 |
 |
基本情報
1 |
山名 |
焼山(やけやま) |
2 |
標高 |
1,366m |
3 |
山域 |
八幡平 |
4 |
都道府県 |
秋田県 |
5 |
位置 |
N39.57.50/ E140.45.25 |
6 |
地図 |
昭文社 山と高原地図5「岩手山・八幡平・秋田駒」
2万5千分の1地図「八幡平」
20万分の1地勢図「秋田」 |
7 |
山岳区分 |
東北百名山
(ハイキング百選) |
|
|
登山記録
山歩No |
6520-12018 |
登山日 |
2012年5月1日(火) |
歩程 |
4時間30分 |
天候 |
快晴 |
形態 |
日帰り(夜行3泊4日) |
アプローチ |
JR田沢湖駅発八幡平山頂行きバス玉川温泉下車 |
パーティー |
1人 |
|
 |
|
 |
|
|
2012年のGWは、東北での山スキーとなった。 4/27(金)の夜行で東京から田沢湖にやってきて、森吉山に登頂し、29日と30日で念願の乳頭山から秋田駒ケ岳の縦走を果たすことができた。 最終日の5/1(火)は夜行バスに乗るまでの時間を生かして、東北百名山の焼山登頂を目指すことにした。
|
田沢湖ロッジの朝食
5月1日(火)今日は、世間では祝日ではないが会社は休みなので、まだ、田沢湖にいる。 田沢湖ロッジで、やはり夜明けとともに目が覚めて、部屋で荷物の整理をする。 一人で部屋を占領することができたので、きのうからぬれた衣類を乾燥させたりすることができた。 6時になって、再度温泉に入浴するが、湯の温度が低かった。 6:30に上がり、7:00から朝食。 山登りに備えて、ごはんは目いっぱい食べておいた。 夕べのうちにチェックアウトしてあったので受付にキーを返して7:50に田沢湖ロッジを出る。 歩いて約7分で、田沢湖畔のバス停。 荷物の詰め替えをして兼用靴に履き替える。 そのときに金具で指を傷つけて出血してしまった。 絆創膏を貼って手当てをする。 何か縁起が悪い。 8:16に秋北交通の急行バスに乗って玉川温泉に向かう。 |
 |
玉川温泉到着
バスに乗ることおよそ1時半強。 玉川温泉に到着。 ひとつ手前の玉川温泉入り口には、係員の詰め所があって、ドアがあいて、係員がバスに乗り込んでくる。 この人は玉川温泉でバスが後退でバス停に駐車するときに、運転手を誘導するのが主な仕事だ。 バスが玉川温泉を出るときにまた乗車して、玉川温泉入り口の詰め所に行く。 下りのバスのときも同じようにして一日に何往復か玉川温泉と玉川温泉入り口を往復してくれる。 前回2年前、八幡平から乗車したときも同じ初老の男性が係員として乗車してきた。9:22、バスは玉川温泉に到着。天気は快晴。 上着を着ていると暑いくらいだ。 国内でもっとも強酸性の湯で湯治効果も高いということで、駐車している車のナンバープレートも、名古屋・土浦・仙台・品川・山口など全国から集まってきていた。 |
 |
名残峠への分岐
旅館の入り口で焼山への登山道の方向を聞いて、GWでたくさんの観光客が来ているその間を縫って兼用靴と熊鈴をじゃらじゃら鳴らしながら自然研究路を東に進む。 まわりの人の50%くらいの物好きを見る白い目と、30%くらいの無関心と残り20%くらいのアウトランダーのクライマーを見る敬意の目とをくぐっていく。
やがて、自然研究路は2俣に別れ、左側の道は名残峠を指していた。 そちらの道はまだ雪に覆われていて、観光客はあまり入っていない。9:33残雪を踏みしめて、10分ほど歩いた大岩の横で、荷物を下ろし、スキー板にシールを貼り、サブザックにアイゼン・食糧・防寒具・水を入れて、残った荷物は岩陰のデポして10:02に歩き出し。ここから、ルートを確認するが、まったく踏み跡が見られない。 もしかすると今年入った人はいないか、それとも4月上旬の寒波の際の降雪で全部消えてしまったか、いずれにせよ、沢を上流方向に行くので間違いないので進む。 ただ、赤いテープもないのでルートファインディングは極めて難しい。 全面雪に覆われていれば直進できるところも、中途半端に笹が出たりしていて迂回を余儀なくされて、あまりまっすぐ進めない。 |
 |
標高950mの急傾斜
10:55、正面の傾斜が急になってきたので、休憩して水を飲む。 トレースもまったくないので、不安になり、GPSを出して現在の位置を確認してみるが、進むべき方向とずれているということはない。 おそらく自分の進んでいる道の下に夏道があり、ジグザグを切って上部へ進んでいると信じる。 上に沢が見えるので、おそらくこの部分が地図にマークのある、水場であろう。沢の下部分まで来たが、ここから沢の上部に登るために流水の中心を突っ切るか、左の尾根筋にまわるか迷った。 尾根筋は雪が融けておりやぶこぎにかなり苦戦しそうだ。沢の中心を進むことにする。
|
 |
水場スノーブリッジ踏み抜き
沢を登るとき、うかつにも、岩と岩のブリッジに乗ったときに、私の体重でブリッジが崩壊して沢に片足落下してしまった。 しまった。 幸い水に流されることはなかったが、相当に雪が緩んでいる。 今日はこの4日間でもっとも気温が高い。 天気予報で秋田県でも25度の夏日になることが予想されている。このルート選択は無理だと判断し、逆に沢の右岸を巻くことを考える。 そのために、傾斜40度ほどの雪の壁をトラバースすることにした。
|
 |
急斜面を滑落
慎重にキックステップで進んで中ほどまで来たときだ。 右足の下の雪面が不安定で崩れて、そのまま重心を崩して雪面上部から滑落を始めた。 いかん!とっさに思ったが、ピッケルは他の荷物と一緒においてきていたので手にはストックがあるだけである。セオリーどおりに体を傾けで肘でブレーキをかける。 気温が高くないおかげで、このブレーキだけでずいぶんスピードを殺せた。 落ちていく先に、一本の木が見えたのでいちかばちか両足で木の根を踏んで着地を試みる。体操選手のようにきちっと足はそろわなかったが、一応止まった。 結局15mほど落ちただろうか、幸い怪我もないしスキーやストックの破損もない。
|
 |
撤退を決意
水を飲んで落ち着く。 時計を見るともはや11:15である。 名残峠に12時すぎには着いていないといけないという行動計画からすると、本日焼山の山頂に立つのは不可能である。 何しろ16:40の最終バスで田沢湖まで帰らなければならない。 おまけに、この斜面の下で長時間うろうろしていたのがいけないのだろうか、頭痛がし始めてきた。 ちょうど、この下に標高800mくらいのところに玉川温泉の噴気が見える。 火山ガスの一酸化炭素が風向きでこの森の斜面の下で濃度が高くなっているかもしれない。 あまりここのとどまるのいいと思われない。 ブリッジ踏み抜き+雪面滑落+有毒ガス中毒と3拍子そろって帰りの時間が気になれば、もはや他に選択枝はない。 やはり、朝バスに乗る前に兼用靴の金具で指を切ったのが予兆だったのか? 名残峠・焼山は思った以上に手ごわかった。11:25、天気快晴の中、撤退を決意した。
|
 |
ドロップポイントー森吉山をバックに
残り少ないバッテリーのデジカメのセルフタイマーを使って、最後にドロップポイントから、3日前に登った森吉山を背景に写真を撮った。 そこから、シールをはずして自分のトレースに従い滑り下りる。 途中、下りにくいところではツボ足になり、12:05に荷物をデポしているまで下りた。 乾パンを食べて、登山靴に履き替え、兼用靴は日に乾かしてザックにしまう。どーんという大きな音で東の斜面の方で雪崩が起きる。 以前、この玉川温泉は、雪崩で痛ましい事故があった場所である。 気をつけないといけない。 |
 |
玉川温泉-岩盤浴
バスの時間まで4時間以上あるので、玉川温泉でゆっくりしようと決めて、自然研究路を再び戻る。 玉川温泉バス停の裏手の自炊棟の資材置き場に、荷物を置いて、自然研究路を散策。 さきほどまでスキー板をかついでアウトランダーをきどっていた山スキーヤーは、いまは、他の観光客にまじって源泉の湯の花や北投石を観察するおじさんに変身してしまった。 地熱が体にいいといわれる岩盤浴のくぼ地では、岩の上に寝転んでまどろみを楽しんだ。
|
 |
玉川温泉バス停
14:20に大浴場に入り、日帰り温泉券を600円で買って、名湯「玉川温泉」を堪能する。 源泉50%の湯に入り、蒸気風呂や打たせ湯を味わう。 打たせ湯は要注意だ 強酸性の湯なので、目に入るととても痛い。 最後の源泉100%に肩口までつかる。 ザックで肩がすれた部分が痛かったのでそれ以上深くは入れなかった。 15:00にあがって、売店で、氷結果汁と軟骨つくねときゅうりの浅漬けを買って、資材置き場で沢の風をあびながら憩いのひと時をすごす。15:54に田沢湖行きバスに乗車。途中、新玉川温泉に行く途中、バスの中から焼山の姿が見えた。 バスはふるさと会館前で8分休憩して、17:20に田沢湖駅に到着。 駅前のお土産屋・食堂の「みずうみ」できりたんぽうどんを食べて、土産を買って、20:20の夜行バスで帰京した。
|
 |
焼山は夏山のハイキングで有名であるが、合わせて山スキーのクラシックなコースだと思っていた。 しかし、今回、意外にも玉川温泉側から入る人が少ないことを知った。マイカーを利用する人にとっては標高の高い後生掛温泉から入る方が時間的に優位であるからだろうか。 残念ながら頂上を極めることはできなかったが、雪道のルートファインディングの訓練や危険回避の練習などにはなった。 何よりも玉川温泉体験をすることができたのは貴重な経験になった。 いつか、後生掛と玉川の二温泉をつなぐこの道を歩いてみたいものである。
(2012年5月 記) |
|