日本山歩日記 本文へジャンプ
高根山
高根山

基本情報
1 山名 高根山(たかねやま)
標高 871m 
山域 大井川流域丘陵
都道府県 静岡
位置 N34.58.47/ E138.10.59
地図 2万5千分の1地図「家山」
20万分の1地勢図「静岡」
7 山岳区分 ハイキング百選・静岡百山・東海自然歩道
登山記録
山歩No 9740-16025
登山日 2016年12月11 日(日)
歩程 7時間45分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 東海道線藤枝駅より自主運行バス蔵田
パーティー 1人

 2016年も終わりを迎えようとしている。 11月は家族の病気で山に行きそびれてしまった。 例年楽しみにしていた関西でのカニ鍋つき納山会も欠席してしまったので、いささか物足りない年の後半となった。 そこで、静岡の近郊で手軽に行ける山を探した。 この時期なので南アルプスなど標高の高い山はもはや無理である。ちょっとしたひだまりハイキングにと静岡百山をめくってみると、藤枝からうまくバスに乗らなければいけないが高根山という手ごろな山があることに気付いた。東海自然歩道の高根山コース。 このコースはその昔、秋葉山詣での道として人々が行き交っていた。霧に包まれた茶畑、うっそうとした自然林、吊り橋、SLの汽笛がこだまする渓谷など、変化に富んだ風景が目を楽しませてくれるという。

朝の竜爪山

 2016年12月10日は土曜日だったが、会社の研修で終日静岡駅の近くで缶詰になる。 夜、講師の方との食事を済ませて早めに帰宅。 忘年会シーズンということもあり、ずいぶんと人出が激しい。 家に帰ってあわてて翌日の登山の準備をする。 防寒具を忘れずに昼食はいつものようにEPIで湯をわかし、ラーメンというパターンだ。 2016年12月11日(日)は朝ほぼいつもどおりの時間に起きて近郊の私鉄で静岡駅へと向かう。 富士山は残念ながら雲に隠れているが、竜爪山にはきれいに朝日があたっており天気の良い一日になりそうである。

藤枝駅

 浜松行きの東海道線に乗車して、8:09に藤枝駅に到着した。 東京からちょうど200kmのこの駅、さすがはサッカーのメッカだけありパープルロードと呼ばれる南北の自由通路のポスターが元気である。 1889年(明治44)年4月27日 当駅で用便のため下車した宮内省御料局長官の肥田浜五郎が走りはじめた列車に飛び乗ろうとして転落死。当時は列車にトイレはなく、初めてトイレが付いたのは同年5月10日。あと、 2週間後の出張であれば命を落とすこともなかったろうにと気の毒になる。 バスの出発まで時間があるので、自分も駅前のトイレを使わせてもらい、そのあと買ってきたサンドイッチを朝食として食べる。
 

ゆらくでバスを乗り換えて蔵田へ

 8:32に市バスに乗車。 ゆらく線というバスに延々30分ゆられて瀬戸川をさかのぼる。9:05ゆらくという温泉施設へ到着。 ここから自主運行のバスに乗り換えである。 2009年にしずてつジャストライン瀬戸ノ谷線の廃止代替バスとして藤枝駅ゆらく線の運行を開始したものである。 終点の蔵田まで乗車したのは私以外にはもうひとりのハイカーだけであった。 9:32に蔵田でバスを降りる。 蔵田のバス停には東海自然歩道の「高根山・宇嶺の滝コース」の起点となっている。 今日は私は高根山コース19kmを歩くのだが、ガイドブックなどでは、逆コースから歩くものも多く出ている。
 

宇嶺の滝

 時間もあるので、まずは宇嶺の滝に寄ってみることにした。 9:45出発。  清笹峠を越えて静岡市内に至る県道38号線に沿って歩く。 この県道、1.5車線ほどの細い道路でバイクは通るものの乗用車はほとんど見かけない。 蔵田の集落が標高419mで、宇嶺の滝が標高460mなので少し登りである。 20分ほとてくてくあるくと右下の谷に下りていく道があり、宇嶺の滝の標識があった。 急な遊歩道を下ると北側の斜面に滝が見えた。 瀬戸川に流れ込む落差70mの滝はなかなか見事であった。 さきほど同じバスに乗っていた若いハイカーのすがたもあった。 滝までは散策路、ベンチ、四阿があるが、下りきるまで焼く5分、登ってくるのに約10分を要する。 滝をバックに、セルフタイマーを使って写真を1枚撮影した。

鼻先の大杉から登山開始

 宇嶺の滝の見物を終えて、蔵田へ戻る。 大久保川を島田まで行く県道220号線の分岐まで行って、そこから少し西へ。 やがて右手に高根山の登山コースの起点となる「鼻先の大杉」が見えてきた。 10:33、東海自然歩道の分岐の表示に従い高根山を目指す。 時間は70分となっている。 最終ゴールの家山までは距離で20km、時間は400分とある。 ここから長丁場だ。 茶畑の林道をすこしずつ標高を上げていく。

高根白山神社

 11:06に「芋穴所のマルカシ」が見える展望台に来た。枝を大きく張り出した姿がいたるところで見えると看板には書いてあるがどれのことなのかよくわからなかった。 ここにはトイレがある。 さらに林道を8分ほど歩くと、高根神社の杉の看板が現れた。 手洗所がら右上に上がっていく道が、高根山の山頂へのコースのようである。 いったん、その道に入らずに高根神社に寄ってみることにした。 11:15高根白山神社の古代神楽を見る。 県指定の無形文化財である。

高根山山頂

さきほどの手洗所まで戻り、そこから急な道を上がっていく。 11:39に高根山の山頂871mに到着する。 南側の景観は開けていて太陽を浴びた駿河湾がきれいに見えていた。静岡空港の南にも丘があり高根山というようだ。 こちらの標高はわずか151mである。 その先には御前崎の岬がきらきらと光っている。 山頂の北側は残念ながらきれいな展望はないのだが、木々の間から南アルプスが見える。 大井川鉄道の上流に大無間山が見える。 それより先の池口・光のほうは雪雲におおわれているようだった。  

南アルプス展望台--すすきの向こうに大無間山

12:17ラーメンを食べ終わって、いざ出発しようとしたら2人の登山者が上がってきた。 今日初めてルート上で人に遭遇する。 宇嶺の滝の駐車場に車を停めて上がってきたという。 天気がいいので、シャッターを1枚押してもらい道標をバックにホームページ掲載用の写真を撮った。 12:18出発。 西に向かって縦走ろへと踏み出していく。 家山まで16.4kmで330分となっている。 まだまだ先は長い。西向のつり橋までとりあえず90分の道のりを頑張ろう。 出発してすぐに急な下りを降りていく。 降り切ったところが開けた稜線となっていて、「二俣」と書かれた分岐になっていた。 この先の道がどこまで通じているかは不明であるが。12:54南アルプス展望台に到着。 ここで、北側の展望が開ける。 あずまやが一つあって休憩するにはちょうどよいところである。 

西向のつり橋

  あずまやから先は林道と登山道が交差しながら進む。 やがてルートがお茶畑の間を抜けていく。 13:14に前に軽自動車を発見。 茶畑を管理する人が働いていた。 13:19に茶畑の先にベンチがあり、東海自然歩道の看板がある。 「島田市管理下」と記載がある。 この下を車道が走っている。 いよいよ西向のつり橋に到着した。 つり橋は2枚の板だけが渡してあり、結構スリルがある。 渡りきると下に降りる道があり、そこから車道に降りると公衆トイレがあった。 

笑い仏

 西向のつり橋を出てからは少し登りの尾根伝いのルートが続く。登りきって14:01に笑い仏に到着。 距離としては、今回のコースのほぼ中間点くらいだろうか?  小さな祠があり、その横に、少し広い展望台があった。 展望台には非常食をしまっているかのようなプラスチックのケースがあった。 近所の小学生が遠足で来たのであろう。 登頂記念碑が置いてあった。 笑い仏を出ると道は急に下り坂になる。 茶畑の中をひたすら上河内まで下っていく。 ぐねぐねと曲がって茶畑に付けられた車道を横切るように、降りていく。 

上河内の集落

 最後に小さな橋を渡って小川を横切ったところに上河内の集落があった。 20軒ほどの集落があり、 尋常小学校の跡地にはきれいな紅葉が傾きかけた陽の中で光っていた。二宮尊徳の像がある分校跡地はもはや校庭も校舎も影も形もなかった。 ルートはここから延々と7kmの車道歩きである。 途中で数台の車とすれ違ったがそれでも1.5時間で数台である。 家山まであと何キロという表示が6kmから5kmに減っていくのを少しずつ楽しみに川沿いの道を歩く。

駿遠橋で大井川を渡る

 駿遠橋で大井川に出る。 日没が近づいている。 橋を渡って、家山の集落である。 大井川鉄道の線路と思われるものが見えた。 泣いても笑っても17:30まで電車はないので、少し時間をつぶすために野守の池公園と天王山遺跡に登ってみた。島田市のホームページによれば、天王山公園では、大正時代に、古墳時代初期の豪族の墓だと考えられる天王山古墳が発見され、長さ1mの鉄剣と土器類が出土されたという。 野守の池は今からおよそ700年前、南北朝初期に京都からやってきた遊女野守太夫と夢窓国師の悲恋を伝える池として知られているという。 家山の歴史と文化触れながら、レトロな駅舎の中で大井川鉄道の到着を待つ。


大井川鉄道の車両

 17:30に入ってきた大井川鉄道は、古い近鉄特急の車両を使っていた。 この特急の色は、自分の故郷の三重県の線路を走っていたものであり、 とても懐かしい想いでがある。 寒いホームから車内に乗り込むと、前回八高山へ行ったとき同様に、日曜日の午後ということで結構混雑をしていた。なんとか座ることができたので金谷までうつらうつらして乗車する。 18:16に金谷で東海道線の登りに乗車。 草薙から歩いて帰る。家に帰って万歩計を見ると36千歩を記録していた。


東海自然歩道を歩くコースは道標もしっかりしており歩きやすい。 なおかつ、この静岡県のこのあたりは人里離れた静かなハイキングを楽しむことができる。ちなみに車で蔵田に駐車して西向のつり橋から周遊して蔵田に戻っている人もいた。確かに、最後の車道歩きが少し興ざめかもしれないが、まあ、家山での散策もコースの一部と考えれば、それでもいいかもしれない。 冬の1日よいハイキングができた。 
(2016年12月 記)

 日本山歩日記WEBトップ
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています