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野伏ヶ岳
野伏ヶ岳

基本情報
1 山名 野伏ヶ岳(のぶせがたけ
標高 2053m (三等三角点)
山域 加越山地
都道府県 福井・岐阜
位置 N36.00.45/ E136.43.56 
地図 昭文社 山と高原地図43「白山・荒島岳」
2万5千分の1地図「原教寺山」
20万分の1地勢図「金沢」
7 山岳区分 日本三百名山
登山記録
山歩No 3702-21010
登山日 2020年3月21日(日)
歩程 7時間10分
天候
形態 前日泊1泊ピストン
アプローチ 国道156号、道の駅白鳥より、岐阜県道314号石徹白前谷線、岐阜県道127号白山中居神社
パーティー

 気に入っている本に「なるほど地図帳 日本の山」(昭文社)がある。 日本三百名山の記述もあるが、残雪期にしか行けないとされる山がある。
福井の「猿ヶ馬場山」、「笈ヶ岳」それと、この「野伏ヶ岳」である。 (「景鶴山」はそもそも今は登山禁止になっているので除外)野伏ヶ岳は、2016年の4月にA.D氏と鷲ヶ岳に登った翌日にアタックをしようとしたが、融雪が進みすぎて、ダイレクト尾根を進むのに時間がかかりすぎて撤退した経緯がある。その後、A.D氏と再チャレンジを試みたが、お互いの日程が合わずに行くことができずに4年の歳月が経過した。

東名高速道路綾瀬バス停付近

 2020年3月20日、春分の日が土日と重なって3連休となった。 通常の彼岸の三連休はそろそろ行楽シーズンということもあり道路や交通機関が混雑する。 もともとの計画では、志賀高原の横手山に行こうかと思っていたが、新型コロナウイルスの感染が広がっていることもあり夜行バスの利用を家族に反対された。 マイカーで行くことも考えたがまだこの時期は道路のチェーン規制があり夏タイヤで向かうことは少しリスクが高いように考えた。 その中でどこか代替で行けるところがないか考えたときに思いついたのが、4年前に敗退した野伏ヶ岳である。当たり前のように19日の金曜日は残業だったので、20日(土)の朝から準備して午後出発、車中泊で翌日21日(日)に登ることにした。 14:30に自宅を出発。 のっけから東名高速の下りは大渋滞をしている。 

鮎沢PA

 15:30海老名JCTを通過。 まずここまでいつもより30分も余分にかかってしまった。 休憩は、16:30に鮎沢PAで。 この下りの鮎沢PAは自分にとってちょっとお気に入りのPAである。 神奈川県足柄上郡山北町にあるこのPAは東名高速道路が大井松田ICを過ぎて右ルートと左ルートに分かれてから左ルートからしかいけないスポットである。 ひとつ先の足柄サービスエリアはとても人気があり結構混雑するので、鮎沢PAは穴場だと言われている。 自分がここを気に入っている理由はBグルスポットコーナーで名物のアメリカンドッグが食べられること、軽食のレストランは「山小屋食堂」という名前であること、そして売店には「Mont-bell」ショップがあって、登山用品などが売っていることである。 この前、ここに寄り道したときはカウベルを購入した。(そのときは登山ではなくゴルフだったが) 今回は、白いMont-Bellのロゴ入りハンドタオルを購入した。

長篠設楽原PA

 17:00、御殿場ICを過ぎて今回は新東名ルートを通ることとなる。 17:11、右手に富士山がきれいに見える。 静岡に住んでいたときは冬場は毎日この山を仰ぎ見て通勤していたが、都内に通うようになった今ではさっぱり姿を拝むことが少なくなった。 17:23懐かしい新清水ICを通過。 次の休憩は長篠設楽原PAである。 自分が静岡で暮らしていたときにはまだ新東名はここまでつながっていなかった。 PAの横が長篠設楽原の戦いが起きた場所で、下りPAからは隣接する織田信長本陣跡に徒歩で移動できる。日没過ぎていたので本陣跡まではいかなかったが、物見やぐらにあがって新城市の夜景を写真に収めた。18:39出発。 

 

白山中居神社駐車場

 本当は、登山口のある白鳥ICの近くのスーパーで夕食や翌日の行動食の買い物をしたかったが、どうもスーパーが開いている時間に白鳥ICまでたどり着くのは無理なようである。東海環状自動車道に入ったあと、美濃加茂SAのハイウエイオアシスの美濃関方面施設の前で車を停めて、ICから降りて1.5㎞ほど市内を走ってオークワで夕食と寝酒、翌日の朝食のおにぎりとパンを買う。東海環状自動車道から東海北陸自動車道に入り、20:48に白鳥ICで降りる。長良川鉄道に沿って美濃白鳥まで進み、そこから石徹白へ。ウイングヒルズスキーリゾートの横を通り、目的地である白山中居神社に22:20到着。回りには数台駐車車両があったが、自分の車を停めるスペースは問題なくあった。 寝酒を飲んで恒例の車中泊と決め込む。


石徹白川をを渡り歩き出し

 翌朝6:15起床。 回りの車はもう登山の出発の準備をしている。 驚いたのは、自転車で出かける準備をしている2人組もいた。 そうこうしているうちにどんどん車が入ってきて中居神社の駐車場はいっぱいになった。 もっとも、ここから川にかかる橋まで下ったところに大きな駐車スペースがあるので登山客の車がいっぱいになる心配はないのだが。 特に朝食もとらず6:50出発。 前回、4月下旬に来たときと比べたら明らかにこのあたりでも残雪が多い。 橋を渡って営林施設の小屋の横を通って林道を上がっていく。 7:30、前後していた2人組は樹林の中のショートカットコースを進んだが、不安だったのでそのまま林道を歩く。


和田牧場

 8:12、林道の最終ポイントにテントが張られているのを発見。その上はもう和田牧場跡であった。牧場からはドーンと薙刀山が見え、その先には白山の二の峰・三の峰も眺めることができた。 良い天気である。さっそく、日焼け止めを顔と首に塗りたくる。 まわりで休憩している登山者の3割くらいは山スキーの人である。 自分もかつてはショートスキーでバックカントリ―をやっていたがさてはたして物置に眠っているあの道具は今は使えるだろうか。牧場で持ってきたおにぎりを食べて牛乳を飲む。 9:00出発。
 

ダイレクト尾根取り付き

 9:15、ダイレクト尾根が見えてきた。 正面の林道はしっかりと雪がついている。 9:30、ダイレクト尾根へのとりつき地点。 傾斜は急であるが、踏みあとがしっかりしているのと雪がしまっているので滑る心配はない。 ほどなく尾根上に上がることができた。 尾根上には先行者が確認できたのでその人のあとをついていく。

尾根からの展望

 10:01、ダイレクト尾根の正面左に目指す野伏ヶ岳の山頂が見えてきた。 標高差で400mくらいあるので1時間半くらいかかるだろうか。10:18見晴らしのよい地点にでた。 ここから白山の眺めがよい。 正面のダイレクト尾根を見ると上部は結構な急傾斜となっている。 


尾根最上部をアイゼンをつけて登る

 10:29休憩をして、行動食にチョコレートを食べる。 そのあと、急傾斜に備えてアイゼンを履く。 さらにストックはリュックに括り付けてピッケルをもって歩くことにした。追いついた年配の方が明日は猿ヶ馬場山に行くつもりだと言っていた。 野伏ヶ岳と猿ヶ馬場山を2つ続けて登るのは体力が要りそうである。ピッケルとアイゼンで細心の注意をもって登ったが、思ったよりも気温が高いのか雪は表面も中も少し柔らかくなっており、スリップする気配はなかった。 前に何人も登山者が進んでいるのでラッセルの必要もなく、忠実にステップをたどっていくだけでよかったので比較的楽であった。 


野伏ヶ岳山頂・白山遠望

 山頂直下で完全に樹林がなくなって雪の乗越に上がるところがある。 そこからは、約3分の登りで山頂である。 11:05登頂。山頂には10人ほどの登山客が休んでいる。風はそこそこ冷たいが、空腹を感じたのでパンを食べることにした。 山頂は標識も三角点もあるのかないのかわからないがすべてが雪の下にあるのだろうと解釈をした。 白山をバックにセルフタイマーで写真を撮る。薙刀山の先に願教寺山、そしてその稜線の先に三の峰と別山が見える。 



南方の展望

 南西方向には小白山(1609m)と日本百名山の荒島岳(1524m)が見えた。 荒島岳のさらに西には、能郷白山が見えた。 この山がまだ未登頂である。 かつては野伏ヶ岳と小白山(おじろやま、標高1,609 m)との鞍部の橋立峠が、岐阜県郡上市白鳥町と福井県大野市打波との往路に利用されていたらしい。 今は誰も通る人がいないが登山道として再整備される日がくるのだろうか? 小白山 - 小白山北峰 - 橋立峠 - 野伏ヶ岳というルートもWikepediaには記載はあるが、ヤマレコでは最近歩いた人を発見することはできなかった。 


ダイレクト尾根を下る

 11:45下山開始。ダイレクト尾根の急峻な部分は慎重に下っていく。 まだ登ってくる人もたくさんいた。 10:30にアイゼンを履いたところまで降りて全く同じ位置でアイゼンをはずす。 今回はネットで購入したPlatypusのプラスチックボトルにハイドレーションをつないで水分補給をしているのでいちいち休憩して飲料を出す必要がない。 (とはいうものの登りのときはペットボトルに入れたお茶を飲みつつ登ってきたのであるが。)Platypusのハイドレーションは以前使っていたが、毛無山に登ったときにアイゼンで穴をあけてしまいダメにしてしまった。 その経緯もあるので今回はアイゼンをしまうときに特に気を使った。 


和田牧場で野伏ヶ岳をバックに尾張一宮より電車で帰る

 13:24和田牧場まで降りてきた。 ダイレクト尾根を折り切ったあとに和田牧場まで微妙に登り坂になっているので思ったよりも足が疲れてきた。 和田牧場で野伏ヶ岳の写真を撮れる最後の場所なのでそこでセルフタイマーを使って撮影をする。 前回も敗退したときにA.Dさんと一緒に写真を撮った。 今回、A.Dさんに黙って一人でリベンジ登山に来てしまったので申し訳ない気持ちになった。 来週YAMAPの記録をアップしたら謝らないといけないと思いつつ、林道を下った。


白山中居神社参拝

 帰りは踏みあとにしたがってショートカットコースを歩いた。 決して赤いテープがあるわけではないので踏みあとからはずれないようにしないといけないが、歩きにくいコースではなかった。 先行している2人組がスノーシューで歩いているので、トレースは確認しやすかった。 2:15下山。 帰る前にやはり白山中居神社にお参りしないといけないだろうと思い、社殿に立ち寄る。 靴の中に雪が入って靴下がびしょぬれだったので、参拝殿に靴をぬいで上がることは遠慮したが、石段をあがってご本殿の前で参拝は行った。 車に戻り濡れた荷物を片付けて、一路有料道路を通って帰った。 帰りは静岡SAで懐かしい静岡おでんと黒はんぺんのフライを夕食に食べた。


 ヒノキ花粉のアレルギーがひどいために、2-3月に行ける山が限られてしまうようになった。今回、雪山を目的に選んだことでくしゃみは出ずに済んだ。 天気にも恵まれ、念願の野伏ヶ岳に再チャレンジし登頂することができて大変満足である。噂にたがわぬ名山であったと思う。 アイゼンもピッケルも購入してもう10年以上たつが、年に1回か2回だけこうして活躍してくれるのはありがたい。   

 
(2020年3月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています