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白雲山・天望山
白雲山・天望山

基本情報
1 山名 白雲山・天望山(はくうんざん・てんぼうざん)
標高 1186m (三等三角点) 
山域 石狩山地
都道府県 北海道
位置 N43.15.32/ E143.06.55 
地図 2万5千分の1地図「然別湖」
20万分の1地勢図「帯広」
7 山岳区分 北海道百名山
登山記録
山歩No 9900-23043
登山日 2023年7月14日(金)
歩程 5時間10分(白雲山登山口ー白雲山・天望山)
天候 のち曇り
形態 テント泊日帰り
アプローチ 国道273号糠平温泉郷から道道85号然別湖湖畔温泉経由湖底線路駐車場
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/WC5-VxcDbys

 白雲山は北海道百名山に入る山で然別湖を眺める眺望の良い山である。  当初、北海道の登山計画を作った時にはこの山は計画に入れていなかった。 この2023年夏の北海道遠征で残念だったことは中盤の天気があまりよくなかったことである。 第8座目の美瑛岳まではなんとか天気が持ってくれたが、そこからは雨で停滞を余儀なくされた。 7月13日(木)に雨の間をついて石狩岳に登頂はできたが、下山してから7月14日(金)からの週間予報も天気が良くない。 石狩岳の南には二百名山のニペソツ山(2013m)がありもともとの計画ではこの山に登るつもりでいた。


糠平温泉郷

 2023年7月13日(木)石狩岳登頂を終え、幌加温泉に立ち寄るが秘湯の宿ということもあり予約はいっぱいで宿泊できなかった。 同じ上士幌町の30分ほど南に下った糠平湖のほとりにある国設ぬかびら野営場をこの日の宿にする。あかるいうちに下山できたので糠平温泉郷でひと風呂浴びる。 有名な宿なのだろう。そこそこに入浴客がいた。 内湯を楽しんだ後、混浴露天風呂のほしのさとにも行ってみる。 もっともここで入浴していたのは男性ばかりであった。 

国設ぬかびら野営場

 糠平温泉からあがりビールを買ってキャンプ場に戻る。 前回2007年にニペソツ山に登った時もそうであったがテント宿泊をしているのは自分ひとりだけであった。前回は日没後にここにたどり着いてキャンプ場の中を複数の鹿が我が物顔で歩いているので自然のふところ深さにおどろいたが、今回は意外と国道が近く車の音が大きく聞こえることからヒグマが近づきそうな山深いテント場ではないという印象を持った。


然別湖湖畔温泉

2023年7月14日(金)前夜天気予報を再確認したが、この日の午後の降水確率は40%、天気も曇りということなので行動時間が13時間を超えるニペソツ山は潔く断念する。 自分が前回登った時は十六ノ沢登山口まで入ることができたが今は林道が崩壊してマイカーが入れないのでほぼみなさんは幌加登山口からニペソツ山に登る。 このため、十六ノ沢コースよりも2時間近く歩く行程が長くなってしまう。 天気が悪ければこの山は無理である。 そこで目的地を白雲山に変更する。 国設ぬかびら野営場からは道道85号で然別川に沿って幌加峠へと登ってゆき然別湖に到着する。


湖底線路駐車場

この日下山後に宿泊する然別湖北岸野営場の位置を確認しておいて、さらに湖岸の道を南に進む。 ぐねぐねと曲がる細い道であるが2007年には夜ここを通った記憶がある。 今回は明るいのでまだましである。 然別湖湖畔温泉の前にあるビジターセンターでトイレをすませて、さらに登山口のある湖底線路駐車場へと進む。


登山口の標識

8:10湖底線路駐車場到着。 朝早かったこともあり駐車場には車が1台もなかったのだが、出発の準備をしているうちに数台が入ってきた。 8:30動画のオープニングを撮影したあとに白雲山登山口より歩き出す。 看板には約1か月前の6月16日にうぐいす湾(今回天望山から下山して湖に到着する地点あたり)でヒグマの目撃情報があったようである。 翌日の北海道新聞ではこの目撃情報に基づき鹿追町が岸釣りやボートからの上陸を当面中止する措置をとっている。 登山届のボックスに手書きの紙を投函して出発。

 

尾根筋の登山道

道はしばらくは樹林の中をジグザグを切りながら登っていく。 駐車場が標高800m程度なのでおよそ標高差400m弱を上がることになる。 自分の他に男性の単独行の人が後を登っているのが見える。 ヒグマの目撃情報がある場所なので、他にクマ鈴を鳴らして歩いている方がいると心強い。 9:25、標高1100mくらいの台地状の地点に来た。 ここから正面に白雲山のピークと思われる場所が見える。 一度ここで休憩することにした。 


白雲山山頂

 休憩した場所からはいったん緩やかな下りを経てまた樹林の中を登りだす。 9:56、稜線が次第に岩場となってきた。 右手に士幌高原コースとの分岐がある。 岩の道をのぼりきると山頂と思われる場所へルートを示すピンクテープが見えた。 ピンクテープまで登るとその先の眼下に然別湖が見えた。 10:04、白雲山1186mに登頂。 山頂は岩場で狭いが360度動画を撮影する。西の雲の先に西ヌプカウシヌプリ山が見えた。 行動食のジェルとカロリーメイトを食べる。 


天望山とのコル

10:40山頂を出発して天望山へと向かう。 下山路と思われる北東への踏み跡に入りかけたが実はこの道が間違いで慌てて石に係れたペンキの矢印に従って軌道修正をする。 白雲山からは南東の斜面を下っていくが途中で一か所、ヒグマの糞がルート上にあったので、ホイッスルを鳴らしながら進んでいく。 11:15 コルの分岐に到着。 ここが標高1000mの地点である。ここから標高差200mほどなので30分ほどで登れるかと思ったが甘かった。 実際ここからあまり登山者も入っていないようで、道が少し崩れていて歩きにくくなっているような場所もあった。 白雲山と比べるとササの踏み跡も薄く、見失わないようにして稜線へ取り付いていく。

天望山山頂

いったん北西に切り返してから稜線にとりついた。 稜線上を北東にゆっくり登っていく。 前日の石狩岳が急傾斜だったので結構足に来ているようである。 11:45山頂標識が見えた。 天望山1174m登頂である。 山頂には誰もいなかった。 朝ぬかびら野営場で湯を沸かしてアルファ米に注いでおいたので、それを卵スープとともに食べる。 山頂はガスの中に包まれており、もはや然別湖も見えなくなっていた。 ヒグマが近くにいるといやなので時折ホイッスルを吹いて警戒を怠らないようにする。


 

東雲湖への分岐

12:12山頂出発。 下りで滑らないように気を付けておりる。 12:38コル分岐に到着。 ここから湖を経由して白雲山登山口までは1時間5分という道標がある。 湖までササの道を下っていく。 12:56湖畔に到着。 東雲湖方面との分岐があった。 ここからは湖底線路駐車場までは35分とある。 湖沿いに進むので基本高低差は少ないのだが、思ったよりも道は狭く、木の根もあるので歩きにくい。

うぐいす湾

うぐいす湾の横を通るときにはさすがに緊張して回りをキョロキョロ見ながら通過した。 ブラインドになっているところは特に危険なのでホイッスルを吹いて進む。 途中で木の根が大きくえぐられているところもあり、これは自然の猛威なのか、それとも動物が掘り起こしたのだろうかと少しいぶかる。


登山口へ無事下山

途中で単独行の女性とすれ違ったので驚いた。 彼女は比較的軽装だったが東雲湖まで行くのだろうか? 湖の淵を回るように進むとやがてボートハウスのような建物が見えてきた。 そこを過ぎると橋が見えて、人の声が聞こえてきた。 もうまもなく湖底線路の駐車場である。 湖底線路というのは遊覧船の引き上げに使用していたのレールことであるが、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場する「海に続く線路」を彷彿とさせる「湖底線路」で、SNSを中心に話題となっているらしい。


然別湖湖畔温泉日帰り入浴

13:37に登山口に無事下山。 おおむね5時間くらいだったのでニペソツ山の行動時間の半分以下で済んだ。 然別湖湖畔温泉ホテル風水によって日帰り入浴をする。 今夜の然別湖北岸野営場で夕食の際に飲むビールもここの売店で仕込んでおく。 そののちビジターセンターへ寄ってみた。 アンケートに答えてタオルをもらった。車で20分ほどで到着した然別湖北岸野営場は受付に若い外国人女性がいてテントサイトの場所など親切に利用案内を説明してくれた。 鹿がいるので食べ物の管理は要注意だが、幸いヒグマの目撃はないらしい。 夕方4時ごろから雨が降り始めたので翌日の停滞を決めて早々にテントの中で休んだ。


二ペソツ山から計画振り替でて登った初めての山であった。 かつて初めてニペソツ山に登るべく日高の幌尻岳から糠平キャンプ場に車を走らせたときに国道274号線をひたすら北上して通った湖が然別湖であった。 月夜の晩にひとりで湖の横の細い道を走りながら現像的な湖だと感じたのを今でも覚えている。 北海道で一番標高が高い場所にあるため、「天空の湖」とも称される然別湖。大雪山国立公園内にある自然湖で、大自然に囲まれた神秘的な風景が魅力である。 白雲山というハイキングに手軽な山から再びこの然別湖を眺めることができてよかった。

(2023年12月記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています