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大笠山
大笠山

基本情報
1 山名 大笠山(おおがさやま)
標高 1822m (一等三角点補点)
山域 加越山地
都道府県 富山・石川
位置 N36.19.14/ E136.47.23 
地図 昭文社 山と高原地図43「白山・荒島岳」
2万5千分の1地図「中宮温泉」
20万分の1地勢図「金沢」
7 山岳区分 日本三百名山
登山記録
山歩No 3660-17015
登山日 2017年7月1日(土)から2日(日)
歩程 第一日 5時間20分
第二日  4時間10分
天候
形態 小屋泊1泊
アプローチ 東海北陸自動車道五箇山ICから国道156号桂湖
パーティー 2人

 ここ3ヶ月以上、ホームページを更新していない。 あまりに山に行っている気配を見せないと病気になったのではないかと心配されてしまうだろう。 単に仕事が忙しかったり(ほぼ毎月海外出張があった)しただけであるが、山から遠ざかっていたことは事実である。 今回、梅雨の最中ではあるが、A.D氏が富山の山に登りたいということでお誘いがあったので、大門山・大笠山を1泊2日で狙うことにした。

富山行き夜行バス

 6月30日(金) 会社をいつもより早めに出て、 20:30に家に帰る。 さっと風呂をあびて夕食を済ませ、21:20に家を出る。 10:05に横浜駅を出る夜行バスの集合にぎりぎり間に合った。 Y-CATの隣のバスターミナルから乗車。 途中23:25にバスタ新宿に停車。 そこからは練馬ICから関越道・上信越道経由で進む。 3列シートのバスなので隣の人と腕があたることもなく快適である。 今回は一番前の席であるが、バス車内は満席であった。 最近のバスはトイレもついているので途中休憩でもアナウンスがない。 最初に休憩したのは高坂PA、その後は有磯海までうつらうつら寝ていった。

五箇山の名水丸池

 05:20に有磯海SAで目が覚める。 夜中に降っていた雨は小ぶりになっていた。 予定通り6:20に富山駅北口に到着。 前の日からレンタカーを借りて富山に泊まっていたA.D氏が駅前コンビニに迎えに来てくれた。 昼食の弁当を買って出発。 北陸自動車道を西へ進む。小矢部JCTから南に進路をとり東海北陸自動車道を進む。 途中、城端PAでトイレ休憩をしたあと、五箇山ICで出る。 富山の名水の看板がある「丸池」に立ち寄ってポリタン2Lに水をくむ。 ただし、この水煮沸しないと飲み水には使えないという注意書きがある。 国道156号線を20分も進むと目的地の桂湖に到着した。

桂湖オートキャンプ場

 08:30、パッキングをして出発する準備をしていると次第に雨が強くなってきた。 と思うと、ドーン・ガラガラと雷が鳴り始めた。 さすがに雷の中を出発するのは恐ろしい。 今日のうちに登れるかどうかためらっていたが、 ずっとここにとどまっているわけにもいかないので、、小ぶりになった9:40に歩き出す。キャンプ場に駐車してそこからは工事車両しか進めないので、林道を歩く。 9:54林道のわきから登山道への入り口を入っていく。 

登山口のつり橋

登山届を出すポストがあり、ノートに出発記録を書く。 当然かもしれないがこの日登っている人はいない。吊橋をわたってそこからいきなり急峻な鉄梯子道となる。慎重に梯子を上がるがその上はさらに鎖場となっている。 雷が鳴っているので、鎖に落ちたりしないだろうかと気になって仕方がない。2012年の8月槍ヶ岳で鎖場に落ちた落雷で登山者が亡くなった事故のことを思い出して恐ろしくなった。鎖場が終わって、そろそろ樹林帯だろうと思ったが、まだ痩せた岩稜で雷を避けるにはこころもとない場所である。 雷よ来ないでくれと念じながら30分ほど歩いたがやがて音がしなくなってほっとした。 そうこうしているうちに、道は木の根の茂った樹林の中に入った。

尾根道を上がり昼食休憩

10:50、標高780mのところで休憩。 雨が少し降り始める。 今回は雨具が手放せない山行になりそうである。 11:18に鏡岩を通過。 ルートはかなり急な登りとなる。標高1000mを越えてところどころ平坦な場所も現れるが、基本標高1200mまでは登り一本調子である。13:06に昼食休憩。 今日の昼食はコンビニののり弁当である。 
 久しぶりの山のせいかあるいは荷物が少し重いのか、かなり苦しい登山となる。 果たして今日避難小屋まで登りつけるのか不安になる。 A.Dさんは「荷物が重いようだったら水を少し捨もて行ってもいいのではないですか? きっと途中の旧避難小屋のところで水場があるはずですから」と言ってくれた。実は結果としてここで水を捨てなかったことであとあと命拾いをすることになるのだが。 そのくらい自分はいつもよりも登りのペースが遅かった。13:22木の根が大きく傾いたところを通過、落雷の影響だろうか根こそぎ倒れている。


前笈ヶ岳

標高1250mを越えてからは稜線の上を歩いているようになり、傾斜もこころもち緩んできているような気がする。ひとしきり上って、右手に階段のような分岐があり、そこをあがったみたら前笈ヶ岳だった。 14:22なんとか前笈ヶ岳の山頂(標高1522m)に到着。三等三角点とみかげ石の山頂標識とベンチがある。たまたま階段を登ってみたからよかったが、見落とすと知らない間に通過してしまうのだろう。 てっきり「まえおいずるがたけ」と発音するのだろうと思っていたら、山頂の表記には「まえおいがたけ」としか記載がなかった。 


ロープを伝ってアカモノの頭へ登る
 
前笈ヶ岳を過ぎてからは少し急な下り道となる。 いったん平坦になり、そこからまた登り返しとなる。 15:02 ロープが現れた。 ここを登りきると15:05にアカモノの頭という小ピークに到着。樹林から頭を出したところで晴れていればきっと見晴らしのよい場所なのであろう 15:17に雪渓がルート上に現れる。ここからルートの真ん中が池のようになっており、左に大きく迂回するルートが新たに付けられていた。 赤いテープが巻いてあるので、見落とさずに進めばルートを間違うことはない。 今回のコースは尾根道なので基本水がないルートなのだが、さすがに大笠山の山域は豪雪地帯のせいか、ところどころ、登山道の中が小さな池のようになっているところがあり、水を避けながらルートを取らなければならないところがあった。 一か所などはアカガエルの卵とも思われるものが水中に散在していた。 

旧避難小屋跡地前の雪渓

 16:20に開けたところへ出た。 ここが旧避難小屋の跡地である。 避難小屋の土台とその下に緊急装備のようなバケツなどが入っている。 老朽化が激しく2013年9月に今の避難小屋が作られたらしい。 ガイドブックではここまで水が来ていることになっていたが、実際にはビニールホースが引かれているものの、水はまったく流れていなかった。 ここまでくれば水が汲めると思っていたのが誤算だったことがわかる。そうこうしているうちに急に雨が強くなってきた。 あと50分で避難小屋到着である。

山頂直下で動物と遭遇

  17:05に大笠山まであと0.5㎞の標識を通過、そのあと樹林が薄くなった道を進むのだが、登山道をこちらに向かってかけてきた一頭の動物を発見した。 動物はさほど大きくはなかったもののこちらに気がつくとさっと隣の藪の中に入ってしまった。 最初はクマかと思って青くなったが、山頂へ上るためにはその横を通過していくしかない。 冷静に思うとクマにしては体が小さい気がした。 クマ鈴を鳴らしながら、笛を吹きつつ進んだのであるが、藪の中からはガサゴソという音がして、こちらの様子を相手がうかがっているのがわかる。 そのうちわれわれと歩を並べるように、向こうも山頂方向へ向かって進んでいるように思えた。 こちらを威嚇するためか、キュウキュウという鳴き声も出している。 1-2分その状態が続いたが、われわれが200mほど進むと、この動物の気配は消えた。いったいなんだったのだろうか?(あとで調べてみたら、大笠山では2014年10月に親子クマの目撃情報があった。)

避難小屋到着

 17:20稜線到着。標識によれば、大笠山まであと0.2㎞となっている。奈良岳から縦走したきたコースはここで合流するようである。地図に従えばこのあたりに避難小屋があるはずであるが、折からの悪天でどこにあるか見えない。 笹の踏みあとに従って西に巻いていくとようやく小屋の影が見えた。17:23避難小屋に到着。最初、かんぬきがかかっているのに気が付かず鉄製の錠をひねっても戸が開かなかったので焦った。 かんぬきの存在に気が付き、戸をあけて荷物を土間に置く。 そのまま、山頂アタックだけしに行こうということでストックとカメラとクマ鈴とをもって出発。 17:29左手にかなり大きな雪渓を見ながら大笠山の山頂へ向かって進む。 

大笠山山頂

 17:33大笠山山頂到着。当然であるが登山者は誰もいなかった。 山頂には高い木の柱とみかげ石の大きな山名盤があった。 天気がよければここから白山の眺めも素晴らしいのであろう。 本当はここから笈ヶ岳の景色を見たかった。 2014年の5月に笈ヶ岳に登った時にそこから見た大笠山の景色が印象深かった。 大笠山と笈ヶ岳の間のコースは歩く人もいるらしいがとんでもない藪こぎとなるようである。 NHKの日本二百名山一筆書きで田中陽希さんがそのルートを歩いたがさすがの田中さんも相当苦戦していたようであった。まったく何も見えない360度展望動画を撮り、三脚を使って証拠の登頂写真を撮って 17:40避難小屋へと出発。 濡れた衣類を着替えて、ホットウイスキーで乾杯。 アルファ米とホタルイカのするめを夕食に21時まで日本酒をちびちびと飲んで雨中宴会を楽しんだ。

下山開始

7月2日(日)5:00起床。 夜中にかなり激しい雨が降っていた様子だった。 天気予報でも富山県は終日雨。 夕方は強く降るという。 なかなか歩きだそうという気にならないが、それでも朝食に温かいうどんを食べたら少し元気が出た。水は昨日組むことができなかったので、朝食を済ませた後の保有は2人で2Lくらいしかない。 とにかく今日下山しないわけにはいかないので濡れた雨具を着込んで6:30小屋を出発。 6:45に早速昨日動物とニアミスしたポイントを通過。ルートの上に動物の糞があり明らかに近くにケモノがいる様子。 鈴をならして笛を吹いて通過しようとすると草むらでガサゴソと動く様子。。  どうもまだいるようだ。おそらくルートの近くに巣があるのだろう。クマでないことを祈りながら通過。

前笈ヶ岳からの下り東の展望

木の丸太が組まれた階段を滑らないように注意しながら下っていく。7:15に登山者とすれ違う。単独行の方だ。 荷物は軽そうだが相当健脚の様子。早朝から登り始めて、そこそこの時間には下山してしまうのだろう。果たしてわれわれが重い荷物に苦戦しながら稜線を降りて、そしてまた登り返して8:26アカモノの頭に到着して休憩しているときに、大笠山山頂を往復した彼がわれわれを追い越していった。 8:57前笈ヶ岳山頂到着。 一応、記念のピークなのでもう一度立ち寄ってみる。 雨は時々強く降るが断続的に弱まったりする時間もあるのでその間に足元の悪いところを通過してしまいたい。 10:03稜線上から西の山が見える。ここまでくると標高が1200mくらいまで下がっているので雨雲の下に出たのか少し見通しも よくなったような気がした。 

下山、桜ケ丘クアハウスに立ち寄り湯

 10:14大杉を通過。 来るときには気づかずにいたがなかなか大きな杉である。 ここからルートはさらに木の根を越えて慎重に下る場面となる。  11:58鎖場の上部に到着。 最後が慎重を期すところなのでストックをザックにくくりつける。 持っていた水はここで完全に底をついた。 とにかくあと少し確実に下山するしかない。最初から最後まで雨に降られどおしであった。 鉄梯子を降りて  12:12の吊り橋を渡る。登山口のノートには無事に下山したと書き込んだ。 桂湖のキャンプ場のあずまやの屋根の下で雨具を乾かしながらラーメンを昼食に食べる。行動食用に持っていたあんぱんも食べる。 もともとは下山後にブナオ峠に車を回して大門山をアタックするはずであったが当然のごとくに中止。風呂だけ入って帰ることにする。 13:20に来るときに立ち寄った城端PAに隣接する桜ヶ池クアハウスに立ち寄る。

新高岡から北陸新幹線で帰る

  風呂だけ入って車で新高岡へ。 14:40ガソリンを入れて新高岡の駅前でレンタカーを返却する。 A.D.氏と駅の構内でビールで乾杯し、彼は金沢に出る特急に私は東京へ行く新幹線に乗るのでそこで別れた。 北陸新幹線に乗車するのは初めてであった。 指定席は満席であったが、金沢が始発なので、2つめの駅の新高岡では余裕で自由席に座ることができた。 ますの寿司を夕食に食べながらまたひとりで乾杯しつつ横浜へ帰ったら20時であった。


 北陸の名山も残念ながら雨でさんざんな山となってしまったが、とりあえずピークハントの目的だけは達成することができた。 久しぶりの山だったので体力が相当落ちているのを痛感した。 これで300名山のうち富山は残すところ3つとなったが今回北陸新幹線を使った山旅をしたことで少し気持ちの上で富山が手近に感じるようになった。 次に大門岳・赤摩木古山に登った時にこの大笠山の写真を撮影するのを楽しみにとっておくことにしたい。
(2017年7月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています