日本山歩日記 本文へジャンプ
風不死岳
風不死岳

基本情報
1 山名 風不死岳 (ふっぷしだけ)
標高 1102m (三等三角点) 
山域 支笏カルデラ
都道府県 北海道
位置 N42.43.01/ E141.21.32
地図 昭文社 山と高原地図2「ニセコ・羊蹄山・暑寒別岳・駒ヶ岳」
2万5千分の1地図「風不死岳」
20万分の1地勢図「札幌」
7 山岳区分 北海道百名山
登山記録
山歩No HK42-23053
登山日 2023年7月24日(火)
歩程 6時間30分(樽前山七合目登山口―樽前山西山―932峰―風不死岳―樽前山東山―樽前山七合目登山口)
天候 後曇り
形態 日帰り
アプローチ 苫小牧より道道141号線
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/_fwj6D3iTm8

 風不死岳事件というのは、北海道の獣害の中でも極めて大きな事件であった。 1976年6月に死者2人、負傷者3人を出したものであるが、最初の犠牲者は風不死岳の九合目付近で仲間5人と根曲がり竹の伐採作業を行っていた男性であった。 今回自分が通過する場所がそこにあたるのかどうかわからないが、ヒグマには気をつけなければならない。 ここまで北海道遠征で3回もヒグマを目撃したので何か当たり前になってしまったような気配はあるが風不死岳という名前の不気味さも手伝って、たおやかな稜線歩きの樽前山とは雰囲気が違うというのは覚悟していた。

砂礫のコル

 11時38分砂礫のコルを通過。 やがてルートが上り坂になっていく。 風不死岳の根元についたと思われるところでは、かなり傾斜が急になっており、両手両足を使って登っていくような岩場がある。 途中からは固定ロープつかまりながら、よじ登るところもあった。 11時38分、標高963mのこぶの上に到着したここが山頂かと思っていたが全然違っていたここからまだ100m以上先にただ急な傾斜ののぼりがあった。 ちょっと登るの疲れたので休憩をしてそこから進んでいく。 


風不死岳への急な登り

 ここから先はミズナラの樹林の中を進んでいくことになるが、おそらく風不死岳九合目というのはこの辺りだろうか。 1976年に風不死岳事件というヒグマによる獣害があった。 2人の方が死亡3人が重軽傷を負うという事件であったが、その話をしてるだけにこの風不死岳の登りもヒグマがいるんじゃないかと思い、ビクビクしながら進んで行く。樽前山のほうでは登山者がそこそこの数いたが、こちらの風不死岳はほとんど人がいない。 


ニセピークを越えて

稜線を通過していよいよ核心部の山頂の方に登ると、稜線はかなり痩せており、両側が切り立っているので足を滑らせないように注意である。 12時20分やっと登り付いたと思ったがこれは偽ピークだった。 実際にはそこから5分、100m程の距離を進んだ所が山頂のようである。 山頂まで近づくとようやく山頂標識が見えたので、あここが山頂だと確認することができた。


風不死岳山頂

 12時25分風不死岳山頂到着。 残念ながら少しガスが上がってきたので、樽前山の方の眺めを楽しむことができない。 山頂で昼食を食べながら休憩し、終わってから恒例の万歳三唱動画を撮影した。 途中で一人外国人男性の方ガ山頂に上がってきた。 12時47分、山頂を出発する。 元来た道を樽前山の方に引き返す。 山頂からの下りは少し傾斜が急であった。幸いヒグマに出会うこともなく、963mの峰も越え、ロープの付いた岩場も慎重に手に持ってるピッケルも使いながらゆっくりと下りていく。

 

東山山頂

 急な傾斜を降りると13時49分砂礫のコルであった。 10時18分932mの峰の横を通り、今度は稜線を東の山へ向かって登って行く。 途中分岐のところで5人組の登山者が休憩していた。 5人組は結構休みながら進んでいるようだったので途中で抜かした。 稜線に出てからはかなり風が吹いている。 結構ガスが上がってきてしまったので残念ながら西山の方も景色ももうあまり見えなくなってしまった。 15時10分東山の山頂登頂。一等三角点がある。 標高1022mは樽前山に近づける最も高いところである。 道標の前でやはり万歳三唱動画を撮影した。 少し休憩したがあまり晴れてきそうにもないので諦めて下山することにする。 5人組は先にも降りて行ってしまった。 下りの道は砂礫のところで高山植物のタルマイソウが可憐な花をつけていた。

支笏湖を眺めながら下山

 正面に支笏湖の眺めが見えた。右手には苫小牧方面が少しガスに霞んでいるとは言え樹林が広がりを見せていた。階段状になった道をゆっくりと降りて16時0分に七合目登山口に到着した。 多くの人は樽前山ピストンだけで帰ったので、もう車は先ほどの5人組の車と自分の車とあとは観光客の車が二台あるだけであった。 

苫小牧工専

 荷物を片付けて下山準備をする。道道141号を降りたところでふと気づいたが苫小牧高専があった。 ここは若い頃ずっと一緒に山に行っていたS.Nさんの母校である。 SNさんは若くして天国へ行ってしまったが、この苫小牧がふるさとだったので懐かしい山だということになる。 今回北海道の夏山遠征の最後の山をこの樽前山にしたのもS.Nさんをしのぶという意味もあった。

日帰り入浴

 下山後国道235号線に出て少し苫小牧方面に戻り、苫小牧温泉「ほのか」で日帰り入浴をする。 平日の夕方だったが結構たくさんの人が来ていた。入浴をえ国道235号を今度は室蘭方面に進んで行く。 今日の宿は白老町のゲストハウス暖である。 日没前にゲストハウスの近くのセイコーマートに立ち寄り、夕食と酒の買い出しをした。 その上でゲストハウスに行きチェックイン。 

白老町のゲストハウス

 可愛い柴犬のダンちゃんが迎えてくれた。 大きな部屋ではなかったが、畳の部屋でゆっくりと布団で寝られるのが嬉しい。 夕方8時頃には隣の部屋の男性のお客さんも到着し一階のリビングでそれぞれ夕食を取る。 ご主人も少し酒を持って合流しヒグマを退治した時の話とかを聞かせてくれた。 とても楽しい時間だった。 22時にお開きにして上にあがってぐっすりと寝た。

長年計画を立てていた樽前山に遂に登る日がやってきた。 40年近く前から友人故郷の山の様子を聞かされていたが、こうして登ってその展望を楽しむことができたのはラッキーだったと言えよう。 北海道百名山の風不死岳も樽前山と山容の景色の異なる厳しい山ではあったが、支笏湖の展望の山で立派な山頂であった。 北海道遠征の登山の締めくくりにふさわしい2座であった。
(2024年1月記)

 日本山歩日記WEBトップ
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています