日本山歩日記 本文へジャンプ
大室山
大室山

基本情報
1 山名 大室山(おおむろやま)
標高 1588m(二等三角点)
山域 丹沢山地
都道府県 神奈川
位置 N35.30.39/ E139.04.06 
地図 昭文社 山と高原地図29「丹沢」
2万5千分の1地図「大室山」
20万分の1地勢図「東京」
7 山岳区分 関東百名山、山梨百山
登山記録
山歩No 4930-20018
登山日 2020年8月9日(日)
歩程 10時間20分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 小田急小田原線新松田駅から富士急湘南バス西丹沢
パーティー 1人

2011年に日本百名山全山踏破した後に次の目標をどこに置くかとして、考えたのが日本三百名山であった。2020年、この計画に大きな危機として立ちふさがったのが新型コロナウイルスによる肺炎の流行であった。 2020年は3月こそ月初に筑波山に登ったり月末には残雪期にしか登れない野伏ヶ岳に登ったが、それから4月の緊急事態宣言を受け登山も国内の移動も自粛することにした。8月山の日の三連休は梅雨が明けていたので、当初富山の毛勝山や信州の焼山・黒姫山へ行くことも考えたが7月31日に全国の感染者数は1580人と過去最高となり、さらに、8月1日に東京都で1日の陽性者数が472人となり小池都知事が不要不急の外出・旅行を控えるように呼びかけることとなった。 結局、8月8日からの三連休も神奈川から出ないようにすることを決めた。

小田急線町田駅


 関東ふれあいの道ばかりの日本山歩日記も世相を反映してはいるが、少し寂しいので関東百名山のうちまだ行っていない大室山に登ることを考えた。 マイカーで道志方面から登っている人は多いようだがそれ以外の山梨側からのアプローチはあまり人があるいていないようだ。 自分は南から前日キャンプをして空身で周回コースを畦ヶ丸まで行くことにした。 8日(土)に午前中散髪に行って12:30に最寄り駅から電車に乗る。 いつものように町田から小田急線に乗る。
 

新松田駅から富士急湘南バス乗車

 今回は秦野駅下車ではなく新松田駅下車である。 電車でここまで来るのはもしかして初めてかもしれない。 駅の北口バス停に出ると駅前に富士急湘南バスの切符売り場がある。 ここで西丹沢自然教室までの往復とぶなの湯セット券がついたお得な切符を買って14:25に乗車。 お客さんは3人だけだった。 乗っていたお客さんも丹沢湖で降りてしまった。 替わりに二人の客が乗車してきた。丹沢湖は神奈川県の景勝50選にも入っている。毎年8月10日には丹沢湖花火大会が行われる。 今年は山の日の祝日が1日移動して10日になったので、山北町の子供たちは楽しみにしていたであろうに、残念ながら新型コロナウイルス感染防止のため中止となってしまった。

大石キャンプ場

 バスは丹沢湖を出て20分ほどで自分の下車する箒沢公園橋に15:35に到着した。 予約していた大石キャンプ場は橋を渡って対岸にある。 バンガローがメインのキャンプ場で、オートキャンプのサイトが20サイトくらいというところで他の大型キャンプ場と比べてこじんまりとしているのがよい。 1週間前に電話をしたところ団体客が20人ほど予約があるが、持ち込みテントのフリーサイトは他に客がいないから使ってどうぞといわれる。 
 

ランニング開始

 テントの設営が終わったら大石キャンプ場のおかみさんに明日荷物を預かってもらえるか?と交渉する。 24時間駐在しているのはおじさんなのでおじさんに言ってくれ、とのこと。 見回りに行ってるおじさんが帰ってきたところを相談してみたら快諾してくれた。 安心して飯の前の風呂としゃれこむ。 大石キャンプ場から山北町立中川温泉ぶなの湯まで県道76号山北藤野線を走って距離は3.5㎞で40分。 ちょっとしたランニングの練習である。 トレランリュックに着替えと水だけ入れて16:20出発である。 


箒杉

16;38、神奈川の未来遺産100選に入っている箒杉の見物である。県道に面しているんではなく、中の民家のほうへ5分入るという標識がある。 行ってみると先に5人くらいの家族が来てスギの回りで写真を撮影している。 周囲が12mで高さが15mのこの杉は樹齢2000年と言われて1934年に国の天然記念物に指定されている。 この名木は、大火と土砂崩れという2度の災害から付近の住民を守った経緯があり、地元から畏敬の念で見られている。隣に茶屋があるのだが、この時間は閉店していた。 さらにジョギングを進めて大滝橋を経て大滝キャンプ場のにぎわった様子を見ながら17:10中川温泉ぶなの湯に到着。

 

中川温泉ぶなの湯

ぶなの湯は館内マスク着用。 入場制限中、と書かれて10人以上の人が入口のベンチで腰かけていた。 すぐに入るのは無理かと思ったら、受付で、男性1人は問題ないです。 入場制限しているのは女性用の浴場だけです。とのこと。 やはり男性のほうは回転が速いようだ。ぶなの湯はつくりはこじんまりしているが露天風呂もありなかなか風情がある。 4月から緊急事態宣言がでたときは約2か月間休館していたそうである。 ひげそりを忘れたのが残念だった。入浴が終わって結局18:43に西丹沢に行くバスに乗っていくしかないので(さすがに風呂からあがってからもうジョギングはしたくない。)18時前に風呂からあがってゆっくりとマッサージチェアでくつろぐ。 自販機でピールを買ったのはいうまでもない。 土産物売り場でつまみを買うとサービスでお饅頭をくれた。少しだけ河原を散歩する。


バスで再びキャンプ場にに戻る

 18:43に中川温泉のバス停からバスに乗車。 大石キャンプ場に戻る。 回りの家族連れはバーベキューをしたり、親戚どうしで酒を酌み交わしたりと楽しそうであるが、自分はまったくそれらの人々とは無縁で、遠慮がちに炊事場で水を汲みあとはテントの中でいつものようにひとり宴会をする。賞味期限の切れたアルファ米でカレーライスの夕食。 フリーズドライのミネステローネはなかなか味が良かった。 夜も更けてトイレに立ったとき少し雨が降っていたのでシューズが濡れないようにテントの中にしまい込んで就寝。

 

西丹沢のオートキャンプ場

 8月9日(日)朝5:00起床。 この時期明るくなるのが早いので行動は早めに行う、が鉄則である。 さっそく湯をわかしてラーメンを作る。 いつもはお茶を飲まないが紅茶を作る。 6:35出発。キャンプ場のバンガローの前で記念写真を撮影する。6:56西丹沢橋を渡っていよいよ西丹沢ビジターセンターに到着である。 このあたりは駐車場もすでに9割がたいっぱいでである。 トイレをすませてウェルキャンプ西丹沢の広いオートキャンプの横の車道を歩いていく。 オートキャンプに来ている人たちの車はほぼ東京のナンバーである。 地元の相模ナンバーは1台もなく、川崎・横浜ナンバーが1割くらい、あとは皆東京都内のナンバーである。その先のバウワーハウスキャンプ場も同じようににぎわっていた。 帰省をしない人たちで近場でキャンプに来た人も多いということか。犬を飼っている人などはこのドッグランのあるキャンプ場に来るのが夏休みの楽しみなのであろう。 


犬越路への登り

 キャンプ場をすぎてさらに道路を進む。 やがて7:28用木沢出合いに到着。 東海自然歩道はここで2つに分かれる。 犬越路まではここから2.5㎞である。 まず大きな橋を渡り堰堤の水を左手に見て対岸に出る。 道は林道の様子であるが途中石のあるところはルートファインディングは結構難しい。 道標はよく整備されているものの歩いている人は少ないという感覚である。 7:51犬越路まであと1.3㎞の地点にくる。 このあたりから少し傾斜が急になってくる。ところどころ木の根をつかんで登るところもある。 8:51見晴らしがよくなり檜洞丸が見えた。 犬越路に到着である。
 

犬越路から見る檜洞丸

 犬越路というのは戦国時代に甲斐国の武田信玄が小田原の城主・北条氏康を攻める際(小田原攻め)に犬を先導させて峠を越えた。犬が越えたことに由来して、犬越路と呼ばれるようになったと伝わる。かながわの景勝50選の一つにも選ばれている。犬越路にはきれいな避難小屋がある。 中に入って日記帳を見たが休憩で通過する人も記録をしているので安全対策にはなりそうである。檜洞丸の姿が見える。あそこに登ってから11年が過ぎた。

大杉丸

 犬越路から急な傾斜を上がっていく。 大室山まではまだ2㎞ほどある。 標高1168.6mのピークに三角点があった。 昭文社の地図には記載がないがこれが大杉丸と言われるピークのようである。ただ記録を書いていて驚いたのだが、この大杉丸はWikepediaには記載がある。 当山のみを目的とする登山者はほとんどおらず、とまで書いてある。 ここから歩いて1時間半、 大室山への分岐に到着した。 本日初めて登山客とすれ違う。 
 

大室山山頂

 大室山の山頂は分岐から10分で到着。 かつては「大群山(おおむれやま)」と呼ばれた。 自分が持っている「東京周辺の山」1994年版にはしっかり大群山と記載されている。山頂はブナの林が茂っていて展望はない。 Wikepediaでは山梨百山に入っていることは書かれているが関東百名山に入っていることは記載がない。丹沢主脈ではあるがあまりここまで縦走してくる人が少ないのか、山頂に滞在していた20分の間に登山者は2人しか来なかった。 10:45大室山を出発。 加入道山を目指す。 

大室山は思いついたように登る決心をした。 よく考えてみれば自分の住所がある神奈川県の山なのだからもっと前から来ていてもおかしくはないのだが、丹沢に入ったときはやはりメジャーな丹沢東部に行ってしまうので今回初挑戦となったところがある。 大群山だった20世紀に登らなかったことを少し後悔した。 

(2020年8月 記)

 日本山歩日記WEBトップ
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています