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高松山・ジダンゴ山
高松山・ジダンゴ山

基本情報
1 山名 高松山・ジダンゴ山(たかまつやま・じだんごやま)
標高 801m(高松山 二等三角点)
山域 丹沢山地
都道府県 神奈川
位置 N35.23.22/ E139.06.09 
地図 昭文社 山と高原地図29「丹沢」
2万5千分の1地図「山北」
20万分の1地勢図「東京」
7 山岳区分 ハイキング百選
登山記録
山歩No 9830-21001,21002
登山日 2021年1月16日(土)
歩程 4時間50分
天候
形態 日帰り
アプローチ 東名高速大井松田ICから県道710号 寄
パーティー 1人


2021年1月7日に緊急事態宣言が一都三県に発出された。 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い4月に発令されたもについで2度目である。 4月宣言のときとは今や感染者の数が桁違いである。 1月9日に999人の感染者数を出した神奈川県は4月7日の緊急宣言発出時に18人だったのでちょうど55倍に増加したことになる。神奈川県知事から徹底した外出自粛のビデオメッセージが流された。 トレイルランニングの大会に出場しているわけでもない自分がトレーニングのためだけに出かけるのもどうかとも思ったが、冬の間に体がなまってはどうしようもないので、ガイドブック「東京周辺トレイルランニングコースガイド」の初級コースの中から、高松山・ジダンゴ山のコースを選んだ。今回は、電車での移動ではなくマイカーで出かけることにした。 


再び緊急事態宣 (神奈川県広報)

1月15日(金)の夜、仕事が終わってコースガイドを見てインターネットで駐車スペースを探していた時に衝撃のニュースを発見した。 スタート地点の寄(やどりぎ)自然観察センターが緊急事態宣言が発令されたことで駐車場を全面的に閉鎖してしまった。 1月16日(土) 朝、9:00に家を出発。 明るくなってから出かけるのは逆に日没までに下山できるのかどうかという不安はあるのだが、それよりも駐車スペースを探さないといけないことが少しもが気がかりの出発である。 東名高速道路は天気予報が良い割には混雑もなく大井松田ICを10:15に降りる。
 

寄集落

ここから県道710号を北に進む。 酒匂川の支流である中津川の沿って寄(やどりぎ)の集落へと向かう。 寄集落の中心部である寄自然休養村管理センターへは15分ほどで到着した。 やはり駐車場はチェーンを張っては入れないようになっている。 緊急事態宣言が出ている2月7日までは駐車場の利用は禁止だということである。 緊急事態宣言が長引けばマイカーを停められない期間も長くなるのであろう。 仕方がないのでどこか車を停めるところはないだろうかと探すが、河原沿いも簡単に侵入してはいけないようになっている。少し南に行って、マス釣り場・ドッグランのあるふれあい動物村寄自然休養村管理棟へ来ると、駐車場は500円という表示が出ていた。 この有料駐車場に停めることも考えたが、もう少し登山口に近いところに駐車できる場所があるかもしれないと思って尺里峠の方へと車を進ませる。 虫沢の集落のはなじょろ道のスタート地点の手前の河原の土手に広いところがあったのでそこに車を停めて出発することにする。


はなじょろ道入口

11:02歩きだし。 ガイドブックのとおりにはなじょろ道を高松山のすぐ北のヒネゴ沢乗越まで進むルートである。 車道を歩いてすぐに、はなじょろ道の登山道に入る入口があった。 ここから登山道を2㎞歩いてヒネゴ沢乗越に出ることになる。 はなじょろ道はかつては山北の八丁地区と虫沢を結ぶ生活の道で地元の虫沢古道を守る会が整備したと言われている。木彫りの動物をあしらった道標があり癒される。 登山道の入り口には花嫁の鐘というのがあって、それをついてから入山するのが習わしのようだが、自分はとてもふさわしくないので鐘を撞くのは遠慮する。


ヤマヒルよけ

登りだしてすぐに道は登坂となる。 ヒネゴ沢乗越まで沢筋の暗い樹林の中を進む。 夏であればヤマヒルがうようよいるのであろう。 途中で登山道の脇に瓶が置いてあってそこに塩が入っていた。 ヒルにかみつかれたらこの塩をかけろ、と書いてある。 なんとも親切なことである。 トレイルランニングで足がつった人にも電解質補給にいいかもしれないと勝手なことを考えながら、進んでいく。 標高50mごとに標識があるので自分が歩いている標高がわかる。 ちゃんと、ヒネゴ沢乗越が標高720mということまで書いてくれているので先がわかって気分が楽である。 


ヒネゴ沢乗越

途中、古道を守る会が建てた大きな植物標識がある。 「ミツマタ」である。 冬になれば葉を落とす落葉性の低木であり、ジンチョウゲ科のミツマタ属に属する植物で黄色い花をつけるようである。 休憩をとることもなく、ヒネゴ沢乗越まで40分で上がってきた。 ちょうど正午。 歩き出してから1時間である。 ヒネゴ沢乗越まで来るとかなり強い風が吹いていた。 ここから、高松山の山頂まで標高差であと80mである。
 

 

高松山への登り

尾根上の登りを進んでひとつピークを巻くように下る。 ピークは鹿よけの柵がめぐらされていた。 柵に沿って進むと今日初めて登山者の姿が見えた。 山北方面から南面を進んできた登山者はビリ堂を経由してここに出てくる。 他にも登山客がいた。 やはり人気の山のようである。分岐から5分で山頂に到着した。山頂は開けており相模湾方面の雄大な眺めが広がっていた。


高松山山頂

山頂は思ったよりも風が強く、食事をするために出したビニール袋が飛ばされてしまいそうな勢いだった。 天気予報では今日は4月上旬の陽気だということだったが意外にも冬型気圧配置のようで、本来晴天であればきれいに見える富士山が5合目より上が雪雲に隠れてしまっていた。 南側に見える箱根の山も山頂には雪を降らせているような雲があり、 あまり春の陽気という感じではなかった。 それでも三角点に降り注ぐ日差しは12月と比べて穏やかに見えた。 風が強いので少し北側の樹林まで行って、持ってきたアルファ米の昼食をとることにした。 三脚を忘れてしまったので、登山者の方にシャッタ-を押してもらい、1枚だけ山頂写真を撮ることができた。 


フトウ山山頂

12:35高松山出発。 ここから縦走して、ジダンゴ山を目指す。 最初は、先ほど通過したヒネゴ沢乗越まで戻る。 そこからは山と高原地図では破線のコースになっている。 「東京周辺トレイルランニングコースガイド」でも破線ルートだが道ははっきりしていると書いてある。 夏場だと結構やぶがうるさいようであるがこの時期は快適である。 ヒネゴ沢乗越から少し登ったところが西ヶ尾というピークである。 ただ「西ヶ尾」と書いた道標は見当たらなかった。 ヤマレコなどに記録をアップしている方の写真を見ると、木に巻いた帯のような「西ヶ尾805m」の写真や地面に刺した白い札があったりするのだが、どうも見落としたようである。 さらに進んで12:59、フトウ山(770m)のピークに到着する。 展望はない。


秦野峠分岐

フトウ山を出て少し下って登ると、新秦野線29号鉄塔があった。 まわりに林道もある様子ではないのにどうやってこの鉄塔の部材を運搬したのだろうか? など地下鉄はどうやって地下に搬入したんでしょうというような古いなぞかけを自分でやって、まあ家に帰ってから調べるか、と思いながら通過する。 鉄塔を過ぎて少し平坦な道を走り、それから登りとなる。 稜線に沿って進むと、 桜丸(817m)と記載された小さな札が立ってある小ピークにたどり着いた。 13:24、そろそろ下山の時刻が気になる。 予定では15:30くらいには下山するつもりであるがジダンゴ山を越えて果たしてあと2時間で降りられるだろうか。 さらに10分進むと、左手に林道秦野峠・雨山峠、右手がジダンゴ山と書いた道標があった。 なるほど檜岳・鍋割山へはここから左手に稜線の縦走となるのである。 自分はジダンゴ山を目指すのでここから右に進路をとる。
 

ダルマ沢

さて、そこから1.8㎞は結構しんどいルートであった。 鹿よけ柵の隣にはクマではないかと思われる動物のフンがあったりでひやひやである。 長い木の階段がありそこを登りきると本日の最高地点であるダルマ沢の頭に到着した。 標高880m。 高松山よりもだいぶ標高は高い。 山頂標識はあるが、樹林に覆われているので展望はない。 リュックの上にカメラを置いてセルフタイマーの写真を一枚撮影して休憩をとることもなく先を急ぐ。 急な鉄はしごを降りるといったん舗装された林道に出た。 標識の横に2分先展望がよい、と書いてあったので、どれどれと好奇心を持って進んでみるとなるほど、林道の木々が割れたところから丹沢の山山を見ることができるスポットがあった。 正面に鍋割山・塔ノ岳そして鍋割山の左手に最高峰の蛭ヶ岳(1673m)の秀麗な山頂が見えた。 

ジダンゴ山山頂の祠

林に入って3分ほど歩くと今度は林道にぶちあたった。 下りはこの林道をたどることになるのを道標で確認して、ジダンゴ山の登りにとりかかる。 山道は直登ルートの男坂と切り替えして傾斜の緩い女坂とがある。 登りは男坂をたどろうと思い、階段状になった急なルートを登っていく。 登ること10分、山頂が見えてきた。 14:18ジダンゴ山山頂758mに到着。山頂には誰もいなかった。 景色を独占で360度展望動画を撮影する。 北には檜岳がよく見えた。 セルフタイマーで自分の写真を撮って、山頂の祠に無事下山を祈って下山を開始する。 

 

茶畑を超えて虫沢へ下山

下りは林道を爆走する。 砂埃が上がるが気にせずにすすむ。 本当は虫沢に直接降りられる破線の道がYAMAPの地図では出ていたのだが、分岐を思しき樹林の中で探したがそれらしい踏み跡を発見することはできなかった。 仕方がないので林道沿いに宮地山入口まで降りて、茶畑の脇から民家の前の舗装道路を通って虫沢川沿いの車を停めた地点に下山した。 15:12下山。 車の中で着替えて大井松田ICから家路についた。

地元丹沢での気分のよいトレーニングとなった。 途中昼食を除いてほとんど休憩も取らなかったが結果的には4時間を切る行動時間で13㎞を踏破することができた。 今度は鍋割山1272mまで行ってみようかと夢が広がった一日であった。
(2021年1月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています