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甲斐駒ヶ岳
甲斐駒ケ岳

基本情報
1 山名 甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ)
標高 2,966m
山域 赤石山脈北部
都道府県 山梨県・長野県
位置 N35.45.29/ E138.42.12 
地図 昭文社 山と高原地図41「北岳・甲斐駒」
2万5千分の1地図「甲斐駒ヶ岳」
20万分の1地勢図「甲府」
7 山岳区分 日本百名山、甲信越百名山、山梨百名山、信州百名山
登山記録
山歩No 1770-10021
登山日 2010年8月28 日(土)~29日(日)
歩程 第一日 0時間15分
第二日 7時間45分
天候 晴れ
形態 日帰り
アプローチ 中央自動車道伊那ICより国道36-152号で戸台
パーティー 2人

甲斐駒ケ岳は日本を代表する山の一つであろう。 南アルプスの山というのは概ね人里はなれて奥まった山というイメージがあるが、この山は大学時代に中央線の車窓から見てとても近くに見えたのが強く印象に残った。東京から比較的近くていつでも登ることができるという思いが、逆に百名山を94座登り終えてこの山が残っている状況となった。 黒戸尾根を上がるというクラシックな登路を考慮してずいぶんそのルートにも惹かれたが、結局、時間的な制約から北沢峠からのピストンということになった。

伊那から高遠城城址公園

8/28(土)朝5:30起床。 6:35家を出発。今日は車で戸台まで行って登山口の北沢峠まで入るだけである。 さはさりながら、やはり夏休み最後の土日ということもあり渋滞が懸念されたので早めに出発することにした。 8:22国立府中ICから中央高速に乗る。 渋滞はしていたものの比較的順調に進み、 11:11諏訪湖SAに到着。 そこで昼食休憩とする。けんちんそばを食べる。伊那ICで下りた後、少し走って 12:50高遠城跡を見学する。高遠城は戦国時代、武田信玄の家臣であった山本勘助が縄張りした堅城で、コヒガンザクラの名所だ。 、 時間がないのですぐ、目的地の戸台にむけて出発。 13:20戸台の仙流荘到着。河原にある駐車場は2箇所あるので、結構な台数が停められる。 われわれが着いたときには50%ほどの駐車率だったろうか。荷物の準備をしてバスの待合所に行く。 10名ほどの列ができていたがなんとか14:00に最終のバスで北沢峠へ。 

戸台からバスで南アルプス林道を北沢峠まで

バスは、29人乗りのマイクロタイプ。 一旦、仙流荘を出ると、戸台大橋で、ゲートを渡って、南アルプススーパー林道を北沢峠へと上がっていく。 戸台大橋から先は一般の車は入れない。 林道とはいいながら舗装道路なので、バスの乗り心地はさほど悪くはない。 順調に高度を上げていく。 アナウンスが流れ、ちょっとした観光ガイドを放送してくれる。 日本列島を北東から南西の方向に連なる断層である「仏像構造線」についての紹介や、 南アルプス北部に自生するマツバタテブキ・レンゴウソウといった植物についても紹介してくれた。 歌宿はバス停にはなっているが実際、ここで乗車する人も降車する人もいなかった。 戸台川をはさんで反対側には、鋸岳の姿が悠然と見えていた。大平山荘前では、仙丈ヶ岳に登ると思われる数人の登山者がバスを下車していった。 山荘の前はたくさんの人がくつろいでいる様子がバスの窓から眺められた。 やがて、バスは北沢峠に到着。仙流荘からほぼ1時間であった。長衛荘の前を通ったが、25年前とは少しイメージが異なっていた。 おそらく、リニューアルしているのであろう。 小屋の前ではこちらも、大平山荘同様、生ビールを片手にくつろいでいる人たちが見られた。 

北沢駒仙小屋テント場

 そこから15分歩いて、北沢駒仙小屋へ行って、テントを張る手続きをする。峠からは下りなので、重いテントを担いでいてもさほど苦にはならなかった。 テント場は大繁盛ぶりで、前年に北岳に登ったときの白根御池小屋のテント場を彷彿させる賑わい。 水場に近いエリアはもう満員御礼という感じ。 沢の下手に降りたところに数張り程度のスペースが残っているという有様だった。 隣のテントの単独行の方に挨拶おしてテントを設営。 夕食は、ハヤシライスと前もって途中のコンビニで調達しておいたサラダ。 ビールを飲んで機嫌よくなったところで、隣の単独行の方といろいろ山の話をする。 夕方、トイレに出たときに、テントのすぐ近くまで野生の鹿が近づいていたのでぎょっとする。 テレビで仙丈ヶ岳の高山植物がずいぶんと鹿の害にやられているときいたがこの話を身近に感じた一瞬だった。 20;00就寝。 

出発-北沢峠

8/29(日)朝3:50起床。 まわりのテントの人々もそろそろ起きだしてきている。  朝食はカップうどん。 今日は、甲斐駒の山頂をアタックして、再びこの北沢駒仙小屋に戻ってくるコースなので、テントはそのままにして5:10歩き出し。日の出の時刻は過ぎているが、山間なので、まだ暗い。 5:35北沢峠に備え付けられたきれいなトイレで用を足して、ゆっくりペースで歩き出す。6:01、尾根上で休憩。 6:11出発。 うかつにも出発のときに、GPSのスイッチを入れるのを忘れていたので、テント場からここまでの軌跡が記録されないままになってしまった。  
  

双児山

北沢峠で標高が既に2030mあるので、今日の登りは、あと930mということになる。 1時間300mのペースで登ることになるのでそこそこの急坂である。 幸い尾根上を進んでいるので、自分の歩いているのがどこなのかがわかりやすいコースである。 7:04双児山の登りの平坦部で休憩。 7:12出発。 7:33双児山到着。 ミニ三脚を出して 写真を撮る。 ここまでは樹林の中の登りであったが、このあたりから森林限界で大きな木はなくなって岩場と砂地の稜線を歩くことになった。 太陽が昇り始めて次第に日差しが暑いと感じられるようになってきた。

駒津峰

 8:30駒津峰到着。歩き出しから約3時間のこの地点は、眺めもよく、かつ仙水峠へ下山するルートとの分岐になっていることもあり、休憩にはうってつけの場所である。今日は登山者が相当数入っているようで、座るところを探すのに苦労するほど、この峰の頂も混雑している。栄養分補給のために、 水を飲んで、クッキーを食べる。 8:49出発。道は次第に砂地の登りになって、左手に駒ケ岳の姿がよく見えるようになってくる。  9:57、魔利支天が見えるところで休憩をする。  

甲斐駒ヶ岳山頂

  10:04出発。ここからが意外に長かった。魔利支天との分岐を左手に登り道をとると、一歩ずつ山頂が近づいてくる。 双耳峰になっており、北側のピークにも人がいるように見えた。 10:38、甲斐駒ケ岳山頂に到着。たくさんの人が集まっている南側が三角点のあるピークだろうと先にそちらによって山頂で万歳写真。、 八ヶ岳や北アルプスもきれいに見える。 富士山はガスがかかりはじめた。 山頂でラーメンを作って、三ツ矢サイダーで乾杯。 山頂には一等三角点がある。 この山は一等三角点百名山にも認定されている。 

駒ヶ岳神社

山頂からの眺めは申し分ない。南西には自分たちが登ってきたルートがしっかりと見えている。 まだまだたくさんの登山客が駒津峰から上がってくる様子が見える。 北沢峠をはさんで仙丈ヶ岳がすぐ近くに見える。 甲斐駒ヶ岳の勇壮な岩の姿とは対照的に、仙丈ヶ岳は、カールが山頂近くに伸びて柔軟な線の山すそを作っていて女性的な姿だといえる。 南東にはこれから下る仙水峠からアサヨ峰、その先には早川尾根の先に鳳凰三山が続いている。 北峰には駒ケ岳神社があり、大きな鉄柱に大国主命と字がきざまれている。その先にまるで稜線でつながっているかのように八ヶ岳の赤岳・横岳がくっきりと見える。神社でおまいりする。

仙水小屋

 11:44下山開始。魔利支天は時間がなかったので寄らずに降りる。何しろ16時に最終バスには乗らなくてはいけない。 12:49駒津峰到着。 水を飲んで休憩。 12:55出発。 下りは少し慎重におりていたので、思ったより時間がかかってしまう。 14:05出発。  13:57仙水峠到着。たくさんの人が休憩していた。携帯電話をなくしてしまった登山客がいたみたいで、皆が探してあげていた。 同行者はトイレをこらえつつ下山。仙水小屋までがまんといいきかせる。 14:37仙水小屋に着いたが、公衆トイレはありませんという立て札がたっている。 絶望的な思いにうちひしがれながらも仕方がない。 さらに下っていく。 

駒仙小屋-下山

15:00、北沢駒仙小屋到着。 やっと、トイレをすませてすっきり。 テント場にもどって、荷物を撤収して、15:35に大きなリュックをかついで、北沢峠への最後の登り。到着。 16:00のバスの乗れた。 バスは満員だったので、荷物を膝の上にに抱けといわれてつらかった。 膝の上の荷物は重かったが、歩き疲れていたのでバスの中では昼寝をした。 16:45に仙流荘到着。 バスをおりて、荷物を車につみこみ、Tシャツを着替えて、17:13出発。 途中、夕飯は伊那ICの手前でMACに寄った。 を食べたいというのでチーズバーガーのセットと月見バーガーのセットを買う。 18:00に諏訪SAでガソリンを入れる。 あまりにも車で混雑しており駐車するスペースがないので、そのまま出発。 19:20、境川PAについて、マックと食べて、龍馬伝を見て時間をつぶす。 渋滞がひどいもよう。 21:50意を決して出発。 大月から先、小仏峠まで渋滞。 24:15に高井戸ICを出た。家に着いたら24:45だった。   


甲斐駒ヶ岳は噂にたがわぬ素晴らしい山であった。 登るルートから見る山もダイナミックであるが、山頂から見た景色も一級品だと感じた。 実質的な南アルプスの最北端であり、一方で、独立峰のような姿も合わせて持っている。ある意味で、駒仙小屋のテント場をベースキャンプにしてこうして3000m近いアルプスの峰にピストンでこれるという手軽さも都会に住む山を始めたばかりの人にもとっつきやすく感じられるのではないかと思う。 私のように、登山歴32年で初めて甲斐駒ヶ岳に登るという人もかえって珍しいかもしれない。 
(2012年3月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています