 |
 |
基本情報
1 |
山名 |
奥茶臼山(おくちゃうすやま) |
2 |
標高 |
2474m (二等三角点) |
3 |
山域 |
赤石山脈南部 |
4 |
都道府県 |
長野県 |
5 |
位置 |
N35.29.05/ E138.04.08 |
6 |
地図 |
昭文社 山と高原地図42「塩見・赤石・聖」
2万5千分の1地図「大沢岳」
20万分の1地勢図「甲府」 |
7 |
山岳区分 |
日本三百名山 |
|
|
登山記録
山歩No |
3530-12035
|
登山日 |
2012年9月2 日(日) |
歩程 |
8時間05分 |
天候 |
曇り時々雨のち一時晴れ |
形態 |
前日発テント1泊 |
アプローチ |
中央自動車道飯田IC三遠南信自動車道しらびそ峠 |
パーティー |
2人 |
|
 |
|
 |
|
|
初めて奥茶臼山の存在を確認したのは、面白いことにその登山口を見たときであった。 2010年7月に光岳に登り行くときに通った道がしらびそ峠である。 峠から南アルプスの山を展望したときに、ふと、すぐ横に登山届提出ポストと登山ルートの看板を見た。 峠に誰も乗っていない車が3台ほど駐車してあったので、そこが登山口だと知る。あとでこの山が300名山のひとつだから遠方のナンバーの登山者の車が停まっていたのだと知ったが、百名山の目標達成に余念がなかったこのころは、まだこの山を登る計画はなかった。 南アルプスの前衛であるこの山を意識し始めたのは今年の初めくらいからだろうか。 距離がそこそこ長いので日帰りで行くには夏の時期でないと厳しいかなと思い、土日にキャンプを組み合わせて出かけることにした。
|
しらびそ峠
9月1日(土)朝5:00に起きる。 Internetの気象庁発表の天気予報で、長野は2日も20%の降水確率であることを確認してキャンプ決行を決める。 6:20に家を出る。 中央道はもう調布から混雑していた。モノレールのあたりで虹を確認。8:00八王子JCTの手前でもきれいな虹を確認する。 小仏トンネルを抜けて山梨県に入るとときれいにはれていて夏の雲がでていた。 9:30双葉SAで休んでトイレを使う。SAにはたくさんの登山者がいる。 見ると、乗鞍行きのバスなんてのも停まっている。ロードスターが数台群れをなしてツーリングを楽しむ様子だった。 飯田ICで下りて11時過ぎに昼食。 昼食後は夕食の材料をスーパーで買い物する。そのあと、川沿いのガソリンスタンドで給油。 喬木村の九十九谷公園を経由してそれから12:48三遠南信道路に入り矢筈トンネルを通ってそこからしらびそ峠へ行く道に進む。 |
 |
ハイランドしらびそ
13:27峠について写真を撮る。 このころから雨がぽつぽつと降り出してきた。 そのあとハイランドしらびその前まで行ったが、時間もあるので御池山隕石クレーターへ行ってみる。 雨具を来て丘の上展望台まで散策。 靴がぬれてしまった。もどってきたら、ダンプカーがそこに土砂を捨てに来ていた。 14:50にハイランドしらびそに行ってしらびそ高原キャンプ場の受付をする。 テントサイトの料金は3500円、料金を支払い風呂の入浴券200円も併せて買っておく。 いったんテントサイトへ行ってテントの設営。 サイトは土なのでペグも打ちやすい。 15時半に風呂に行くことにして、車でハイランドしらびそへ。 |
 |
しらびそ高原キャンプ場
風呂はかけ流しの気持ちのいい風呂。 途中で一人だけはいりにきた人がいたが、あとはずっと貸切状態。 ゆっくりつかる。 風呂から上がって売店で、信州ワインのアイスクリームを買った。表にでてしらびそ峠という看板の前で写真を撮る。 天気がよければ、南アルプスの大展望が広がるはずなのだが、残念ながら今日はほとんど山を見ることはできなかった。その代わり、谷あいにきれいな虹が出ていたそれからテント場に戻る。ひとつひとつのテントサイトにしらびそ峠から見える南アルプスの山の名前がついている。 自分のサイトには「小聖252m」となっていた。 この山に登ったのは2年前である。 峠のキャンプ場は標高が1900mもあるのでとても涼しい。 17時から食事の支度をしながら、ビールを開けてちびちびやる。 焼き鳥、春雨サラダや餃子をつまみに缶チューハイにウイスキーまであけたら結構いい気分になった。 片付けて翌日の用意をする。 雨はすっかりあがっていた。 周りにはオートキャンプを楽しむグループが3グループいた。 シュラフをかぶって20時半には寝た。
|
 |
奥茶臼山登山口
9月2日(日)朝は4:40に目覚ましをかけておいた。 天気があまりよくないせいか明るくならない。 朝食にてんぷらそばを食べ。 テントを撤収して6:11に出発したが、しらびそ峠について、雨具を着て靴を履いたりしていたら結構時間がかかってしまう。 次第に雨も降り始めた。予報では飯田地方は昼前後から雨ということだが、もう早朝から降っている。 行くかどうか思わず迷ってしまうところだった。 峠には、豊橋ナンバーの乗用車が停まっていたが、山に登るかどうするか迷っているのか中に乗っている人は降りてくる気配はない。 登山届けを提出して6:58に出発。木道をあがってそこから奥茶臼山への登りが始まる。 歩道脇にはミヤマトリカブトがきれいな花を見せている。7:38にビューポイントという札が見えたので、そこに入っていくとハイランドしらびその建物が見えた。 少し休憩して水を飲む。 |
 |
前尾高山へ(南信州ウォーキング)
7:46に歩き出す。 傾斜はそこそこあって樹林の中を赤いテープを目しるしにしながらゆっくりあがっていく。ビューポイントからそのまま上に上がっていく道があるので、それにしたがって進む。 稜線伝いに行くとやがて別に東側を見晴らすことのできるビューポイントが現れた。 残念ながら、そこからは雲に覆われていて展望がない。 そのまま稜線に沿ってあがっていく。 さすがにハイキングコースとして整備されているだけあって、ルートの横の木々には「シラビソ」であるとか「トウヒ」であるとか名札がつけられている。南信州ウォーキングと書いてある立て札も随所にある。 ちなににここでは「尾高山山頂まで2.5km」となっている。 8:00 やがて、登りがゆるやかになるとうっそうとした森の中に「前尾高山 標高2082m」の標識が現れた。ここは写真を1枚撮っただけで通過。さらに先を目指す。 少し急な下りを下り切るとまた、樹林の中の道。前尾高山までの登りと違ってゆるやかな傾斜で歩きやすい。ただ、8:31尾高山まであと0.5kmという表示が出てから、休憩を取らずに歩き続けてやや疲れがでてきた。
|
 |
尾高山(2212m)山頂
やがて、少しやせた岩稜になって、数分登ると8:57に尾高山(2212m)に到着。山頂標識がある場所は、ちょっとした岩場で周りは木に囲まれている。 ここは狭いがさらに先に進むと三角点もあり、やはり東側に開けたビューポイントがあって、ゆっくりくつろげるだけのスペースになっている。8:57ここにザックをおいてしばし休憩。麦茶を飲んで、ビスケットをかじって腹の足しにする。峠から登り始めてここまで、 時折雨が強くなったりしたが、あまり長続きせずにやむというのを2-3度繰り返しただけである。尾高山ではもう、雲も薄くなっている感じであった。 9:09尾高山出発。 ここで、「奥茶臼まで5.1km」という表示が出ていた。 なかなか距離がある。 いきなり、トラロープをつかみながら岩の間を下る急なルートとなる。さすがにここまでのハイキングコースとは毛色の異なるルートになるようだ。
|
 |
岩本山からの鞍部-サルオガセ
エアリア・マップには、「奥尾高山まで、目印にしたがって忠実に進む」とある。 この地図は2010年に聖岳に行くときに買ったものであるが、ちゃんと、このコースは出ている。 今回のこのコースは比較的新しいルートである。 飯田市が、2007年の秋に作った新道であるらしい。 それまでは青木林道を延々10km以上歩いて登山口にとりついていたのだからずいぶん楽になったといえるだろう。
9:48に奥尾高山に到着。 標高2266m。 展望もなく、 特にこれという特徴のないピークであるが岩があって座ることができたので休んだ。 そこから、登ったり下りたりの林の道の繰り返し、新道を切り開くために倒した木が苔むしていたりして、なかなか新山の趣がある。奥尾高山と岩本山までほとんど標高差がないので、本当に平坦な稜線を歩いているのに近い感じだ。 10:51に岩本山に到着。一息入れているとカップルが抜かしていった。 なかなかの健脚である。こちらはしっかり雨具をつけていたが先方は雨具なしで歩いていた。 10:58出発。先ほどの二人連れはもう見えないので静かな山旅となる。ルートは次第に、樹林が薄くなり、サルオガセが木に付着しているのがあったりしてなかなか風流な景色である。 シダと杉苔、それに草が生えている様は自然庭園のようでもあり深山の雰囲気を味わうことができる。途中、キンコウカの花もあった。 |
 |
奥茶臼山(2474m)山頂
やがて、鞍部から、奥茶臼の山頂へ向けての最後の登りとなる。 地図の上でもこのあたりが手ごわそうである。 道は北東に登っていき、最後に北西に方角を変える。 途中、大きな木が倒れていてその木の下を通らねばならないところもあった。 このあたりに来ると、だいぶ周りの景色は見えるようになってきたが、残念ながら南アルプスの展望はまだない。これでもかというほど傾斜を登りきって 12:08、奥茶臼山頂到着。頂上は展望がなく、二等三角点が半分以上埋もれてあった。 その横に、個人の方が取り付けたと思われる標識が2-3木の枝にくくりつけられている。 さきほどのカップルがガスをつけて食事の用意をしていた。
|
 |
北側斜面伐採地
ここで休もうかとも思ったが、山頂の北側の伐採跡のほうが、展望がいいということを聞いていたので、 そこまで行ってガスが晴れるのを期待しつつ、昼食をとることにする。 伐採跡は、少し人間が生活した環境がある場所だったが、そこまでは下りきらずに展望のよう切り株を見つけて腰をかけ、EPIをつける。 たっぷりお湯を1L沸かし、賞味期限の切れた酸辛湯を作る。 もってきた缶詰の焼き鳥をあけて、ノンアルコールの黒ビールで乾杯である。 雲がたっぷり出ており、残念ながら南アルプスの景色はない。 空の高いところは青空がでているので下界は晴れているかもしれないな、などと思いつつ、13時まで待って、かぼちゃチップスなどを食べて待ったが晴れないので下山することにした。 山頂まで戻ったら、もう誰もいなかった。 |
 |
奥尾高山通過
13:11に山頂を出発。 気持ちのいい自然庭園を下り、存分に写真を撮ったりする。 景色はもうひとつだったが、十分に森林浴を楽しむことのできるコースだ。 14:06岩本山。 来たときと同じように、ここで休憩。 2L持ってきたお茶は結構ここまでで3/4は飲んでしまっていた。 やはり、涼しいとは言え夏山である。 14:15出発。 ここからラジオを聴きながら歩くことにした。 アップダウンがあるコースなので、少々つかれが出てきたが、急斜面を下りるのではないので比較的膝への負担は少なく楽である。 14:41奥尾高山通過。 ここで、5人組の中高年がいた。 彼らはわれわれが先行しているのに気づいていたが、山頂にいなかったのでいったいどうしたのだろうといぶかっていたようだ。 伐採場までいったといったらなるほどと納得してくれた。 15:46に尾高山で休憩。 来るときはすっ飛ばしたビューポイントで光岳と思われる山を見て、感動する。 15:55出発。 ここからが意外に長かった。 ルートは楽なのだが、そんなにスピードは出ない。そろそろ腹も減ってきた。
|
 |
尾高山ビューポイント-下山
16:45に前尾高山で少し休んだ。 先にいった5人組は姿も見えない。 下りの展望ポイントではハイランドしらびそも雲の中に入っていた。 17:24無事に下山。 いつものように、自分に車だけがポツンと残っていた。シラビソ峠からの下りの道の途中に野生のシカが三頭でてきていた。 エンジンブレーキを使って長いくだりを下りて三遠南信道路へ。 トンネルを抜けるとかなり激しい雨になっていた。飯田ICではなく松川ICから高速に乗って、中央道原PAで休憩。 夕食を食べようかと思ったが、もう食堂が20時で終了なので入ることができなかった。小仏トンネル手前で15kmの渋滞のサインが出ていたので、いつものように、境川PAで下りて夕食。 21:29に出発して、小仏トンネルの渋滞も相当に解消しており3km程度。雨が激しい降りになってきていたが、自分の車は四輪駆動なので比較的安定している。 23:20に家に帰りついた。
|
 |
この山の良さのひとつである南アルプスの主脈の展望というのは残念ながら果たすことができなかった。 その代わり、この山のもうひとつの良さである深山の森林浴は存分に果たすことができた。苔の美しい樹林は涼しくまた様様な植生を見る楽しみを与えてくれる。 尾高山からのルートを整備していただいた方には本当に感謝である。次は残雪の南アルプスを見るために来るのもいいかもしれない。
(2012年9月 記) |
|