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朝日岳
白毛門・朝日岳

基本情報
1 山名 白毛門・朝日岳(しらがもん・あさひだけ)
標高 1945m(朝日岳)
山域 三国山脈
都道府県 群馬県
位置 N36.52.50/ E138.58.21 
地図 昭文社 山と高原地図16「谷川岳・苗場山・武尊山」
2万5千分の1地図「茂倉岳」
20万分の1地勢図「高田」
7 山岳区分 日本三百名山、関東百名山
ぐんま百名山
登山記録
山歩No 3360-12024
登山日 2012年6月30 日(土)
歩程 12時間10分(白毛門含む)
天候 晴れ
形態 日帰り
アプローチ 関越道水上ICから国道291号土合橋
パーティー 1人

馬蹄形コースにあこがれて、梅雨の合間を縫って白毛門・朝日岳・清水峠の縦走を試みた。 2012年6月23日土曜の午後に東京を出て、夕暮れ時に土合に到着。 車の中で寝て翌24日の日曜、朝日の出前から起きて白毛門を目指す。 途中で、ザックを谷底に落としてしまい、傾斜の強い崖を下りて林の中を探す。 幸い、ザックを発見することはできたが結果的に40分をロスしてしまった。白毛門の山頂では学生時代のサークルの後輩たちが休んでいた。 最近の活動を聞いて懐かしくまた、後輩たちが伝統を守って活動を続けてくれているのを知りうれしく感じる。 後輩たちと別れて、目標の朝日岳へ向かって歩き始める。 天気もよく谷川岳が素晴らしい姿を見せてくれている。 <白毛門・朝日岳(前半=白毛門)より続く>

鞍部から見る笠ヶ岳・朝日岳

 白毛門山頂からはいったんゆるい下りで鞍部まで行き、そこから一気に上り。笠ヶ岳は標高1852m。鞍部からは標高差が150m以上あるだろう。 コースタイムは55分であるが、やはりそろそろ登りの疲れがでてきて、あまりペースは上がらない。 歩いては立ち止まるという状況が現れ、コースタイムのとおりの時間がかかった。 前を行く登山者が小さく見える。山頂に着く手前には右側に残雪があった。 風がふきあげてきて涼しい。50分かけてきついのぼりをやっと終える。  

笠ヶ岳山頂

 9:20笠ヶ岳山頂。山頂には誰もいなかった。 登りで50mほど先にいた登山者はここの山頂で休まなかったのか、もう山頂をくだって避難小屋をすぎたところを歩いている。この山頂は広くなって休憩するには抜群の場所である。 何より、谷川岳・一ノ倉岳の眺めがいい。 三角点がある。群馬百名山の名前に恥じない場所である。 唯一の難点は虫が多いことか。耳をさされてしまった。 9:25に笠ヶ岳の山頂を出発。 

笠ヶ岳避難小屋

 5分ほど歩くと、笠ヶ岳避難小屋が現れた。 避難小屋といってもドラム缶のような形をしたシェルターといったほうがいいかもしれない。 エアリアマップには、収容4-5人と書かれている。稜線上なので風が吹くかもしれないが、宿泊したらすばらしい山の中の生活と満天の星が見えるのではないだろうか。 水場が近くにないので秋に泊まるのは大変かもしれない。ここから正面の小烏帽子に向かって登っていく。小烏帽子は、笠ヶ岳から見るとピラミダルでなかなか格好がいい。 30分で、小烏帽子についた。 ただここはあくまでやせた岩稜で、頂上にめぼしいものがあるわけではない。

朝日岳山頂

 大烏帽子に向かって縦走を続ける。 岩が切り立って足場はしっかりしないが、縦走路は前に朝日岳の姿が開けており眺めがよい。 10:30、登山道の途中でホソバヒナウスユキソウを見つけたので写真を撮る。 山頂までもうすぐだ。人影があるし、祠のようなものも見えている。 岩の間から水が流れているので手をあててしずくを取る。 10:48朝日岳の山頂到着。2名の登山者が休んでいた。 景色は360度の展望だ。 昼食に卵サンドとコロッケパンそれとお楽しみのプレミアム黒=ノンアルコールだが。 朝食が早かったので、おなかがすいてあっという間に2つのパンを食べてしまった。 東側の祠でおまいりして360度展望動画を撮影。北には、越後三山の中ノ岳・駒ケ岳がきれいに見える。 巻機山は手を伸ばせば届きそうだ。南には赤城山がたおやかな裾野を見せていた。 谷川岳をバックに年配の登山者の方に写真撮影をお願いする。 

ジャンクション・ピーク

 11:20山頂を出発。 そこからはゆるやかなくだりで木道が敷かれている。 雪渓のあるジャンクションピークとの鞍部。 水場があると聞いていたが、雪の中に埋もれているのか発見することができなかった。ジャンクション・ピークはさほど急ではない。  途中までは木道がついており湿原になっていて楽しい山歩きが楽しめる。 やがて、越後の巻機山への稜線と清水峠への分岐があらわれた。巻機山まではたおやかな稜線が続いているが、道標には「難路・道なし」という恐ろしい文句も書かれていた。。

清水峠と七ツ小屋山
 
 ジャンクションピークを過ぎてからは西に続く尾根のくだり。 峠にとんがり屋根の小屋が見える。 あそこが清水峠だ。 距離は近そうに感じるがコースタイムは2時間になっているので、まだ簡単には着かないはず。 12:13尾根の途中で休憩して上着を脱ぎ、水を飲む。 ここまで来ると朝日岳の北面がよく見える。 さすがに北西面の谷筋にはまだ結構な残雪がある。笠ヶ岳から土合に下る大倉尾根もきれいに見えている。 もっとも、夏道はもう通る人も少なく廃道に近いらしいが。休憩中に日焼け止めを塗りなおして 12:18出発。清水峠まで稜線が続いているが池の窪といわれる湿地帯をすぎると微妙に最後は登りになって鉄塔の下に出る。 そこから白崩避難小屋に降りる。 13:08到着。 意外に時間がかかってしまった。 

清水峠・白崩避難小屋

 小屋の前では単独行の女性が昼食を摂っていた。 聞くと、今朝、土合から蓬峠を回ってきて、今日のうちに朝日岳の近くまで行ってテントを張るつもりだということだ。 明日夕方から仕事なのでそれまでに降りればいいということ。 たくましい人である。13:22出発。 時間が少し遅いので蓬峠を周って土合におりる縦走コースまで足を伸ばすことは断念する。 峠からは旧国道といわれる道を降りていく。国道というからどんな大きな道かと思ったが林道のようでもあり、ただし、それが手入れされないために草がおい茂って荒れているというところか。地図に水場の表示があり、早速大きな沢があったのでポリタンクに給水する。鉄砲尾根まで約1時間、ところどころ沢を渡るところで道が崩壊している場所があり、注意を払って渡らないと足場が崩れてしまう危険がある。国道とは言え、あまり整備がされていないようだ。 七つ小屋沢には相当の残雪があり、その下をごうごうと水が流れていた。 沢伝いに道は崩落しており、一旦沢に中に入ってよじ登るようにして越えた。 

ケサ丸沢-雪渓横断

14:20に鉄砲尾根に到着。 見晴らしのいい広場のようになっていて大きな鉄塔の下で休憩。 フルーツゼリーを出して食べる。 清水峠以降ここまで、ひとりの登山者にも会わない。 少しさびしいのでラジオをつけてNHK第二放送の韓国語講座を聞きながら歩くことにする。 14:30出発。尾根から大きく西に谷を回る。 やはりところどころ沢を渡るところでは道が崩れている。最後のケサ丸沢では雪渓を乗り越えていくものの、下の部分は融雪して口を開けており、踏み抜いて落ちるのではないかとはらはらしながら渡るところもあった。国道でありながら、(いわゆる登山道程度の点線国道)修復は行われず、JRの鉄塔巡視路以外に使用されてもいないようである。 ちなみにガイドブックには清水峠越えというコースの案内が書かれているが、一方でWIKIPEDIAで「清水峠」を調べると「この区間を完全に歩き通すには、熟練の廃道歩行経験と本格的な登山装備に加えてロッククライミングの技術が必要不可欠であり、多大な所要時間と相当な体力の消耗を覚悟しなければならない。廃道歩きや登山の経験が浅い者が立ち入ると遭難(滑落などによる死傷事故)の危険性が極めて高い。」というビックリするような注釈がついている。  

武能沢渡渉  

 蓬峠からの道と合流すると踏み跡は明瞭になり、15:54白岩の避難小屋に到着した。 中をのぞいたが、ここは寝るスペースという腰をおろす場所のような土間であった。まだ先が長いので靴下を予備の乾いているものに履き替えて16時に出発。 道はやがて旧道と新道にわかれたが、時間の短い新道を進むことにした。 一気に急傾斜で降りるかと思いきやここから鉄塔を越えると歩きやすい下り道であった。16:49武能沢の出合で、ロープにつかまって沢を渡る。 顔を洗って休憩していると、蓬峠から降りてきたと思われる人が沢を下から上がってきて道がわからんと困った様子だった。 下るルートを教えてあげると、すごいスピードで進んでいかれた。道は沢にそったまま、芝倉沢、幽沢と2度緊張する渡渉を繰り返し、やがて平坦なルートになるとまもなくJRの避難小屋と虹宴寮が現れた。 ここから林道かと思ったが意外やまだ平坦ながらも登山道が続き、増水したら通行不可能になりそうな沢のすぐ横の岩の上まで通る。なかなかスリルのあるコースだ。

終点・土合橋

 18:13にやっと林道の終点のあずまやに到着した。座って水を飲み18:18出発。 林道は路肩が崩壊しているために車の通行を禁止する標識がかかっていた。 18;53日没まで15分余して土合橋に到着。 車のところへ行くと、朝、同時に出かけた隣の軽トラックの男性がちょうど帰ってきたところだった。 今日は馬蹄形をやった人が12人いたとのことだ。この男性はまわりの皆が歩くのが速いといっていたが、私から見たらこの方もずいぶんと速い。車に到着して荷物を下ろし、靴を履き替えて、EPIをつけて湯を沸かし、夕食としてカップうどんを食べる。 19:35出発。 時間も遅かったので温泉にも寄らずに水上ICから高速に乗る。 高坂SAで一度休憩。 ちょうど渋滞は解消していったので大きな問題もなく22:30に自宅に帰りついた。


 12時間10分という地図上の歩程は、5年前に北海道の二ペソツ山に登ったとき以来の最高ではないだろうか、本当に途中でザックの探索をするというロスタイムがあったとはいえ、日没前から日没まで、夏至の時期に行動するとこんなに長い距離を歩くことができるのだというのを改めて感じた。 どうしても本州では梅雨で行動の制約を受ける時期だが、有効活用して登山の幅を広げたいと思う。 40分というロスタイムが結果として、蓬峠まで足を延ばすことを阻んだわけだが、しかし、それがなければ白毛門の山頂で後輩たちに会うこともなかったのだと考えると運命の不思議さを感じるとともに、蓬峠にいけなかったことがまったく悔しくなくなった。 思えば、後輩たちは、夏山に行くためのトレーニングとしてこの谷川連峰へ来ていた。 私も30年前、やはりそのサークルで夏山合宿に行く前のトレーニングを6月に毎年行っていた。 何か、自分がタイムスリップして昔の自分と出会ったような気がして、不思議な思いだった。
(2012年7月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています