日本山歩日記 本文へジャンプ
釈迦ヶ岳・竜ヶ岳
釈迦ヶ岳・竜ヶ岳

基本情報
1 山名 釈迦ヶ岳・竜ヶ岳(しゃかがたけ・りゅうがたけ)
標高 1099m(竜ヶ岳 二等三角点) 
山域 鈴鹿山脈
都道府県 滋賀県・三重県
位置 N35.07.09/ E136.26.42 (竜ヶ岳)
地図 昭文社 山と高原地図44「御在所・霊山・伊吹」
2万5千分の1地図「竜ヶ岳」
20万分の1地勢図「名古屋」
7 山岳区分 ハイキング百選
登山記録
山歩No 9610-13023、13024
登山日 2013年6月1 日(土)~6月2日(日)
歩程 第一日5時間30分
第二日12時間
天候
形態 テント縦走1泊2日
アプローチ 新名神甲賀土山ICより国道477号武平峠より入山、三岐鉄道西藤原駅へ下山
パーティー 1人

  2013年6月1日(土)からテント1泊で鈴鹿山脈の縦走にトライした。 鎌ヶ岳・御在所山・国見岳・水晶岳・ハト峰・釈迦ヶ岳・竜ヶ岳・静ヶ岳・藤原岳と9山のピークを踏む旅。 すべて一度以上登ったことのある山ばかりなのだが、人生50年の節目に35年ぶりに故郷の山を訪れてみることにした。鎌ヶ岳・御在所山は関西の山岳部の仲間との合同登山。 そこから分かれて縦走。 ハト峰峠で水を汲んで重くなったザックを担いで、猫岳の手前まで来てテントを張った。 さあ、2日目のスタートである。。 

猫岩下の幕営地

 6月2日(日)昨日は羽鳥峰峠を出て1時間、釈迦ヶ岳に向かった登ったところにテントを張った。 さすがにエアマットがいつも使用している半身用ではなく背中部分の骨子だけがある小型のものなので、テントと寝袋の間が快適ではなかったがとにかく7時間寝ることができた。 3:30に起きだしてEPIをつけて、カニ雑炊の元を湯に戻して温める。 昨夜のアルファ米の残りを朝食として食べてテントを撤収する。 近くに用足しをしにいくと、樹林の中をガザゴソと歩き回る足音が聞こえた。どうやら、結構近いところにカモシカの生息地があったようだ。4:50出発。 天気は悪くなさそうだ。 ラジオでは降水確率20%と言っている。雲はあるが山裾に低く垂れこめている。

釈迦ヶ岳山頂

 歩き出してほどなく猫岩を通過した。 このあとすぐに猫岳のピーク。 結構ハト峰からテント場までは歩いてきていたようだ。猫岳を過ぎてからはいったん50Mほど下って、大きく南東に尾根をまくようにして釈迦ヶ岳の登りを進んでいく。 大陰と呼ばれる松尾尾根・中尾根からのルートとの合流点に到着。 本当の最高点はここよりも南にあるようだったが、以前に来たことがあるはずなのでそちらには寄らずにまっすぐ北に三角点の山頂を目指す。 5:32釈迦ヶ岳の山頂に到着。 山頂にはきれいな山名表示板がある。 さほど広くはない山頂であるが東側の員弁・四日市方面の眺めは抜群である。

八風峠の鳥居

 5:45に山頂を出発。 最初はゆったりとした下りだったがやがて平坦な尾根道になる。 6:07に尾根筋の地点で休憩。 8分の休憩のあと出発。 これから進む縦走路がはっきりと見えてくる。 東西に横切る小川があり取水もできそうだったが、まだ昨日羽鳥峰峠で汲んだ水に余裕があるので通過する。 ルート上に腹の黄色いヤマカガシを見つけた。 やはり鈴鹿山脈には蛇がいるのである。 983Mのピークを越えて6:48に中峠に到着。ここにも誰かがテントを張った形跡があった。3分だけ休憩して水を飲む。さらに進むと八風峠。7:07到着。 ここでは休憩せず写真だけ撮って、鳥居をくぐって三池岳へと進む。  

三池岳より振り返る県境縦走路

 三池岳の登りの途中には左手が大きくがれているところがあった。 落ちたらおしまいであろう。 7:22三池岳到着。 山頂には八風キャンプ場への下山ルートとの分岐以外にこれといったものはなかったが、釈迦ヶ岳からここまで歩いてきた縦走路を見渡すことができた。三池岳を7:26に出発。ここからは地図では結構笹のブッシュと書かれているが、幸いまだ6月に入ったばかりでそんなに笹が茂っていないせいか、藪こぎになることはなかった。 忠実に尾根上を進むが、必ずしも踏み跡がはっきりしていないところも1-2箇所あった。 石榑峠から上がってきたと思われる軽装の単独の男性とすれ違う。 これから釈迦ヶ岳まで縦走するのであろうか? 

石榑峠

 やがて傾斜が緩やかになると、広場と電柱があるところに出た。 電柱はNTTの中継所だと古い地図には記載されていた。マイクロウエーブの中継基地跡だという説もある。 ここから車の通行を規制された車道が連なっており、そこを進むと車が数台駐車してあるところに到着した。 9:05に石榑峠(標高690m)に到着。駐車場スペースは一杯で、三重ナンバーの車から3人の女性客が下りて、準備をして竜ヶ岳の登山道を上がっていった。 ここでブロック壁に腰をおろしてビスケットを食べる。朝食が早かったので腹が減った。 もらったゼリーも食べたがおいしかった。そうしている間にも軽自動車が一台、滋賀県側から上がってきたが(というか三重県側は通行できるのかどうかあやしい。)駐車場が一杯だったので少し下の広場に停め直しにいったようだった。  

竜ヶ岳を目指す

 石榑峠は三重県と滋賀県を結ぶ国道421号の峠であるが、いまや、登山者以外の利用は無いようだ。三重県側から車で登ると2t以上の車は通行禁止。 すれ違いもままならないという悪路らしい。WEBで紹介している人も多いので読んでみると楽しい。 国道は2011年9月にバイパスができて、下をトンネルが貫通しているということである。 このトンネルにより、所要時間が約30分短縮され、冬期閉鎖や重量車規制が解消されたという。 新幹線の計画の前身であった弾丸列車もこの石榑峠を通る予定であったが、結局新幹線は米原を通るルートとなった。ビスケットとゼリーで腹が満たされて9:17に石榑峠出発。登山届け提出のポストの横のがれ地をあがっていく。 

表道登山道

 登山道は石のある傾斜を一気に高度を上げていくがやがて平たい台地上のところに来た。 ここから見上げる竜ヶ岳は勇壮である。 左手のがれ場の通過が恐ろしく感じる。道は尾根伝いに登っていくが登山道は良く踏まれていて問題はない。尾根を東から西に乗り越えたところが重ね岩。なんとなく、信仰の山というのを感じる。。 郷土資料の『員弁史談』によると、「昔この地の豪族が竜神を祀って雨乞祭をした故事によって竜ヶ岳と名付く」という雨を呼ぶ竜神にちなんだとされている。古くは雨乞いの山として登拝され、南側の山腹にはこれにちなんだ「白龍神社」があるらしい。石榑峠から竜ヶ岳への鈴鹿山脈の主稜線は表道と呼ばれ、竜ヶ岳の最短ルートとして登る人も多いようだ。 

重ね岩

 10:03に重ね岩に到着して休憩。ここで、先ほどの3人組の女性が写真を撮影している。 10:07に出発。岩の間を通ってルートがあるように思えたが、立ち入り禁止と書いた札がある。これは地図上の焼野に下りる道だろうか。 地図にも上部不明瞭と書かれているので無理に歩かないほうがいいのかもしれない。 重ね岩をすぎてから次第に高度をあげていき、笹に覆われた尾根伝いの稜線を進む。 以前に竜ヶ岳に来たときもこの山が山頂近くにまったく樹林がなく笹に覆われた山であったことが印象に残っていたがその点は35年前と変わっていなかった。 ただ当時は、笹のブッシュがかなり強烈で両手で掻き分けながら進んだ記憶があるが、今はきっちり刈払いがされており通過に困難ということはない。

山頂手前の見晴のいい道

 頂上直下に、転落危険という立て札が立っている。 これは先ほど下から見上げた通過が怖いと思われたがれ場の上であろうか。 頂上直下でご夫婦連れの方とすれ違い、天気がいいですね。どこから来たんですか。と聞かれて 御在所からです。と答えると目を見張っておられた。 自分のふるさとの山を35年ぶりに再び縦走していることを説明するといたく感動してくれていた。天気はすっかり晴れ上がっている。 風が適当にあって涼しい。 竜ヶ岳の特徴はこの女性的な山容である。 高い木がないので進む方向がよく見えて、張り合いがあるとも言えるし、夏場であれば歩く手たまらないということになるのだろうか。前に登ったときは、雨でガスに覆われてまったく景色を見ることができなかったので、とても新鮮な光景である。 

竜ヶ岳山頂

 10:43に竜ヶ岳山頂に到着。広くてとても気持ちのいい山頂だ。 なにしろ360度の展望。北にはどっかりと北鈴鹿の両雄、御池岳と藤原岳が東西にそびえている。 東には大安町と四日市。 その先には伊勢湾の眺め。南には、さきほど縦走してきた釈迦ヶ岳からのルートが手に取るように見える。 セルフタイマーで写真を撮る。 山頂には三角点標識があり、その横に石を彫ったかわいいお地蔵さんがおかれていた。山頂付近には約10名程度の方が休んでいたが、裏道登山道のほうからさらに10名ほどの団体が登ってくるのが見えた。さすがは人気の山である。水を飲んで、10:51に出発。ここからは裏道登山道や遠足尾根と共通の稜線を10分ほど鈴ヶ岳との分岐まで歩く。 振り返ってみる竜ヶ岳の姿は見事だった。分岐を西に進み静ヶ岳を目指す


 釈迦ヶ岳・竜ヶ岳と鈴鹿セブンマウンテンの山を2つ続けて登ったが、どちらも、印象深い山頂であった。 釈迦ヶ岳は決して山頂は広くはないが、東側に開けた四日市・員弁郡の町が手に取るように見えるのを改めて知った。 特に竜ヶ岳は35年前の登山の日に天気が悪かったために新しい発見が多かった。こんなに山頂が広くて眺めがいい山も珍しいのではないだろうか。 遠足尾根という名の道が続いているが、三重県の小中高校生が集団で登ってくるのだろう。 きっと山頂でお弁当を食べたのが楽しい思い出になるはずである。三重県の山の中でもお薦め山のひとつだといえるであろう。。 
(2013年6月 記)

 日本山歩日記WEBトップ
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています