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木曽駒ヶ岳
木曽駒ケ岳

基本情報
1 山名 木曽駒ケ岳(きそこまがたけ)
標高 2,956m (一等三角点補点)
山域 木曽山脈北部
都道府県 長野
位置 N35.47.22/ E137.48.16 
地図 昭文社 山と高原地図40「木曽駒・空木・中央アルプス」
2万5千分の1地図「木曽駒ケ岳」
20万分の1地勢図「飯田」
7 山岳区分 日本百名山・花の百名山・甲信越百名山・信州百名山・一等三角点百名山
登山記録
山歩No 1740-15015
登山日 2015年7月19 日(日)~7月20日(月)
歩程 第一日 8時間
第二日 1時間30分
天候 曇り・雨のち晴れ
形態 前日発1泊小屋1泊
アプローチ JR中央西線木曽福島
パーティー 6人

 木曽駒ケ岳に登るのは実に29年ぶりである。 1986年のゴールデンウイークにたった一人で中央アルプスの縦走にトライした。 勤めをしていると長い休みはとりにくい。 かといって、天気は自分の都合に合わせて良くなってくれるわけではない。雨の中を新幹線に乗り名古屋から駒ヶ根まで高速バス、千畳敷からロープウエイに乗り、雪原に付けられた登路をひたすら上がった。あれから29年、再びこの山を訪問することになった。山岳部のメンバーと合流である。 

木曽駒高原ヒュッテ奥原着

 7月18日(土)本来であれば前日金曜日のうちに木曽福島の宿に入り、今朝から登り始めるという手筈だった。 しかしながら台風11号が接近・西日本を縦断して日本海側に残るという天気予報を受けて計画は一日後ろ倒し、この日は移動日のみとなった。 13:44の新幹線で名古屋に移動する。 そこから中央西線のスーパーワイドビューしなのに乗る。 台風は通過したのだが湿った雲が流れ込んでいるという影響で空はすっきりしない。木曽福島の駅で、H.H氏とA.D氏、その夫人の3名と合流、本日の宿泊施設であるヒュッテ奥原へ入る。 風呂に入って、あがってくると、T.Nさんとそのご主人が到着。 いつものように宴会となった。

登山口スキー場駐車場

 翌日7月19日(日)朝5:00に起床。 朝食に宿屋のおかみさんがつくってくれたおにぎりを持って出発。 ヒュッテ奥原に車を停めさせてもらって、福島Bコースを登っていくことにする。 一点不安だったのが沢を渡るところである。 橋もないところなので増水していたら渡れないだろうと宿の人はいっていた。 少々不安である。 6:20、ポリタンクに水をつめて出発。 ヒュッテ奥原ですでに標高1200mくらいはある。 6:30木曽駒ケ岳2合目の案内がある。 車道に沿って上がっていくと数台の車は自分たちを追い越して行った。 今日登る人も結構いるようだ。 空はうす曇りである。
 

福島Bコース登り口

 ヒルトップというスキー場の大きなロッジを越えるとそこが駐車場の最終地点となっていた。 幾人かのハイカーが出発の準備をしていた。 林道の中を進んで6:48、道が二つ分かれた。 ここが茶臼山を経由して駒ケ岳の北東稜線にとりつくルートと西稜から木曽駒ケ岳にとりつくわれわれの福島Bコースとの分岐である。 われわれは進路を右手、南東にとって進む。 しばらく林道を歩いているが、前から登山客が戻ってこないところを見ると難所を思われた渡渉地点は普通に通過できているということだろうか。
 

四合目で休憩

 ゆっくりペースの自分は今日もトップをまかされていつものようにのんびりと進んでいく。 今日は6人パーティーという最近の山岳部ではないちょっとした大人数の登山隊である。林道がおわり例の渡渉地点にやってきた。 堰堤があり、その上部を巻いたところで沢を渡るので水流はゆるやかになっているが橋も渡し木もないので確かに難所だ。 3日前からの台風11号はのろのろと時速15kmほどで進み四国に上陸、岡山県を通過して境港から日本海にぬけた。 中国四国と近畿地方に相当の雨を降らしてったので。 渡渉地点でも水かさを増しており、飛び石で渡るのに少し難儀をした。リーダーが少し登山靴をぬらしたが無事にわたることができた。 8:05急な坂を登った途中が4合目で、そこで少し休憩をとる。 

力水

 飴玉をほおばりながら途中登ってきたが、 朝食をまともに食べていないこともあってヒュッテ奥原のおかみさんが握ってくれた握り飯をほおばる。 昨日おかみさんと娘さんが、サランラップでつつむかアルミホイルでつつむか議論をしていたがアルミホイルでつつんでくれたことで食べやすかった。 一方、夏場で米が痛まないにとの配慮でしっかり塩を振ってくれていたので少々のどのかわく握り飯の行動食となった。 40分ほど進むと、4合半力水という休憩場所に到着。 水量はさほどではないが途中で飲んであいてしまった500mlのペットボトルを再度充填するのには好都合だった。10分休憩して出発。

六合目で休む

 9:40五合目通過。 ほぼほぼコースタイム通りに歩くことができている。 さすが木曽福島からの表玄関ルートだということもあり、道は道標を含めてしっかり整備されており危険なところもない。 10:05 6合目に「ちょっと一休み」と書いた立て札があったものだからしっかりそこでも休憩してしまった。 


七合目避難小屋

 10:57に7合目の避難小屋に到着。ここにはトイレが二つあり片方が冬期用、片方が夏期用となっていた。 当然夏期用のほうを使わせていただいたが簡易水洗になっておりとてもきれいなトイレだった。 避難小屋自体ものぞいてみたが、中は木造りの寝室スペースがあり10人くらいは余裕で寝られそうだった。 できてまだ新しいのかきれいでおそらくこの小屋を使って登山しても快適だろうなと思わせるに足る小屋だった。 当初はここで昼食にしようかと思ったが、 まだ少し時間が早いこととみな途中で塩辛いおにぎりを食べてそこそこに腹ごしらえをしていたので、すっとばして先に進むことにした。
  

八合目

 7合目を出るころから雨が降り始めた。 レインスーツを着て歩く。 予報では午後から雨となっていたので仕方がないのか。 まだ日本海にいる台風の影響で湿った空気が流れ込んでいるとのことだ。7合目をすいてからはルートが中央アルプスらしい岩稜の間を進むコースとなってきた。 傾斜もゆるやかになってきてところどころトラバースするようにアップダウンがある。 山姥岩という大きな岩の下を通り、 12:19に八合目に到着。 折から雨が少し激しくなってきたので、残念ながら昼食は食べずにそのまま進むこととなった。

雪原

 8合目を過ぎると大きな岩を通過。一面の雪原が現れて、そこをトラバースする。 赤いテープが張ってあるのに従って進むが視界が悪いので、途中二度ほど道を見失いそうになる。 12:48雪原の中で写真を撮る。 ここが8.5合目のあたりだろうか、標高はさほど上げていないが、雪原を抜けると砂礫の中をひたすら登る道になってきた。 もはや森林限界の上に来ているようでブナ林ははるか下に見えている。 こうなると上が見えるだけに気になるのだが、本日は天気が悪いこともあり上はガスっていて見えない。 二番目を歩いているK.Dさんが少し遅れがちになる。 あとできいたら「だれか休憩するって言ってくれー」とこころの中で泣きながら登っていたらしい。 急な坂の先に小屋が見えてきた。9合目の玉ノ窪小屋だ。

九合目玉ノ窪小屋

 13:50に玉ノ窪小屋に到着。 中に入って休憩させてもらう。 学生の10名ほどの団体と、われわれを途中で追い越して行った健脚の若い男性3人組が休んでいた。 われわれも雨具を脱いで土間でEPIガスに日をつけて湯をわかしラーメンをつくることにする。 冷えたからだに温かいラーメンは生き返る思いだった。 ひとごごちついて14:40に小屋を出る。ぬれた手袋をはめるのがかなり抵抗があった。 さあもう少しで山頂である。 ここからの稜線は風が強くなっているので要注意である。 山頂まではロープがあってルートを外さないように気をつける。

木曽駒ケ岳山頂

 20分ほど歩いて15:25に、頂上木曽小屋に到着した。 本日宿泊の宿である。 29年前には千畳敷から宝剣山荘を経てここにたどりついたが、今回は木曽福島の麓のコースから標高差1600mを上がってきたので感慨深い。 小屋の前で、リーダーと相談してとにかく今日のうちに山頂へ行ってしまおうということになる。 山頂まではおよそ10分の道のり。 15:40駒ケ岳神社の社が見えた。 ついに2956mの山頂にたどりついた。 視界はゼロ。 かなり強い風が吹いているので三脚を立てて全員写真を撮るのにも苦労したが、とにかく登頂は登頂である。 自分は二回目であるが、残りの5名のメンバーはみな初めての登頂である。 特に、リーダーのH.H氏はこれで日本百名山を97座登頂したことになった。 感慨はつきないが寒いので10分ほどで下山。


頂上木曽小屋

 今日の宿泊は頂上木曽小屋である。 親切なご主人に案内されて食堂のストーブでレインスーツを乾かす。 夕食まで間があるのでEPIに火をつけてコーヒーを飲む。 そのうち、コーヒーだけでは物足りなくなって湯をわかして焼酎を飲み始めた。 17:30から夕食なので、食堂を出ていったん部屋へ戻る。 夕食はしっかり煮込んだカレーライス。 野菜がたっぷり入って満足でお変わりもした。 ワインのもてなしもありすばらしい小屋での一夜となった。 

千畳敷お花畑

 7月20日(月)今日は祝日。 いわゆる海の日である。私はT.N夫妻とともにその日のうちに下山。 翌日も休暇を取っているA.D夫妻とH.H氏は空木岳まで縦走することになっていた。 昨夜のうちに作ってもらった弁当を食べて出発は4:57。 小屋を出たときはまだ雨が降っていたがそれよりも強風が気になった。 木曽側から吹き付ける風はかなり強く縦走で宝剣岳をこえるのは危うい感じがした。6:03宝剣山荘到着。 普段のシーズンであれば千畳敷からロープウエイで上がってきた登山者でにぎわうところであろうが、ベンチに座って休んでいる人も少なかった。 宝剣縦走は断念し、千畳敷までいったん下ることにする。 


コマクサの湯から見る宝剣岳

 不思議なことに山荘から少し伊那側に行くと、ほとんど風はなかった。 千畳敷の下りはさすがに連休だということもあり登ってくるハイカーでごったがえしていた。 ハクサンイチゲやミヤマキンポウゲのきれいな高山植物に目をうばわれながら、およそ50分の下りを歩く。 29年前にここを登った時は一面の銀世界だったのに。 千畳敷について、パーティーは解散。 自分は帰京組3名の1員としてT.N夫妻に同行してロープウエイに乗り込む。 10時に「コマクサの湯」が開店するのを待って朝ぶろをあびて、路線バスで駒ヶ根ICへ。 T.N夫妻と分かれて名古屋経由で帰った。 帰るときにはすっかり天気は回復して、高速道路からは南アルプスがきれいに見えていた。



 29年という歳月を経て登った山であったが、今回も残念ながら天候に恵まれずに終わった。 雨にたたられて景色が見えなかった百名山というのは他にもあるが、これはまた来いよという合図なのかもしれない。 そういえば中央アルプスの主稜線に登って天気が良かった記憶がまるでない。まあ、またチャレンジするしかない。

(2015年7月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています