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光岳
光岳

基本情報
1 山名 光岳(てかりだけ)
標高 2,591m
山域 赤石山脈南部
都道府県 長野県・静岡県
位置 N35.20.17/ E138.05.01 
地図 昭文社 山と高原地図42「塩見・赤石・聖岳」
2万5千分の1地図「光岳」
20万分の1地勢図「甲府」
7 山岳区分 日本百名山、甲信越百名山、信州百名山
登山記録
山歩No 1860-10015
登山日 2010年7月18 日(日)
歩程 7時間50分(聖光小屋より光岳小屋)
天候 晴れ
形態 テント泊縦走2泊3日
アプローチ 中央自動車道飯田ICより三遠南信自動車道国道152号線遠山川のぼる易老渡より
パーティー 1人

梅雨明けを待ちかねて光岳を目指すことにした。2008年に剣岳を登ったことで日本百名山の北アルプスはすべて終了した。 南アルプスで登り残しているものは、甲斐駒ケ岳とこの光岳である。 光岳は南アルプスの中でも奥深く、日本百名山完全登頂者の中でもこの山が最後に残るという人は多いようだ。 アプローチに時間がかかることから、横浜を朝出発、便ヶ島の聖光小屋にテントを張り、易老渡から登るというアプローチを取ることにした。

出発ーしらびそ峠を越えて御池山(隕石のクレーター)

07/17(土)朝4:30起床。 さすがに、夏至がもう夏至が近いということで外は明るくなっている。 5時半に家を出る。 6時半に調布ICについたときは、もう入り口が渋滞している。 八王子まで15km渋滞していて通過するのに50分かかるという速報がでていた。 結局、小仏トンネルをすぎて相模湖まで断続的に動いたりとまったりで、相模湖をすぎてやっと、8時に渋滞は解消。 9時、双葉ICまでいって、展望台にあがるが、そこから見えるはずの甲斐駒ケ岳などの山は残念ながら何も見えない。 スマートフォンで渋滞の状況を調べたら中央道は50Km とでていた。 飯田ICへは11時06分に到着。ICを降りたところでそこから走る一般道を確認。ICの近くの西友によって、そこで、夕食の買出しをする。 酒はサントリー角を1瓶、店員にいわれて抽選があるキリンの淡麗も買ってしまう。 おかずは、サラダに、ぎょうざ、うなぎのまき寿司。 ナビの示すとおりに、喬木村三遠南信道路を通って、矢筈トンネルの手前で昼食に買ってあったそばを食べる。トンネルを抜けてナビの示すとおりに秋葉街道を横切って流れ星オートキャンプ場を抜けてしらびそ峠をあがり、そこから奥茶臼山の登山口を見てトイレをすませたあと、13:30ハイランドしらびその横の林道を進む。 隕石が落ちたあとを見て、御池山、炭焼山の横をぬけて、下栗に出る。 

豪雨により林道崩壊

 茶店でトイレをしたあと、ひなたから屋敷を経て、途中、道を農家の人に道を聞いて遠出川を東に上がっていく。 人家のないあたりまでいくとさすがに路上には落石が多い。 やがて北叉渡について発電所の横の橋をわたると、そこからは、登山者だけが入る林道となった。 雨の影響か、道にかなり多くの流水が流れてきている。落石もかなりある。 途中、一箇所、車体が水につかるかと思ったほどのところもあった。水が多い難所を過ぎると道が広くなっているところに、ぽつぽつ、数台の車が止まっている。 栃木だったり品川だったり他府県のナンバー。 登山者だろうか?15時前、行く手を、小型車にさえぎられた。  なんと、その車は道の真ん中に止まって、その前で、大きなブルドーザが整地をしている。 場所は、易老渡の登山口のほんの50mくらい前だった。ブルドーザに乗っている人に外から指示している人が、小型車を運転しているひとだろう。 話かけてみると、この道は、長雨の影響で、いたるところで崩壊しており、便ヶ島まで修復が終わるのには、まだ数日かかるだろうということだった。 これ以上先には進めそうもないので、自分もあきらめてひきかえして、止められるところまで戻るというと、係りの人はあと20分くらい待ってくれたらこの崩壊地の整備がおわるので、そしたら易老渡の駐車場まで入れるよ、ということだったので待つことにした。 待っている間、冬場にノーマルタイヤで入ってきて雪にはまって助けをよんだ横浜ナンバーの人の話などをきいた。  

易老渡の駐車場(今夏駐車第一号)

15:24、易老渡の駐車場に、なんと、梅雨明け後一番乗りの車として入った。 駐車場でほこらしげに車の写真を撮った後、今晩の炊事に必要な荷物を詰め替えて16時に便ヶ島に向けて歩き出す。 便ヶ島の聖光小屋まであと1箇所のカーブというところで、正面から軽トラックが来る。 窓をあけて顔を出したのは、聖光小屋のご主人の青木さん。 水がでないから、これから沢まで汲みにいくんだ。 乗せてあげるからいっしょに行こうよ。 との話、青木さんが水を汲むのを手伝おうかとしたが、不要とのことだったので、自分はポリタンにつめたあと先に帰る。 便ヶ島公園の東屋の下にテントを晴らせてもらって、水がでないからテンバ代はいいよという青木さんに、それでは申し訳ないからといって500円のテンバ代を渡す。  

便ヶ島 聖光小屋

 テントを張ってラジオをつけてビールを飲み始める。 AMは入らないが、短波はよく入る。 スーパーで買ってきた餃子とサラダを食べていると野生の鹿がおりてきた。 自分の姿を見て、警戒して、逃げていった。 19時、日没でそろそろ寝るかなというときに、小屋の窓をあけて、青木さんが、こっちに飲みにきてもいいよ!と声をかけてくれる。 ビールとウイスキーを持って小屋にいざなわれる。 食卓で、手製のマカロニサラダをごちそうになりながらよもやま話をする。 光小屋の話や、聖平小屋の話も聞く。 小屋の前にずっと止まっていた青い車が遭難した人の持ち物だった話とか、ぎょっとする話もあった。 衛星放送のテレビは入るので、天気予報でまだ先数日は晴天が見込めることを確認する。 20時におやすみなさいということで、小屋を失礼してテントに戻る。 テントの中に入ると少し暑かったので、シュラフはかけるだけで寝てしまった。  

易老渡登山口

 07/18(日)朝3:50起床。 晴れ。 少し飲みすぎたようだが、今日はもっとも標高差のあるルートを登らなければならないので朝食をつくりはじめる。 山岳用のそば。 のみすぎでもこれは胃によく入る。 テントを片付けて5:13出発。 青木さんが小屋の窓をあけて手を振ってくれた。 5:39易老渡の駐車場に到着。 車の荷物の積み替え(着替えと、酒の補充)を行い、登山届けを提出して、6:00橋を渡って登り始める。  駐車場にはすでに6台ほど車が止まっていたので、10名以上の登山者が自分より先に登っていると考えていいだろう。 じぐざぐにきった林の中を進んでいく。 6:39標高1065mの地点で一回目の休憩。 6:46出発。  やがて登り道はゆるやかになり、 7:36に1333m地点で第二回目の休憩。 アメを食べる。 7:42出発。  

面平

8:06面平到着。 うっそうとしているが、休憩にはひろい場所がある。 トイレをしていると後ろから登山者が近づいてくるのが見える。 ちょっとこばらがすいたのでカロリーメイトを食べた。 8:21出発。 坂をそこからあがり、やがて踏み跡があやしくなってきたあたりで、後ろからご夫婦連れに追いつかれた。 結構いいペースであるいておられる。 道を間違えたようではあったが、ご夫婦づれについていって、正しいルートに戻れた。 標高1600mの札をすぎたあたりから樹林がいったん薄くなり、シダの植生が多くなった。 9:01標高1706mの地点で休憩。 9:06出発。 そこからも尾根筋づたいで傾斜は結構厳しい。 9:53、1963mの地点で第五回目の休憩。 10:03出発。 2254mの三角点地点までいったら昼飯にしよう、などと思いながら、だんだ、荷物の重さがひしひしと感じるようになり、あまり足が前に進まない。 11:11やっと三角点の地点に到着。 これといって展望があるわけではないので、休憩して水分補給だけして易老岳までがんばることにする。 
 

易老岳(標高2354m)

易老岳到着。 ここは茶臼岳へのルートと光岳のルートとの分岐になっている。 昼食にレトルトのリゾットを食べた。 ラジオのBGMは中国語講座。 12:43出発。 ここからは稜線歩きである。 進む方向手前に光岳が見える。 こんなに下っていいのしまってから13:44三吉平で休憩。 13:49出発。 14:30に2413のピークをまいた道の途中で休憩。 14:39出発。  15:03、イザルガ岳に上る途中の水場で休憩。 光小屋では水を分けてくれないらしいので、ここで汲んでいかなければならない。 15:07出発。


イザルガ岳

15:22イザルガ岳の分岐。 若い女性2人組が降りてきたので展望はあるかときいてみたら、半分は見えているとのことだったので、自分も分岐に荷物をおいていくことにする。 15:34イザルガ岳山頂到着。 砂地の気持ちのいい山頂で展望も悪くない。 残念ながら茶臼方面はガスっている。 山頂には誰もいなかったのでセルフタイマーで写真を撮って、15:41出発。 分岐に戻ってふたたべ重いザックを背負って光小屋を目指す。 途中、面平で抜かしていったご夫婦連れとあった。 もう光岳も往復してきたのだろうか? 今日は、いけるところまでいって、テントを張るといっていた。 16:02、光小屋到着。 着く前に小屋のご主人の原田さんがお疲れ様と声をかけてくれたので最後ののぼりをふんばって、小屋について、テントの手続き。

光岳山頂

400円のテント場代と600円の缶ビールとを買ってテント場に行く。 まわりから若い人が来たと歓迎されたが、実際は47歳だというと意外にとられた。 となりで飲んでたおじさんは70歳でテントを担いでやってきている。 その体力に驚嘆させられ、さけとばをお分けした。 テントを張って、ビールを少し飲んだら、明日聖平まで行くんだったら、今日のうちに光岳に行かないといけないよ、光岩もいってごらん、きれいな青い花が咲いているから、といった外野の声におされて、重い腰をあげて16:44出発。 17:04に光の山頂に到着。光岳の山頂は、WEBに写真を載せている皆さんの写真のとおりの後ろが樹林というピークだった。 本当にここがピークなんですかと効きたくなるような目立たない山頂であるが、確かにこの手前もこの先も標高がそこより低いように見えるので最高峰だといえるのだろう。 

光岩(光石)

 時間が遅いので他に登山者がいないこともあり、 セルフタイマーで写真を撮る。 そのあと、そこから先の光岩までの道は樹林の中のじぐざくと下りてゆく。 途中、加加森山や池口岳への分岐の道がある。 さらに5分ほど下って17:11光岩に到着。ここからの景色は絶景。 岩の上に上がるには少しスリルがあるが、あがってしまうと360度の展望。  加加森山や池口岳の雄姿を見ながら、水割りを飲む。光岳山頂の西側に存在する光岩(てかりいわ)は2つの大岩体であり、高さは両者とも約50mほどになる。南太平洋でサンゴ礁として堆積したものが山脈の隆起により上昇したものと言われている。高山植物「ミヤマムラサキ」が可憐な花を咲かせていた。 

光小屋のテント場-夕日と富士山

17:30に光岩をあとにする。 17:58再び光岳の山頂で何枚か写真を撮って、18:10テント場の戻る。 18:15小屋の中の様子を写真に撮らせてもらう。 小屋の前のベンチに移動して、18:30EPIをつけて、アルファ米と湯煎の親子どんぶり。 みそしる。 つまみにさけとばとししゃもを食べる。 さすがに日が沈むと寒くなってきた。東方向には、 日没に映える富士山がきれいに見えた。  ナイターを聞いて20時就寝。


光岳は南アルプスの雄雄しい主脈を終了した南のはずれといえる。北は甲斐駒ケ岳から始まる南アルプスの2500m以上の稜線は、この光岳をもって終了し、本邦のハイマツの南限ともなる。 聖岳や上河内岳のような岩に形作られた展望のある山とまったく違い、樹林に守られた静かな高原という感じだ。 一方で、光岩は展望のよい南アルプスの最南端のサミットの様相を呈しており、ここから見る池口岳以南の景色は、稜線が光に映えて圧巻ともいえる。光岳に登る機会があればぜひ、光岩まで足を伸ばすことをお勧めする。  

(2010年7月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています