山頂は隣の五竜と白馬と比較すると随分低いのだが、それでも山としては独立峰になっており気持ちのよい山頂だった。前を歩いていた白いヘルメットの男性が山頂で迎えてくれた。 山頂から南東には今日の宿である唐松岳頂上山荘が見えている。 山荘から山頂をピストンするために数名の若者が登ってきていた。後を振り返るとガスの中、天狗と登ってきた不帰の峰がぼんやりとであるが見えた。
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唐松岳頂上山荘到着
16:20に唐松の山頂を出発。 ゆっくり下って登山道のわきのコマクサを愛でながら、最後は少し登って、16:40唐松岳頂上山荘に到着をした。 小屋の支配人の中川さんが受付をしてくれた。 800円追加料金を払うと食堂のある新館(南館)に泊まることができるときいて、そちらを選択する。夕食は17:40からなので、それまでの時間、喫茶メレーズに入って、生ビールを楽しむ。 17時を過ぎると入ってくるお客さんがいたが、こちらの方たちは1200円の追加料金を払って特別夕食をお楽しみになる方たちのようだ。予約席の札が貼ってあった。 あわただしくなくゆっくりワインを飲みながら夕食を楽しむというのも、よさそうなものである。 われわれはその選択をしなかったのであるが、そんな山小屋の楽しみ方もいつかはしてみたい。 |
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唐松岳頂上山荘の夕べ
夕食は豆腐ハンバーグに鰆の西京焼きがついた豪華なものだった。 汗をかいたせいか味噌汁がおいしく、思わずおかわりしてしまう。 麦焼酎を楽しむスピードもおのずと上がってくる。先ほど雨を降らせていた雲もすっかり上がって、外では唐松岳の山頂がきれいに見えていた。 H.H氏はカメラを持って写真を撮りに出かけて行った。 自分は食堂に残って、ランドネや、山と渓谷といった雑誌を見る。 体調を崩した女性が二人くらい、中川さんから救護を受けていた。 やはり、急激に冷たい雨にあたったことで体温調節に変調をきたしたようだ。20時半が消灯の時間だったのでそれまで、宴会をやって、あとは、GPSの電池を入れ替えたりして、6人スペースに3人という余裕の状況で眠ることができた。
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朝再び唐松岳頂上(五竜岳をバックに)
翌8月16日(金)朝4:30起床。 だいぶ飲みすぎたようだ。 あと20分ほどで朝食になるというのでしたくをして食堂へ行く。 午前5時、朝食は鮭の切り身に卵焼き。 今度も味噌汁をおかわりしてしまった。 6:10に唐松岳頂上山荘を出発。 朝の唐松岳に登り返して展望を楽しむことにした。 さすがに昨日八方尾根をあがってきて小屋で終点にしてしまった人が多いのだろう。 6:30山頂到着。 山頂はたくさんの人でごった返していた。 昨日は雲の中に隠れていた剣岳もしっかりとその姿を見せていた。 360度の展望を楽しんだあとは、小屋へ向かって引き返す。 さあ、今日は、このはるか遠くに見えていた五竜岳を越えてキレット小屋までの縦走である。
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長野冬季五輪の時に、八方スキー場はジャンプ競技の舞台となった。 それだけメジャーなスキー場である。 そのアプローチの良さもあってか、八方尾根を登って唐松岳に登る人はとても多いという。 面白いことに翌日八峰キレットに向けて歩いているときにラジオを聴いていたらSBC信州放送で、この山小屋のご主人と電話インタビューが放送されていた。 多くの人から愛されているこの山と山小屋である。 百名山に入れたかった山リストにも唐松岳は必ず高順位で上がるようだ。確かにすばらしい小屋であり、素晴らしい頂の展望だった。
(2013年8月 記) |
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