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石鎚山
石鎚山

基本情報
1 山名 石鎚山(いしづちやま)
標高 1982m (天狗岳)
山域 石鎚山地
都道府県 愛媛県
位置 N33.46.04/ E133.06.54 
地図 昭文社 山と高原地図54「石鎚・四国剣山」
2万5千分の1地図「石鎚山」
20万分の1地勢図「高知」
7 山岳区分 日本百名山、花の百名山、四国百名山
登山記録
山歩No 1940-12047
登山日 2012年11月24 日(土)
歩程 4時間20分
天候 曇りのち霧
形態 夜行小屋一泊(瓶ヶ森含む)
アプローチ 国道33号-494号ー県道12号石鎚スカイラインから土小屋
パーティー 1人

 石鎚山は近畿以西で西日本の最高峰で標高は1982mである。奈良時代から修験道の山として知られていた。 この山に前回登ったのは1989年5月4日であった。今から23年も前である。 そのときは大阪から山岳部の仲間たちとフェリーに乗って今治で下車。鉄道で伊予西条まで移動した。 成就社へのロープウエイの高さに眼を奪われながら稜線を歩き二の鎖小屋下にキャンプをした。翌日はスリルのある二の鎖・三の鎖を経て弥山へたどりついた。 山頂から春の風が気持ちよかったことを思い出す。
今回は、前回下山に使った土小屋コースの登り返しである。 もともと四国遠征の目的は瓶ヶ森・伊予富士という翌日からの三百名山踏破であるが、折角ここまできたのだから、宿泊場所が土小屋から近いシラサ峠の避難小屋だということもあり、この名峰石鎚山に再度登ってみようという気になっていた。石鎚スカイラインは11月末で閉鎖・冬季通行止めになるのでこの週末は最後の登山チャンスである。 

ことひら高速バス

 11月23日(金)祝日で本当は午後2時の羽田発の飛行機で松山まで行くはずであったが、どうしても出席しなくてはいけない用事ができたので朝全日空の予約センターに電話をして飛行機をキャンセル。 その晩の琴平バスの夜行便で松山に向かうことにした。EONで日焼け止めを買って、車で家に戻る。今回レンタカーでの移動時間がそこそこあるので車の中で聞くCDをパソコンで焼いて 21:20に家を出る。 外は雨だった。 まだ今夜いっぱい、四国でも雨が降るようだ。 明日の松山の天気予報は冬型になって曇りとのこと。 石鎚山も冷え込みそうである。 横浜駅についてバスの出発場所になっている天理ビルに歩いて、一階のデイリーヤマザキで寝酒を買う。 Willer Travelのピンクのベストを着た人に受付をして、2号車に案内されて乗る。1番後ろの窓際の席。  22:20に出発して、30分で海老名SAに到着。 休憩のときに焼酎を飲んでバスに戻る。 そのあと、消灯。 缶チューハイを飲んで寝る。

朝の松山駅

 11月24日(土)5:50にことバスステーション鳴門センターに到着。 車内アナウンスで起こされてシャトルバスに乗り換え。トイレに行っていたので受付が一番最後になる。 シャトルバスといっても4列シートのスタンダードの大きさのトイレなしバスだった。ただ運の悪いことに自分だけが2人掛けだった。バスの中でさらに少しうとうとして三島川之江から起きる。三島川之江を出てからは外はかなり強い雨が降っており、曇りという天気予報があたっているのか果たして今日石鎚山に登れるのか不安になる。雨が強かったのは東予のあたりだけで松山に着いたときには天気はよくなっていた。車内でおにぎりの朝食を取る。 9:10定刻どおりバスは大手前の駅を過ぎたところで停車。 歩いて5分ほどで、JR予讃線の松山駅まで着いた。 石の標識に正岡子規の歌「春や昔、十五万石の城下町」が書いてあった。NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」の影響もあり、最近ここは観光地としても有名だ。 駅前も四国随一の都市の表玄関としてふさわしいつくりだ。歩いて日産レンタカーの松山営業所を探す。 

三坂峠から久万高原へ

 レンタカーの受付をすませてナビで土小屋の国民宿舎を入れて出発。 途中、EVステーションのあるサークルKで昼食のパン・翌朝のカップめん、夕食のつまみなどと2Lのペットボトルのお茶を買う。 さらに、33号線を車を西に走らせると道は三坂峠へと入っていった。 紅葉がとてもきれいである。標高500mの三坂峠の途中で景色の写真を撮る。 久万高原でも色づいたかえでが道路わきに植えたありちょうど見ごろである。面河渓に通じる愛媛県道12号西条久万線は通称「もみじライン」と呼ばれる。街路の色づきもちょうどいい。
  

面河山岳博物館

 11:42に面河渓に到着した。 ここは石鎚スカイラインの入り口にあたる。紅葉の名所でもあるので下りて少し散歩してみることにした。渓谷に沿って遊歩道が整備されているが、残念ながら標高700m近くあるので紅葉のピークは過ぎてしまったようだ。 さらに土砂災害の影響もあり関門の空船橋より先には行けないようだ。 その手前が景色がいいようなのでそこまで行ってみる。 もう少し時間があれば面河山岳博物館にもよってみたかったが、残念ながら今回は見送りとした。 山岳博物館の裏手にある山が紅葉で染まって見事だった。 12:07車を出していよいよ石鎚スカイラインをあがる。 この道路は1970年に開通。有料だったが 95年以降は通行料無料になっている。 ただ、夜間は通行止めで朝の7時から夕方18時までしか開門しないようだ。 もっとも、あと1週間で石鎚スカイラインも冬季閉鎖になるので、土小屋から石鎚山へ登れる週末も今年は今週が最後である。途中、林の中から石鎚山のとがった峰が眺められる。 思わず車を停めて写真を撮った。

土小屋

 土小屋到着12:20.最初、国民宿舎のほうまで車を進めてみるが、登山口まで近いのは、白石ロッジの前あたりと見て、その手前の駐車場へ車で戻る。 さっと着替えて12:46歩き出し。 登山口に登山計画書を入れて歩きはじめる。 今日の登山者の中で最終組だろうか?国民宿舎への道を右に分けると、大きな石鎚山国立公園という札が現れた。 アップダウンの少ないハイキングコースとも評されていたが確かに歩き出しからほぼフラットで、しばらくするとゆるいくだりも現れた。朝早くからのぼり始めた登山者はもう下山するところのようで、今から登るの?というような顔で見られる。 夏であれば日が長いので午後1時スタートでも問題はないであろうが、この時期は日が短い。 結構まじめに歩かないといけない。 標高1600mあたりからは登山道沿いに積雪が固まっているところが見受けられる。13:28に第二ベンチに到着。 ここで昼食休憩して持ってきたソーセージパンを食べる。

面河山遠望

 13:37出発。 ここから少し尾根伝いに標高をあげていくコースになる。 左手には面河山が見える。石鎚山頂近くはガスがかかってしまったが、こちらの方は見えている。 明らかに登山者とは違う普段着・スニーカーの2人の若い女性とすれ違う。 もう足の下は残雪だらけだというのにこの格好で山頂まで行ってきたのだろうか? 標高1700mの第四ベンチを過ぎると樹林の中はもう一面雪だった。 ここから標高をぐんぐんあげていく。 確かに、土小屋からの道は出だしが平坦な割りに最後が急峻な鎖場などを登っていくという構図になる。これが石鎚山のとがったピークの特徴だろう。 14:15、ロープウエイの成就社からの道と合流。 ここから上は樹氷の美しい景色となっていた。 かなり険しくなった道を進む。 前回登ったときは二の鎖コースを通ったが、そのときは5月、今回は残雪ですべることも予想されたので鉄製の階段が張られた巻き道を進むことにした。登山者はおのぼりさん、下山者はおくだりさんと書いている階段あるいはスロープを上がる。 基本的に左側通行である。 よく見ると、おくだりさんの方にはスリップ防止のためか、等間隔に横梁が表面についていたりする。 

弥山山頂ー石鎚神社奥宮

 三の鎖は現在通行止めになっており、なおかつ小屋も閉鎖されていた。 このあたりで積雪は15cmくらいか、登山者が踏み固めているのできわめて滑りやすい状態になっている。途中で10名くらいの中高年の団体とすれ違う。 運悪くすれ違いできるスロープ上でなかったので、おそるおそる降りてくるのをずっと待たなければならなかった。 14:43に弥山に到着。 頂上小屋は今シーズンの営業を終了させていたが、冬期避難小屋はあって、中で休憩している登山者もいた。気温も低く立ち止まっているとどんどん体熱を奪われるようだ。山頂には3名ほどの登山者が休憩していた。 石鎚神社にお参りして無事下山を祈る。 もう山頂には真っ白なガスが垂れ込めていて、本来の1982mの四国の最高峰であるはずの天狗岳の姿は見えない。ここから10分ほどで行けるそうだが、どこにあるのだろうか? 

最高峰天狗岳をアタック

単独行の西洋人の方にシャッターを押してもらい山頂での証拠写真を撮り終えてそろそろ下山しようと思っていたときに、さっとガスが晴れて天狗岳が見えた。 すごい、本当に英俊な穂先のように見える。 おりしも、がけの下の鎖場から一人の登山者が上がってきた。 天狗岳までのルートは厳しいですか?と聞くと、最初の鎖場が急ですが稜線はさほどでもないですよ、との答え。 そう聞くとやはりピークを踏みたいという気持ちが強くなってきた。 前回ここへきた時には訪れていない本当の最高峰だ。意を決して行ってみることにした。 14:57、そろそろ日没までの下山を考えると山頂を出発したい時刻だ。 鎖場を10mほど下りた。 岩がごつごつしているがスタンスはとりやすい。 下り切るとほぼフラットな稜線伝い。 岩の上を進むとやっかいなので岩の下部のハイマツの横の踏み跡をたどったほうか進みやすい。 約10分で天狗岳のピークについた。 山頂には天狗岳と書いた板と小さな祠があるだけだった。 他に登山客もいないので、自分撮りをして、15:09まわりのガスだらけの景色を確認してもと来た道を弥山へと引き返す。 視界が悪いが慎重にトレースをたどればあまり危険なところもない。 鎖場は今度は登りになるので気にならなかった。弥山にはもう登山者が1人いただけであった

凍結した道ースロープ

  15:18下山開始。 頂上小屋につけられたソーラーパネルと風力発電機がエコなので思わず写真を撮る。 下りは慎重に歩いたつもりであったが、三の鎖小屋のところで登山者が踏み固めた雪の上に乗ってしまい、すてんと転んでしまった。 運悪く腰から落ちたところに石段があったので、腰骨をいやというほどうちつけてしまう。 すぐに立ち上がったがかなり痛かった。 そこから、今度はお下りさんとなってスロープを下りていく。5人組くらいの団体を追い越した後は、もう誰ともすれ違うことも追い抜くこともなかった。 今夜がシラサ峠の避難小屋であるがために、白石小屋まで下りてから万一水が汲めないという事態も想定して、途中の小さな沢で雪融け水を今回デビューのビニールタンクに入れた。 沢はほぼ90%雪にうもれていた。 16:30に第一ベンチでいったん休憩。 下りはそうでもないが、稜線上のちょっとした登りになっても腰に激痛が走る。 単なる打撲ではなくて骨にひびが入っていたりしたらと思うと不安だった。 折角四国まで来て明日は天気も回復する予想だというのに登れないのだろうかと思うとちょっとめげる思いだった。 まあ、自力下山には問題あるまいと楽観的に考え、16:33出発。 

第二ベンチ最後の休憩

ラジオを聴きながらもうほぼ平坦になった縦走路を土小屋へ向かう。16時55分に国民宿舎石鎚山荘との分岐。 17時に土小屋に到着した。 ガスに覆われているせいもあるだろうが、もう日没しておりあたりは夕闇が迫っていた。 土小屋のトイレの前には下山者なのかそれともここに宿泊して明日登山する人なのか、結構10名以上の人がいて、炊事をしていた。気温がずいぶんと下がってきた。 下山証拠写真を1枚とって車に行って、とりあえずそのまま発車する。 今日の宿泊はシラサ峠の避難小屋である。 日没後のかつ霧の中、瓶ヶ森林道を車を転がしてシラサ峠まで行かねばならない。 道が細いのでとにかく安全運転が肝要である。 

二回目の石鎚山は意外にも雪中登山となった。 さすがに四国随一の高峰であるが、他の登山者の山の記録を見ても11月にこれほどの残雪があるものはない。その意味では今年は降雪が早いのかもしれない。 残念ながら山頂からの展望を楽しむことはできなかったが人気の山の二回目を楽しむことができた。 天狗岳の山頂も高所恐怖症の人にはつらいかもしれないが、北アルプスの槍ケ岳と比べるとまだ易しいとも言えるのではないだろうか。 23年ぶりに来た山であるが、まるで初めて来た山のように新鮮な印象を持つことができた。
(2012年12月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています