日本山歩日記 本文へジャンプ
甲東不老山
甲東不老山

基本情報
1 山名 甲東不老山(こうとうふろうさん)
標高 839m (三等三角点)
山域 奥秩父山地
都道府県 山梨県
位置 N35.38.00/ E139.03.00 
地図 昭文社 山と高原地図27「高尾・陣馬」
2万5千分の1地図「上野原」
20万分の1地勢図「東京」
7 山岳区分 ハイキング百選
登山記録
山歩No 9570-13003
登山日 2013年1月20 日(日)
歩程 4時間00分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 中央自動車道上野原ICより桑久保
パーティー 2人

山に登るようになって35年という長い年月が経った。 この週末には誕生日を迎えてついに半世紀を生きた大代に到達する。 それを機に何か縁起のいい名前の山に登ってみようと思い立った。 1月という時期なので、そんなに標高の高い山に行くわけにもいかない。 中央線沿線の山は、先月に起きた笹子トンネルの事故の復旧がまだ完全に終わっていないことから遠くにも行けないので、山梨上野原の富士山を眺める山の一つである甲東三山を目指すことにした。 瀬淵山・高指山・不老山と600-800mの標高の山をぐるっと周遊する計画を立てた。 5日前に、東京地方でも10年ぶりという15㎝の積雪があった。 おそらく山は雪に埋もれて真っ白だろう。 標高800mで残雪を踏んで歩くことができるというのも楽しみだ。天気のよい1月下旬の日曜日に出かけることにした。 

中央高速で上野原へ

 1月20日(日)朝6:00起床。天気は予報では翌月曜日から下り坂だというが、幸い、今日日曜日は一日日差しの指すよいお天気のようだ。 昼間の最高気温も11度とこの時期にしては暖かい。 朝食を食べて7:00に家を出る。 まず、近所のコンビニでおにぎりを買って一路、調布ICへ。 まったく中央高速は渋滞しておらず、すばらしい天気のもと朝日に輝く富士山や丹沢山塊を眺めながら渋滞に逢わずに余裕で小仏トンネルをくぐる。 8:20には上野原ICから高速を下りて、国道20号、県道30号を通って仲間川沿いに西へ進む。 ナビで甲東保育所を目的地に設定してあったので、凍結防止剤のまかれた道路を通って桑久保の集落に入り、保育所の駐車場に車を停めさせていただく。車中で着替えて準備をして、9:04に歩き出す。

西桑久保集落

  町の中の道路を東へ行くと、JAの建物がある。なるほど、これがインターネットで見た東光寺方面のルートから上がるときの車道か。今回、自分はそのルートを通らずに、さらに東の瀬淵山経由のコースで行くことにする。 甲東小学校の前で1枚写真を撮ってその東側の車道をあがっていく。 人家の裏から山の中に入る道があったので、ここが瀬淵山への登山道かなどと思ってあがっていくが、すぐに最初に登ってきた車道と合流して桑久保東地区の集落に入っていった。登山道ではなく、単なる林に通じた作業道だったようだ。 集落にはいたるところにデマンド・タクシーの停留所がある。 集落の中心の細い道をあがっていくと次第に人家が少なくなっていった。 最後の家をの裏手を通るとそこからはもう車道ではあるが山の中に入っていく林道作業道であった。 入り口には積雪のためか車両通行止のハードルがおいてあった。

桑久保貯水所

  200mほどあがると突き当たりに桑久保貯水所の建物があった。この横に、入の沢と甲東小学校・和見・高指山の分岐を示す道標がある。 ここから先は本当に林道である。 車が通れないことはないが道幅は狭く道路にもかなり雪がついておりあまり整備されていない。 そのままま右手にジグザグを切って林道を進んでいった。小さい谷あいの道を挟んで東側に瀬淵山の上の神社の祠と思しきものが見える。 どうやら地図上の瀬淵山を通るルートには入らずに、もう一つ西の道を北上しているようだ。 まあよい。 

和見峠

しばらくして進んでいた林道が左右に分かれた。 地図によると最初の分岐は和見峠のはずだが。ここで分岐というのは変だ。 昭文社のエアリアマップも里山の領域の部分はどうも整備していないようである。 右手の道を瀬淵山の方面に進みたかったが、同行者の強い希望もあり比較的明るい西側のルートを通ることを主張した。 いずれ合流しているのかと思い、そのとおりに西側ルートを進む。 果たして10:02に和見峠に到着した。もし東へ行くルートを通っていたら意外に瀬淵山の方へ行ってしまって30分以上遠回りだったかもしれない。 切通しの中の和見方向と高指山方向と来た道(桑久保方面)との三叉路だった地図では4つの道の分岐のごとくに書いてあるので少しエアリアの地図が不正確なのだろう。 ここで休憩して水を飲む。 もう日がだいぶ高くなっており気温も上がってきているようだ。 峠は日陰になっているので座っていると寒く感じられる。 。 

高指山への登り

10:08出発。 三叉路の一番厳しい道、傾斜のある上り坂を進む。 雪が林道の表面を覆っている。 やがて道は植林された杉林の中に入っていったので、日が当たらなくなり、ルート上は一面に残雪に覆われた状況となった。 誰も、入山している人はいないようだ。 そのまま進んで、10:42に標高675mの地点で休憩。 ここは樹林が切り出したあとがあり、そこから北に踏みあとが伸びているようなので植林道との分岐のようになっている。 少し腹も減ったので持ってきたせんべいを開けて食べた。 10:50出発。 しばらく進むとだんだん明るい尾根道になり、傾斜も少しゆるくなってきた。 やがて山頂が見えるようになってからはかなり雪が深くなり、くるぶしよりも上までうまるようになった。 高指山の山頂へは北東斜面からの直登だったので結構なラッセル。 ストックをうまく使いながら、膝下まで雪のある結構な急斜面を登っていった。 途中、野ウサギのような足跡を雪の上に発見した。

高指山山頂

 11:44に高指山(911m)の山頂に到着。 昼食には少し早いと感じたのでさきほどのせんべいの残りを食べる。靴を脱いで足首の周りの雪を取り払い、スパッツをつけてアイゼンをはく。 山頂にはだれもいないので、三脚を立てて記念撮影。 権現山から来て不老山へ抜けると思われる踏跡がひとつあるだけだった。 山頂は展望はないがベンチがあって腰を下ろして休むことができる。 木々の間からは不老山や権現山の姿を垣間見ることはできる。夏場は葉が生い茂っておそらくまったく展望はないであろう。 一応360度動画を撮影して12:08出発。 

不老山への縦走路

  西側には権現山へと通じる縦走路が続いておりそちらは雪が深そうであるが、不老山の標識の差す方角は南西の尾根なので、日差しがあたり雪も融けているところが多いようだ。 とはいうものの、高指山から一気に120m以上下るので結構傾斜が急である。 同行者は軽アイゼンをつけ、足元を注意しながらゆっくり下りてくる。 自分は、アイゼンをつけずに、ビブラムの底の摩擦を効かせながら体を斜めに傾けて下りていく。 10分も下ると鞍部を思われるところに到着した。 樹の間から東側の景色が垣間見える。 おそらく相模湖のほうだろうか。 鞍部からの尾根は、少し細くて馬の背のようになっていたが、雪はしまっており表層で滑る心配はない。 誰かのトレースもあってその通りに進めばよい。 

不老山山頂

 小さなピークを2つほど越えて登りきったところに不老山の道標があって不老下バス停への下山路と古屋戸への下山路とが分かれている。 そのさらに向こう側に不老山(標高839m)の山頂標識があった。山頂から南側には180度展望が開けている。 今日一番景色がいい場所ではないだろうか。 樹林の向こうに真っ白な富士山が見えた。不老山から富士(不死)の山を見る。 なんとも縁起のいいことだ。 12:41山頂にリュックを下ろして休憩。やはり残雪のせいか、高指山からコースタイム20分のところを30分以上費やしてたどりついた。 誰かのホームページに、このベンチで中高年軍団が宴会をやっていたという記録があったが、なるほど展望がよく、春先の陽気な頃など鍋をつつく宴会でもやりたい気分である。もったいないことにこの素敵な山頂には他の登山客は一人もおらず、昼過ぎのうららかな天気のもとベンチを独占した。

山頂から見る富士山

 翌日からの天気の下り坂を反映して気温も11度とこの時期にしてはかなり暖かく風もない穏やかな陽気だった。 日焼け止めを忘れたのが失敗だった。 EPIに火をつけて早速湯を沸かし始める。 湯が沸騰するまでの間にコンビニで買ってきたおにぎりとからあげを食べる。 、自分はてんぷらそばを食べて、残った湯で緑茶を入れる。 山頂でラジオを聞いてのんびりしてあまっていたせんべいを分けて食べる。 13:30に片付けて360度動画を撮って不老下バス停の方角に進んで行く。 南西に延びる尾根に沿って下山開始

金毘羅様

 最初尾根伝いに西に向いていた道もすぐに南の稜線の中の樹林となり、200mほど高度を下げて鞍部に届くと今度は南東に進んでいった。 樹林も薄くなり、残雪も減ってきたので、ここで一息入れてアイゼンを外す。14:25さらに進んで標高500mを下回ったところで、尾根上に張り出して見晴らしのよさそうなところに出た、おあつらえむきの丸太もあって座れそうだったのでそこで休憩する。 ここが金比羅様といわれる社だった。 安全下山を祈願して座ってお茶を飲む。14:30に出発。 あとはまっすぐ樹林の中の踏み跡にしたがって西不老へと下りるだけだった。 

登山口・甲東保育所へ

 途中、西不老と中風呂(中不老か?)との分岐があって、おそらく中風呂方面に下りると、東光寺などのある地区に下りられるのだろうと踏んだが、一般的な登山ルートのある西不老へのルートを取る。 最後に、森を抜けると墓場の横に出た。 そこからは車道を下りて人家のある西不老の集落へ。 そのまま道路沿いに行くと不老下のバス停に出るようだが、車を停めた場所が甲東保育所だったので、少し中風呂方面への車道を回りこんで東に進む。 上野原消防団の建物の横の公園で座って茶を飲んで、さらに樹林の中の車道をおりる。 最後に暗い坂を降り切るって、不老山への道標の横を通るとそこが、甲東保育所の駐車場だった。 出発したときと同様、車は自分のもの一台だけだった。15:30出発。 ナビの示すとおりに上野原ICへ進む。 上野原ICは料金所を過ぎてから信号で高速を下りてくる車との時間差で通行させる面白い構造。 中央自動車道に乗ってからは日曜日の午後と思えないほど順調で、藤野PAでも小仏トンネルでもまったく渋滞していなかった。 途中、休憩もなく16:23には高井戸を通過。 少し夕方の渋滞をしていた環八を通って17:11に家に到着した

 冬の陽だまりの中のハイキングは普段車で通ることしかない中央高速道路のサービスエリアから何気なく見ている山を選ぶことになった。 これが自分の山登り生活の折り返し点の山かもしれない。 そんなことを今まで考えたこともなかったが、きりのいい年齢と自分がひとつひとつ年を重ねていくことを実感していくなかでの老いへの克服の願いをこめた縁起のよい山名とが折からの富士山のきれいな姿とともに印象に残った旅であった。 奥秩父の雪を踏みしめての静かな一日であった。
(2013年1月 記)

 日本山歩日記WEBトップ
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています