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三上山
三上山

基本情報
1 山名 三上山(みかみやま)
標高 432m
山域 湖東
都道府県 滋賀県
位置 N35.03.02/ E136.02.15 
地図 昭文社 山と高原地図「-」
2万5千分の1地図「野洲」
20万分の1地勢図「名古屋」
7 山岳区分 関西百名山
登山記録
山歩No 5190-12010
登山日 2012年3月19 日(月)
歩程 1時間50分
天候 晴れ
形態 日帰り
アプローチ J名神高速道路栗東ICより国道8号線御上神社前
パーティー 2人

2月に足利行道山にいってからずいぶんブランクができてしまった。スウェーデンに海外出張に行った後、インフルエンザにかかってダウンしていたり、週末に天気がよくないことなどがあって、山がブランクになっていた。 約1ヶ月ぶりに登山靴をはいたのは、関西百名山今年第一弾の滋賀の近江富士と呼ばれる三上山である。 もう四半世紀も前からこの山は知っていた。 東海道新幹線に乗っても、名神高速道路を走っていてもこの山の美しいコニーデ型の形には目を奪われる。 JRの野洲からバスも出ているし、名神の栗東インター・竜王インターどちらも距離は近い。関西のハイカーにはとてもメジャーな山である。 いつでもいける山なのに、ずっと行く機会がない山であった。 4ヶ月ほど前に(セ)山岳部のH.H氏が企画をしてくれたのだが残念ながらチャンスを逃してしまった。 今回、大阪へいったついでに、日曜日の晩、滋賀県の草津のビジネスホテルに泊まり、翌月曜日に帰京する前に、念願のこの山に登ることを決めた。 

御上神社

03/19(月)朝6:20起床。 カーテンのないビジネスホテルの部屋は明るくていつもより早く起きてしまう。幸い、土日の間降り続いた雨は上がって、天気は回復傾向である。ホテルの8Fの部屋の窓から、湖南アルプスも今日登る三上山もきれいに見えている。 朝食のあと 9:15にホテルをチェックアウトして出発。 車で9:39に御上神社に到着した。着替えてトイレをすませてGPSを忘れたことを思い出、いったん車に戻って10:30に御上神社の参拝開始。 祭神は天御影之神(あめのみかげのかみ)。この神が三上山に降臨したのを祀ったのが始まりといわれている。  深い老樹の木立に囲まれた境内は、長い信仰と歴史を物語るのにふさわしい威厳と風格を漂わせており楼門をくぐると優雅な拝殿、千木のそびえる本殿、その左右に若宮社・三宮社が並んで建っている。近所の熱心な参拝者と思しき方が一生懸命参拝していた。

表道登山口

 10:38国道8号線をわたって三上山登山口へ。 車道を渡ると、衣料品のお店が、登山記念品などと広告を出していたので、いったい何を売っているのだろうかと気になった。 関西百名山の登山バッジがあるという話しも聞かないので興味がわきつつも、下山の時刻が決まっているので登山を開始する。 登山口は表道と裏道では登り口が別々になっている。 どちらにも大きな道標があるので見落とすことはなさそうだ。 今回は下りのときに膝への負担を考慮して、健脚向きの表道を登路に、一般道の裏道を下山路に選ぶことにした。 ちなみに表道は5万図に出ているが、裏道は記載がない。 おそらく裏道は比較的最近地元の人によって開発されたと考えるのが適当だろう。 11:43、表登山道の入り口に取り付く。 ここは民家の裏のようなところの階段を上がり、そこから鉄柵を手であけて登山道へと入っていく。 「猪が出没しますので門を開けたら必ず閉めてください。」と書かれている。 

妙見堂跡

 ルートははっきりしており決して傾斜が急だということもない。 10:49あばらやの前に到着。 ここは休憩所の跡地だろうか? とりあえず、軒先の土間と思しきところに腰をおろして休憩。茶を飲む。 10:53出発。道はすぐに大きく左に曲がり、平らになったところに出た。 ここが妙見堂跡である。 観光物産協会が立てた道案内板があり、これから登るコースの概要図が出ている。 10:55通過。 道はさらに樹林の中を進む。 前を同じところに車を停めて登山している5歳くらいの女の子を連れた男性の姿が見える。 女の子も結構しっかりした足取りで登っている。 

二ノ越

 11:02、二ノ越に到着。 ここから南に20mのところに展望台がある。 折角なので足を伸ばしてみると、果たして南西方向に眺めのよい景色が開けていた。 標高248m。 野洲川がきれいに見えている。 尾根のように張り出しているので、ここから山頂の写真を撮る事ができた。 少し景色を楽しんで11:07出発。 しばらく進むと、登山道が分岐して、右手に割岩との表示がでていた。 岩の下から見ると、鎖がついており少々急峻な感じである。 岩をまいても登ることができるので、木の根につかまりながら割岩の上に上がる。 岩の説明をしてある札があり、ちょうど人は一人通れる隙間の割れ目だと書かれてあった。

割岩から展望のよい登り

 割岩の上に出るとそこから山頂まで250mと書いてあった。もう半分以上過ぎたことになる。ここからは道はこれまでの樹林の中のゆるやかな道とは異なり、岩場を両手・両足を使って登っていくコースとなる。 鉄製の手すりまででてきた。 なるほど、これは健脚向けのコースということになろう。 2-3人下山する人とすれ違ったが、いずれもトレイル・ランをやっているような足腰の軽い人だった。 特に単独行若い女性は、おそらく駅伝の選手か何かだろう。 普通の人はここを下山路には使わないのかもしれない。 ルートは急峻であると同時に眼下に野洲の町を見下ろすことができる眺めのいいルートである。 

山頂展望台

10分ほどこの急な登りを歩くと、道は大きな岩棚に出た。 ここが山頂直下の展望台であった。 3名の登山者がいたが、順番で記念写真を撮る。 展望台には山座を示す看板があり見晴らしがある方向の南から西までの主要な山が記されてあった。 南に野洲川と名神高速道路をはさんで湖南アルプスの鶏冠山(491m)や、竜王山、1988年に登った関西百名山の太神山(600m)、阿星山(693m)がそびえていた。南西には瀬田港と琵琶湖の大津・石山の町が見え、そのはるか後方には大阪のポンポン山の稜線も姿を見せていた。 生駒や大峰の山脈も図には記載されていたが、残念ながら雲の向こうのようで肉眼では確認できなかった。 

三上山山頂

 山頂の奥宮の前では10名ほどの団体が昼食を取っていた。 岩場になっており全体が狭いので、他人の昼食を踏まないようにして奥宮の北東へ回ると、そこが一段と高くなっており、本当の山頂であった。 山頂は木々に覆われていて、奥宮や展望台ほど景色には恵まれていないが、ベンチが3つほどあり、休憩するにはいいところである。 そのひとつに腰をおろして持ってきたチョコレートクッキーを食べてエネルギー補給をする。単独の男性がシャッターを推してくれたので、山頂の道標をバックに写真を撮る。 道はここから花緑公園ふるさと館前に下りる一般向ルートがある。 バスで来ていれば西から東に抜けるその縦走も楽しいだろう。

奥宮から苔ヶ谷へ

 山頂11:54出発。 当初来るときの表道に下りてしまいそうになり、裏道への下山口を探すべく展望台からもう一度もどってくる。 果たして10人くらいの団体が陣取っていた場所の裏に、道標があって裏道へのルートがでていた。気をとりなおして南方向へ進む。 しばらく下ると道は平坦になった。 ここが苔ヶ谷といわれているあたりだ。 三上山を西から見ると山頂が割れているように見えるが、それがこの平坦な部分で東側に滋賀県希望ヶ丘文化公園があって各種レクリエーションが楽しめるという。 その隣には近江富士花緑公園がある。 

裏道を通り打越

この山はまるでコニーデ型火山のようで、山の中腹を中段の道というルートがぐるっと山を一周している。 この道を通ると、山の反対側に下山しても、また車を停めてある登山口まで戻ってこれるということになる。 まるで富士山のお中道のようで興味深い。 苔ヶ谷から少し登ると東竜王と呼ばれる祠がある、鳥居をくぐり裏道の下山道が始まる。基本は樹林の中の道で、表道に比べて傾斜がゆるく、その代わりに距離が長くなっているようだ。 ところどころ、岩場を慎重に下りるところがあるが、そのような場所には手すりがつけられている。 12:19標高280mの打越に到着。 ここで中段の道や女山への道と分かれて登山口へ下りる急な坂を下っていく。

下山-竜王から名神

 最後は天保義民碑を横に見て駐車場を過ぎて再び山麓の道へ出る。こちらの駐車場は数台程度か。 周回コースならば、御上神社に駐車するよりこちらが便利かもしれない。 裏道の最終地点にも、猪よけの防護柵があり、最後閉めてから下山完了とするのが面白かった。 田んぼのあぜ道で下りてきた山をバックに写真を撮り、車を停めていた御上神社の駐車場に12:39到着。 着替えて、県道22号を竜王ICへと向かった。 22号線はほぼ名神高速道路沿いのルートで三上山の南をまわっていく。 途中、墓地があり、そこの駐車場に車を停めて表題の写真を撮影した。 墓地は彼岸だということもありたくさんの参拝者が出入りしていた。 竜王ICからは久しぶりに名神高速を東に走る。 途中、5合目より上に雪をいただいた伊吹山がきれいに見えた。 また、天気は午後になり回復して、木曽川を渡るころにはきれいにすみきった青空になっていた。やはり雪をかぶった木曽御嶽と中央アルプスの峰が印象的に目に焼きついた。 


念願の三上山は本当に想像通りの山だったといえる。山頂でたくさんのハイカーの方にお目にかかったが、滋賀の地元の人はもちろん、大阪や奈良からも来ている人が多かった。 日曜と祝日の間の月曜だということもあり、にぎやかだった。 円錐形の山で思い出すのが、北海道の羊蹄山・鹿児島の開聞岳であるが、これらの山に登ったときも、一歩ずつ標高をあげるたびに、景色が変わっていくのを楽しむことができた。 この近江富士三上山もそれら南北の百名山に引けをとらぬ展望の山であった。 地元には毎日登山している人もいるのではないだろうか。 近畿の名山としては是非全国の人々に紹介したい山の一つである。
(2012年3月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています