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野坂岳
野坂岳

基本情報
1 山名 野坂岳(のさかだけ)
標高 914m (一等三角点本点)
山域 野坂山地
都道府県 福井
位置 N35.35.22/ E136.01.28 
地図 昭文社 山と高原地図45「比良山系・武奈ヶ岳」
2万5千分の1地図「敦賀」
20万分の1地勢図「岐阜」
7 山岳区分 関西百名山
登山記録
山歩No 5110-14013
登山日 2014年4月13日(日)
歩程 4時間50分
天候 曇り時々晴
形態 前日泊日帰り
アプローチ JR小浜線粟野駅
パーティー 1人

野坂岳は以前から興味を持っていた山である。 それはこの山が明らかな福井県の山であるにも関わらず、関西百名山に入っていることだ。 俗に「敦賀富士」とも呼ばれ、名勝柴田氏庭園ではその姿を借景されている。富士山を思わせる山容は、往来する人々にも強い印象を与えたようで、平重盛らが野坂岳について歌を詠んでいる。 今回、蓬莱山とセットでどの山に登るか迷ったが、近辺の山は意外にアプローチが厄介で、最寄り駅まで電車が使えるこの野坂岳を選んだ。

敦賀駅前ビジネスホテル山形

 4月13日(日曜)朝6:40、敦賀駅前のビジネスホテル山形で起床。 このホテルはるるぶトラベルで宿泊当日の土曜日に予約した。 古いホテルであるが結構大きな作りで料金もお手頃だった。 ひととおりの設備は整っており、1Fがコンビニだというのが便利である。 昨夜のうちに、1日10本ほどしかない粟野線のダイヤを確認しておいたのでそれに合わせて行動する。 7:43に2両編成の粟野線に乗車。 この電車は敦賀発小浜行であるが、途中の美浜・三方のような大きな駅でないと2両目の車両のドアはあかないというアナウンスを聞いて慌てて1両目に移動する。 

小浜線粟野駅

 7:57に2駅目の粟野で下車。 切符を運転士に渡して自分でボタンを押して車両のドアを開ける。 粟野の駅の前にはきれいな桜があった。 ここから野坂いこいの森、少年自然の家まで徒歩20分となっている。 2㎞弱であろう。 車道をてくてく歩いていたら、他府県のナンバーの車数台が追い越していった。 この時期にキャンプをするとは思われないので、おそらくみな登山者であろう。 結構人気の山なのであろうか。

登山口---野坂いこいの森

 8:19自然の家に到着。 ここから舗装されたルートをあがっていくと野坂岳とある。 道標がしっかりついているのでわかりやすい。後ろから先ほど車を停めたばかりの年配の女性2人組が上がってくる。 やはり自分は歩くスピードが遅いのだろう。 あっけなく女性二人組に追い越されてしまった。 昨日の晩食べた刺身があまりよくないのだろうか、腹の調子があまりいいとは言えない。 それでも歩いていると汗が出るので適度にお茶を飲みながら進む。 登山道は最初は沢に沿って進んでいく。 

谷筋渡渉地点

 渡渉して鉄梯子を登り、8:50標高360mのところでいったん休憩。前を歩いていた2人組の女性も30分くらい歩いて汗が出てきたのだろう。来ていたジャケットを脱いでリュックに括り付けている。 傾斜は次第に急になり樹林の中を進んでいくが、幸い豪雪自体の北斜面だということの利点だろうか。木々はそんなに高くなく、進む方向が分かる。トレランの恰好をした40歳くらいの男女が颯爽と自分を抜いていく。 どうしたらあんなスピードで登れるのだろうか。 

一の岳で休憩---金の菩薩像

 9:28、道は大きく南西に方向を変える。 単独の登山者がまた自分を抜いていった。 今日は人に抜かれることはあっても抜くことはなさそうだ。 9:42に行者岩の分岐に到着。 岩の近くまで行ってみることはできるようだったが岩に上ったからといって何があるでもなさそうだったのでそのまま通過する。 9:50標高700mの一の岳で休憩。ここはおあつらえ向きに座ることができるようにベンチが置いてあった。 その隣に祠があったのでのぞいてみると金ぴかの弥勒菩薩像が安置されていた。 山岳信仰の証であろうか? もっともこの菩薩像あまりに金ぴかすぎて、どう考えても昭和以降の制作のように思われる。

二の岳通過

一の岳を過ぎると次第に稜線上を進んでいるのがわかるようになる。 再び方向を南にとるようになると少しなだらかになり、10:19に二の岳に到着した。 特にピークになっているわけでもないし、特に展望があるわけでもない。 引き続いて稜線上をだらだらと進むような感じである。 ちょっと空気が冷たくなってきたので、いったんリュックの中にしまっていたアウターを出して羽織る。 ついでに軍手もはめる。

ルートの上の残雪

 防寒対策がしっかりできたところで、再び出発。 二の岳を出てから10分、やがて傾斜がきつくなってきた。 木の根の間に足を入れるようにして進んでいくところがある。 10:33、三の岳の標識があった。 下から見るほど、ピークになっているような感じはない。 一応いったん下るようになるのでピークではあるのだろう。 このあたりから次第にルートの脇に残雪がみられるようになってきた。 先ほど、一の岳の手前で自分を抜いていった単独の男性が前にいるのが見えた。 一瞬追いついたのだと喜んだら違った。 彼はもう下山してくるのだった。 早い。

避難小屋が見えた

 まだ、先は長いのだろうかと思ったがそうでもなかった。 三の岳を出ておよそ5分でいくてに頂上直下の避難小屋が見えた。 避難小屋から山頂までは大した距離もないようだから、思ったよりもハイスピードだったようだ。 少年自然の家の登山口のところで山頂まで2時間半と標識に書かれていたが、ここまでまだ休憩も入れて2時間15分しかかかっていないから、思ったよりも遅くはないようだ。

山頂直下避難小屋の中

 ペースが気になるのは帰りの電車のことがあるからである。 粟野駅の時刻表を見て敦賀方面の小浜線は12:54の次は13:48だった。 この電車に乗れなければ次は15:24までない。 13:48の電車は駅からの歩き出しからちょうど6時間50分なので、歩程6時間のコースとしては昼食時間も入れるとほぼぎりぎりということになる。 それでも10:39避難小屋に到着。 中を開けてみると誰もいなかった。 きっと登山者は皆山頂で昼食を摂っているのだろう。 避難小屋の中に権現安置所と書かれた小さな祠があった。 なるほど、これがネットに書かれていた不気味な宿泊スペースというやつなのだな。 小屋自体は快適そうである。

野坂岳山頂

10:41山頂到着。 単独で来ていた年配の地元の方にシャッターを押してもらい、まず1枚は記念写真撮影。 広い山頂には数名の方がくつろいでおられた。 天気は高曇りでまずまずである。北には敦賀湾が眼下に広がり、東には奥美濃の山山に交じって荒島岳や白山も見えた。南東には伊吹山が独立峰らしい姿を見せていた。 もともと3日前はこの日曜日は雨という週間予報だったので上出来である。山名盤を見ると比良の武奈ヶ岳も見えるようだった。 比良山地で一番高いのでおそらくこれだろうというめぼしを付けた。 素晴らしい展望と一等三角点に満足しつつ、湯を沸かして天ぷらそば。 そして缶チューハイで一人を乾杯した。

一の岳で敦賀湾を見る

11:21下山開始。 電車の時間まで2時半ほどあるのでほぼ大丈夫だろうと踏みつつゆっくり降りる。 山頂にいた単独の男性が追い越してゆき、琵琶湖をバックにした写真を撮ってくれた愛知から来たご夫婦も追い越していった。 時間もありそうだったので一の岳で敦賀湾の景色を楽しむ。 11:51出発。樹林の中を通り下山、途中野鳥の観察ハウスに入ってみようとしたが、鍵がかかっていた。12:41登山口に降りてきた。 桜の花がきれいに咲いており「おかえり」と言ってくれているようだった。さて12:54の電車にはとても乗れないが13:48は余裕なのでゆっくり歩こう。 などと思いつつ車道に出ると、山頂で琵琶湖をバックに写真を撮ってくださった愛知県のご夫婦が、敦賀まで行くからよければ乗せていってあげますよと言ってくれた。 助かった。 敦賀まで行ければ電車の便はもっといい。 

下山---敦賀駅へ

 聞くと、今日は朝6時ごろ愛知を出て2時間半ほどの運転で到着したそうだ。意外に近いのである。 静岡から来てもあと1時間くらいのプラスで来れるのだろうか? そうはいかないだろう。13:10に敦賀駅に到着。お礼をいってご夫婦と別れ、23分の新快速に乗る。時間が浮いたので、滋賀県内の寺を一つ回って帰ることにしよう。乗った電車が湖西線直通の新快速だったので、近江八幡に行くためには近江塩津の駅でいったん下車する必要があった。 14:05まで電車がないことになり、一度近江塩津の駅の構内から出てみる。いやいやレトロな駅である。  

 念願の野坂岳に登ることができた。 登った人が皆ほめる山だというのがよく体感できた。 市民と密接につながっている山ということである。 見てよし歩いてよしの山である。2014年に標高が見直されて913mに変更になったがそれまでは標高914mとして登録されていた。 敦賀市の郵便番号と同じという偶然もあって人々に親しまれた山でもある。     
(2014年4月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています