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伊予富士
伊予富士

基本情報
1 山名 伊予富士 (いよふじ)
標高 1756m (三等三角点)
山域 石鎚山地
都道府県 愛媛県・高知県
位置 N33.47.16/ E133.14.52 
地図 昭文社 山と高原地図54「石鎚・四国剣山」
2万5千分の1地図「日ノ浦」
20万分の1地勢図「高知」
7 山岳区分 日本三百名山、四国百名山
登山記録
山歩No 3900-12049
登山日 2012年11月25 日(日)
歩程 8時間45分
天候 快晴
形態 小屋1泊(瓶ヶ森+笹ヶ峰)
アプローチ 国道194号ー寒風トンネル
パーティー 1人

勤労感謝の日の連休を利用して西日本の山に遠征するのがここ最近の恒例となっている。 (昨年2011年は行かなかったが。)2012年の今年は、松山空港をベースにレンタカーで石鎚山・瓶ヶ森・伊予富士・笹ヶ峰・東赤石山と一挙にこの四国山地の名山を回ろうという計画を立てた。 23日(金)の夜行バスに乗り延々と11時間ゆられて松山にやってきた。 第一段は前日雪雲に巻かれながら登った石鎚山である。第二段は今朝の瓶ヶ森である。 

瓶ヶ森山頂で赤石山脈と瀬戸内海を見る

11月25日(日)シラサ峠避難小屋を朝出発して車で瓶ヶ森を目差した。瓶ヶ森は男山と女山に別れていたがどちらも特徴のある山だった。 男山は傾斜の急なところを登り詰めていくとすっと山頂が現れるという典型的な鋭鋒、女山の方は遠くから丸い山頂が見えており、そこに向かって一歩づつ上がっていくというターゲット登山スタイル。 ただ、いずれの山頂でも素晴らしい樹氷を入れた景色の写真を撮ることができて満足だった。雪雲に覆われていた昨日とはうって変わって今日は素晴らしい晴天。 瓶ヶ森の山頂からは360度の展望で四国の山をすべて眼の中に入れることができた。  

瓶ヶ森林道

 9:20に駐車場に戻る。荷物を積んで出発。 そこからは林道を進む。 途中、何箇所か落石がある場所はあるが、概ね道はきれいだ。 西黒森の東には何台か車が停めてあり、ハイキングを楽しんでいる人もいる感じだった。 9:40東黒森と自念子の頭の分岐に到着。この広くなった駐車スペースにも3台ほどの乗用車が停まっていた。 ここから伊予富士に登っている人もいるのだろうか。 伊予富士への登山口はすぐわかった。車を停めるスペースがないわけではなかったが、どうしてもこのルートが楽しそうな感じがしなくなって見えた。 インターネットで、やはり一日で車を使って瓶ヶ森・伊予富士・笹ヶ峰の3つを行った人の記録があったがあっけなかったという感想があったので、ちょっと考え込んでしまった。 時間的には日没までに下りるのはぎりぎりであるががんばって寒風峠まで行って、そこから伊予富士と笹ヶ峰の両方にアタックしようと決めて、伊予富士の駐車場をスキップする。 ここから1時間、UFOラインのドライブだった。 これだけ景色がいいと楽しい。

寒風山登山口

 伊予富士をすぎてからは次第に高度を下げていく。 寒風峠へ回り込むところでかなりスピードを出していた4駆車と正面衝突しそうになった。 道幅が狭いから危ない。 なんとかすれちがって、10:20に旧寒風山トンネルの前までたどりついた。 残念ながら茶屋はしまっているし、にもかかわらず茶屋の前の駐車場はひとつも空いていない。 少し、瓶ヶ森林道をもどったところには広場があって数台車が停まっているのだが、ちょっと気になったのはゲートの内側である。 もし、林道を夜間通行止めにするためにゲートを締めてしまったら下山してから脱出ができない。 そこで、少々無理やりであるがゲートよりも国道194号よりで草地のスペースを見つけて車を停めた。 小さい車体の車はこういうときに便利である。 

旧寒風トンネル前駐車場

 旧寒風トンネルは今はまったく使われていないようで、トンネルの前には通行止めの標識があり、2台ほど駐車車両もあった。 少し長丁場になるのでペットボトルにお茶を補充して10:44出発。 桑瀬峠までの登り道はいきなり九十九折の急登になる。 結構しんどい登りだなと思っていたが傾斜が激しいのは最初の15分ほどで、桑瀬峠まで25分の標識が見えてからは樹林の中を緩やかに続く道になった。樹林の中で風がないせいもあるだろうが天気が予報どおり下り坂か。 気温が高くネックウオーマーをしてアウターを着てると暑いぐらいである。 そうそうに手袋ははずしてしまって歩く。 崩壊地を過ぎると次第に笹薮になって景色もよく見えるようになる。 
 

桑瀬峠

 11:07に桑瀬峠に到着。 眺めのよい気持ちのいい峠である。 コースタイム50分のところを45分で来た。 貯金した5分だけ休憩にあてることにした。登山者の人からどちらに行かれるのですか?と聞かれたのでまず伊予富士に行ってそれから下りてきてこっちと笹ヶ峰を指差した。 ああ、寒風山ですね。 と答えられた。 まさかこの時間から伊予富士と笹ヶ峰の両方まで行くとは思われていないようだ。さもありなん。11:12に桑瀬峠を出発。 最初は笹の中の稜線の登り、次第に鷹巣山を目指して標高をあげていく。後ろから一人単独の方が登ってくるのが見えた。 自分より後ろを歩いている人がいるというのは心づよいものだ。

伊予富士への登路

 鷹ノ巣山への稜線の分岐を乗り越えると、そこから先には視界の広い銃走路が広がっていた。 先には伊予富士の勇壮な姿が見える。 なるほど、見てきれいなのはこの寒風茶屋コースであろう。 これはアルプスの縦走のように豪快な心持で歩くことができる。 先ほどの駐車場から来るトラバース・コースとの分岐に札があったが、そこからまだ40分と書いてある。 本当にそんなにかかるんだろうか? 確かに登りは急で頂上が見えてるのになかなか着かないというもどかしさがあった。  

伊予富士山頂

 12:22伊予富士到着。やっぱり桑瀬峠から1時間10分かかった。山頂には10名ほどの人たちが休憩していた。 1756mという標高は他の山と比較して決して高くはないが、やはり噂に聞いていた通り、ここからは360度の展望。 東黒森の向こうには昨日登った石鎚山と今朝登った瓶ヶ森が姿を見せていた。12:23チョリソ入りのパンを食べて昼食とする。 山頂にいる人にお願いして、石鎚山・寒風山をバックに写真を撮ってもらい、12:35に下山開始。

鷹ノ巣山を眺める下山路ー奥は笹ヶ峰

ここからは正面に寒風山・笹ヶ峰・冠山を見ながらの豪快な縦走コースとなる。 伊予富士の山頂から笹ヶ峰の山頂まで3時間となっていた。 まあ、順調に行っても笹ヶ峰の山頂は3時半、普通に考えて旧寒風トンネルの駐車場まで日没までに下りてくるのは不可能そうである。 伊予富士の山頂であった年配の女性2人は今朝笹ヶ峰を登った後に車でここ伊予富士に来たそうだ。 笹ヶ峰はすばらしい山だけど今日は風が強かったから気をつけてくださいといわれた。

再び桑瀬峠へ

伊予富士は最後の登りが急だったため同じルートを下る場合は最初トラバースルートとの分岐までが少し足元に注意が必要な急な下りとなる。そこからは眺めのいい笹の間の道。鷹ノ巣山の向こうには平家平と西赤石山が見えた。 鷹ノ巣山稜線を越えると、道は北に進路を取るので木陰には少し残雪も残っていた。13:19桑瀬峠到着。 コースタイムを大きく下回る時間で来ることができた。 13:25まで休憩。 水を飲む。 峠には5-6名の登山者が休憩していた。 歓談している。 もうこの方たちは下山するだけであろう。 寒風山のほうからも登山者が2人下りてきた。 まあ、今から笹ヶ峰を目差すのは少し欲張りすぎであろう。地図上のコースタイムはここから2時間50分になっている。たどり着けるかどうか不安はあったが折角長時間夜行バスに乗ってやってきたので、トライだけはしようと思い13:25出発。 念のためヘッドランプはリュックのポケットの出しやすい位置にしまっておいた。


全国にある郷土富士の多くが独立峰で、富士山に山容が似ることから名付けられているのに対し、伊予富士に関しては独立峰ではなく石鎚連峰の一峰に過ぎないが、西側になだらかな斜面を持ち見る方向によっては富士山を髣髴させるという。 ただ、林道から最短コースを歩いた場合に本当に富士の姿を見るようになるのだろうか?むしろ、今回、あえて歩程を長くしてでも寒風峠からのピストンにしたが、これは結果的によかったと思う。 最後の急登は厳しかったが、すっくと聳え立つ伊予富士の魅力を感じ取ることができた。 この山の魅力は展望だという。 確かに寒風峠から登り切って、山頂から見えた石鎚山の姿は大迫力で捉えることができた。

(2012年12月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています