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蓮華岳
蓮華岳

基本情報
1 山名 蓮華岳(れんげだけ)
標高 2,799m
山域 飛騨山脈(北アルプス 後立山連峰)
都道府県 長野県・富山県
位置 N36.32.08/ E137.42.38 
地図 昭文社 山と高原地図35 「鹿島槍・五竜岳」
2万5千分の1地図「黒部湖」
20万分の1地勢図「高山」
7 山岳区分 日本三百名山、花の百名山、甲信越百名山
登山記録
山歩No 3460-11019
登山日 2011年7月30 日(土)
歩程 7時間10分
天候 雨後曇り
形態 前夜発テント1泊
アプローチ 上信越道信州松本ICより-松本電鉄バスさわやか信州号「扇沢」下車
パーティー 2人

2011年7月24日に実家に帰省しているときにY.Tさんから電話がかかってきて週末に夜行バスで針木岳へ行こうと誘われた。歯医者の予約があったが、これを延期して行くことにする。何しろ針ノ木岳といえば、1985年に一人で五竜岳から後立山連峰を縦走したときに最後に登ったピークである。 その山頂から見た黒部湖の景色はすばらしいものだった。 あれから早くも四半世紀が経ってしまったが、もう一度、あの景色を見たいものである。 
正直天気予報がよくない。 梅雨は明けているもののの、戻り梅雨のような形の気圧配置で、停滞前線が日本列島の上にかかっている。 山の天気も予報では雨だ。 前日に協議があったが、まあ、せっかくの同行機会なので決行ということになる。

扇沢

7月29日金曜日の午後10時に都庁前の広場集合。ここは会社からすぐ近くでで極めて便利。Y.Tさんはもう来ていたので、一緒にさわやか信州号3号車に乗り込み、22:30に出発。 この3号車は途中穂高、大町、そして扇沢が終点という行程だ。早く着いても仕方ないからか調布インターまで1時間15分もかかった。 最初の休憩場所の談合坂に着いた時は、12時半近かった。それからは、焼酎が効いたからかこてっと寝てしまった。随分たくさんの山ガールたちが途中、穂高で下りたが、表銀座コースを登るのだろうか?五時過ぎにそろそろ扇沢に着くぞとY.Tさんに言われて起きる。5:35にバスはほぼ定刻で扇沢到着。コンビニで買ったおにぎりを2つ頬張る。自販機のお茶が二百円。さすがは立山黒部アルペンルートの入り口だ。身繕いをして6:33出発。

大沢小屋

 トロリーバスの道路に入るところにゲートがあり、その横から登山道になっている。大町遭難対策協議会のテントが出ていて、登山届けの受付を行っていた。シラビソの林の中の登山道を通るとすぐ車道を横ぎる。これを数回繰り返して、大きな広場の横から針木岳登山口という標識をみて本格的な登山道となる。あいにく予報どお
りの雨も降り出してくる。 早速、レインスーツを出して着る。 途中二度休憩して8:30大沢小屋に到着した。百瀬慎太郎のレリーフの写真を撮り、小屋の中で休憩。苔沢の水で入れたコーヒーを飲む。 体が、雨で冷えていたせいもあるだろうが、小屋の従業員さんが入れてくれたこのコーヒーはとても美味しかった。 あとから6人の登山者も合流して話をする。9:03出発。

針ノ木雪渓

 最初は比較的緩やかなアップダウンを繰り返して湧き水を横ぎったりして進んでいたが、やがてロープに捕まって滑りやすい岩の上を越えたりする。そこまで来ると雪渓の入り口だ。 すれ違った下山者に雪渓の入り口を聞いて10:03雪渓の尻で休憩。アイゼンを着ける。降り出した雨が次第に強くなってきたので雪の上を歩いていることもあり寒いと感じない。道には紅がらが撒いてあり、ルートわかりにくいということはない。11:23雪渓の終点に到着。ここから先に雪はないので休憩してアイゼンを外す。1131出発。途中、下山者に水場の場所を聞く。蓮華沢を渡って5分ほど進んで水が湧い
てあるところをY.Tさんが気づいて荷物をおいて戻って汲む。Y.Tさんは2リットル、自分も約1リットル追加で荷物に加える。最後の水場からの登りは、雪渓の溶け出した沢を落石に気をつけながらジグザグに登っていく。Y.Tさんは空腹に耐えかねて、腹ごしらえをするというので先行して登る。 

針ノ木峠

 13:10針木峠到着。小屋でテント場の受付をして、稜線とトイレの下と両方のテント場を見るひとつの区画あたりのテントのスペースは決して大きくないが、今日は天候もあまりよくないということで30張以上のテント場に5張しかなかった。 まあ、広々と使えるので、比較的奥のスペースを確保する。 夜中に風が強くなるかも知れないと思い、稜線の上には張らなかった。ちなみにテント場代は1人五百円。ゴアテックス製のテントは一瞬で張り終えた。昼食が遅くなってしまったので、とにかく湯を沸かしてラーメンをつくる。テントの中にサブザックに水と行動食を入れて14:38に出発。

コマクサ群落

峠からは、サブザックなので気分が楽である。 さすがに、テントを担いで雨の中を針ノ木雪渓をあがってくるのは体力の要る仕事だった。 針ノ木峠から、蓮華岳へはちょうど真東の方向に上がっていくことになる。 もし、針ノ木小屋に泊まったらば、夏山のころは暗い中を1時間歩いて、蓮華岳の、ピークでご来光を見るというのが定番のコースになっているのだろうか? 最近では、2009年の光岳、2011年の北穂高岳と比較的標高の高い小屋、または小屋のテンバでご来光を見たので、それから、この蓮華岳の御来光も想像してみた。 迫力がありそうである。 蓮華岳への登り道のざれ場にはコマクサが咲き乱れている。

蓮華岳の登り

 いったん、ピークのようなところについたあと、平坦になったハイマツの気持ちよい峰を越えて歩程一時間というところを20分増しで祠のあるピークに到着。Y.Tさんは途中で転んだ ということでだいぶ遅くなってしまっていた。幸い、怪我はたいしたことがないということで、絆創膏を張っておいた。 雨はあがり、進むべき蓮華岳の方面は晴れ間も見える。 

蓮華岳山頂

登りの斜面にあるコマクサは見事だった。標高2700mくらいからはハイマツもあまり自生しておらず、ルートのまわりはきれいな砂地になっており、コマクサが成長しやすい環境になっているのだろう。 三角点のある山頂は隣の頂だと聞いて、そこまで行ってみる。16:00雨は上がっており、後立山連峰の爺ヶ岳の姿が見える。針の木岳の方向は残念ながら雲って見えなかった。  

白いコマクサ

それとも、蓮華岳の宗教登山の行われていた証なのであろうか? 後から山頂にやってきた4人の登山客はりっぱな一眼レフを持っていた。彼らは船窪山方面への道を少し下って、白いコマクサを発見したといっていたので、あとについていってみることにした。 確かに、岩角に2株だけだが咲いている。 めずらしいので写真を撮る。しかし、ここのコマクサの群落はすばらしい。 タカネシオガマの紫色の花とも交じり合ってすばらしい色のコントラストを見せてくれている。 

白いコマクサ(アップ)

 白いコマクサというのは、突然変異なのだろうと思っていたが、最近知ったことだが、シロバナコマクサという亜種であるとのことだ。 かなり稀にしか見られず、北海道では危急種に指定されているということだ。  植物のことにとんとうといので、事実をしらない。日本の主なコマクサの群生地は、大雪山系、白馬岳、蓮華岳、燕岳などで大群落が見られる。八ヶ岳では横岳と根石岳で大群落が見られる。甲斐駒ヶ岳では薬草のために乱採取され絶滅し]、南アルプスには分布していない。御嶽山がその西限で、中央アルプスが南限といわれている。以前、日光白根に登ったときにロープウエイを下りてから大群落を見たが、あればあくまで、栽培されたものだったのか。

針ノ木小屋

16:30に山頂を出発する。 ゆっくりとおりて、17:40に針ノ木峠に到着。 小屋まで下りは50分だった。 最初の情報では、針ノ木小屋も定員100名のところ160名の宿泊者が予定される状況だったようだが、折からの悪天で団体客のキャンセルも相次いで。結果的に快適な広さで宿泊することができたらしい。 エビスビールありますという文字はいかにも魅力的である。今日は、雨で寒かったので、立ち寄らなかったが、夏の好天の時には縦走計画があってもとても素通りできないだろう。テントに戻り、カレーの夕食とつくりながらふじっこのおまめさんをつまみにウイスキーで宴会。 サントリーのウイスキー「Owners Cask」を持ってきてくれたので、こいつで しがはずむ。夜行バスで来た疲れもあって20:30に就寝。



蓮華岳山頂ではどうにか雨もあがり、素晴らしい花の群落に出会うことができた。山容もたおやかで 稜線の美しさも見事で、300名山にふさわしいよい山だと思った。蓮華山から船窪山への縦走路は比較的人の少ないところだと聞く。 一方で船窪小屋がすばらしい山小屋であるというのも有名である。 まだ、未知のコースであるがいつか行くチャンスがあるだろうか ? 幸せを呼ぶという白いコマクサを見たのでラッキーが訪れることを期待しよう
(2012年1月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています