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二子山
二子山

基本情報
1 山名 二子山(ふたごやま)
標高 1166m (三等三角点) 
山域 秩父山地
都道府県 埼玉
位置 N36.06.96/ E138.86.37
地図 昭文社 山と高原地図26「雲取山・両神山・奥秩父」
2万5千分の1地図「万場」
20万分の1地勢図「長野」
7 山岳区分 日本三百名山・
登山記録
山歩No 4610-22040
登山日 2022年11月19日(土)
歩程 4時間55分
天候
形態 日帰り
アプローチ 西武鉄道西武秩父駅から西武交通バス小鹿野役場乗り換えで坂本
パーティー 1人
動画URL https://youtu.be/-eig5Qpr12I
https://youtu.be/rnxr3dHjxqc

関東百名山も残りわずかとなってカウントダウンになってきたが、やはりどうしてもこの山へ行くのは抵抗があるという山がある。 秩父山地の二子山(1166m)もそのひとつであった。 何しろ岩場が多く急峻で上級者しか登ることのできない山である。40年前に買った東京周辺の山にも掲載されていない。 昭文社の山と高原地図の「雲取山・両神山」に登山道の案内があるがやはり上級者向けとなっている。 果たして自分に登れるだろうかという不安はあったが、最近はヤマレコやYoutubeで登山した人が写真や動画の記録をアップしているので気をつけなければいけない通過場所がどこかというのを事前に把握することができる。 そのうえで天気が安定する日を選んでアタックすることを決めた。、 

西武観光バスを乗り継ぐ

2022年11月19日(土)この日は天気予報で埼玉県秩父市の降水確率がはゼロ%、天気晴れ。 風速1-3mで最高気温が20度と絶好の登山日和になることがわかった。 おまけに大安吉日である。 大安吉日だから転落事故がないなんてことはないはずだが、それでも気持ちを楽にもって朝5:10に起床。 最寄り駅から西武電車に乗り換えて西武秩父駅に8:50に降り立った。 ここから西武観光バスに乗り、小鹿野町を目指す。 9:20西武秩父駅発。 人口約1万人の小鹿野町の役場前でバスを降り、ここから10:00に町営バスで終点の坂本に乗り換え。 2つのバスを乗り継いで合計1時間15分バスに乗ってやっと登山口のある坂本に到着する。 

坂本バス停

登山口にはきれいな公衆トイレがある。 この日の登山客で同じバスで下りた人は4人ほど。 10:56登山口出発。最初北東の道に入りそうになってしまったが登山道はこっちだよと農作業をしていた方が教えてくれた。 あぶないあぶない。 仁平沢に沿って進んでいく。 やがて民家の物置の脇からは林道となりしばらく進む。 樹林の中からは登山道になり、11:20に一度車道を横切ることになる。 国道299号線のマークがついている。 正面に民家があるのでその方向に進むと、国道から分かれた林道に二子山の周辺概要図の看板があった。 


二子山登山口

概要図を見るとトイレの横に登山道への入り口があることになっている。 トイレは概要図のすぐ隣にあり、そこから30mほど進んだ先に登山口らしき目印があるのが見えた。11:24登山口到着。 クマ出没注意の新しい看板が立っている。 その横に二子山山岳事故情報が記載されている。 今年に入ってからももう2件の滑落死亡事故があったようだ。 やはり岩場の山でそれだけの危険が伴うということであろう。 登山者の数を把握するために手動のカウンターがある。 「一人一回レバーを押してください」と書いてあった。 私は8584人目の登山者であった。 


沢沿いの登山道

しばらくは沢に沿った樹林の中の道である。 登山口にマイカーが停まっていて出発の支度をされていた男性がいたが、やがて、元気なその男性は私を追い抜いて行った。 大きな熊鈴をぶら下げている。 ここから少し道が険しくなって渡渉する地点が現れた。 落ち葉が踏み跡を覆っていることもあり少しわかりにくいところもあった。 12:03紅葉のきれいなポイントからルートは沢沿いを外れて北北東の急斜面への続いて行った。 険しい道をつづら折りを繰り返すと、左手からロッククライミングの練習をしている人たちの掛け声が聞こえてきた。 股峠も近いようである。


股峠の紅葉

股峠の手前の紅葉が見事であった。 12:21股峠に到着。 ここから東に行くと東岳、西に行くと西岳となる。 お決まりの東岳から先に登るルートをとる。岩場の通過が多くなるのでここでヘルメットを装着する。 登りは急斜面でどれが正規のルートがわからないほどいろいろと踏み跡があった。 12:45 東岳へのルートの最難関部である鎖場に到着。 ここで下りの方とすれ違うので道をよけて先に行ってもらうことにした。 鎖は決して長くはないが、トラバースになっており、反対側が切り立っているので落ちたら一巻の終わりである。 

 

東岳山頂

鎖を抜けてもまだロープと木の根をつかんで登る急斜面があった。 慎重にホールドをとって尾根上によじりあがることができた。 ここで初めて東岳の全容が見えた。 まだ痩せた稜線が続く。 12:58東岳山頂に到着1122mの標高からは東に武甲山が特徴ある山容を見せていた。 また南側には両神山がギザギザの姿をドーンとこちらに見せていた。 西側の西岳はまるでマッシュルームのようで、垂直の岩壁はいったいどこから登るのだろうかと思わせる絶壁に見えた。


西岳・上級者コース分岐

下りも慎重に下りる。 13:47股峠に戻ってきた。 正面からザイルを担いだカップルが下りてきた。 さすがはロッククライミングの山である。ここから二子山西岳を目指す。 途中までは普通の樹林であるが、やがて大岩の前で左が上級者コース、右側が一般コースというルートに分かれる分岐に来た。 上級者コースには16年前までは鎖がつけられていたらしいが、不評で撤去されて今はフリークライミングで登るしかないようだ。たくさんの人がYoutube動画を上げているが、本当に垂直の壁で恐ろしいコースなので大事をとって一般コースを進むことにした。


ほぼ垂直の岩場

一般コースは岩の北側を巻いていく樹林の道であるが当然同じ標高1166mまであがるわけであるから、最初の登りだしがゆるやかでも最後は岩をほぼ垂直に登ることになるのは変わらない。 ただこちらは鎖がついており樹林もあるのでホールドスタンスには困らない。 14:17稜線まで到着。 ここで上級者コースと合流する。 振り返って上級者コースを見ると大きな岩が見えた。 垂直の壁を登りきったあと、この大岩を下らないといけないので上級者コースはやはり難度が高いといえる。

西岳山頂

14:18西岳山頂に到着。 時間が少し遅いこともあり誰もいなかった。 少し傾き始めた太陽に照らされて両神山の景色が見事であった。 昼食に湯を沸かしてチキンライスを温めてナスの味噌汁と一緒に食べる。360度動画を撮影する。 14:43山頂出発。 ほぼ計画通りである。 山頂を出てすぐに岩稜の縦走路が西に広がる。ここから50mほどが一番尾根が薄いところである。誰かが動画で戸隠山の蟻の戸渡に例えていた。岩場から足をすべらさないように、後ろ向きになって下りる。

 

西岳西峰からの稜線

50mほど進んで岩を下る。 自分の登った22年11月から1.5か月さかのぼった10月初旬、東京のSさんがここでクマの襲撃にあった。 Sさんも動画を撮影しながらここを通過していたので衝撃の映像をYoutubeで見た。 こんな切り立ったところでよくクマと戦ったもんだと改めて感心する。 自分は熊鈴を鳴らし、見通しが悪いところではホイッスルをふきながら進んだ。 少し登って15:00に西岳西峰に到着した。 ここから振り返って見る武甲山が見事である。

痛恨のルートミス

 このあと叶山の採石場の方面に徐々に標高を落としていくのであるが、途中で大きなミスを犯した、岩の左側に登山道があったのだが、右下の岩の脇の踏み跡をたどって少し樹林の中に降りてしまった。 稜線の北側の道をたどっていったがやがて踏み跡は消えてしまった。 自分がルートミスをしたことに気づく。 視界が悪ければ滑落の危険もある道を戻ってなんとか元の岩のところに戻ることができた。 5分ほどだがタイムロスしてしまった。 17:25の最終バスに乗らなければならないので気が焦る。

ロッククライミングの岩

鎖場を越えて大きく下るところでもしたばかり見ていて、危うく絶壁に迷い込みそうになったが下りる道にスタンスがまったくないことに気づき正しいルートを発見してたどる。 下りって15:52、稜線の道は終了となり、岩の下の樹林の中に到着した。 ここからはロッククライミングの練習をしている人たちの横を通って股峠の手前まで行く。 そこから坂本に下る道標を見て、下山開始。 股峠近くの紅葉が落日を浴びて息をのむほどきれいであった。


下山・西武秩父駅前で夕食

16:35登山口まで降りてきた。 そろそろ日没である。 サングラスをかけて歩いているのが暗さに拍車をかける。 16:55坂本のバス停に到着。バス停には誰もいなかった。 この日初めてヘッドランプを出して着替えをした。 予定通り17:25のバスに乗車。 18:00に役場前で下車し、後続の西武秩父駅行きのバスに乗り換える。 18:35に駅に到着。 西武特急ラビューの指定券を買ってコンビニでかき揚げそばを買って、駅前のテーブルベンチで食べる。 缶チューハイがのどに染みた。 約1時間20分で池袋駅に到着。 地下鉄に乗り換えて家に帰った。


二子山は関東百名山の中でも最難関ということができるのではないだろうか? 低山のハイキングだけをしている人にとっては少し難易度が高く、三点支持などを行ってしっかりと岩場を通過できるようになってから入山すべきだと感じた。 岩場の山だけに展望は申し分なく、特に股峠での紅葉を楽しむこともできたのでとても印象的な登山となった。 恐れていたクマにも遭遇することがなく無事に下山できてほっとした。

(2022年11月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています