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花山院・有馬富士

基本情報
1 山名 東光山(とうこうざんかざんいん)
寺名 花山院
通称 菩提寺
都道府県 兵庫県
位置 N34.55.26/ E135.13.50 
住所 2万5千分の1地図「三田」
20万分の1地勢図「京都・大阪」
7 区分 西国三十三箇所
参拝記録
山歩No 8270-11036
登山日 2015年3月28 日(土)
歩程 3時間30分
天候 晴れ
形態 日帰り
アプローチ JR福知山線三田駅より神姫バス「花山院」下車
パーティー 1人

 東光山花山院(菩提寺)は番外札所である。 西国巡礼中興の祖である花山法皇の隠棲の地である。 花山法皇が、京都の元慶寺で不毛の出家をした。その後、比叡山や書写山で修行を積み、正暦5年(994)巡礼のなかに見つけたこの場所を隠棲の地として草庵を結んだ場所である。41歳で亡くなった後、 法皇の菩提を弔う寺になりかつては花山院に参ってから巡礼に出たという。ハイキングガイドブックでは、この寺と有馬富士がセットでコースとなっているので、今回は3-4時間を使って足慣らしをすることにした。  

三田から神姫バス乗車

 3月28日(土曜日)朝、会社に行って棚卸の立会をする。 今日は本当番ではなくあす29日に関西で棚卸なので、基本今日は移動日である。 10時半に出発。 静岡から新幹線に乗る。 昼食は新幹線の中で摂ることになる。 静鉄ストアで昼食の筍ご飯弁当とカニ風味サラダにビールと酎ハイを買う。さすがに春休みの新幹線。 結構、乗客がいる。 13:00に新大阪に到着。 ここから三田までは意外とかかる。新快速で尼崎へ行き、丹波路快速で三田へ。三田駅に到着したのがちょうど13:59。新大阪で新幹線を降りてから1時間が経過している。 駅でコインロッカーを探したが見当たらなかったので、そのまま神姫バスの乙原行に14:10乗車。昼間のバスなのですいていた。 20分ほどバスに乗って花山院の停車場で降りる。一人、参拝客と思しき人がいるので後をついていく。 道標に従い急な坂を上がる。この坂道は、琴弾坂というらしい。

宗像神社

 大河ドラマなどで法皇と言えば、えらい高齢のイメージがあるが、この花山法皇が出家したのはわずかに19歳のときのことである。隠棲した花山法皇を慕い、弘徽殿女御の遺骨を胸に、都から何人もの女官が移り住んだ。彼女達は女人禁制の山には入れないので、坂の途中まで来て、法皇のために琴を爪弾いたことから、この坂を琴弾坂というとのことである。登りだした左手に法皇をまつる宗像神社がある。そういえば、山科の華頂山元慶寺も花山法皇を祀る番外の寺になっている。

菩提寺本堂から見る中庭

 お参りをして、それからさらに坂をまだ上がる。 7丁の石標があるあたりでだいぶ疲れてきた。20分ほど歩くとやっと山門が見えてきた。山門の前が駐車場になっており、マイカーならばここまで入ることができる。山門をくぐると記念塔があり、法皇の墓所がある。歌を詠んだ碑もあった。本殿でお参りをする。靴を脱いで上がると、ご本尊がある。如来像と法王のの像もあった。本堂でお参りしたあとは隣の薬師堂にお参りする。 
  

七地蔵尊

 薬師堂の隣には幸せの七地蔵尊がある。 それぞれの地蔵の右手にしっかり握手をして、幸運を祈るとよいと書かれている。 納経所によってご朱印をいただく。 やはりまわりの方は、西国三十三ヵ所めぐりをしている方ばかりである。 静岡から巡礼姿で来られた女性二人組もおられた。 

境内から歌に詠まれた景色(HPより画像引用)

 「有馬富士、ふもとの霧は海に似て波かと聞けば小野の松風」 境内から見る景色はすばらしい。 正面南側に有馬富士の秀麗な山容と、右手に千丈寺湖が見えている。 今日は晴れており景色も抜群である。遠くに小豆島も見えている。 参拝が終わって石段を降りながら見上げるようにして撮った山門の写真もまた見事であった。石段を降り切ると、そこから来るときバスを降りた花山院を通りすぎて、いざ、ハイキングのスタートである。 まずは尼寺の十二妃の墓を訪れることにした。

十二妃の墓

 女官達が移り住んだ麓の町を尼寺(にんじ)といい、寺尼寺の集落には、弘徽殿女御の五輪塔を中心に11基の石塔が並んでいる。十二妃は先に記載したように、花山院で隠棲生活を送っている花山法皇を慕って、京都を出て花山院の麓に尼寺を造り移り住んだ女官たちのことである。墓は田から少し分岐を入ったところにこんもりと土が盛り上げてあり、竹垣の中に五輪塔が立っている。 墓の入口に当たるところには「花山天皇 十二后之墓碑」の木札が付けられており、花山天皇には十二人の皇后が居たような表現になっている。 

花山の湯を出発---有馬富士を目指す

 有馬富士温泉花山の湯は、県道32号線を南に花山院のバス停から10分ほど歩いたところにある。 目印はゴルフ練習場のネットである。 100%天然温泉水を利用しているということなので、ここでひと風呂あびようと考えていた。 したがって翌日の出張の衣類や靴が入ったカバンをまず預けていくことにした。 あとで、風呂に入るからハイキングに行く間に荷物をロッカーに入れられないかと受付で聞くと、快くOKしていただいたので、脱衣場に行き荷物をしまい、GPSやカメラ、飲料水などだけを持って出発する。 

有馬富士公園

 有馬富士までの道は、県道に並行して小川沿いに農道があるのでそこを歩いたほうが安全で気持ちがよい。16:30、住宅街の西の折れて、少しずつ丘陵地のほうへ向かっていくと有馬富士公園へとつながる林道に出た。 有馬富士配水地の建物の横から歩くと5分で公園の南側から車で上がってくる道に合流した。車止めがあるので、ハイキングに来た人もここからは徒歩である。 ゲートの前に2台の乗用車が停まっていた。しばらく車道を上がり、16:39に登山道との分岐に到着。 そこからはよく整備された林の中の階段を登る。途中、「まむしに注意」と書かれた看板がある。 まむしには遭わなかったが、途中山頂直下の岩場には、ヤマカガシがいて思わず踏みつけそうになって驚いた。 あとで調べてみたらヤマカガシも毒蛇である。

有馬富士山頂

 16:50にワンパク砦と名のつけられた山頂直下の岩場を進む。 この岩場の登りは少々手ごわい。 う回路もあるので、こちらを通らなくても山頂に行けるようだが。 登り切ると有馬富士の山頂(標高374m)であった。 山頂に三角点があるので記念撮影をする。 夕方の5時だということもあり、ハイキングして山頂で休んでいる人はひとりもいなかった。 岩の上にカメラを置いてセルフタイマーで撮影。山頂からは三田の町を見はらすことができた。さきほど登った花山院の方面も木々の向こうから景色を見ることができる。 下山は、山頂の北西側に進路をとる。 

のどかな散歩道

 10分ほど歩いて周回の林道に出た。 途中で千丈寺湖との分岐を経て往路を戻る。この時間であるがジョギングをしている人もいた。 季節が良くなってきたので、そろそろ活発に活動するのにいいだろう。 自分の場合はまだ花粉症の影響があり、本調子とはいかないのだが。 もときた農道をゆっくり歩いて帰る。 途中で咲いていた黄色い水仙が見事であった。


花山の湯(岩風呂 HPより写真引用)

花山の湯は山の湯浴槽と花の湯浴槽というのが日替わりで男湯と女湯が入れ替わっているのだそうだ。 ポイントは露天ぶろで、山の湯には露天岩ぶろが、花の湯には露天檜風呂が付いている。今日は男湯が山の湯だったので露天岩風呂でゆっくりさせてもらった。 一か所電気がびりびりと出ているところがありなかなか疲れをとるにはいい。風呂上がりにコーラを飲んで、もう外は真っ暗になっていたが、19:04のバスに間に合う時間だったので歩いてバス停まで行く。 バスはやはり往路と同じく数名の乗客のみで20分ほどで三田の駅に到着した。 


 寺巡りと標高400m弱ながらハイキングをセットで行うことができた楽しい一日であった。三田という町は、仕事で来ることはあったものの、あまりこのような歴史的なものに触れる機会がなかったので、いい刺激をもらった。そもそも西国三十三ヵ所の起源は徳道上人が定めたといわれるが、今日の33の霊場の縁起は花山法皇にもあるという史実を改めて知ることができた。 有馬富士も長く兵庫県民をやっていたものの登る機会がなかったが「ふるさと兵庫100山」の選にも入っている山なので、遅まきながら、元兵庫県民の面目をとりかえしたということであろう。 
(2015年4月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています