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利尻山
利尻山

基本情報
1 山名 利尻山(りしりざん)
標高 1,721m <利尻山山頂>
山域 独立火山
都道府県 北海道
位置 N45.10.43/ E141.14.31 
地図 昭文社 山と高原地図1「利尻・羅臼・斜里・阿寒」
2万5千分の1地図「鴛泊」
20万分の1地勢図「天塩」
7 山岳区分 日本百名山、花の百名山、北海道百名山
登山記録
山歩No 1010-09016
登山日 2009年6月18 日(木)~6月19日(金)
歩程 第一日 1時間30分
第二日 9時間00分
天候 両日とも晴れ
形態 3泊4日(礼文島含む)
アプローチ 稚内空港よりバス、稚内フェリーターミナルよりハートランドフェリー鴛泊港
パーティー 1人

 日本百名山の最北端は利尻岳である。 交通費や往復の時間などを考えるとなかなかチャンスがないと訪れるのが難しい山の一つではある。もう一つ、この山の特徴は標高差である。ほぼ標高ゼロメートルからあがって1719mまでいくわけであるから、登りは相当にきびしいことを覚悟しなければならない。また、最北の離島だということで、登山の季節も短く、百名山を目差す多くの人がそうであるように、自分の場合もこの山はやはり最後のほうに残ってしまった。仕事の都合上、2009年は5月のGWが出勤となったので、6月に2日間の振り替え休日をとって、礼文島とあわせて5日間で単独行キャンプ合宿としてでかけることにした。

羽田空港から空路稚内へ

6月18日(木)朝5:50起床。 くもり。 天気予報をチェックして、最寄り駅を7時のリムジンバスで羽田に向かう。 7:55には全日空のあるターミナル2に到着。昔と違って最近はチェックインも簡単である。 自動チェックイン機で発券。 マイル登録をすませ。 荷物を預ける。 8:20に身軽になって。4Fの展望フロアにあがって、空港を見下ろしながら飛行機の写真を撮ったあと、D滑走路の埋め立て工事の展示を見る。それでも時間があったので、カウンターに座ってハイネケンビールを買って飲む。ANA571便の飛行機は到着機材の遅れにより9:40離陸の予定がが10:15に変更になっていた。 9:20に保安検査を通ったところポシェットの中にと登山用の五徳ナイフを入れ忘れていたために、見事に引っかかり、チェックインカウンターにもどって預けてくるように指示をされた。 一旦戻ってこちらも預けたあと、再度セキュリティーを通ったが、やはり人間、あせっていると失敗をする。どうも、ベンチに帽子を忘れたらしい。ぎりぎりで最後の搭乗案内の時間に間に合った。 非常口の隣の席ということで脱出の際はお手伝いをよろしくと乗務員に念をおされた。 降りるときに帽子を忘れていないか聞いてみたが、機内には残っていないとのことだった。。

稚内駅に到着

 稚内到着は11:30になったが、空港からの連絡バスは待っていた。 市内へ入って駅前バスターミナルで下車したあと、、まず、駅前商店街のスポーツ店ハセガワに入り、事前にインターネットで販売していることを調べておいたEPIと白いメッシュの帽子を買う。 おやじさんに最近の天気のことを聞いてみた。 まずまずの天気が続いているようだ。 それから、昼食をすませようと思って、夢広場に入り、海鮮どんぶり1600円を注文し、できあがってくるまで熱燗を頼んでちびちびやる。味はまずまずというところだった。 また駅にもどり相沢スーパーによって、お茶やキャンプで食べるうどん類などを買う。少し重くなるがスーパードライの6本パックも買っておく。稚内は日本で最北の駅なので最北端のレールの前で写真を撮った。

フェリーで鴛泊港へ

 駅から10分ほど歩いて14:50にフェリー乗り場へ行く。 ターミナルにはコンビニがあったのででテレフォンカードを買って、羽田空港の落し物センターに電話するも、帽子の拾得物は届いていないとのこと。乗船時間が近づいてきたので 2Fの乗船窓口に並んだが、観光バスが何台も連なって到着し、そこから下りてきた中高年の旅行者が次々とあがって来る。 乗船したが、ほとんど座席がない。 地元のおじさんのとなりに座り、時々デッキに出て写真を撮ったりして船内をすごす。 利尻島に近くなるにつれて利尻富士の姿が大きくなる。  

北麓キャンプ場

 17時に鴛泊港に到着。 フェリーターミナルを素通りして、地図を見ながらそこから徒歩でキャンプ場を目指す。 夕暮れになってきたがまだ天気はいい。この時間は日も長かったので歩くにも支障はない。  コンビニを見つけられなかったのでそのまま歩いて、利尻神社に参拝し、安全登山を祈願。 歩いて北麓キャンプ場まであがるときに管理人夫婦の軽自動車とすれ違う。 管理人はもう下りてあとはキャンプ場は無人になるから、明日手続きをしてくれ、炊事場より上ならどこに張ってもかまわないといわれる。 19時キャンプ場到着。 一番奥の木の下にテントを張る。 まだ日があって風も涼やかでとても気持ちがいい。 まわりのテント4つはそれぞれの人がひとつずつもっているのだった。おそらくバイクのツーリングの途中かもしれない。 風呂に行って帰ってきたのだろうか。  早速、アルファ米のきのこご飯を炊く。 ビールを3本のんでいい気分になり、明日の準備をした上で、21:20に就寝。 

利尻山登山口

 6月19日(金)朝3:00起床。 隣のテントは2時半から起きている。 夜中には晴れて星がきれいだったのにとぶつぶついう声が聞こえる。 自分は起きて昨日のうちに炊いてご飯にお茶で朝食を済ませ。 トイレをすませて4時10分に出発しようとするが、ステッキを忘れたことに気がついてテントに戻る。 途中で女性の単独行の登山者ともすれ違う。 4:53に4合目の野鳥の森で休憩する。ここは少しなだらかで広くなっており休憩にはうってつけのところだ。 先にいた単独行の女性もまわりの登山者と休憩し・会話を楽しんでいる。後ろでは カラスが食料を狙っている。

六合目見晴台

 4:59出発。ここからしばらく樹林の中のジグザグの登りである。 我慢の時間ということか。 ただ、朝の空気は澄んでおり、心配された天気のほうも次第に良くなってきているようだ。本州よりも1000mも森林限界が低いこの北の山では標高500mをすぎると森林限界だそうだ。 5:53に6合目の第一見晴台で休憩。確かに、見晴台というだけあって麓の鴛泊の町まで見下ろすことができる。ポン山の向こう側にはペシ岬も見えた。上を見上げると まだ山頂方向はガスがかかっていた。後から来た登山者はここまで一本で来たと行っていた。たいした体力である。小腹も空いてきたので水を飲んでクランチクラッカーを食べる。 6:05出発。途中6:25に7合目の七曲を通過する。ルートはここから南になり、高山植物が現れ始める。木は次第に低木になるが雪の重みか下のほうが曲がっている。 冬には沢筋では10mも積雪があるというのだから無理もあるまい。 

9合目携帯トイレブース

  7:02第二見晴らし台。 ここでは誰も休んでいなかった。北西の斜面には、まだだいぶ雪が残っている。先への道ももう森林限界を超えているのではっきりと見ることができる。 まだ雲に覆われているので真上までの視界は広がっていないが。 7:08出発。 7:25長官山到着。 本来ならここからでかく利尻山の雄姿が見えるところであるが残念ながらガスに隠れている。(後日、地元ガイドの渡辺さんがテレビで解説していたことによると見える確率は30%くらいだそうだ。) 昭和8年の日付の入った碑があった。 水分補給とクラッカーを食べて7:38出発。 8:24に9合目着。ここには、携帯トイレを使うためのブースが設置されている。  

ローソク岩

8:32に出発。 ここから正念場とあったが事実、ルートが悪くかつ急登になっていた。火山性の砂礫でできた登山道は、今でも雨水の影響で、ずっと崩壊し続けているという。 3mくらいえぐれたくぼみを滑らないように慎重に登っていく。  9:00に沓形との分岐、10本爪アイゼンが必要という雪渓はどれかよくわからなかったがくだりが急坂であるのはわかった。右手には、ろうそく岩が見える。手前には素晴らしいお花畑が広がっている。 エゾハクサンイチゲが見事だ。 リシリヒナゲシは固有種で利尻島にしか咲かない花だそうだ。登ってきたルートはまだガスの中であるが、かすかに避難小屋も見ることができた。 

利尻山山頂

  9:20山頂到着。 祠を少し過ぎたところに腰をおろして、もってきたアップルパンを食べる。 祠は少し台座がある構造だったが、やはり冬場には山頂が雪に埋もれてしまうからだろうか。 中島さんという群馬から来たご夫婦が大きなカメラで写真を撮ってくれた。山頂は決して広くないが、少し南峰に近いところの岩場に座ってビールを飲むと迫力のある景色が目の前に迫ってきた。 実際には南峰のほうが2mほど標高が高いのだが、崩壊が激しいので立ち入り禁止となっていて、トラロープが渡して通行止めになっていた。 山頂の祠にはいくつか船のスクリューが寄進されている。 航海の安全を祈るためだそうだ。 しばし景色を楽しんだあと、10:20に山頂を出発。鬼脇方面はもう雲に覆われていてまったく展望がなかった。 

甘露泉水

11:41長官山到着。 やはりここはガスの中だった。 三角点もどれかよくわからなかった。 11:55に出発。ここから急速に高度を落としていく。 次第にガスの中に入って展望も見えなくなっていった。 12:55六合目到着。 水を飲む。 13:05出発。 14:05に甘露水に到着。 山頂で写真を撮ってくれた中島さんが奥様と一緒にタンクにいっぱいこの名水を汲んでおられた。今日もキャンプ場に滞在するそうで、ゆっくりとこの水でウイスキーを楽しむのだそうだ。最後に、自動カウンターを抜けてはとの模様のついたゲートを渡ると 14:25テンバ着。 テントを撤収して15時15分にテント場をあとにする。 途中、入り口で入山の受付をして300円を払ったあと車道を歩いて下りる。

利尻富士温泉

もう礼文島に渡るフェリーはないのだが、少しでもフェリー乗り場に近いところへ移動するために 16時にファミリーキャンプ場「ゆーに」に到着して、テントを張る。 ここからは山頂が見えていい景色。 テントを張ったあと、道路をはさんで向かいの利尻富士温泉に入る。 500円と料金は安い。 サウナをあびて汗を流し、露天風呂につかって再び山頂の景色を楽しむ。 風呂からあがってからは、レストランで牛くしをつまみに生ビールを2杯飲む。 地元の人から、礼文の温泉の話や、うにどんぶりの話、SEICOマートの場所などを聞く。 18時半、SEICOMARTに買い物。 少しまともなものを食べようとおもって、鶏モモタツタやトマトサラダ、キャベツの浅漬けなどを買う。 ペン岬の夕日を写真にとって、利尻神社にお礼まいりをした。 利尻温泉の裏は高山植物の公園で写真をとって、ビールを飲んだあとあとテントに戻る。 夕食の支度をしていると、隣のテントの人が話しかけてきた。 酒を飲んで21:30就寝。

フジテレビの番組「絶景百名山」でこの山を表していた。「島に山があるのか、それとも山が島なのか」 絶景利尻山は噂にたがわぬ素晴らしい山だった。 近年登山者の増加もあって上部の崩壊が激しいという。実際目にする機会は少ないが、冬の降雪があったときの利尻山の姿も写真で見ると美しい。 島がそのまま山であるという日本でも珍しい地形であろう。是非とも美しい景色が長く続いてほしいものである。
(2012年8月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています