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烏帽子山
烏帽子山

基本情報
1 山名 烏帽子山(えぼしやま)
標高 910m(二等三角点)
山域 紀伊山地
都道府県 和歌山
位置 N33.41.45/ E135.54.02 
地図 昭文社 山と高原地図51「高野山・熊野古道」
2万5千分の1地図「滝の拝」
20万分の1地勢図「田辺」
7 山岳区分 関西百名山
登山記録
山歩No 5999-19008
登山日 2019年3月10日(日)
歩程  3時間05分
天候 曇り時々雨
形態 前日泊日帰り
アプローチ JR西日本紀伊勝浦駅熊野交通バス大門坂
パーティー 4人

 2019年3月9日(土)山岳部のK.Iさん、A.Dさん、K.Dさんと和歌山県の嶽ノ森山(376m)に登った。 翌日10日(日)に狙うは関西百名山の烏帽子山である。 この烏帽子山は1999年の6月にチャレンジした。梅雨のまっさなかだったこともあり残念ながら雨で断念せざるを得ず、那智の滝だけ見物して帰った。今回は20年ぶりのトライである。 

紀伊勝浦駅前

 嶽ノ森登山は幸い天候に恵まれ、目いっぱい花粉も吸って、帰り道の駅「一枚岩」からタクシーで串本駅に向かうときには鼻水を垂らしながら電車に駆け込んだ。 南紀の紀勢本線の時刻表をよく把握していない我々には危うく2時間近く串本駅で電車を待つリスクがあったがタクシーの運転手さんが急いでくれたおかげで17:30に紀伊勝浦駅に到着することができた。 駅の近くで通行人の方にコンビニの場所を聞いて寝酒と翌日の昼食のおにぎりを買って、駅から歩いて本日の宿である「勝浦観光ホテル」に向かう。 駅前から国道の裏通りを歩きながら、晩御飯を食べる居酒屋「吾作」の場所を確認する。 

居酒屋「吾作」

 勝浦観光ホテルは「陽いずる紅の宿」と銘打っているだけあり全室オーシャンビューの部屋で、入口の作りも立派だった。 4Fの2部屋に分かれて荷物だけおいて、すぐに夕食に出かけることにする。 居酒屋「吾作」は那智勝浦町で一番うまいと評判のお店である。 縄暖簾をくぐって予約してあった奥の座敷に座る。 常連さんでいつも混んでいるということであるがやはり隣の席では家族づれが、そしてその後ろでは8人ぐらいのグループで宴会をしていた。 「流れ子」(小さいアワビのような買い)や「シビワタ」(本マグロの内臓)などここでないと食べられない絶品を頂戴して、日本酒「太平洋 生貯蔵酒」(新宮市尾崎酒造)をぐいぐいいただく。

勝浦観光ホテル

 21時にお開きにして宿に帰る。 明日大門坂までバスに乗るときのバス停を確認しておいた。勝浦観光ホテルの風呂は7Fにある展望風呂である。 もう夜になっていたので景色を見ることはできなかったが、露天風呂で風に当たると気持ちよかった。 日の出の時は風呂からもよい眺めのようである。 風呂をあがってからは部屋での宴会はいつものお約束通りである。 夜行バスの疲れもあったので、23時過ぎにはお開きとした。
 

熊野交通バス

 翌日3月10日(日)6:00起床。 同室のK.Iさんは早速朝風呂に行ったが自分はその元気はなかった。 着替えて6:45に朝食に。 7:37に須崎のバス停からバスに乗車。7:50に大門坂のバス停で下車。 観光ガイドの方に烏帽子山の登山ルートを聞くが、われわれの登るルートはかなり荒れていると聞く。折から小雨も降り始めていたので気持ちがなえながらも、雨具をつけて出発。 8:11、登山口に到着するも、旧登山道はダムの堰堤に阻まれており、民家の脇を通っていかな刈ればいけないルートであった。 関西電力の用水パイプの沿って進む。雨は小雨になって気にならないほどになってきた。  


険しい登山道

 標高100mほどのところで用水路は終わり、そこからは関電の作業道(水路の上にコンクリートの蓋をしたところ)を歩いて水平に進む。 陰陽の滝と夜美の滝の分かれ道のところから登山道がつながっていたのでそれに沿って進む。 ただ、すぐに難所が現れた。 かなり急な崖をロープでよじ登るところがある。 すぐにはっきりしたルートが現れたが滝の上部ではまたトラバースをしなければならない。 赤いテープはついているのだが、急斜面をかなり危うい思いをして滝の上部まできたが、相当に時間をロスしてしまった。 ここから道は少し平たんになり、作業小屋を過ぎたところで、渡渉する。 橋もないので岩を飛んで超えなければいけないのであるが、K.Dさんは左足を沈没させてしまった。 渡渉をしてまた林業作業道のようなところを進む。 さらに10分ほど歩くと。 東の谷をさかのぼるコースと大杭峠に進むコースとの分岐が現れた。 時刻は10時。

大杭峠との分岐

 本来、1時間強で来なければいけないところを1時間50分使ってしまったことを知る。 山頂に11:30くらいには出ないと14:15のバスに乗って帰らないといけないことを考えるとここから先に進むことはできないと判断した。 残念ながら、そこで撤退を決意。 二度目の挑戦も残念ながら登頂とはならなかった。 もっともこの天気であれば登頂してもあまり景色はよくないであろう。 帰路も険しい崖の道を通ることを考えると少し時間に余裕を見ざるを得ない。分岐で4人、三脚を使って記念撮影をする。 10:05退却開始。


陰陽の滝

 帰路も気を使いながらそれでも一番危険だった滝ノ上のトラバースルートはもう少し優しいルートがあることをA.Dさんがトップを歩いて発見してくれたので、往路ほど怖い思いをすることはなかった。 11:00にロープの場所に到着。 ロープを降りるときにずいぶんとステップを壊してしまったが、それでも全員無事に崖を降りることができた。 木道に出て。陰陽の滝で休憩。 滝見台は、下の沢に降りるところにチェーンが張ってあったが、手で金具を外すことができたので河原に降りることができた。 河原に降りるときれいに滝の写真を撮影することができた。 緑の淵が美しい幻想的な滝だった。


大門坂

 再び関電の用水に沿って民家まで降りる。11:34に下山。 帰りは来るときよりも早く降りることができた。 バスが11時56出発だったので少し時間があり、大門坂がどんなところか入口まで見に行くことにした。 県道から大門坂入口に向かうと、「大門坂茶屋」があり、平安衣装のレンタルがあり、記念撮影を行うこともできるとガイドブックには書いてある。 大門坂から熊野那智大社を経由して那智の滝に至るコースが歩行2時間のハイキングコースなので、登山をあきらめた我々はその観光をするという選択肢もあったのだが、自分も早めに帰りたかったし、ちょうど11:56のバスがあったので観光はしないことになった。

特急くろしお

 バスで那智駅を経由して紀伊勝浦の駅到着12:20。 せっかくなのでマグロ丼を食べようということになり駅前のお店「山賀」に入ってゆっくり昼食とする。 マグロ丼はとてもうまかった。着替えをして13:05にくろしお24号新大阪行きに乗車。 まだ時間も早いので問題なく自由席に乗車できた。 自由席でビールを飲みながら、つまみにマグロの燻製やチーズかまぼこ、ビールがあくと昨夜飲み残した焼酎も出てきて宴会が始まる。 リーダーのK.Iさんは和歌山で下車。 A.Dさん、K.Dさんは天王寺で下車ということでそれぞれが帰路についた。 自分は終点の新大阪に行って、そして新幹線に乗り換えのぞみ394号の自由席に乗って帰った。
 

 関西百名山の登頂を目指すものにとって和歌山南部の山は避けて通れない関門である。 今回の烏帽子山は、帰ってからルートを調べてみたが、昭文社の山と高原地図にも出ていないルートだった。 その意味では、もはや歩く人がいなくなって廃道となりつつある道なのである。 登山道が開かれていく歴史もあれば、登山道がなくなっていく歴史もある。 熊野古道にほど近い神事にまつわる場所で長い歴史の変遷をみた気がする。 烏帽子山は結局今回も登頂することができなかったが、次に那智の滝を訪問するときがあればそのときは山頂を窮めているのだろうか?
(2019年3月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています