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吾妻山
吾妻山

基本情報
1 山名 吾妻山(あづまやま)
標高 1238m 
山域 中国山地
都道府県 島根・広島
位置 N35.04.05/ E133.01.59 
地図 昭文社 山と高原地図55「大山・蒜山高原」
2万5千分の1地図「比婆山」
20万分の1地勢図「浜田」
7 山岳区分 日本三百名山、中国百名山
登山記録
山歩No 3890-21025
登山日 2021年11月21日(日)~11月22日
歩程 第一日 2時間40分
第二日  40分
天候 曇り、翌日は雨
形態 小屋泊1泊2日
アプローチ 国道432号 県道49号 県道25号 奥出雲町 大峠
パーティー 1人

 中国山地の遠征で三瓶山の次に行こうと決めていたのが吾妻山である。 日本三百名山の一つである吾妻山は広島県庄原市と島根県仁多郡奥出雲町との境にある標高1,239mの山。比婆道後帝釈国定公園に属している。伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が比婆山に眠る妻の伊邪那美命(いざなみのみこと)を「ああ、吾が妻よ」と山頂に立って生前を偲んだことが山名の由来とされている。登山口には国民休暇村があるが、2020年の11月15日で営業を終えた。ロッジは1980年に開館。吾妻山登山や周辺の散策などで家族連れらに親しまれた。だが2019年度の宿泊者数は約4500人と、ピークの1994年度からほぼ半減し、赤字が続いていた。ふもとの休暇村に宿泊するのはあきらめ、きれいだと評価の高い大膳原キャンプ場の避難小屋に泊まる計画で遠征のルートの中に入れた。

鉄の未来科学館

 2021年11月21日(日)三瓶山を下山した後、ナビの行く先を、奥出雲町の清涼飲料水会社に設定、登山口に近い場所で目印になるところがこの会社だけであった。 県道48号を東に進む。 国道54号に出てからは進路を北にとり途中吉田町のオープンエアミュージアム「鉄の未来科学館」のある歴史村の駐車場に車を停めて、スーパーで買ってきた焼肉弁当を食べる。 鉄の未来科学館は21年3月末で閉館していしったそうである。 たたら製鉄の展示などがあったようだがこちらもコロナの影響だろうか? かつて鉄鋼メーカーに勤めていたので、鉄づくりには興味があったが展示を見ることがかなわないので仕方がない。 道路の横の壁の色もさびた鉄の色をしていたのは地質的に砂鉄を含んでいるからであろうか?このあたり紅葉も見ごろである。

林道路肩に駐車

 県道49号から県道25号に入り目指す清涼飲料水会社には13:30に到着した。 登山口までは車のナビでは案内してくれないので事前に登録しておいたGoogle MAPに頼りながら大峠の登山口を過ぎて吾妻山登山口まで狭い林道を進んでいく。 ヤマレコの記録では吾妻山登山口に2-3台車を停めることができるとなっているが、それより手前の林道路肩に停めている人もいるようである。 天気予報で翌日の月曜日は雨なのであまり日曜の午後から上がってくる人はいないであろうが、それでもできるだけ奥まで行ってみることにした。 林道はコンクリートの舗装があったが、幅が狭く傾斜も急になってきたのでGoogle MAPがこの辺が目的地だとアナウンスをしたあたりの路肩に駐車。 急傾斜を無理に車でつっこむことはしないでおいた。 

吾妻山登山口

13:50登山開始。 車を停めたところから歩きで5分ほどで、吾妻山登山口に到着。 案の定、駐車車両は1台もなかった。 中国自然歩道の看板で現在地を確認。吾妻山への登山を開始する。ここからは未舗装の登山道である。 歩き出してすぐに沢があった。 今日はキャンプ場で水が出ると聞いているのであえて無理に汲んであがる必要はない。 中国自然歩道なのでルートはよく整備されており、道標がしっかりしている。 まもなく吾妻山まで2.2㎞の道標が現れた。 反対に下界の大峠までは2.5㎞と記載があるので、林道を車で上がってきたことで半分以上は稼いだことになる。問題は、大膳原のキャンプ場までがあとどのくらいの距離かである。 おそらく1㎞強だと思うのだが。

良く整備された中国自然歩道

 途中、4人組の下山者とすれ違う。 この人たちの車が登山口に駐車していた形跡はないのでもしかしたら大峠より先のバス停まで行くのであろうか? 結局、吾妻山の登山の中ですれ違った登山客はこの4人だけであった。 14:25横田別れに到着。 横田別れは昭文社の地図では出雲峠という記載がある。 ここから登山道は大膳原・吾妻山へ行く西への道と烏帽子山・比婆山へ行く東への道とに分かれる。 ここにも中国自然歩道の大きな看板がある。


大膳原から眺める吾妻山

 横田分かれを出て5分ほどで大膳原のすすきの原が広がった。ここから目指す吾妻山の姿がくっきりと見える。 100mほど歩くと、大膳原野営場への分岐の道標が現れた。 「キャンプ場」ではなく「野営場」と書くところがすごい。 14:40、まずは荷物を置いて空身になって吾妻山へ行くために先にキャンプ場の避難小屋へ行くことにする。 笹を分けて少し歩くとYAMAPの写真で見覚えのあるキャンプ場のテントサイトが見えた。 管理棟には施錠してあったが、休憩所の方がカギがかかっていなかったので自由に入ることができた。 動物の侵入を防止するために必ず扉は締めましょうと書いてある。 この日、当然のごとく宿泊者はいなくて、自分ひとりでこの大きな避難小屋を独り占めできることがわかった。 軽く40人くらいは寝ることのできる場所であった。 設備として銀マットも置いてあった。 泊り道具の入ったリュックをおろし、サブザックに雨具・水・カメラ・GPSなどを詰めて吾妻山アタックに向けて出発した。
 

吾妻山山頂

 すすきの分岐を戻ると、吾妻山まで1.3㎞と記載された道標があった。 途中ルートは休暇村の方へ向かう道との分岐があったが、迷わずに吾妻山山頂を目指すルートを進む。 吾妻山山頂までは2-3度大きなターンを切っていくがほぼ緩い傾斜をそのまま登っていく感じであった。 15:25吾妻山の山頂に到着。 山頂の東側は切り立っていて危険なので足を踏み入れないようにロープが張り巡らしてある。空は昼ごろまでは晴れていたが、だんだん雲が広がってきていて天気が下り坂であることがわかる。 それでも山頂からは北東に伯耆大山のひときわ高い山容を確認することができた。東には比婆山地の最高峰、立烏帽子山(1299m)が見えた。 


眼下に休暇村吾妻山ロッジ

 山頂では持ってきた焼きホタテかいひもと焼酎ハイボールで早速乾杯である。 もう今日は車を運転する予定がないので山頂でのひとしきりのお楽しみである。 しかしながら気温が下がってきており風も強くなっているのでひとりで乾杯してもさほど爽快感はなかった。 西に目をうつすと眼下に休暇村吾妻山ロッジが見えた。 赤いきれいな屋根で秘境の中の宿と言われていたようなので閉館は残念である。 1239mの山頂は今回登山の中では3番目の高さとなる。 セルフタイマーでもう一度自分の写真を撮って大膳原へ向けて15:56下山開始


正面に烏帽子山と比婆山

 大膳原までの下りからは正面に烏帽子山と比婆山がきれいに見える。 比婆山は通称御陵と言われているが、日本神話においてイザナミが葬られたと記される地であることによる。比婆山連峰は1970年に未確認動物であるヒバゴン目撃騒動の舞台となったことでも有名であるが、その話を覚えている人はいったい今どれだけいるだろうか?

大膳原キャンプ場休憩小屋

 16:25大膳原キャンプ場に戻ってきた。水場に行って水をくむ。 山水を使用しているので飲む場合は煮沸してくださいと書いてある。 実際は、どこへいっても山水をそのまま飲んでいるのだが。。。 暮れてゆく景色を見ながら暖かい小屋の中で夕食の支度をする。 今夜はスーパーで買ったカレーうどんである。 昨日は焼酎であったが今日は純米の日本酒である。 ラジオをつけてヤクルトとオリックスの日本シリーズの様子を聞く。 試合の決着がつく前に20時を過ぎて眠くなってしまい、さっさと寝てしまった。

 

横田別れ

 翌11月22日(月)夜中から雨の音がしていたが、目覚ましで5時に起床すると結構強い雨が降っていた。 午前中は天気が持つかと思ったが残念ながらもう明け方前から降り始めていた感じで本格的な雨となっていた。 仕方がないので、雨の中を歩く覚悟を決めて、朝食にα米の田舎ご飯をつくる。 朝食を済ませ明るくなってきた6:50出発。雨の中で撮影した横田別れの写真はまともに映っていなかった。 (写真は前日雨がない状態で撮影したもの)

下山・大峠駐車場の看板

 7:42 路肩の駐車した場所まで降りてきた。 やはり、途中の吾妻山登山口に駐車している人も誰もいなかった。 こんな雨の中この山で活動しているのはおそらく自分だけであろうと思うとちょっとこころ細くなってきた。 濡れたグローブを外してスマホを車のシガーソケットから引っ張ったケーブルで充電しつつ、発車して狭い林道をおそるおそるはしる。 8:05大峠でこれから進む道後山の登山口をナビに設定して次の山へと向かっていった。


 吾妻山を何とか登ることができた。 ハイキング気分で登れるよい山であると思う。 合わせて、大膳原のキャンプ場が自然に抱かれたキャンプ場で思い出に残った。 おそらく自分はもう再び訪れることはないかもしれないが、ヤマレコやYAMAPの記録で、この避難小屋に宿泊して登山する人がいたらエールを送りたいと思った。

(2021年12月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています