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弘法山
弘法山

基本情報
1 山名 弘法山(こうぼうやま)
標高 243m(三等三角点 権現山山頂)
山域 秦野丘陵
都道府県 神奈川
位置 N35.12.28/ E139.14.35 
地図 昭文社 山と高原地図29「丹沢 」
2万5千分の1地図「秦野」
20万分の1地勢図「東京」
7 山岳区分 関東ふれあいの道 神奈川県9「弘法大師と桜のみち」
登山記録
山歩No 7K09-20003
登山日 2020年1月5日(日)
歩程 2時間45分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 小田急電鉄小田原線秦野駅
パーティー 2人

関東ふれあいの道は栃木県などはほとんど一本でつながっているのだが、神奈川のコースは面白いとところがあり、同一起点で同一終点なのに平行して別のコースがふれあいの道として登録されているコース部分がある。 南から北へ行く、8.「鷹取山・里のみち」は終点が、南平橋バス停であるが、ここから9「弘法大師と桜の道」10「太田道灌・日向薬師のみち」と続き、その終点は、日向薬師のバス停である。 一方で南平橋のバス停から15「弘法大師と丹沢へのみち」16「大山参り蓑毛のみち」と進み、その終点はやはり日向薬師のバス停である。 なので、この部分は周遊のようにもなっており始点・終点が同じ2つのコースを歩くことができる。 正月休みあけの晴れた日曜日に、この9「弘法大師と桜の道」のコースを歩いてみることにした。

小田急電鉄秦野駅

関東ふれあいの道をマイカーでアプローチしたことも何度かあるが、やはりコースの設計上、電車・バスという公共交通機関を使うコースが多いのも事実である。 神奈川県に住む自分にとっては丹沢山地の麓のこのコースは、裏山気分なので電車・バスを使ってでかけることにした。 家をゆっくり9:00に出て、最寄り駅からJR横浜線に出る。 町田に行き小田急線に乗り換え乗車し、10:48秦野駅で下車した。 今日の出発はこの駅からである。
 

駅北口の彫刻

11:00駅ビルのスーパーはすでに開店していたので、昼食の弁当を買う。 ついでに缶ビールのロング缶も仕込んだ。 電車で行く登山はこの楽しみがある。秦野駅は一日乗降客数43000人。 自由通路で南北結ぶ駅のデザインは1997年に経済産業省のグッドデザイン賞を受賞したという。 駅の北口は「地球環境保全像」という彫刻がある。 市を挙げて彫刻のあるまちづくりに取り組んでいるようである。

水無川

駅から北に行くと水無川を渡る橋にたどりつく。 丹沢の塔ノ岳から流れてくる水である。 その昔、弘法大師が付いた杖の神通力により干上がったという伝説もある。厚木・秦野のあたりはこのように山から流れてくる水が川を作ってそれが町を流れている景色が美しい。 今、住んでいる横浜にももちろん川はあるのだが、故郷の山から流れる川という感覚があまりない。以前、神戸に住んでいたときは六甲山から海にそそぐ水が川の景観をつくっていてよくそこを散歩したことを思い出した。
 

浅間山

新常盤橋から北に県道71号をあがると金目川があり、そのうえを弘法橋がある。橋を渡ったところが弘法山の登山道への入り口である。 11:31登山開始。 いきなりの急登階段が始まる。 少し前を地元の人と思われる年配の方が歩いていて、道を譲っていただいた。 11:43、浅間山と書かれた平地にたどり着く。 ここには東屋があって、すでにその横で休憩されている方もいた。 西にはさっそく富士山が姿を現してくれた。 ここから権現山まで0.3㎞、弘法山まで1.1㎞という道標がある。 


関東ふれあいの道と合流

 浅間山からゆっくり下ると車道とぶつかり駐車場があった。 ここに数台車が停まっていたので、マイカーで来て軽いハイキングをしている人もいるのであろう。 駐車場の脇には水洗トイレもあった。 トイレの横から車道を横切るとそこからが権現山へ向けての登り道であった。 関東ふれあいの道の標識が初めて出てきた。 南平橋からくる本当のコースはこちらであるが、バス停までのアプローチを端折って今回は歩いている。「クマ出没注意」の標識があったが本当にこのあたりで目撃情報があるのだろうか?
 

権現山山頂からの富士山

12:00ちょうどに権現山の山頂に到着した。 山頂は桜の時期にはさぞ花見客でごった返すことだろう。 幸いベンチが一つ空いていたのでここに座って昼食にする。 おにぎりと、先ほど駅前のスーパーで買ったエビチリチャーハン弁当である。 もちろん、富士山の景色をさかなに缶ビールで乾杯である。前日に夕方から小雨だったが、今朝は朝から青空で雲ひとつない快晴である。 三角点の写真を撮ったあと、夢殿のような八角形の屋根を持つ展望台に上がってみる。


平和塔

展望台からは丹沢の山、箱根の山、そして富士山を一望することができた。 大山や塔ノ岳も箱根の明神岳や神山もまったく雪がついている気配はない。それだけに富士山の白さが光るというものである。山頂で新しくゲットしたIphone8で自撮りをしてみる。 写真はきれいだが、何しろ被写体が不細工なのでそればかりはどうしようもない。 展望台のあとは平和塔の前で写真を撮る。この塔と礎は戦後復興期の1952年、秦野市の前身である秦野町により、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝えるため建立された。2014年に目に留まりやすいように少し東に移設されたという。


弘法山公園

12:37権現山山頂出発。 ここからしばらく下ると平たんな桜の並木道となっていた。 もちろん花は咲いていないが、花の季節に来たらさぞかしきれいなことだろう。 関東ふれあいの道の看板があった。現在地が権現山になっているがコース案内は確かに今自分たちが歩いている「弘法大師と桜のみち」の他に「弘法大師と丹沢へのみち」の記載もある。 今度、桜のきれいな時期に、「弘法大師と丹沢へのみち」を歩いてみようかという気になった。 道の脇に「名水はだのの湯」の看板がある。 弘法山までここから500mである。弘法山には車道からいったん離れて林道を上がっていくことになる。 ここは神奈川の景勝10選に入っているようだ。


弘法山山頂

12:50弘法山山頂到着。 木の板に書道の達人が(まさか弘法大師ではないと思うが)筆で書いたと思われるりっぱな山頂標識がある。 この弘法山の山頂は、権現山のように見晴らしのよい展望台があるというよりは、神社のお堂がある。お参りをして先を急ぐ。 (よく考えたら踏破の証拠となる大師堂の前での写真撮影を忘れてしまっていた。) 関東ふれあいの道はここから246号に降りるかのごとくに記載があったが、稜線の上のハイキングを楽しみたいので、そのまま鶴巻・聖峰・高取山方面の道標へ向かって進む。 


善波峠から蓑毛への分岐道

13:08、善波峠の分岐。 ここから、野菊と信仰の道が分離しており大山まで続いているようである。 蓑毛まで9.5㎞なので結構な距離がある。 「首都圏自然歩道枝線」と書いてあるので関東ふれあいの道のサブコースということになるのだろうか? 13:27矢倉沢道と吾妻山への道との分岐標識があった。 どちらも関東ふれあいの道と書かれていたのでなんの迷いもなく吾妻山への標識に沿って進んだが、よく考えたら先ほどの分岐からここまでが関東ふれあいの道のコースではなかったということになる。 道沿いには「関東ふれあいの道」の大きな石の道しるべがある。 おそらく100㎏はあると思われるがいったい誰が運んだのだろうか?

吾妻山で休憩

13:30、上り坂を登りきったところで、「おそば 田代庵」と書いた看板がある。 すばらしい、商売上手である。 13:36吾妻山に到着。 山頂といっても樹林があるので決して展望がよいわけではないが、それでも東側に景色は見えた。 犬を連れて休んでいる人がいたのでやはりよい散歩コースになるということだろう。 13:48、鶴巻温泉駅へ行く道と坪ノ内バス停へ行く道との分岐に来た。 前を歩くハイカーは鶴巻温泉へのルートをたどったが、調べてみると14:16のバスがあるようだったので、あと0.8㎞だからバスに間に合うだろうと考えて関東ふれあいの道をコース通りに歩いてみることにした。 

坪ノ内バス停

14:03、坪ノ内のバス停に到着。 思ったより早く到着できた。 国道246号線沿いのレンタルビデオショップでトイレを借りる。 バス停から鶴巻温泉行のバスに乗り、 鶴巻温泉駅に14:28到着。鶴巻温泉の駅は学生時代に友人の実家があって泊まりに来たことがある。ずいぶんときれいな駅なので改良工事が進んだものと思われる。  駅前のコンビニでコーラと日本酒を買って電車に乗り込む。日没まで十分な時間を残して、家に帰りつくことができた。

弘法大師に関する伝説は、北海道を除く日本各地に5,000以上あるといわれ、歴史上の空海の足跡をはるかに越えている。特に弘法水に関する伝説は日本各地に残っている。弘法大師が杖をつくと泉が湧き井戸や池となった、といった弘法水の伝承をもつ場所は日本全国で千数百件にのぼるといわれている。 真偽はともかく自分の地元の神奈川県にもそんな伝説があって楽しい。関東ふれあいの道は自然と触れ合うとともに歴史ともふれあうことのできる一日を与えてくれる。 
(2020年1月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています