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城峯山
城峯山

基本情報
1 山名 情峯山(じょうみねさん)
標高 1038m(一等三角点)
山域 奥武蔵山地
都道府県 埼玉
位置 N36.05.51/ E139.00.27 
地図 昭文社 山と高原地図22「奥武蔵・秩父・武甲山岳」
2万5千分の1地図「皆野」
20万分の1地勢図「宇都宮」
7 山岳区分 関東百名山
関東ふれあいの道 埼玉県09「将門伝説を訪ねるみち」
登山記録
山歩No 7S09-18040
登山日 2018年12月24日(月)
歩程 3時間40分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 秩父鉄道皆野駅から皆野町営バス西門平
パーティー 1人


城峯山登山にはいくつかのルートがあるが、自分の温めていた案は、関東ふれあいの道・埼玉県コース「将門伝説をめぐる道」の通りのルートである。このコースは、埼玉県の皆野町から群馬県の鬼石までほぼ14.6㎞の南北に縦走するコースである。 正確にいうならば稜線の縦走というより、城峯山の南東から東稜線を登り、そこからいったん石間峠まで下りて今度は北に矢納の集落を通り城峯公園を通るコースとなる。 2012年の6月に、この隣接する関東ふれあいの道の別コース「三波峡」を歩いた。このときに城峯公園を訪れたのだが、ここが冬桜の名所だという記述があったので、ぜひ、12月に来てみたいと思っていたことが発端となった。天皇誕生日の振り替え祝日の24日月曜日が晴れて登れるチャンスとなり、早起きしてでかけることにした。

秩父鉄道

 12月24日(月)朝4:00起床。 早朝1番の電車で出かけて、皆野駅を出る皆野町営バスに乗らなければ行けない。 真っ暗な中を駅まで行く。 東武東上線は小川町に行く急行が7:20に終点小川町に到着。 そこから、寄居まで乗り換える。 寄居まで行く列車は、駅ですべてのドアが開くタイプの車両ではなく、 自分の乗車位置でボタンを押してドアを開ける仕組みだった。 終点の寄居で、一度、改札を外に出る。秩父鉄道はSuicaやPasmoなどの交通系カードが使用できないので、駅の自販機で切符を買わなければならない。東武線を出たあと、一度JRの改札を出て、そして秩父鉄道のある1番線に移動、そこで秩父鉄道に乗り換える。 今年は2月にやはり電車で皆野に来ている。 関東ふれあいの道を歩いて、宝登山の蝋梅を見たのが2月のことである。秩父鉄道は寄居駅を定刻の7:42に発車。電車の中は1両に数名ハイキングに行く人が乗っているのと地元の学生が乗車しているという光景だった。 8:04に皆野駅に到着。

皆野町営バス

 皆野駅を降りてから皆野町営バスの乗り場までは勝手知ったるところなので何の問題もなくたどり着いたが、ただ朝早すぎたこともあり、8:10の時点でまだ、バスの待合所も開いていなかった。 駅まで戻ってトイレをすませて、それから、彩甲斐国道沿いのコンビニに行く。 国道までは少し距離があり、バスの出発時刻の8:45に戻ってこれなかったら困るなと心配しつつも、8:40にはバス停に戻ってきた。 乗車して待っていると、お花畑駅から来た列車から8名ほどのハイカーが降りてきてバスに乗車したので、バスはほぼ満席となった。バスは20分ほど走り、秩父華厳の滝で団体が降りてしまったあとは、もはや自分しか乗車していなかった。 初老の運転手はよく見ると2月に宝登山に行ったときに、自分が乗ったバスの運転手だった。 皆野町営バスは、金沢方面と日野沢方面と2路線あるが、前回自分が乗ったときには金沢線だった。 今回は日野沢線である。 

登山口の西門平

 前回、下車した根古屋橋というバス停がちょうど、その2路線の分岐となっているところのようである。 9:22に西門平のバス停に到着。 このあたりに数件の民家がある。 バス停を降りるとすぐに関東ふれあいの道の道標があったのでわかりやすかった。 少し南に歩いて、そこから沢沿いの側道に入る。 側道を入ってすぐに大きない神社があった。 門平は天空の集落とも呼ばれている。 「8月17日の送り盆(近年8月16日)に行われる精霊送りを、虫おくりと呼んでいます。精霊とは悪霊と考えられ、無縁仏とも理解されているようです。悪霊のたたりがないよう、農作物の病害虫、疫病、厄や天災地変までも虫として送り出す」と記載があった。林道に沿って進む。 途中2回、車道を横切る場所がある。 
 

鉄塔広場

 9:40、GPSの電源を入れ忘れていたことを思い出して、一度荷物を降ろしてスイッチをオン。 関東ふれあいの道は道標が整備されているので迷う心配がないのが助かる。 植林された杉林の中を進んで、10:05見晴らしのよいところに到着。 ベンチがあるのでここで休憩。 YAMAPというアプリをスマートホンに入れて、事前に地図をダウンロードしておくと自分の現在地も確認できるのでとても便利である。 2010年からGarminのハンディGPS「EtrexLegend」を愛用しているが、今や、それに近い機能がフリーのソフトで使えるのだから時代の変化はすごいものである。見ると、ここは標高750mの鉄塔の場所のようである。 ここから正面東の方向にはきれいに筑波山が見えている。 朝が早かったのでビスケットを食べて腹ごしらえ、10:20出発。 ここから少し傾斜が少しきついところも出てくる。 

鐘掛城

 10:45、鐘掛城に到着。 ここで標高が1003m。城跡だというが、特に城壁などは残っていない。1569年頃に武田軍が秩父を数回攻めたときにつくった山城の一つだという。 豊臣秀吉の天下統一で意味を失って廃城となったという。 鐘掛城は写真だけ撮影して先を急ぐ。 その前の月の2018年11月に一人で兵庫県の雪彦山を登った時もそうであったが、帰りのバスの時間が決まっているので時間との戦いでもある。 少し速足で歩く。 一人で歩いていて会話もないので、ラジオをつける。 今日は月曜日ということもあり、普段、あまり耳にしない番組が流れている。  鐘掛城から15分ほど歩いて石間峠に到着した。 ここは車道が合流しているのでどこかからマイカーでも入ってくることができるのかもしれない。 石間峠にはあずまやとトイレがあった。

城峯神社

 ここから山頂に直接あがるルートがあるのだが、まずは、ぐるっと南側の車道を経由して城峯神社に行って、そこから山頂を目指すことにする。 城峯神社の手前には結構大きな駐車場があった。 1台軽自動車が停まっていたので、社務所に勤務している人の車かと思ったが、ご夫婦のハイカーのようだった。さっそく、神社の鳥居の前で、「関東ふれあいの道」踏破ポイントの撮影をする。 三脚がミニサイズなのであまり迫力のある構図の写真が取れないのだが、何とか3枚ほどセルフタイマーで撮影した。 神社の西側は眺めがよくなっており、そこから両神山のごつごつとした山頂を確かめることができた。さらにその奥にも高い山が連なっているのでこれはきっと甲武信ヶ岳のほうだろうとあたりをつける。神社でお参りをしていよいよ山頂を目指す。

山頂への登り-両神山の展望

 城峯神社の駐車場奥は、キャンプ場としてもつかわれているようだ。 もちろん、この時期なのでキャンプをしている人など一人もいない。 キャンプ場の横から山頂へ登る登山道がある。 ゆっくりとその登山道をあがっていく。 平将門がこの山に立てこもったとき、愛妾の桔梗が敵方に密通したと疑い、将門は桔梗を斬り捨てた。そのため、今でも城峯山にはキキョウの花が咲かないのだという。 将門岩という岩があるようだが、自分の通ったルートはその岩を経由しないようである。 結局、その岩を見ることはできなかったが、10分ほど歩いて山頂に到着した。


城峯山山頂

 城峯山山頂(標高1037.7m)には一等三角点とともに電波塔があった。 山頂は快晴で雲一つない好天だったのだが風が強いというのが難点だった。 電波塔の2F部分までは階段が通じていて、展望台としての役割を果たしている。 さっそく展望台にあがって、周りの山を見た。 山頂の標識の場所では周りの樹林の影になって見えない山々もこの電波塔の展望台からはきれいに見ることができた。 冬型の気圧配置になったということもあり、北の谷川連峰は、雪雲におおわれているようではっきりとその姿を見ることはできなかったものの、関東地方の主だった山ははっきりとその姿を確認することができた。 上州の名山、赤城山・榛名山はもちろん、日光白根山はひときわ標高が高いので確認できた。 圧巻だったのは浅間山である。日光白根山や御座山や八ヶ岳はそうでもないのに、浅間山だけは真っ白な装いだった。 南東に目を転じると甲武信ヶ岳や雲取山がよく見えが。富士山が見えないのは奥秩父の山々の裏側になってしまうからだろうか?東には筑波山がきれいに見えた。 秩父の町や神流湖といった下界の眺めも楽しいものがある。

石間峠

 12:35、山頂を出発する。途中4人組の女性登山客とすれ違う。 ここから、東に石間峠まで降りる。 12:56石間峠到着。 登山者は誰もいない。 石間峠から一度、車道伝いに北西に行き、また東に切り返したところで、車道を離れて降りていく登山道があった。 しっかりと関東ふれあいの道の標識があるので間違うことはない。昭文社の山と高原地図(いわゆるエアリアマップ)の2009年版にはこの道は出ていない。 登山道というよりは林業用の道路として活用されているといったほうがよいのだろうか。車道をまがったところでは北面だからであろう、残雪が現れた。 道路の雪を除雪して、わきにどけたものだと思われるがさすがは標高1000m越えである。
 

神山への車道歩き

 13:16、急な樹林の中を下り切ったところに「跨ぎ仕舞」と書かれた道標があった。 ここから宇那室の集落までもうあと2.7㎞である。 13:36、登山道は終わり、車道と合流した。 ここから車道歩きである。 林業の作業車もこの季節なので入ってくる車は1台もない。 将門伝説の看板を読みながら、歴史の面白さにあらためて興味をひかれる。車道は宇那室のバス停からゆっくりと上り坂になっていく。 正面に神山(標高732m)が見える。 この山も三角点のある山なので、どこかで登山道が通じていると思うのだが、地図にはルートは出ていない。 車道伝いに進んで城峯公園へ。 ここには2012年の6月に来たのでまだ記憶に新しい。 郷社城峯神社の前に、バス停がある。現在時刻は14:22 

城峯公園の冬桜

 一応、ここで下りの神泉総合支所行きのバスの時刻を調べておく。 15:15なので、まだ終点の登仙橋まで歩いていく余裕はあるが、どうしても間に合わなくなったときにはここまで引き返してきてバスに乗るつもりである。 何しろ、この15:15のバスをのがすとさらに2時間以上間隔があいてしまう。 公園には事務所兼売店があるのだが、冬桜まつりも終わりもはやくる観光客も少ないのだろう。閉店しているようだった。 冬桜は少し遅いのか花はあまり絢爛ではなかったがそれでも枝に少しずつ可憐に咲いている様子を見ることができたので、きたかいがあったといえよう。 さあ、この公園から終点の登仙橋まではあと2.7㎞である。 少し速足になりながら坂を下っていく。 前回と同様、今回も農園の中を縫うようにして矢納フィッシングパークの裏手まで降りてきた。 そこから道路を歩いて、登仙橋に至る。 

登仙橋からバスで本庄へ

橋は三波石峡の入口にある。川を渡るとそこは群馬県である。 15分ほどバスを待つ。 そういえば、今朝は電車の時刻が早かったので髭を剃るのを忘れていた。 ということでおもむろにリュックから小型の電動シェーバーをだして顔をつくる。 もう夕方で誰にあうというわけでもないのだが。町営の24人乗りのバスに乗車して神泉総合支所前で降りる。 ここで15分ほど待つと朝日交通の本庄駅へ向かう路線バスが来る。 数名しか乗っていない路線バスで本庄駅に行き、16:40の湘南新宿ラインに乗って帰る。 大宮に到着するまで爆睡してい た。 19:30に帰宅。

世の中はクリスマスイブということでにぎやかに過ごしているのであろう。 このような時期にあまり山に入ったことはないが、連休というので、1日使って念願のコースを歩くことができた。 年齢もかさんできているのでいったいいつまでこの時期に一人で登るということを続けるか迷うところではあるが、関東ふれあいの道というハイキングコースはもちろん、春ー秋の季節が一番にぎわうのかもしれないが、こうやって冬の澄んだ景色を見ることができるというまた別の楽しみ方もあるように感じた。2018年は関東ふれあいの道に始まって、関東ふれあいの道で終わった1年ということができるかもしれない。
(2018年12月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています