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高宕山
高宕山

基本情報
1 山名 高宕山(たかごやま)
標高 315m (桃岩)
山域 房総半島
都道府県 千葉県
位置 N35.11.53/ E139.59.33 
地図 昭文社 山と高原地図「」
2万5千分の1地図「鬼泪山」
20万分の1地勢図「横須賀」
7 山岳区分 関東百名山・関東ふれあいの道「千葉県「ニホンザルと出会う道」
登山記録
山歩No 4520-13001
登山日 2013年1月2 日(水)
歩程 4時間30分
天候 快晴
形態 日帰り
アプローチ 国道410号植畑より第一隧道駐車場
パーティー 2人

 年始に関東百名山に一つ登るのがここ数年の恒例行事になってきた。 昨年は埼玉の笠山に、その前年は神奈川の大楠山に登った。 今年は暦の関係から珍しく長い連休となったが、特に遠出をする予定もないので、年始は日帰りで千葉の山を目指すことにした。 東京湾アクアラインがどの程度渋滞するか未知数であるが、自家用車で行ける関東百名山で、関東ふれあいの道のハイキングも楽しめるということで、高宕山を選んだ。 

植畑バス停より

 1月2日(水)朝6:40起床。 天気は快晴。 もちを焼いて食べて7:35に出発。 正月だということもあり道はすいている。ただ唯一、初詣に来る人の車だろうか、川崎大師の前で401号線が渋滞していた。 それでもアクアラインに乗ってからは順調で、風速14mという風のせいでハンドルがとられそうになりヒヤヒヤしたが、君津ICを9:00前には出ることができた。 千葉県道92号線(通称房総スカイライン)をナビの示すとおりに走り、西粟倉からは県道を離れて狭い車道を走る。しばらく進むと道沿いに植畑のバス停が現れた。 ここが、関東ふれあいの道・千葉県「ニホンザルと出会うみち」のコースの起点である。

第一隧道駐車場

 バス停からしばらく進むと、上手に上がっていく坂があり、道標によると、ここから石射太郎山への登りとなっている。表示によるとここから石射太郎山まで3㎞。 コースガイドでは、3.5㎞になっているから本当はもう少しあるのかもしれない。 どっちにしても自分はマイカーなので、アプローチの車道歩きは短縮することが可能である。ここからは1車線の狭い道を徐々に傾斜を上げながら進んでいく。 意外に途中に民家があるので、やはり農村がこの山と一体で暮らしているということなのであろう。 9:25に第一隧道の前の駐車場に到着。 もうすでに6台の車が停まっている。 あと3台くらいは駐車可能だろう。 看板の前に後ろ向きに車を停めて着替えをする。

登山口

  9:38出発。登山口には、イノシシ出没・野生動物注意という張り紙がある。直登のコース以外に、 八良塚コース3.6㎞、愛宕大滝コース2.4㎞と第一隧道の向こう側の林道を通るルートの案内も出ている。時間があればこの復路はこちらを通り周遊を楽しんでみようと思う。 自分たちはまず往路は石射太郎0.3㎞-高宕観音2.4㎞という札のあるコースをとる。 ここからいきなり登りとなる。登山道は整備されてはいるがところどころ岩場に足場を切ったような道もある。 

石射太郎展望台

 歩き出しから18分で石射太郎の展望台に到着した。ここからは南西方向の見事な眺めが広がっていた。 石射太郎の岩自体はこの展望台の南端にそびえたっている岩であるが、そこには柵がしてあるので近づくことはできない。そのかわり、その手前に、石射太郎の伝説を記載した立札がある。 環境省・千葉県連名のこの立札によれば「昔、台田久保という巨人が鹿野山から射たときはるか南方半里もある谷間まで射飛ばされた。そのとき、台田久保は鹿野山で石射たろうといった言葉をとって、この山を石射太郎山というようになった。」とある。 あわせて、環境省・千葉県の別の立札には、この高宕山周辺の「サル生息地」についても解説してあり、この野生サル生息地が天然記念物に指定されていることが記されていた。展望台にはベンチもある。 季節のいい時期であればさぞ混雑するところであろうが、この時期なので、誰もいない。 ゆっくりと腰をおろして休む。 隣には避難小屋のような建物もあるが、半分朽ちかけている。雨風をしのぐことはできそうだが。 10:07出発。ここから道は稜線伝いに南に進むことになる。 5万分の1の地図上に「高宕山自然遊歩道」と書いてある快適な尾根上のハイキングコースだ。 途中、切り立たところでは必ずと言っていいほど「崖注意」の看板がありよく整備されている。 道の途中は切通しのようなところもあり、風が気持ちよい。 とは言っても今日は最高気温は14度と3月下旬並みの暖かな日だが、風が強くて半端ない。 日本の南側に高気圧があり三陸沖の低気圧に向かって吹き込むような典型的な春の気圧配置だ。 

高宕観音

  10:29ルート上に突如、石の階段が現れた。神社のように狛犬が向き合っている。15mほどの階段を上りきるとそこが高宕観音の境内になっていた。 環境庁と千葉県の連名の看板(なぜか、ここはまだ「環境省」ではなく「環境庁」のままだった。)によると、奈良時代に行基菩薩が当山を訪れた際に多くの人々にご利益を施そうとして彫像したと言われてる。 源頼朝が石橋山の合戦で敗れて安房の国に渡ったときに源氏再興を祈願して黄金で一寸八分の尊像を写しこんだという伝説もある。 お堂は木造の古いもので、石を切り抜いて作ってあり、お堂の裏手は石のトンネルを通って一周することができる。 尊像の前にはご丁寧に木の切り株でできた腰掛があり、お堂の中で休憩するのにはもってこいである。 外は相当風が強くEPIのガスをつけることもできそうにないので思わずここで昼食にしたいところであるが、歴史建造物ゆえ火気厳禁と心得てペットボトルのお茶とべビーラーメンのお菓子で腹の足しにするだけであきらめる。 よく見るとお堂の中にある数々の落書きは、どれも1960年だとか、1975年だとかとんでもなく古い昭和時代の日付である。 まあ、最近の人は落書きするような不心得者がいないと喜ぶべきなのであろう。11:00出発。 

分岐の道標

  高宕観音を出ると、境内の出口は今度は胎内くぐりのような岩を掘った階段のトンネルを超えていく。 そこからの山道は、次第に登りが急になって標高を稼いでいることがわかる。11:08に、高宕山頂と、下ノ台バス停へ向かう道との三叉路にあたった。 ここが関東ふれあいの道の分岐路というところだ。 もちろん山頂を目指す。 距離はここから300m。 ただし、この300mは結構な難所だった。 いきなり鎖が張られた木の梯子をのぼり、それを過ぎた後もロープを張り渡した岩をよじ登ったり、木の根に足を突っ込みながら両手両足で登ったりと意外に険しい。 山頂から降りてきた人とすれ違うときにも、結構気を使った。 山頂直下では、南側に岩をまいていくところがあるが、道が狭い上に風がすさまじく吹いているので、足元を気にして歩いた。
 

高宕山山頂

  山頂へは最後に岩の壁をよじ登って11:00到着。 わずか5-6人が腰掛けたらおしまいというまるで槍の穂のような山頂には、先客が一人いたが「風が強いですから落ちないでくださいね」と念を押されるほどのちょっと断崖のスリルのあるところ。 おかげで、回りは360度の大展望だった。 北にはたおやかな山容を見せている鹿野山(352m)、一方で西にすっくとの回りの丘陵からぬきんでた高さで屹立している鋸山(329m)など、千葉の名山を一望することができた。 ちょうどここ高宕山が、房総半島の中央地点ともいえるところであるという地理的なアドバンテッジもあるのだ。山頂には三角点のようなものはなく、山の名前を書いた白い棒が一本、一番高い岩の上に刺されていた。 あとは小さな祠があるだけである。 狭い山頂で腰を下ろして茶を一口飲んだ後、360度展望動画を撮影して山頂証拠写真を撮って11:20下山開始。 先ほどよじ登った山の裏手に回ってみたが特に道も内容なので、もときた道を引き返す。下ノ台バス停へ行く道との分岐で風を避けて昼食を取ることにする。  12:20に片づけて出発。関東ふれあいの道の案内に忠実に下ノ台バス停へのコースをたどる。 最初、少し登りになるが、どうも本来の三角点はこちらのピークの上にあるようだ。 (ちなみに高宕山は標高330m、三角点は315.1mである)今は立ち入り禁止区域のようである。 

八良塚

12:51ここから約1.2㎞いったところで、今度葉三頭山へのコースとの分岐があった。 こちらは稜線を忠実にたどって南へ下るコースのようであるが、あまり人が入っている感じではなかった。 やはり関東ふれあいの道の本筋の方がずいぶんとハイカーに歩かれているのだろう。 昼食休憩の場所を出て約40分、ベンチのある木陰に到着。 ここが関東ふれあいの道の本筋コースと八良塚コースとの分岐のポイントである。 大きな看板があって八良塚コースの案内もある。 2.8㎞で90分と記載がある。 さっそく八良塚へ向かって歩きだすことにした。 この八良塚は標高が342mあるので、本日の最高峰である。 結構な幅の石段を踏みしめながら登る今日一番の山登りらしいコースだった。 途中で単独の男性とすれ違った。 13:12、本日の最高地点である八良塚に到着。 山頂は樹林におおわれていて展望はなかった。 天然記念物と書かれた石のブロックがおかれている。13:18出発。 あと2時間くらいであろうか、日没までには下山できるであろう。 

下りルートの難所

ここからは少し急な下り。 いくつか登りと下りを繰り返して13:38に金吊と瓦に書かれた小ピークに到着。5万分の1の地図でhあ、この編に「サル生息地」と書かれているが、一匹も姿が見えない。 ここから少し下ったところにベンチがあって今日初めて北側の展望が開ける場所に来た。 ベンチを過ぎると浸食された岩に足場を切ったスリルのある階段。 手すりとして真新しい鎖が取り付けられている。この難所を超えると、道は次第に平坦になっていった。 右手に高宕林道が見える。 てっきりこの道から林道に降りることができるのだと思っていたが、実際、踏みあとのような下り道はあったものの、はっきりして道標はなく、あれよあれよと歩いている間に、14:11、八良塚コースと監視所コースの分岐点に来てしまった。

山の神

 監視所コースを終点まで西に行ってそこから林道を歩いても、先ほど通り過ぎた踏みあとを降りて林道を通っても大して距離に差がないことを確認して、このまま監視所コースを進むことにする。 幸いルートは比較的平坦で歩きやすかった。 分岐から300mほどで山の神と名付けられた祠のある場所に到着した。 ここに「高宕山探鳥路」と書かれた立派な氷柱があった。 なるほど、バードウォッチングがお好きな方がここを歩くのだろう。監視所コースは最後に南西に尾根沿いに高度を下げていく。 小さな小川を渡った後は植林された林の中を落ち葉を踏み分けて進む。 ものの2-3分も歩いたところで山火事注意の看板が現れて林道に出た。

監視所をすぎて林道歩き

  林道の手前に監視所なのだろうか、木製の掘立小屋があった。 中からうなり声のようなものが聞こえていたが、サルがここで暖を取っているのだろうか? ちょっと気味が悪いので近づくのはやめた。 林道は1.1㎞。 少し上り坂もあったが、疲れた足を引きずり、掘りっぱなしの暗いトンネルである第三隧道、第二隧道を過ぎて、最後に一番立派なコンクリートづくりの第一隧道をくぐってようやく15:17、約5時間半のハイキングを終えて車にたどりついた。駐車場に停まっている車は5台ほどだったが、2-3台はいわゆる駐車スペースではなく、手前の路肩に停めている状態だったので、やはり、ピーク時間にはかなりの数の車が停まっていたのだろう。 ちょうど同じ時間に、八良塚のあたりにいた2人組も下山してきていた。 着替えてお茶を飲んで15:30出発。

渋滞の東京湾アクアラインを通る

 予定では17時半くらいに家に着くはずだったが、館山道は順調だったものの、アウトレットの初売りに行った客にぶつかったのか木更津金田ICのところで渋滞になってしまい、まったく車が動かない。海に沈んでいく夕日を見ることはできたが、腹も減ってきたのでチョコレートやあられをかじりながら亀より遅い歩みで運転する。 アクアトンネルに入ってからは車も次第に流れだし、首都高湾岸線で家に帰ったら18時を過ぎていた。 やはり数十分渋滞でロスしたようだ。 何はともあれ天気のいい中久しぶりに運動したので、疲労感を覚えつついつもよりも早く寝た。


年末年始とこれといった運動もしておらず、少し体重も増え気味だったので、この房総半島中部のハイキングは、ちょっと汗を流すのに適当だった。 埼玉にある石造りの関東ふれあいの道の石標識はなかったが、至る所先の地点までの距離が示されており、危険個所も注意が促されてるので歩きやすかった。 一つ残念だったのが、タイトルが「ニホンザルと出会うみち」だが、一匹もいなかった。 年末年始はサルも人前に姿を出すのは休業というところか。
(2013年1月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています