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祝瓶山
祝瓶山

基本情報
1 山名 祝瓶山(いわいがめやま)
標高 1,417m (二等三角点)
山域 朝日連峰
都道府県 山形
位置 N38.11.51/ E139.52.47 
地図 昭文社 山と高原地図9「朝日連峰」
2万5千分の1地図「羽前葉山」
20万分の1地勢図「村上」
7 山岳区分 日本三百名山・東北百名山
登山記録
山歩No 3120-13041
登山日 2013年9月22 日(日)
歩程 6時間00分
天候 曇のち晴
形態 前日発テント1泊
アプローチ 日本海東北自動車道中条ICより国道113号線小国町
パーティー 2人

 2010年の10月にひとりで朝日連峰の大朝日岳に登った。 このとき連峰の最南端に見えていた頂を屹立させた見事な山が祝瓶山である。 また、祝瓶山は大朝日岳を眺めるのに適した山だと言われている。 自分が大朝日岳に登ったときは竜門小屋に宿泊したが隣で寝た若い男性は、大朝日岳を越えてその日のうちに祝瓶山へ至り下山すると言っていた。 彼のような体力のない私は、こうして大朝日岳に登った3年後に300名山狙いで祝瓶山にアタックすることになった。 

関越自動車道三芳PA付近

 9月21日(土)三連休を利用して、東北の山に足を延ばす。 ところが前の晩も遅かったので早朝出発というわけにはいかなかった。 そして、待っていた結果が、関越自動車道の大渋滞である。 その前の週も敬老の日の三連休であったが、日本列島を縦断して兵庫や京都に大災害をもたらした台風18号のせいで、行楽客は出控え。 その反動か、秋の好天が予報されたこの連休は、首都圏から各地へ出かける人の流れで高速道路はどこも大渋滞となった。 関越自動車道は練馬ICで乗ったとたんに大渋滞。 高坂SAまで15㎞渋滞。 さらにその先も藤岡JCTを先頭に35㎞の渋滞とお盆並の車の混雑ぶりである。 

関越自動車道越後川口PA

 途中、上里SAでおにぎりを買い、駆け込むように昼食をとる。 電話をして今日宿泊する鷹の巣キャンプ場を予約。 本当は登山口に近い白い森オートキャンプまで入りたかったが、この渋滞では、いったい何時に到着かわからない。 中条ICをおりてから1時間程度で行ける途中の鷹の巣キャンプ場を今日の目的地とする。 ついでに明日、下山後に宿泊する村上屋旅館にも電話を入れて予約する。 藤岡JCTで上信越道と別れると道がすいてきて通常のスピードで流れるようになった。 快晴の空の下谷川岳がきれいに見えた。

関川町 鷹の巣キャンプ場

 上越JCTから新潟を越えて日本海東北自動車道へ。中条ICで下りて、AEONで食糧と酒の買い出しをする。鷹の巣キャンプ場は国道113号線の脇の駐車場に車を止めて荒川の吊り橋を徒歩で対岸まで渡っていく。中学生の団体が常設テントに宿泊してキャンプを楽しんでいたが、それ以外にはお客はバイクのライダーが一人だけ。 管理人さんが荷物を運ぶのを手伝ってくれた。 持ち込みテントの場合料金も手頃なので助かる。 自炊棟やトイレの設備もきれいで心地よいキャンプ場である。 首都圏にあったら、三連休などは人気でなかなか予約がとれないであろう。 

鷹の巣温泉出針生平へ

 9月22日(日)朝5:30起床。 明け方にパラパラと雨が降る音が聞こえていたので、山に登るのは無理かとあきらめていたが起きてみると決して悪い天気ではなかった。早めにテントを出て、湯を沸かしてカップそばを作る。2往復して車に荷物を積み込む。 出発して車で小国を目指す。 国道113号線を片貝をすぎて東へ進む。 やがて峠を越えるとそこから先は山形県。小国町役場から県道261号を北に進む。 白い森オートキャンプを過ぎてさらに進むと徳網の集落があり、民宿美和が見えた。他の人のホームページを見るとここを祝瓶山や大朝日岳の登山基地に使って宿泊する人も多いようである。  

登山口駐車場

 道路は狭い一車線の車道であったが、やがて舗装がなくなり林道となった。 そこそこに車が入っているようで道が荒れているという様子ではない。針生平と呼ばれるところの手前で一件の小屋があったが、これは大石沢小屋ではなく林業作業の小屋のようだ。 無断立ち入り禁止という張り紙がしてあった。 さらに1㎞ほど進んだところで2台の駐車車両が現れた。 その先が大石沢の駐車場だったが5台ほど停められるスペースはすでに満車だったのでバックで15mほど戻り、先ほどの2台が停まっているスペースに駐車することにした。 靴を履いていると隣の車のボンネットに木の枝が落ちてくるような音がしたので、木の上に熊でもいるのではないかと恐怖が沸き上がったが、それらしい気配はなかった。 9:07歩き出し。

大石沢吊り橋

 登山カードを提出するところに小屋があったが、これはトイレだろうか。 すぐに荒川の右岸を進んで、大石橋を渡る。 この吊り橋は、踏板が一枚分の幅しかなく、慎重にバランスを取らなければ渡れない。 川を渡ると大朝日岳登山道の道標があった。 さらに進んで小沢を渡って9:18に大石沢小屋に到着。この小屋は現在は使われていないようである。 幅の広いルートを小屋の北側に回り込む大朝日岳へ進むルートと鈴振尾根経由祝瓶山に至るルートとの分岐が現れた。 われわれはもちろん祝瓶山へのルートをとる。 

鈴振尾根

  尾根に取り付いてすぐに一度小さな沢を渡る。 これが最後の水場である。 ここからルートは木の根の間を縫うようにして一気に急登りとなる。9:45に見晴のいいところに出た。 ここから大朝日の方を見るがガスっている。 10:06に標高615mの地点で休憩。 約50分歩いたがまだ標高は240mくらいしか上がっていない。10:14出発。 ルートは最初の急な登り一辺倒から、少しなだらかに尾根伝いに上るところと、再び、木の根に捕まりながら急な坂を登っていくところとが交互に現れる。  

急な登りで一の塔を見上げる

 途中、木の幹の皮が何者かによって大きくはがされているところがあった。 クマの仕業だろうか? 10:23正面に一の塔が姿を現す。 本当に槍の穂のようにとがって点をついている。 こんな急傾斜登れるんだろうかと思わずたじろいでしまう。 11:00に標高845mの地点で休憩。 前からクマ鈴の音がして今日初めて下山の人とすれ違った。 結構な荷物を持っていたので縦走ですかときいたら、日帰りだが、昨日の晩に角楢小屋に泊まったのだそうだ。 このあたりが一番展望も効かず苦しい登りですよねと励ましてくださった。11:10出発。

大朝日の稜線遠望

 ここから尾根伝いに厳しい道のり。 ところどころ、切り立ったところで大朝日岳を眺めることができるが、山頂付近は曇っている。標高1000mを過ぎたあたりでいったん下りになり、馬の背のようなところを超えていよいよ一の塔の登りである。 苦しい傾斜が続く。 ペースが少し早すぎるので歩いては息が切れて止まってしまうのである。 少し樹林が切れたと思ったら目前に一の塔と思われる岩場が見えてきた。 足をしっかり延ばして上がる。 

一の塔

 12:02に一の塔に到着。  ここからは360度の展望である。だいぶおなかがすいたので、持ってきたばか受けせんべいを食べることにする。 登ってきた鈴振り尾根が眼下に広がって見える。対岸に見えるのは鷲が巣山だろうか。 水はラーメンを作る湯にする分を2Lと飲用1Lそれ以外にお茶も500mlのペットボトルを3本も持ってきたのだが、ここまででほとんどペットボトルのお茶は空になってしまった。

赤鼻ルートとの分岐

 12:07出発。 一の塔が標高1300m近いのでそこから右手に見える100mほど高いこんもりとしたところが祝瓶山のピークだろうと思っていたら実際は違っていた。このにせピークに見えるところを二の塔と呼ぶ人もいるようだ。 近づいてみるとさらにその奥に50m近く標高の高いこんもりとしたピークが見え始めた。 人の姿らしきものが見えるのでこっちが本当のピークだろう。 隣の赤鼻の鞍部から上がってくるやせ尾根との合流点が見える。 やせ尾根上をわれわれと同じくらいの標高だろうか2人の登山者が上がってきている。 あまり荷物が大きくないところを見ると祝瓶山荘から桑住平を経て周遊コースで上がってくる人たちだろう。 分岐には別の4名の登山者がいた。 山頂を登り終えて下山するところのようだ。 あと15分と言ってくれた。 ピークまで目と鼻の先のように見えるのだがやはりあと15分かかるのだろうか。

祝瓶山山頂

 最後の山頂直下の登りは左側のがれたちょっと神経を使うルートであった。 やはり豪雪地帯だということもあって山肌を雪が削っていくのであろう。 岩にしがみつくようにして上がると、祝瓶山の山頂標識が見えた。 12:50山頂到着。 結局、一の塔から50分、先ほどの分岐から15分かかった。 山頂では4名の登山者が休憩していた。 ほどなく先ほど赤鼻のやせた尾根から登ってきた人たちも到着した。 湯をわかしてラーメンを作る。 サイダーでと乾杯する。 のどにしみいるような味だ。 山頂にいた人に写真を撮ってもらう。 少し肌寒いくらいなのでダウンを出して上に着た。 360度展望写真を撮って三角点も写真に収めて(なぜか祝瓶山と書いた山頂標がない。他の方のホームページの写真では名前を書いた板があったのだが、台風で飛ばされてしまったのだろうか)いろいろなアングルで写真を撮る。

下山 一の塔にて山頂方向を振り返る

 13:30出発。 17時に宿に到着を目標としていたのできわどい時間だ。 14:07一の塔到着。 下りも傾斜が急なので結構時間がかかってしまう。 稜線は早くも少し紅葉を見せ始めていた。 大朝日は頂の姿を出しそうで出さない。 下りは慎重に降りて、来るときと同じ850mのところで休憩する。沢の音が近づいてきたら、平坦道は近い。 慎重に大石橋を渡って16:30に車にたどり着いた。 もう駐車していたのは1台だけだった。帰りは林道を慎重に運転。 先の道路で黒い動物が道を横切って行った。 こちらをみてひょっと2本足で立ち上がった。 あれはいったい何だったのだろうか。

新潟の夕陽

 関川町をすぎ村上を通る。 日本海の夕焼けはとてつもなくきれいだった。 途中コンビニに寄って、今夜の宿泊先である中条駅前の村上屋旅館へ行く。風呂にはいって、夕食は19:15から。山海の珍味とビールがうまい。 なんといっても白い米のうまいこと。 さすが米どころだ。部屋でくつろぎ 半沢直樹の最終回を見て23時就寝。翌日は渋滞を避けるべく早めに宿を出て、まっすぐ帰京した。


 朝日連峰は結局3回に分けての登山となった。 雪の多い地域特有のたおやかな尾根が美しいところだ。 2010年に大朝日岳に登った時の山頂での写真を眺めてみた。 やはり祝瓶山はきりっとそびえたっている。 日本300名山ガイドの中でも「朝日連峰の中では特異な山容として知られている。 ほかの山々はおおむねおだやかな姿形をしているが、東面と北面の岩壁群を従えてすっくと立っているのは、むしろアルペン的でさえある。」と記載されている。 のぼり応えがあり、かつ景色に優れた山の一つである。     (2013年9月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています