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余市岳
余市岳

基本情報
1 山名 余市岳(よいちだけ)
標高 1,488m (一等三角点補点)
山域 札幌近郊
都道府県 北海道
位置 N43.01.57/ E141.01.11 
地図 昭文社 山と高原地図2「羊蹄山・ニセコ・暑寒別岳」
2万5千分の1地図「余市岳」
20万分の1地勢図「札幌」
7 山岳区分 日本三百名山。花の百名山・北海道百名山
登山記録
山歩No 3040-13016
登山日 2013年5月4 日(土)
歩程 0時間30分(キロロスノーワールドまで)
天候 雪のち曇り
形態 日帰り
アプローチ 札樽道朝里ICから国道393号線(赤井川国道)キロロスノーワールド
パーティー 1人

 日本三百名山を目指す北海道遠征の第二の目標は余市岳であった。 これはキロロスノーリゾートのゴンドラ山頂駅から歩いて2時間ほどである。 ただし、通称「飛行場」と呼ばれる朝里岳山頂付近はだだっ広いがゆえに、ガスで視界が悪いとホワイトアウトする危険があるという。暑寒別岳を途中敗退して下山して、札幌に一泊。手稲でスキーをしたあとに、キロロリゾートに入ってきた。 雨が降り続いている。

キロロスノーワールド

 キロロスノーリゾートに来るのは二度目である。 前回は2007年の3月だった。 もちろん目的はスキーだ。キロロリゾートのすごいところは積雪量だ。 日本海側に近いということもあり、3mを超える積雪が記録される。1991年にオープンした比較的新しいスキー場で全長3.3㎞の6人乗りゴンドラが朝里岳山頂1180mまで運んでくれて、最長4,050mの距離のダイナミックなダウンヒルを楽しむことができる。 今回はちょっと趣向が違う。 実は、前回スキーでゲレンデにいるときに、初老の男性がシールをつけてゲレンデを登っていたのを見て、実は山スキーのフィールドとしての余市岳の存在を知ったのである。標高1488m、夏場は赤井川コースをたどり林道を延々歩いて3-4時間かけて登るという。 どうしても残雪期にゴンドラを使って山スキーで登る方が楽だという発想になってしまう。

ホテルピアノ教会

 キロロスノーリゾートについたのは、夕方の18時だった。 まだ、外が明るかったので車の後部座席を倒して寝床を作る。 寝袋を出し、エアマットも膨らませて寝る準備を整えて風呂に行くことにする。 ここホテルピアノには「森林の湯」という日帰り入浴もできる温泉があるのを知っている。前回この風呂に入ったか入ってなかったかはっきりした記憶がないのだが、ホテルの中を通って行ってみることにした。 駐車場を出てすぐに、きれいなチャペルがある。 さすがは一流のリゾートホテルだ。 ここで結婚式を挙げるカップルも多いのだろう。去年トマムにスキーに行った時にも、スキーリゾートの中に水の教会というのがあった。ここは、歌手のBOAがメリクリを歌ったそのPVのバックに出てくる教会である。 キロロのほうはそれよりも少しスケールが小さい教会かもしれないが、それでも雪の中にステンドグラスのライトを照らし出しているその姿はなかなか荘厳である。 

ホテルピアノエントランス

 ホテルの入り口を入ると懐かしいロビーの様子を見た。 ここは少しも変わっていない。 自動で演奏されるピアノがあって雪だるまの人形が飾られている。二階に上がるとホテルの裏手に出てそこが回廊で渡されたショッピングモールのようになっている。 森の湯はゲームセンターの先にある奥まったところだ。 時間が時間だっただけに、ゲームセンターで遊んでいる宿泊客はいないようだった。 19時。 家族連れで来ている人たちにはちょうど夕食の時間だからレストランにでも入っているのだろう。 森の湯の受付はすぐにわかった。 驚いたことに受付をしていたのは2人の若い女性だったが、二人とも白人なのである。 流暢な日本語で、「宿泊のお客様ですか?」と聞いてくる。 うーーん、自分はいったいどこの国にいるのだろう?? 仕事柄外人と話をするのは慣れているが。この北海道のスキー場に来てこの状況は参った。 おそらく、ニュージーランドからスキーの合宿練習のために来ている選手なのであろう。  

森林の湯

  風呂に入ってみる。 森林の湯の入浴料金は宿泊客またはスキー場利用客ならば割引が適用されて950円のところを650円で利用できる。森を眺めながら入浴できる露天の岩風呂のほか、寝湯、ドライサウナ、ミストサウナなどを備えた内湯もある。 寝湯なんぞにつかってゆっくりしてから露天風呂に行く気になって、露天風呂への入り口を開けるとなんと階段になっていて下の階に下りていくことになった。 露天風呂はひんやりした風を受けながらの入浴なので気持ちがいい。 もう完全に日が沈んでしまっているので、外の景色は見えないが、空を見上げると粉雪の粒が落ちてきていた。 なかなか風流だ。少し体が冷えたのでミストサウナに入って暖かい湯気を吸い込む。 今日はまるで真冬の光景のような場所でスキーを楽しんだので体が冷えたようだ。  

森林の湯休憩室

 風呂から上がると更衣室の一角にドアがあり男女共用休憩室という表示があった。 必ず、着衣をつけて進んでくださいという表記がある。 あけて入ってみると広々とした座敷の休憩室が広がっていた。 マッサージチェアもある。 思わず自動販売機でサッポロクラシックの缶ビールを買って、ごろんと横になってテレビを見る。 明日も天気予報では北海道は雨模様だ。 やれやれ。風呂でさっぱりした後、ホテルの中を回ってみる。 明日の朝食のために水も汲んでおく。 このホテルピアノはホテルから屋外へ通り抜けるピロティ―があって、それを取り巻くように売店・レストラン・森林の湯・などが並んでいる。ふと気づくとレストランに「銀座ライオン」があった。 ここは前に宿泊した時に晩飯を食べたところだ。 ところが、店の看板は出ているが営業している気配はなかった。 そういえば、この他にも以前は営業していたのに今はテナントが入っておらず空きスペースになっているところもある。 やはり景気が悪いのかもしれない。 


レストラン「ライオン」

 もともとキロロリゾートはヤマハが開発したものであった。 その後2007年より三井不動産の保有であったが2012年秋にタイのシェアグループに売却されている。経営者がころころ変わるということはそれ相応の業績の状況なのかもしれない。 そんなことを考えながら、再び教会の前を通って駐車場に戻る。 車の中で途中の手稲のスーパー「Joy」で買ったお惣菜(茶碗蒸し、から揚げ、そば、大根サラダ)を食べながら宴会。 レンタカーのホンダストリームは7人乗り。 最後部座席を倒すとななめに足を延ばして眠ることができる。 駐車場には40台くらいの車が停まっていたが22時くらいになると結構たくさんの車が帰って行った。 意外に小樽や札幌方面から日帰りでスキーや食事・風呂を楽しむためにやってきている人も多いのかもしれない。23時くらいになると静かになった。さて、明日の朝いちばんのゴンドラに乗るために寝ることにしよう。

ホテルマウンテン

  朝7:10に起床。 駐車場でお湯を沸かして、カップうどんを作る。 ここはホテルピアノの前にゴミ箱があってゴミを捨てることができるので便利だ。8:50のシャトルバスにホテルピアノの前から乗せてもらい、5分でホテルマウンテンに到着。 ゲレンデの目の前にあるホテルはこちらである。 ホテルピアノが家族連れやカップルが多いのに比べて、こちらの宿泊客はやはりツアーで来た人であるとか滑りを重視する人たちだとかが多いように感じるのは気のせいであろうか。総合受付で登山届を提出しようとすると驚いたことに、こちらも、従業員がオーストラリア人のような男性と女性のペアであった。男性の方は結構流暢な日本語で「登山届の提出先は、ゴンドラの山頂駅です。 ただし、今日はまだゴンドラの運転は見合わせています。」と教えてくれた。 なんと、肝心のゴンドラが動いていないのでは余市岳に登れないではないか。 彼は「下からも歩いて登ることはできますが、結構時間がかかりますね。」とこれまた流暢な日本語で説明してくれた。 
 ロビーで待っていても仕方ないので、ゲレンデまで出てみる。 ゲレンデは結構たくさんの人たちが今シーズン最後の滑りを楽しんでいた。

ゴンドラ天候調査中
 来シーズンに向けてのキャンペーンか、スノーボードの試乗会もやっていた。 退屈なので、説明員の講釈を聞いてよくわからないが相槌を打つ。 考えてみたら、スノボやスキーはもちろん、ゴルフやテニスにもあまり道具にこだわったという記憶がほとんどない。それ以前に腕の上達がついてこないので、道具に金をかけるだけ無駄というのが実態である。 このゲレンデのリフト券は春スキーシーズンなので一日滑って3000円とかなり安い値段設定になっている。そのかわり、オープンしていないゲレンデもあるので広大なキロロのゲレンデをすべて滑れるのではない。 しかし、困ったのはゴンドラが動いていないことだ。 「天候調査中」という張り紙がしてある。 リフト券売り場の女性に聞いてみたら、「風が強くて運行できないのではなく霧で視界が悪いからです。 霧が晴れたら運行を開始します。」とのこと、霧はスキー場に朝9時過ぎに到着したときより薄くなってはきているのだが。。 

ゲレンデ記念写真

 結局、10:45までおよそ1時間の待機をしたがゴンドラは運行を開始しなかった。 10時15分まではまったくウインチが動いてもいなかったのだが、それからはならし運転をし始めたので、いったいいつになったらゲートを開けてくれるんだろうと焦れていたが、係員があわただしく準備を始めているという気配でもなかった。そろそろ時間切れである。 11時を過ぎてゴンドラに乗って歩き出しが11時半では、山頂に着くのが13時を回ってしまう。 ゲレンデの営業時間中に下りてこられたとしても、 ちゃんとした時間に次の登山の目的地であるトノカリ林道まで今夜のうちに入っておくことができなくなる。仕方がない。 一昨日の暑寒別岳に引き続いて、キロロの余市第一エクスプレスリフト下、標高570mの地点、ここを持って山頂とした。 スキーを立て掛ける板に三脚を載せてセルフタイマーで写真を撮影する。

駐車場より余市岳を遠望

  10:55にほとんどだれも乗っていないシャトルバスでマウンテンホテルからホテルピアノに戻る。 とぼとぼと歩いて駐車場まで行く。 雨は上がっているがまだ山間にはガスが垂れこめている。 今度、このキロロリゾートに来るのはいつの日だろうか。 余市岳を再び目指すのが5年後になるのか10年後になるのかはわからないが、遠くのゲレンデとホテルマウンテンに向かって一人でつぶやいた。 "I'll Be Back!" 決断したらあとは、一路、つぎの地点を目指す。 11:15に車を出発させて、国道383号(赤井川国道)を朝里ICを目指して進む。毛無峠の展望台では雨は上がっていたものの昨日よりも霧が濃く垂れこめている小樽の街を見下ろすことはできなかった。 運転も慎重にスピードを落として走行しないと対向車と接触するのではないかと不安になるほど視界が悪かった。 これで余市岳に登っていてもやはり危険な状況だったかもしれない。 ゴンドラが動かなかったことで救われた考えたほうがいいのかもしれない。。 

今回の北海道遠征の目的の第二番目の日本三百名山である「余市岳」も暑寒別岳に続いて次回キャリーオーバーの対象になってしまった。 オホーツク海に停滞している低気圧はなぜか東に動かないようだ。 そんなこともあるのだ。 天気予報ではもともと北海道は4日ごろから晴れてくるように言っていたが、もうこの日の段階で6日くらいまで天気が悪いという予報に変わっていた。 要するにゴールデンウイークでの登山はだめだと言われているようなものである。 運が悪いとしかいいようがないが、今後も安全第一で行動しなくてはならない。
(2013年5月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています