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鎌ヶ岳
鎌ヶ岳

基本情報
1 山名 鎌ヶ岳(かまがたけ)
標高 1161m 
山域 鈴鹿山脈
都道府県 滋賀県・三重県
位置 N35.00.04/ E136.25.16 
地図 昭文社 山と高原地図44「御在所・霊山・伊吹」
2万5千分の1地図「伊船」
20万分の1地勢図「名古屋」
7 山岳区分 関西百名山
登山記録
山歩No 5070-13020
登山日 2013年6月1 日(土)~6月2日(日)
歩程 第一日5時間30分
第二日12時間
天候
形態 テント縦走1泊2日
アプローチ 新名神甲賀土山ICより国道477号
パーティー 8人

 2011年6月に念願の日本百名山全山登頂を果たすことができた。 最後の100座目は奈良県・三重県県境にある「大台ケ原山(1695m)」であった。 この山を最後に選んだ理由は、この山が自分の生まれた三重県の山であるからだ。 三重県から百名山はこの「大台ケ原山」しか選ばれていない。 ただ、この山が自分の故郷の山であるかというと実は答えは否である。自分にとっての山のスタートは生まれ故郷の北勢の山なので、やはり鈴鹿山脈である。 百名山を48歳で踏破した時に漠然と、50歳になったら故郷のこの鈴鹿山脈の主脈を縦走しようと心に決めていた。 幸い、大台ケ原山に登った時に同行してくれた大阪の山岳部の仲間が、今年の年度計画で鈴鹿の名峰「鎌ヶ岳」と「御在所山」の登山を企画してくれたので、この機会に鈴鹿山脈の縦走に行くことにした。 この2峰を中心に北上するのか南下するのか悩んだが、やはり、二百名山の「御在所山」と三百名山「藤原岳」を結ぶメインコースを北上する案をとることにした。 

夜行バスで京都駅へ

 5月31日(金)当初、天気が危ぶまれたが、11時の天気予報が前日のものよりも好転して、50%だった土曜日の降水確率が20%まで下がったので、RMリーダーから予定通り山は決行だという連絡がありあわてて高速バスの予約を入れる。何とか新宿発大阪行きに空席を見つけ京都下車で予約を入れる。いったん家に帰って風呂に入ったあと再び電車で都内に出てきた。 西口郵便局の近くに待合のある初めて利用するバス会社である。 定刻に乗車して発車後すぐに消灯となる。6月1日(土) バスは6:00に京都駅前到着し、下車。

JR西日本 大津駅(北緯35度線モニュメント)

 吉野家で朝食を済ませて南北自由連絡通路を通ってJRの東海道線のホームへ。 6:56の各駅に乗車し大津で下車。駅のホームには北緯35度線のモニュメントが飾られている。 2万5千分の1地形図を見ると、大津駅の隅がギリギリいっぱい日本測地系の北緯35度線にかかっているのを確かめることができるらしい。北緯35度線を示すモニュメントはその他滋賀県では湖南市や京都の四条河原町、日本のへそを示す西脇市上比延町にもあり、西端は島根県江津市にあるということだ。

名神高速大津SA

  駅の南側から一号線まで出て音羽台の交差点から朝日が丘の住宅地の中をあがる。急な階段を登りきるとそこが上りの大津SAの敷地内だった。途中、コンビニによっておにぎりを買おうと思ったのだが、それらしき店がなかったので、SAの売店で本日の昼食を調達することになった。 このサービスエリアの売り物はやはり琵琶湖の眺めであろう。 ここは名神高速道路の部分開通(1963年7月16日)と同時に設置された日本初のサービスエリアであり、オープン当初は、駐車場とトイレのみの施設であった。一時はガソリンスタンドもあったはずだが、今は草津PAに移転したらしい。 ここで山岳部メンバーと待ち合わせしていたが、まだ京都あたりを走っているとメールが来たので桂由美の恋人たちの聖地の碑の前でで琵琶湖の写真を撮って待つことにした。  

武平峠駐車場

 15分ほどで、山岳部メンバー5人の乗った車が到着。再会を喜ぶ。 草津JCTから新名神に入る。 甲賀土山ICを越えて1号線を少し走った後9号線に入り野洲川ダムから477号いわゆる鈴鹿スカイラインにはいる。確かに、新名神ができてからは大阪。京都方面から来る場合はこのルートが近いのだろう。 以前、一度大阪からこの武平峠に来た時には名神の八日市ICで降りたはずだ。 武平峠の滋賀県側はもう車が満車状態だった。 先行していたAD氏ら2名と合流して三重県側の駐車場に移動。 こちらはまだ停めるスペースがあったので車を停めてトイレを済ませて出発。9:45 。 

武平峠

 荷物が重そうだということでトップを歩かせてもらった。 武平峠までまずいきなり急な崖の登り。15分で峠に到着。 ここは登山客が行きかうところで御在所から下りてきて鎌ヶ岳に向かう人、鎌ヶ岳から下山してきて滋賀県側に下りる人とたくさんの人が通行している。われわれは鎌ヶ岳を目指すのでそこから尾根上の稜線を登る。 2つほど小さなピークを越えたところで岩場があって鎌ヶ岳の姿が見えたのでそこで小休止を取る。沢から吹き上がってくる風が心地よい。 天気は高曇りの晴れというところだろうか。 降水確率は20%ということなので雨の心配はなさそうだ。  

稜線より琵琶湖・比良山地を眺める

  峠を出てからは、結構急な傾斜の登り。 砂地のザレ場も慎重に通過していく。やがて、鎌ヶ岳に登るルートが二つに分かれているところに出て、下山者の通過を待つことになった。 下山者に、どっちのルートを通るのがいいか聞いてみたところ、南にそのまま進む直登コースは、かなり急でストックなどを使う余地もないという。 安全に登りたければ少し遠回りだが山頂を西側からつめていくこちらのコースがいい、とアドバイスをくれたので、その安全ルートを行くことにした。 いったんトラバースするように南西に進んだあと、鎌ヶ岳の西から延びる尾根にとりついた。 尾根上を歩いて振り返ると琵琶湖が見えた。 

鎌ヶ岳山頂

  11:02鎌ヶ岳の山頂に到着。 数名の登山客が休んでいる祠の前では、南側に伸びる稜線がきれいに見えていた。 眼下には、雲母峰とその南には入道ヶ岳。稜線をたどると、野登山と仙ヶ岳も見える。 登山者が一人、仙ヶ岳の場所を聞いてきたので仙ヶ岩の位置も教えた。 祠から北に少し行くとそこに鎌ヶ岳の山頂標識と岩場があった。 こちらからは御在所をはじめ北方がよく見える。 御在所の山容が大きいのでその先の縦走路が見えるということはないが、御在所岳の左には1988年に登った雨乞岳も見えていた。東の足元には四日市の町に白子の海岸・鈴鹿の市街地。 こんなに伊勢湾までの距離が近かったというのは驚きだ。360度の展望である。座って行動食を食べる。 

がれ場を下る

11:14に下山開始。がれ場では滑らないように慎重に下りる。 人気の山だけあって登山者も多いので、すれ違いには気を使う。、崩壊地では後ろに鎌ヶ岳の勇壮な姿が見えるので並んで写真を撮る。 わざと写真目線をとるメンバ―もいる。 普段少人数でしか登らないので久しぶりのパーティー登山は新鮮である。 崩壊地を抜けると、ようやく笹と潅木に囲まれた良く踏まれた道になる。ガレ場の脇や深く掘れた溝の肩を降る。 右手の方に見える沢筋は三ツ口谷コースだろうか?最後に鎌ヶ岳に登山した時にはこのコースを登った。といっても今から35年前のことであるが。夏の登山であったので沢沿いのコースは涼しかった。

再び武平峠

 12:20に武平峠に到着。 皆、おなかがすいているのでここで昼食を摂ることにする。 大きな犬を連れた人が御在所方面から下山してきて、犬がわれわれの食べ物をほしがったので、飼い主の男性は抱きかかえるようにして滋賀県側に下りていった。買ってきたおにぎり3つを食べているとK.Dさんが持ってきたみかんとプチトマトを差し入れしてくれた。 トマトはとてもおいしかった。全体的に見ていると峠を滋賀県側に下りていく人が多いようである。 国道477号の滋賀側に駐車している人が多いのだろう。2008年9月の大雨で道路が崩壊してその後約3年間も通行止めだったという。 

御在所山を目指して登る

昼食が終わり、荷物をかついて御在所へのルートをあがる。こちらは鎌ヶ岳への登りとだいぶ趣を異にするコースだ。 樹林の中の岩の登山道を登っていく。傾斜は急だが一歩一歩踏みしめて登っていく楽しみがある。 途中の岩場で振り返ると鎌ヶ岳の勇壮な姿が見えた。新緑がきれいである。ここから、鈴鹿の主峰である御在所山を越えて今日は羽鳥峰まで縦走である。


 今から思うと故郷を去って上京する前に最後に登った鈴鹿の山が鎌ヶ岳であった。 1978年7月なので約35年も前の話である。 高校に入って山岳部に入り、そこで知り合った仲間たちと、わずかの期間であるが一緒に鈴鹿の山に登った。 ほぼ毎週のように土日には鈴鹿に入っていたのではないかと思う。 雨で展望に恵まれなかった山もあるのだが、幸い最後に登った鎌ヶ岳はとてもよく晴れて夏空の下に自分の生まれた町が手に取るように見えた。 思えばこの山に登って自分の家の方向を見たのはその時が初めてだったと思う。 いつも、子供のときから家のまどから夕日が鈴鹿山脈に沈むのを見ていた。 寒い冬の晴れた日には朝、真っ白に雪をかぶった鈴鹿の山々を見ていた。 その中でひときわ鋭く点をついている峰が鎌ヶ岳であった。 
(2013年6月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています