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丸盆岳
丸盆岳

基本情報
1 山名 丸盆岳(まるぼんだけ)
標高 2,066m  
山域 赤石山脈
都道府県 静岡
位置 N35.12.39/ E138.02.10
地図 昭文社 山と高原地図43「塩見・赤石・聖岳」
2万5千分の1地図「寸又峡温泉」
20万分の1地勢図「静岡」
7 山岳区分 静岡百山
登山記録
山歩No SO53-24020
登山日 2024年5月5日(日)
歩程 第一日 2時間(戸中山林道駐車場ー上足毛小屋)
第二日 11時間(上足毛小屋ー丸盆岳ー黒法師岳ー戸中山林道駐車場)
天候 快晴
形態 テント泊縦走1泊2日
アプローチ JR水窪駅から水窪ダム経由戸中山林道
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/ZSEBxhQFQ_8

 今年のゴールデンウイーク後半は予報では天気が良いことになっている。 これを活かして静岡県の天竜川上流南アルプス深南部の山に行くことにした。今回の目的は日本三百名山の一つである黒法師岳である。 ここに登るには国道152号線を浜松浜北インターから北上して水窪町にはいり、そこから水窪ダム経由戸中山林道を走って登山口にたどり着く必要がある。 水窪町へは以前静岡に住んでいた時に車で沢口岳に戻る時に通った。国道152号は秋葉街道と呼ばれ長野県と静岡県を結ぶ幹線道路ではあるが、実際には1.5車線ぐらいの場所もある運転に気を使う道路である。何しろ都心部からだと登山口にたどり着くのにほぼ半日かかるという状況を考えて黒法師岳は2泊3日の行程になることを想定した。


新東名駿河湾沼津SA

 2024年5月4日(土曜日)、朝横浜の自宅を7時に出る。30分後東名高速の入り口近くに着いたが、渋滞がやはりひどく、高速に乗るのはやめ横浜新道経由で茅ヶ崎まで行く。 そこから圏央道に乗り、伊勢原ジャンクションから東名高速に入ったらやはりこちらの方がルートとしては早かったようだ。 新東名は最高速度が120kmに上がっていたので、相当スピードが出る。 11時過ぎには浜松浜北インターに到着することができた。インター降りて国道少し走り、スーパーマーケットで買い物をする。ここはショッピングモールになってるので、隣に衣類を売っている店もあった。 そこでTシャツを購入した。 スーパーマーケットでは今晩の食材となるカレーメシ・翌朝のカップうどん、酒を購入しておいた。 昼食をショッピングモールの中にある丸亀製麺で食べる。

水窪町

 12時にショッピングモールを出て国道152号線を北へ走る。道の駅天竜相津花桃の里に足し寄って夢の懸け橋を見物したいと思ったのだが、残念ながら駐車場がいっぱいで立ち寄ることができなかった。
途中12:58瀬尻のドラゴンママで一度休憩をする。13:51水窪の星の駅碧に着いてからは駅前の広場で車を止めて水窪側の向こうにある鉄橋を飯田線の電車が走ってちょうど駅に入ってくるところでのどかな雰囲気の川の景観を楽しんだ。

戸中山林道仮ゲート前駐車場

 20分程走って水窪町水窪ダム到着した。 ここまで来る途中すでに携帯は圏外となってしまっていた。 水窪ダムの堰堤をすぎ、そこからさらに9キロぐらい林道を走行しなければならない。工事車両が入っていたが土曜日だということもあり休工していた。 林道は落石も転がっており相当運転注意しなければならなかった。 14時45分、駐車場に到着。すでに6台ほどの車が止まっていた。 ここから先も林道が続いているのだが、1箇所崖崩れしている場所があるらしく、実際は車が通行止めになっているプレートの立て札があった。 これよりも先に車を入れてる人はいるようであった。 荷物の準備をして15時15分出発。


林道崩壊地点

 ここから約30分歩いて16:10に戸中山林道の正規のゲートに到着した。このゲートの手前に2 3台車を停めている人もいた。天竜森林管理局に確認したときは緊急車両が入ることを想定して仮駐車場より先には入らないでくれと言われていたので、まあ30分余分に歩くことになるがどちらにしても今日は日帰りで黒法師岳に登るわけではないのでまあよいだろう。ここの標高はまだわずかに626mほどである戸中山林道のゲートのところで下山してくる人に会った。その男性は「ここから先1キロぐらい行ったところにひどいガレ場がありますから気をつけてください」と言われた。 実際林道を歩いて進み、最初は大した問題もなかったが、この崖崩れ地点はすごかった。 途中自転車の2人組とすれ違ったが、どうやって自転車でここを超えたんだと思うぐらい土砂が堆積していて、しかも堆積した土砂は標高2-3mぐらいあげて一越えなければならなかった。 危険個所を通過して直後、ソロの下山女性とすれ違う。 この女性は六呂場山から回った鎌崩山へ行ったということでこの場所を通るのが初めてだった。 この堆積土砂を超えなければならないというのを見てちょっとびっくりしていた。


清滝

 ここからさらに一時間ほど歩くと休憩している2人組がいた。 日帰りで丸盆岳に登ったそうであるが、やはり日帰りだと下山してくるのは日没ギリギリになるようで、疲れてこんでいる感じだった。黒法師岳とパラ谷の頭と両方いけるか聞いてみたがちょっと無理ではないかと言っていた。 2人に挨拶をして先を急ぐ。 17時半、標高740mぐらいのところでソロ男性とすれ違う。私が結構大きな荷物を背負ってこんな夕方の時間に歩いているので今日はどこまで行くのかと聞かれた。途中でテン泊するつもりだと答えたら丸盆岳・黒法師岳登山口の手前の休憩小屋の前でテント張ってる先客がいると言うことを教えてくれた。

 

上足毛小屋宿泊

18時、シブロク歩道の入り口に到達したが、これより先の休憩小屋まで進む途中で日没になりそうだったので、引き返して上足毛小屋で泊まることにした。 小屋の前で残った残照の下、炊事の準備をした。 小屋の扉が固くて開きにくかったが、想像していたほどきたなくはなかった。 ウイスキーを飲んで20時には就寝した。 思ったよりも夜寒かった。


黒法師岳・丸盆岳登山口

 2024年5月5日(日)朝4時起床。 周りを見ると結構明るくなってきている。 小屋の外に出て湯を沸かしてカップうどんをつくる。 昼食用に、α米に湯を注いで、余った湯はテルモスにつめる。5:08に歩き始める。 5分ほどでシブロク歩道の入り口を通過。 昨日ここは夕方通ったところである。5:38休憩小屋に到着。この前はテントを張っているご夫婦がいた楽天少し話をするトイレを済ませてウィンドウをさらに進む。 6:00に丸盆岳・黒法師岳の登山口に到着した。 ここから林道はまっすぐ進んで西俣沢へと続いているようである。 登山口の標識から坂にとりつく。 ここから急な登りとなる。 等高尾根は標高900mぐらいあるので結構急である。 自分は最初は飛ばさずにゆっくりと歩いて行く。 傾斜が少し楽になってヤレヤレ平と書いた標識があった.

市川戻り

休憩には少し早かったのでそのまま行こうとすると、後ろからクマ鈴の音がしてソロの男性が追いついてきた。 早朝から暗い中を歩いてきたのだろうか、 一言二言話をして先に行ってもらう。 あっという間に姿が見えなくなった。 少しさらに進んで市川戻ると呼ばれる平坦な場所に到着した。(標高1544m) ここから少しだけ下りまた球団のぼりが始まるいつか森を過ぎてからはさらに傾斜が急になった。両側が切り立っているところもあり慎重に進んでいく。 稜線までもう少しというところで「弁当転がし坂」と書いた標識があった。さすがにこんな急斜面で弁当を広げる人は居ないだろうなと思いつつ急な森を進んでいく。 標高1700mを過ぎると次第に稜線が見えるようになってきた。 天気が良いので今日の景色が良さそうだ.

等高尾根下降点

8時58分、等高尾根投稿の下降点と呼ばれる鞍部に到着した。 ここから北に行けば丸盆岳でおよそ1時間。 南に行けば黒法師岳約35分となる。 休憩して水を飲んで行動食を摂取する。 そして丸盆岳を目指す。 丸盆岳の標高は2066mである。黒法師岳とほぼ同じだ。 最初はなだらかな笹の中の道だったらそこから一気に標高150m程下る。 下りは結構急傾斜で笹を掴みながら降りるような感じだった。鞍部についてからあまりはっきりとしないが踏み跡にたどって登って行く。


カモシカ平

ルートはやがて登りになる。 途中でテント泊の装備を背負った男性とすれ違う。 おそらくこの方はカモシカ平にテント泊したのであろう。さらに進むとササ原の中にくぼみのようなものがあらわれた。 動物の掘った穴だろうか?それとも人間がテント泊したあとだろうか?道はやがて平坦な場所に来た。 ここがカモシカ平である。 正面に目指す丸盆岳の稜線がよく見える。北西方面に南アルプスの稜線が現れた。翌日に登る熊伏山もよく見える。大きな目印のような枝のない木があることもこのカモシカ平を際立たせている。 カモシカ平から丸盆岳へのとりつき口は何本も踏み跡が分かれており迷いやすいとも思われる道だった。 ガスが出ているときなどは注意が必要である。

丸盆岳への登り

丸盆岳への登りは最後20分ほど急な道であった。 左側にがけを見下ろしながら登っていく。 動物のけものみちとも見える踏み跡も多い。 最後は丸盆岳の山頂を左から巻くようにして登りつく。 10:04丸盆岳山頂到着。 山頂には標識があったのでその前で万歳三唱の動画を撮影した。 昼食には少し早いので行動食のドライフルーツを食べる。


丸盆岳山頂からの景色

山頂からの景色は北東に富士山が見えた。 ほぼ北の方角に雪を被った茶臼岳・聖岳の姿があり、北北西に池口岳の双耳峰が見えた。 中央アルプスの眺めも素晴らしく、木曾駒ケ岳・空木岳・安平路山、奥には御嶽も見えていた。 南にはこれから登る黒法師岳がそそりたつようにその姿を見せていた。10:17丸盆岳をあとにして、黒法師岳へと歩を進める。


丸盆岳はカモシカ平からの写真が素晴らしいので他人の記録を見てどうしても登ってみたいと思っていた山であった。 実際に登ってみたらその展望の素晴らしさに驚かされた。 ゴールデンウイークの真っ最中にこのような山の山頂に自分がたったひとりで景色を眺めていたことが深南部の深南部たる理由であろう。 等高尾根の厳しい登りが報われた気がした。

(2024年6月記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています