多良岳・経ヶ岳
基本情報
1
山名
多良岳・経ヶ岳(たらだけ・きょうがたけ)
2
標高
多良岳996m
経ヶ岳1076m
3
山域
多良山系
4
都道府県
長崎・佐賀
5
位置
多良岳 N32.58.32/ E130.05.33
経ヶ岳 N32.59.15/ E130.04.35
6
地図
2万5千分の1地図「多良岳」
20万分の1地勢図「熊本」
7
山岳区分
日本三百名山(多良岳)・
九州百名山(経ヶ岳)
登山記録
山歩No
3950
-22037 22038
登山日
2022年10月29日(土)
歩程
6時間20分
天候
晴
形態
日帰り
アプローチ
JR新大村駅から県道444号から県道252号黒木渓谷
パーティー
4人
動画URL
https://youtu.be/Gj_v9llY024
昨年10月に英彦山と雲仙岳とを登るために九州に遠征した。 まず福岡の英彦山で二日市のビジネスホテルに宿泊、翌朝、始発の特急かもめで諫早へ行ってレンタカーで長崎県の雲仙岳の登山を行うという交通機関をうまく活用した旅を行った。 英彦山に一緒に行ったM.Aさんは筑紫野市に住んでいるので、来年は一緒に佐賀・長崎の県境の多良岳に登りましょうと約束をしていた。 今年2022年も8月の夏山が終わってから少しずつ計画を立て始めていた。 うまいタイミングで宿を予約したあとに、全国旅行割がスタートした。宿も「Go!!佐賀旅キャンペーン」が適用できたので、最初に予約した値段よりも40%安い料金で泊まったうえにひとり1000円のクーポンをもらえることになった。 今回は、1年前の3人に加えて、山岳部のH.H氏も一緒に参加するおやじ4人旅である。
ソラシドエアで長崎空港へ
10月28日(金)。 登山にでかける前日である。まだ仕事をしている最中に今回一緒に登るA.D氏からLineで連絡が来た。 彼は大阪からフェリーで門司に入り、そこから開業したばかりの西九州新幹線を使って集合場所であるJRの新大村駅に入ってくるのである。 従い、夕方18時過ぎにはもうフェリーに乗船しており、ディナーバイキングとビールでひとり宴会をしている様子を写真で送ってきた。 自分も早めに仕事を切り上げて11時に就寝した。 翌日は7:00発のソラシドエア羽田空港発長崎空港行きに搭乗である。
長崎空港から大村市内へ
10月29日(土)朝4:20起床。 始発の電車に乗って横浜駅から羽田空港へ向かう。 6:00に空港についてそのまま保安検査場を通りゲートに行く。 ソラシドエアのチケットについて自分はマイルの口座などを持っていなかったので、QRコードが出力できるか不安であったが無事にスマートフォンにQRコードを取得してゲートを通過することができた。 機内では少しうとうとして帝国の8:50に長崎空港に着陸。 9:10の長崎県営バスに乗り松並公園で下車。 バスは行先はJR大村駅なので、新幹線の新大村駅にはいかない。 そこですでに新大村駅に到着していたA.D氏に電話をして今回車を出してくれたM.Aさんに松並公園で拾ってもらうように伝えてもらう。 かくして全員無事に合流。
黒木第二駐車場
10:15黒木集落の第二駐車場に到着。 ほぼ満車であったがなんとか停めることができた。 トイレをすませて10:25歩き出し。 5分ほど先に第一駐車場があり3台ほど停められる。 そこからは車止めゲートがあるので、登山届提出BOXのある看板の横の鎖を越えて進む。 最初は林道に沿って進むが八丁谷から林道と分かれて登山道になる。 標高530mの地点からの歩き出しなので、本日の最高峰である経ヶ岳までは約530mさらに登るということになる。 金泉寺の標識を目印に樹林の中を進む。 途中で現在地は202のように緊急時に通報する地点名が記載された札を見ながらいく。
西野への登り
30分ほど歩いて一度休憩をする。 暑すぎもせず寒くもなくちょうどよい。一度下って沢が横にあり水が汲める地点を通過する。 西野で金泉寺まであと0.5kmという標識が出る。 ここは稜線の鞍部になっていて五家原岳との分岐になっている。 標高1057mの五家原岳は長崎県第2の高峰。山頂にはテレビの中継所のアンテナが立ちそのためすぐ近くまで車道が通じているという。 西野を出てすぐに道が比較的平坦になって、金泉寺の境内へとつながっていく。
金泉寺
薪をつんだ山小屋の横を通り、12:09金泉寺の境内に入る。空海が806年頃建立した由緒あるお寺で、修験道場としては日本最古だという。 金泉寺は秋の大祭をやっており参拝者のお札を配っていた。 それもあってあたりは100人近い人がいた。 幻の高菜そばという登りの下に30人くらいの人がそばを買うための行列をなしていた。 寺の東に多良岳グリーンロードという車道がありどうもそちら側の路肩に駐車して20分ほどの徒歩で登ってきている人が多いようである。 境内にも業務用車両のような車が数台あったので実際に林道を走って寺まで来ることができるのであろう。 われわれもお札はもらわなかったが、混雑をかいくぐりながら参拝した。
役行者像
12:17金泉寺を出て東にある多良岳を目指す。最初、ルートがわからず北西の経ヶ岳への道に行きかけたが方向が違うと気が付き、多良岳グリーンロード方面の北への林道を歩く。 休憩していた人に道を聞いて、林道の途中から多良岳へ登るルートがあることを知る。多良岳への登りは最初は緩やかな樹林の中の道であったが、やがて平坦になると正面に石段が現れた。 ここに中山キャンプ場からのルートと合流する標識があり、鳥居があった。 鳥居の横には役行者の石像がある。役の行者とは、修験道の祖で 奈良時代の山岳修行者。パワースポットのひとつで、石像を祭った社には寄進された下駄が何足かおいてある。
鎖場の登り
役行者の像から少し道が険しくなる。 役行者は一本刃の高下駄でここを登っていったという。太いロープのある急な岩場を越えていく。 鎖場が現れた。 さほど高さがある岩場ではないが慎重に進む。樹林の間から経ヶ岳が見えた。 鎖場を過ぎて少し平坦なところに出たが山頂ではなかった。 山頂まであと5分という標識があった。 ここから少し下ってトラバース道を本当の山頂に向けて進んでいく。
多良岳山頂
12:40急な岩場を登り切り多良岳の山頂(996m)に到着。ここは山頂に祠が鎮座する樹林の中の山で、展望はさほどない。途中の国見岳のほうが標高が高く、展望もよいようであるがそこは通り越してきてしまった。 山頂で、三脚を立てて万歳三唱の動画を撮影する。 昭和スタイルなので周りの登山客に気を使いながら声を出す。全体動画・全員写真の撮影が終わると、祠の横のベンチをひとつ囲むようにして昼食をとる。 H.HさんがEPIとコッフェルを持ってきていたので湯を沸かしてもらい、自分はカップうどんを食べた。 食器が小さかったので湯が浸透せず、ちょっと硬い状態の麺を食べることになった。 昼食が終わるとまた思い思いで山頂標識で個人写真を撮影する。
経ヶ岳へ向かうルート
13:18多良岳を出発して再び金泉寺へと戻る。 金泉寺でトイレ休憩をして、それからルートを北西に取る。 途中で4人パーティーの方にすれ違う。 笹岳まで行こうとしたが、寺で30分くらいときいたのに行けども行けども到着せず、結局戻ってくることになったという。結構道は険しいようである。 我々も結局30分くらい歩いても笹岳の山頂にたどりつくことはなかった。 道標のあるところから下り始めたので890mの笹岳には標識はないのではないかと思う。
中山越え
15:02中山越。 M.Aさんは経ヶ岳まで行くと日没を過ぎてしまうし下りはあまり自信がないといって、先に駐車場まで下山することになった。 そこで、残ったA.Dさん、H.Hさんと自分の3人だけで経ヶ岳はアタックすることする。 最初は舞岳分岐から尾根沿いを下る案もあったが、コースタイムはこの中山越まで戻って沢沿いに下るほうがよいという結論を出す。 ここから標高280mの登りとなる。
経ヶ岳の険しい登り
中山越を出発してすぐに舞岳分岐があった。 ここから経ヶ岳までの登りは、険しい道であった。 木の根につかまりながら進んでいく。 途中平谷越を右に見るルートとの分岐があったが我々は直登コースを目指す。 踏み跡はしっかりしているが何しろ急な道のりであった。経ヶ岳は、東西約四キロメートルに及ぶ多良火山の火口壁の北西にその一峰を成し、山頂付近は、安山岩などの露岩が多く、火山特有の険しい地形を形成している。屹立した山頂ゆえの厳しい登りで直下にロープをつかまり登る岩場もあった。
経ヶ岳山頂
15:40経ヶ岳山頂(標高1076m)到着。 太陽が西に傾いていたがさえぎる雲もない絶好の展望であった。 山頂からは南に昨年登った雲仙普賢岳が手に取るような近さで見えた。 西の大村湾には自分が降り立った長崎空港が、北東にはその前年に登った背振山山系が見えていた。 山頂に到着したところでなぜかGoProの電源が入らなくなってしまったので、山頂での万歳三唱は三角点の上にスマートフォンをおいて撮影せざるを得なかった。16:20山頂出発。
平谷越
帰りは登ってきた道が急傾斜だったのでそこを下るのは危険と考えて、少し遠回りにはなるが、北の平谷越えを目指し、そこから中山越に至るルートを選択した。 中山越についたのは16:50、そこからまで1時間以上かかる道のりだった。中山越を過ぎてしばらく谷筋を進んでいった17:30にはもうとっぷりと日が暮れて結局ヘッドランプをつけて歩くことになった。 途中で沢を何度か渡渉することになり、そこでは特に道を探すのに気を使った。 幸いピンク色のテープや白いテープが枝にまかれていたり、沢の渡渉のところでは岩に黄色ペンキがついていたりで1-2分探すケースはあったがルートを外れてしまうということはなかった。18:29八丁谷到着。ここからは林道なので、先にいったM.Aさんが心配しているといけないと思い、自分だけはジョギングで先に下って行った。
嬉野温泉
18:45無事に駐車場に到着。 結局M.Aさんは2時間待ったらしい。 申し訳ないことをした。 彼も心配して途中でメールを入れていたようだが谷筋の道だったので電波が圏外になっていて我々も認識できなかったようである。 宿には18時ごろ到着すると言っていたが19:30に訂正の連絡を入れる。大村ICから長崎自動車道に乗り嬉野ICでおり、今日の宿泊地である嬉野温泉の宿「ことぶき屋」に無事に入った。 風呂をあびて21時から遅い夕食を焼き鳥一竜で。 馬刺しや焼き鳥をつまみに日本酒天山やマッコリで乾杯。無事の下山を祝福して夜が更けていった。
思ったよりもハードな山行になった。 アプローチに時間がかかるので、多良岳・経ヶ岳の両方を行くには日の長い時期を選ばないといけないかもしれない。多良岳は金泉寺もあり多くのハイカーに親しまれる山、一方で、経ヶ岳のほうは本格的な登山という感じであった。 車を出してくれたM.Aさんには感謝を申し上げたい。 初めて嬉野温泉に宿泊したが「日本三大美肌の湯」に選ばれているということにあらわされるように人気の場所だと思われる。 宿のおかみさんも全国旅割が導入されたおかげで満室御礼だ喜んでいた。真っ暗な中であまり温泉街を楽しむこともできなかったが今度またゆっくり訪問したい場所のひとつである。
(2022年12月 記)
地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号 平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています