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大雪山
大雪山

基本情報
1 山名 大雪山旭岳(だいせつざんあさひだけ)
標高 2,291m (一等三角点)
山域 石狩山地
都道府県 北海道
位置 N43.39.48/ E142.51.14
地図 昭文社 山と高原地図3「大雪山・十勝岳・幌尻岳」
2万5千分の1地図「旭岳」
20万分の1地勢図「旭川」
7 山岳区分 日本百名山、北海道百名山、花の百名山、一等三角点百名山
登山記録
山歩No 2010-12040
登山日 2012年10月08 日(月)
歩程 4時間25分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 道道1160号旭岳温泉
パーティー 1人

 大雪山旭岳は実は2007年の7月に一度登った。 今回はまったく前回と同じルート、姿見までロープウエイを使ってのピストンである。 今回は特に、日本で一番早く紅葉が始まる大雪山というのにこだわった。 2012年秋の北海道単独遠征の最後の日、三日間で最も天気の恵まれる予報だったので、秋の大雪山を自分の目でどうしても見てみたくて上がってきた。 

旭岳温泉湧駒荘

 2012年10月7日(日)念願の天塩岳を登り終えて、翌日の旭岳を目差して、旭岳温泉宿泊を決め込む。 もちろんテントである。 キャンプ場が開いているかどうか定かではない。 国道101号をさらに進み協和温泉の前を通って旭川紋別自動車道をくぐり当麻町から東神楽町へ出る。 東川町のSPARに車を停めて晩飯の惣菜(と飲み物を調達する。ごみを捨てて、ナビの示すとおりの旭岳温泉を目差す。忠別川沿いに行く途中で道の駅でトイレを使う。 旭岳温泉までの登り道は結構な数の車が走っていた。 17時55分、ホテルベアモンテに到着して。 車の中でお風呂セットと着替えを出していたら、ホテルの従業員の方が来て、荷物を運ぶのを手伝いましょうかといってくれた。 すみません宿泊客ではないのですが日帰り入浴はできますかと質問したところ。 このホテルでは16時までしかやっていないが、この時間でもやっているところを探してあげますといってくれた。 フロントまで行って、確認してもらい、白樺荘と湧駒荘は19時まで入浴できますよと教えてくれた。

湧駒荘「神々湯」

  湧駒荘まで一度車で400mほど下りる。600円をフロントで支払って別館「神々の湯」へ行く。高い天井のりっぱな造りの湯だった。 露天風呂は少し温度が低くて長く使っていることができなかったが2つある内風呂は適温で気持ちがよかった。 掛け流しの温泉に気をよくしてホテルの入り口で水を飲んだ後、従業員に明日ロープウエイは何時から動くのかと質問いしたところ、7時からだという答えが返ってきた。ちょっと微妙な時間だ。 明日12:30にレンタカーを返却して13:25の飛行機に乗ることを考えると、朝旭岳に登るというのは少し難しいかもしれないと思いつつ、車を出して今夜の宿泊地である旭岳青少年野営場へ向かう。

旭岳青少年野営場

  管理棟の前まで車を入れたが、管理人がいる気配はない。 管理棟の前にひとつ小さなテントが張ってあるのが見えた。中央広場にはキャンピングカーが一台停まっている。 中央広場の奥のほうでは火をたいて食事の用意をしている2人組が見えた。 そこから10mくらい離れたところに車を停めて、彼らのところまでもどって「すみません、このキャンプ場今日は営業しているんですか?」と聞いてみたがすぐに返事がない。 暗がりの中で表情を伺おうとすると道理だ。 彼らは日本人ではないようだった。「少ししかしゃべれません」といわれたのでそこから英語でやりとりをした。 聞くと彼らが到着したときは管理人はいたらしいが帰ってしまったそうだ。ご出身はカナダで岩見沢に住んでいるが弟がカナダからやってきたから2人で大雪山に登るつもりだといっていた。結構な話だ。 しばし、日本の山の良さをアピールする。 ちょっとした外交大使にでもなった気分だ。彼らにGood-Nightといって離れて自分のテントの設営。 19:20いつものように一人宴会の開始。 チューハイを飲んで気分がよくなったところで今夜は賞味期限切れ寸前のラーメンを主食とする。天の川がはっきりと見える星空だった。 21:30就寝。 (写真は翌朝撮影のもの)

旭岳ロープウエイ旭岳山麓駅

 10月8日(月)朝5:30起床。 明け方一度目が覚めてトイレに行ったがそれ以外はぐっすりと寝ることができた。 もう十分に明るくなっている。テントの中で湯を沸かし、てんぷらそばの朝食を食べる。 このキャンプ場はきれいな炊事場があるのだが水が出なかった。 水がでないということはやはりもう営業期間ではないということだろうか。 ただ、トイレは水が出る。 センサーの電灯もついていて快適だ。 天気予報をラジオで聞くと、今日は午前・午後とも北海道ほぼ全域で降水確率ゼロパーセントで絶好の行楽日和となるようだ。6:47に車を出発させる。 ロープウエイ駅の駐車場に向かってずいぶんと車が上がっていく。 駐車場は有料駐車場と無料駐車場があったが、無料のほうはほぼ満車になりかけていた。最後の1台というような状況で、大型キャンピングカーの横に停めることができた。 荷物を準備してロープウエイの駅に行く。

ロープウエイ乗車-中腹の紅葉

 往復2800円でチケットを買う。(ちなみにこれはトップシーズンの料金で10/21を過ぎると1800円になる。) 係員の人がしきりに山頂姿見の駅のトイレは水不足で使用できません。 下の駅でお済ませくださいと訴えている。7:00にロープウエイは出発。 これが始発だろうと思ったが、どうも、それより前に1-2台運行していたようだ。 標高1100mの山麓駅から標高1600mの姿見駅までわずか9分で運んでくれるというのは便利だ。車窓からは森林限界の境界が見られる紅葉がきれいなところがどこなのかよくわからなかったのでロープウエイで乗り合わせた大きなカメラを持った男性に聞いてみる。 裾合平もいいが、本当にきれいなのはもっと先だと言われた。 残念ながら今日はそこまで行く時間がない。

姿見駅遊歩道の池に氷

  姿見の駅で降りると登山届けを提出するところがあった。。 たくさんの登山者がいる。 外に出るとすぐ横の湿原はきれいに氷が張っていた。 見ると旭岳の山頂は雪をかぶっている。 昨日初冠雪を記録したようだ。とりあえず第一展望台経由で姿見の池まで言ってみる。 ガイドブックにはここから旭岳山頂まで2時間と書いてある。 天気は雲ひとつない快晴でやはり登ってみたくなった。 2007年に登っているのであえて今回は山頂に立つことは目標にはしないが、この5年前の登山のときは雲が多くて360度の大展望というわけには行かなかったが今日は眺めがよさそうだ。

姿見の池

  昨日、天塩岳に登ったときにご一緒させてもらった3人組の中のお一人が、本州の人は大雪山ロープウエイで姿見の池まで来るとどうしても旭岳に登りたくなっちゃうみたいですよ。 山ヤの性ですね。といっていた。私も結局、ここまで来た目的は紅葉狩りだったのだが、紅葉を上から見下ろしたいものだと理屈をつけて旭岳に向かって歩きはじめていた。 時刻は7:26。 エアリアマップのコースタイムではここから2時間半となっているので、まともに上がって山頂が9時半になるだろうか、下山して11時だとレンタカーを返却する時間がぎりぎりになるなと不安はありつつも、とりあえず9:30になっても山頂についていなかった場合はその時点で引き返そうと決断して進んだ。

強風の稜線

 標高1800mの地点まで行く。 このあたりに来ると右手にトムラウシや十勝岳の姿がきれいに見える。結構ペースを上げて歩いたので自分より前には数名しかもういないようだ。 噴煙を左手に見る稜線の上に出ると、かなり風が強い。 後ろから歩いてきている人がザックのファスナーがあいていますよと注意してくれたのだが、風で音が消されてしまい、かなり近づいてくるまでよく聞き取れなかった。8:13ここまでGPSの電源を入れるのを忘れていたのを思い出し、リュックを置いて少し休憩。 電源も入れる。 風は相当に強く、結構歩くのにも支障がでるくらいだった。 中には登頂をあきらめて下山してくる人もいた。稜線からは金庫岩が次第に近づいてくるのが見える。岩の近くまで来るとルートは少しごつごつとしーた岩のトラバースを越える部分が出てきた。

初冠雪

 標高は2140m。 ここからは昨夜降った雪の後が残っていた。 雪は風で飛ばされているので岩陰に残っているという感じであった。 大きく南斜面を巻いていく登りになるとニセ金庫岩のある9合目まではあとわずかだ。 降った雪はエビの尻尾のようになり、キラキラと輝いている。 こんな光景は後にも先にも見たことがない。 

旭岳山頂

 8:43山頂に到着。コースタイム2時間半のところを半分のわずか1時間15分で来てしまった。 気温は低いし風も強い。それでも数名の方が山頂にはいた。 展望は申し分ない。 文字通り360度の大パノラマである。南にはトムラウシがその独特な姿を見せている。その右側に十勝岳が秀麗な形でそびえている。 南東の方角には二ペソツ・石狩岳があり遠くは日高山地の山まで見えている。北には比布岳や中岳がある。驚いたことに北西には利尻山と思えるコニーデ型の山も見えた。 北海岳のほうから縦走してきた人も旭岳の山頂に到着していた。 こちらの人たちは小屋またはテントどまりだからであろう結構な荷物を担いでいる。気温が低く風にあたっているとどんどん熱を吸い取られるので8:55下山を開始する。

下山-第五展望台

自分は早めに山頂についたが下山のときにはたくさんの登ってくる人にルートを空けながら下りていった。冬山の重装備をしている人もいれば本当に遠足に毛の生えたような軽装の人もいる。 ただ、総じて本州に比べて中高年の方が少ないように感じた。 やはり季節が季節だからであろう。9:57第五展望台に到着。 ここで登ってきた旭岳をバックに写真を撮ってもらった。 姿見の池で愛の鐘を鳴らしてみて、石室も中に入って見学してみる。非常時以外は宿泊禁止と書いてある。 外国人の訪問者も多いのだろう。横に英語でThis is prohibited to use fire.と書いてあった。 どう考えても正しい英語はIt is prohibited to use fire.であろう。

チングルマの綿毛

もう少し噴煙の近くまでいける展望台があったのでそちらにも寄ってみる。 水蒸気を上げている姿はなかなか見ごたえがあった。 帰りは周遊散策路を左回りで進む。 途中、チングルマの綿毛がきれいなところがあったので写真を撮る。ロープウエイのパンフレットには「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)と書いてある。確かに旭平周辺の散策路はすばらしいところだ。 前回、7月に来たときには高山植物の美しさに眼をみはった。 今度は、花は無いが紅葉、特にチングルマの赤い葉と白い綿毛が作り出す景色をこのような群落で見たことがなかったので、思わず列にならんでシャッターを押していた。

ロープウエイ下車-大渋滞の旭岳温泉

10:30に下りのロープウエイに乗車。 先ほどよりも太陽が高くなっているので特に黄色の紅葉が眼に映える美しさだった。 9分間、紅葉をたっぷり楽しんだ。 ロープウエイの駅を出て駐車場まで歩くと、駐車場待ちの車の大行列ができていた。 予定どおり10:48に車を出発させる。 反対車線登りの大渋滞は概ね1km以上は続いていただろうか。 ただ、私のようにこのような早い時間に山を下るほうは少ないようであっさりと道道1160号を忠別川沿いまで下りることができた。途中、大雪遊水公園に車を停めて残ったパンを食べて昼食とし、車を返却する前にパッキングを整えた。 12:35にガソリンを満タンにして12:40に日産レンタカーの旭川空港営業所に車を返却。 空港まで送迎してもらい、13:25のANA4758便で羽田に帰った。     

 二度目の訪問となった大雪山旭岳であるが、山頂に立ったとき、本当に登ってきてよかったと思った。 北海道の屋根にふさわしい、その名に恥じない展望ですべての周囲の北海道の山を見せてくれた。あわせて、北海道の山はもうこの時期には冬山になるのだというのも身をもって感じた。 100名山を1つ、200名山を1つ、300名山を1つ今回の遠征で登ったが、どれも味のある山で満足の行く山行になった。
(2012年10月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています