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竜爪山
竜爪山

基本情報
1 山名 竜爪山(りゅうそうざん)
標高 1,051m (薬師岳 一等三角点本点は文殊岳 1,041m)
山域 身延山地
都道府県 静岡県
位置 N35.05.17/ E138.24.12 
地図 2万5千分の1地図「和田島」
20万分の1地勢図「静岡」
7 山岳区分 ハイキング百選
登山記録
山歩No 9660-13047
登山日 2013年12月15 日(日)
歩程 7時間25分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ JR静岡駅ー静鉄ジャストラインバス牛妻坂下
パーティー 1人

 12/15(日)前日土曜日は休日出勤となったので、この日曜日は気合を入れて静岡での登山を目指す。 目的地は毎日見ているからすっくとそびえる竜爪山である。 一日ハイキングを楽しむには東海自然歩道のコース。。幸い天気はよさそうだ。12-18時の降水確率は0%となっている。

東海自然歩道

 東海自然歩道は、東京都八王子市の「明治の森高尾国定公園」 から大阪府箕面市の「明治の森箕面国定公園」までの11都府県約90市町村にまたがる 長さ1,697 kmの長距離自然歩道である。静岡県では大きく6つのエリアに分かれているが、この竜爪山コースはモデルコースとしても紹介されている。http://www.hellonavi.jp/walker/tokai/detail04.html 終点近くの黒川キャンプ場、やませみの湯は5年前に神奈川から訪れたことがあるが、なかなかいいところである。 今回も歩いた後の湯は楽しみである。 

牛妻坂下

 朝5時に起床。静鉄の始発電車で新静岡へ。コンビニは新静岡の駅構内がまだしまっていたので歩いてデイリーヤマザキへ。おにぎりと缶コーヒーを買い6:40に油山行きのバスに乗り込む。朝早いせいであろう、バスには数名の乗客しかいなかった。WEBの案内に示す通りに、終点ほ一つ手前の牛妻坂下バス停で下車。ここは安倍川の曙橋のたもとである。 橋を渡れば油山峠の方向、そのまま安部川の左岸に沿って上流へ進めばコンヤ温泉や井川の方向である。 何度かマイカーでも通ったところだ。去年、笹山・山伏に登ったときにもここは通った。

茶畑を進む

  7:15牛妻坂下のバス停から少し上手に歩くと東海自然歩道の標識が現れた。バスを下車したのも自分一人であるし、他に歩いている人もいない。 人家の中の車道を進むとやがて斜面が一番お茶畑となったエリアになる。 道はまだ舗装道路である。 日曜日の早朝であるが、農家の方が茶畑の手入れをしている。 そのままぐんぐん車道を歩きながら標高を上げていった。 安部川の眺めが美しい。 対岸の油山・大棚山も朝日を浴びていい眺めである。 

登山口

  7:57、車道の脇に小さなブロックと数段の階段があり、そちらが竜爪山の登山口だという標識があった。 下山された方がおいていったのだろう。幾本かの木の杖が置いてあったのでそのうち自分の身長にあった手頃な1本をお借りすることにする。8:02歩き出し。熊出没注意と記載されているのが気味が悪い。 以前は登山をしてもあまりクマの出没を警戒したことはなかったが、2012年に3度もクマと遭遇してから単独行のときは少し臆病になってきた。 しばらく整備された樹林の中の登山道を歩く。 秋だということで落葉が多いが、道を見失うことはない。 

鉄塔広場

 8:38に尾根に取り付く。 おあつらえ向きにベンチが整備されているので少し休憩をして給水する。 尾根を越えると朝日が見えた。 今日は天気がよさそうだ。 一応日焼け止めを塗る。 8:45出発。さらに歩くと、景色が開けて鉄塔が現れた。 鉄塔から北方面に樹林が途切れたところには頭が真っ白に冠雪した南アルプスの峰が見えた。方向から想像して茶臼岳・聖岳だろうか。 鉄塔の下にもベンチがある。 今日は全く登山者に遭遇しない。

若山

 鉄塔から少し方向を東に変えて登っていく。 いったんなぜか車道と交差して、さらに登山道を進む。 登山道と並行するように林道があるがいったいどこに続いているのだろうか。 おそらく林業の作業道路なのであろう。ひとしきり急な登りを過ぎると、若山(標高844m)のなだらかなピークに到着した。 樹林の中の小ピークなので特に展望はないがベンチがあるので腰をおろして給水。9:45出発。出発するとすぐに、ところどころ北斜面に積雪のあとがあるのが見られた。 

文殊岳への登り

 若山からはいったん下りになる。 樹林の先に目指す文殊岳の姿が見えてきた。 若山の巻き道と合流してそこから登りとなる。 高圧鉄塔が立っているので、目印になり進む方向が分かる。 北西側に眺望が広がり、南アルプスが再び姿を現した。 文殊岳まではここから妙に道標が多くなって、あと40分、あと36分、あと33分などと変に刻んだ時間表示が記載されている。 あと25分というところで、階段状で少し急になっていたので、休んでみかんを食べる。 ラジオをつけていると12月ということもあり今年のヒット曲が流れており、少しクマの恐怖を忘れさせてくれるから不思議だ。 

文殊岳山頂

 最後の急な草地を進むと上から人の声が聞こえてきた。 11:02、文殊岳山頂到着。 先ほど来誰にも会わなかったのに、山頂には5-6グループ、合計20人以上の人たちが昼食をとってくつろいでいた。東の方向には伊豆半島が雄大にそびえており、その手前には清水港が地図の表記のそのままの海岸線を見せてくれていた。 いつもは見上げている日本平がはるか下に見えて変な気持だった。空いているベンチに腰をおろして缶ビールを楽しみながらおにぎりをほおばる。 北東には上半分を真っ白にした富士山が見える。やはりここから見ると雄大である。

薬師岳山頂

 山頂の一等三角点の前で写真を撮影して11:45出発。薬師岳を目指す。 薬師岳までのルート上では何人もの登山客とすれ違う。 ここはこのコースのメインストリートというところか。 いったん標高差で70mほど降りて、そこから上り返して薬師岳の山頂に到着。 こちらが標高としては1051mで文殊岳よりも10mほど高くて本当の最高峰なのであるが、残念ながら樹林に覆われていて展望がない。 さらに、浜松北高校の学年行事か、およそ100人ほどの高校生が山岳レースをやっており、大きなアタックザックに2lのペットボトルの水を5本ほど入れて走って頂上まで登ってくるという過酷な姿を見てしまった。 自分が山頂に着いた時はまだゴールした生徒たちは約半数。 そこからの下りで何人ものあごがあがった生徒が走ってきていた。 約半数は女子。 たいしたものである。 穂積神社までの下りは相当に急な道である。 途中、俵峰への縦走路と分けるところがあるが、東側に展望が開けており富士山が見事だった。

穂積神社

  薬師岳から穂積神社まで距離はさほどない。 しかしながら、高校生の登山者に道を開けなくてはならないのでなかなかペースが上がらない。 急なルートは最後は鉄製の階段となり、12:40に穂積神社に到着。 ここは結構大きな神社である。 お参りをしてトイレをすませる。 神社の駐車場があったので先ほど文殊岳でくつろいでいた登山者の多くはここまでマイカーで来て、ピストン登山をしているのだろう。12:50、穂積神社の裏手から西里のやませみの湯を目指して進む。 ここまで賑やかだった登山道はまたひっそりとしたものなった。 

薄寒桜

斜面を下って一度舗装道路に出て、また再び登山道に入る。 このあたりになるとところどころ東海自然歩道の標識こそ立っているが、どこかの山林の中の林業整備用の杣道と区別がつかないほどである。 おそらく歩いている人もそんなに多くはないであろう。本州製紙の林業小屋のわきを通り、谷まで下り、渓流沿いの道を少し歩くと、舗装道路である黒川林道に合流した。 東海自然歩道の概念図があるスタート地点である。 お借りしてきた杖を次に逆コースを進むかたのためにおいていく。 ここからは延々と4.6㎞の車道歩きである。まだやませみの湯までは1時間の道のりだ。道のわきには薄寒桜が小さな花をつけている。 さすがは花の名所である。

黒川キャンプ場

 途中、3台ほど車が通ったが、きっとこの車道を延々歩いている自分の姿を見て変人だと思ったことだろう。  14:10に竜神橋を渡る。 山道もここでおしまいである。 あとは茶畑の中を進んで黒川キャンプ場をに到着。 以前テントを張ったサイト地に立ち寄り懐かしく眺める。 もちろん、こんな時期にテントを張っているキャンパーも、管理棟の係員もいない。 トイレだけお借りして10分ほど歩いて14:46にやませみの湯に到着。

やませみの湯

今日のうちに大平まで行こうとするとあまり時間に余裕もなかったが、3時間600円の入浴券を購入して風呂を楽しむことにした。 係の人に聞いてみたが、ここから大平まで歩いて1時間はかからないのではないだろうかとのこと。 シャンプーで頭を洗い、3種類の露天風呂につかったりして疲れをいやす。ここは静岡市清水森林公園のやすらぎの森というエリアだ。 決して大きな施設ではないが、庭から自然薯のつるが見えたりして、とてものどかなところだ。 

終点・大平

 時間もあるので大平まで行こうと決意する。 ここから距離はまだ4㎞。 17:00に大平を出る一日たった一本のバスを逃しては大変だ。東海自然歩道を完歩しようという人はやはりここから大平まで歩いて隣の田代峠のコースとつなげるようである。 自分が東海自然歩道をすべて歩くかどうかは不明だが、まあ話のタネに興津川沿いに上流に進むことにした。 川沿いを歩いていると民家のおばさんが、「こんな時間から山へ登りなさるのか?」と心配して聞いてくれた。 静岡の人は皆親切だ。 大平で今日の行動は終わりですというと安心していた。16:50に日没となり大平からバスを乗り継いで清水に出て帰った。

静岡で暮らすようになって初めての地元登山であったが、予想通り静かな山旅を楽しむことができた。 静岡の百山を目指すべきかどうするか? 今になって3年前に南アルプスの塩見岳に登った時、隣の蝙蝠山に行かなかったことを少し悔いる自分だった。 それにしても、このコースは安倍川から標高差1000m近くを登るので結構骨が折れるが、それでも冬の一日を使ってふさわしい展望と疲労感をもたらしてくれた。
(2013年12月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています