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オプタテシケ山
オプタテシケ山

基本情報
1 山名 オプタテシケ山(おぷたてしけやま)
標高 2,012m (三等三角点)
山域 石狩山地
都道府県 北海道
位置 N43.28.12/ E142.45.05 
地図 昭文社 山と高原地図3「大雪山・十勝岳・幌尻山」
2万5千分の1地図「オプタテシケ山」
20万分の1地勢図「旭川」
7 山岳区分 日本三百名山・北海道百名山
登山記録
山歩No 3020-13017
登山日 2013年5月4 日(土)
歩程 0時間30分(トノカリ林道まで)
天候 曇りのち晴れ
形態 日帰り
アプローチ 道東道十勝清水ICから国道274号線人舞から忠別清水線
パーティー 1人

2013年5月4日(土)余市岳への登山はキロロスノーワールドのゴンドラが運行しなかったために山頂駅までのアプローチが閉ざされ断念せざるを得なかった。次の目標はオプタテシケ山である。 いわば今回の遠征の中心はこの山にあるといっていいだろう。 なぜなら、トノカリ林道終点から南東の尾根筋を進むコースは残雪時期にのみ許されるバリエーションルートだからである。 この山の夏のコースは本来、トムラウシ山と美瑛岳・十勝岳の縦走路の中に位置づけられているからである。 標高1200mという高度差と入る人が少ないという点からもいったい自分が登れるコースなのかどうかと自問自答することしかりだった。 ここまで来たからには頑張って目指すしかない。 

道東道輪厚PA

朝里ICから札樽道に乗り東を目指す。札幌JCTで旭川への道との分岐を経てさらに進む。GWの真ん中の日だということもあり、札幌から東に行く道は結構車の数が多い。 12:40輪厚PAで休憩をする。余市岳の上で食べる予定だったパンを食べることにするが、それだけではむなしいので売店で買ったいかめしも一緒にほおばる。 よく考えたら折角味の宝庫の北海道まで来ているのにまとめに名物をまだ食べていない。 いかめしのご飯は少し固めであったいかの味噌とよく融合していい味になっていた。 、千歳・恵庭JCTで道央道と道東道とが別れて、千歳東方面へ進む。千歳東ICは、2007年の7月に北海道の山を山岳部のメンバーと目指したときに出発点となった場所である。二車線の道は片側1車線となり、時々追い越し車線が現れる。 追分町を過ぎて由仁PAを越えると次第に山道となってくる。夕張ICを過ぎてむかわ穂別ICまで行くと、トンネルが多くなってくる。

占冠PA

  よく考えてみたら2007年にこの道は2回走ったが、このときは自動車道はまだできていなかった。 夕張ICまで時速70kmの自動車道だったが、そこで終点となり国道274号線ー通称石勝樹海ロードを通っていた。 日高まで来てから237号線になってかなり急な上り坂を上がって日高峠を通るという難所だったはずだ。 それと比べると今はあっという間に占冠まで到着し、ずいぶんと時間が短縮されている。占冠PAで休憩をする。 ここからは山間の眺めがいい。 NEXCO東日本が高速道路の主要SAに備え付けているHighway Walkerという雑誌があるが、北海道は本州で配布されている東北・関東の版とは違うものである。 一冊もらって中を見ると「北海道ハイウエイガーデン」という特集がしてあり、この占冠PAも紫竹ガーデンが監修するこの庭が6月にはすばらしい花をつけるのが写真で紹介されている。ここまで運転中にラジオでパリーグの野球中継を聞いていたが、札幌できれいに入っていた放送がそろそろ雑音で入りにくくなってきた。 やはり北海道は広い。 ラジオもバンドがいくつもある。 調べてみたら北海道放送(HBC)は道内で11の異なる周波数帯域があった。

新得町

 占冠PAを出てトンネルを抜けるとアルファリゾートトマムが見えた。 高速道路わきにこんなに近くにあったのだ。 2011年の冬にトマムにスキーをしにやってきたが、このときは新千歳空港から石勝線の走るJR北海道の特急でやってきた。 ガレリアタワーがこんなに高速道路の近くにあるなら札幌から来る人も便利になったことだろう。トマム山からの眺めはとてもよかったのが思い出される。狩勝第一トンネルと狩勝第二トンネルが北海道を東西に分ける日高山脈の分水嶺である。 ここを抜けると道路は一気に長いくだり坂をなる。 驚いた。 晴天ではないか。 朝、キロロを出るときには雨が降っていたし占冠あたりも天気は悪かったのに。 天気予報のとおり、十勝地方は晴れているのである。 ちょうど、本州でも冬型の気圧配置になったときに日本海側のに新潟県で降雪があっても太平洋側の群馬県や埼玉県が快晴だというのはよく知られたことである。 いや、北海道はそれだけでひとつの大陸である。  

東大雪橋

 長いくだり坂をおりたところが十勝清水ICである。15:00 ここからの道は記憶があるルートだ。 国道237号線を降りたところにセブンイレブンがある。ここで晩の飲み物を買出しする。 さらに、ここから新得町。 トムラウシ温泉まではまだ50km以上ある。 新得町は十勝川に沿ってどこまでもまっすぐな道が続いている。 農場の向こう側にトムラウシ山や二ペソツ山が真っ白な雪をかぶってその姿を見せている。 15:30、地元のスーパーフクハラで今夜の夕食のお惣菜を買う。 メニューはたらこスパゲティー。 さらに車を北に向かって進める。 新得町は広い。 面積1,064平方kmは東京都のおよそ半分だという。屈足ダムを過ぎると次第に道は十勝川の沿って山へと登っていくルートにある。 東大雪橋ではダムの全貌が見えた。 本当にいい天気だ。 朝からこんなに天気がよかたのだろうか? 

山の交流館とむら

 東大雪橋からトムラウシ温泉まで30㎞。 最後は林道を走ることになるのだが、ガソリンがタンクの半分くらいになっていたのでちょっと不安になる。 何しろこのあたりは走行距離がとても長いのでスタンドのあるところでこまめに給油しておかなければいつガス欠になるかわからない。大雪山国立公園の札が見えたが、それと歩調を合わせたかのように、車道にキタキツネが現れた。 こちらの様子を伺っているがおじる様子もない。 この道は忠別清水線というが動物の飛び出しに要注意である。 トムラウシ第二トンネルをすぎて5㎞ほど進んだダムの終点に「山の交流館とむら」があった。 懐かしい案内所とコテージ。 ここは2007年に山岳部の仲間たちとトムラウシ岳に登った時に前夜宿泊したところである。鍋を夕食にいただき、テレビ、冷蔵庫、ガスレンジ、トイレ、ユニットバスを完備しているコテージでまた宴会をした。懐かしい思い出である。

曙橋

  ここから13㎞、曙橋までも舗装はあるがもはや民家もない完全な山の中の道である。 トムラウシ温泉にある国民宿舎東大雪荘が道路の終点であり、トムラウシ山の登山口であるが、道路脇の標識にはトムラウシ温泉までは未舗装道路で残雪があるので夏タイヤ着用車は通行禁止とある。 かなり運転も手ごわそうだ。曙橋に到着。 今日の目的はトムラウシ温泉ではなく、トノカリ林道の終点なので、日のあるうちにできるだけ走ってみようと思い。 未舗装の林道へと車を進める。 途中、木の枝が、車の下にささって、異音がしたので、いったん車を降りて取り除く。 道路は1車線なので擦れ違いには苦労しそうだが轍があるということは走っている車もあるということだ。 お世辞にもいい道だとはいえない。 

トノカリ林道

  5㎞ほど走って殿狩橋を右折する。 ここにトノカリ林道の始まりの標識があった。 全長18㎞である。終点は標高840mの雨量観測計設置場所だ。 問題はどこまで除雪が進んでいるかということであろう。ここから3㎞進んで樹林の中の給水施設のポンプの前のような敷地のところに1台のRVが停まっていた。 見ると2人の男性がスキーを片づけている。挨拶をして聞いてみるとここが除雪の終点だという。 なんと18㎞の林道のうち頭の3㎞ほどしか除雪されていない。 つまりあと15㎞は雪原だということか。30歳前後の2人の男性は、林道を2時間ほどかけてつめてそこから5時間ほど登ったがそれでも山頂に到着しなかったということだ。 新雪があって滑るのにコンディションはいいが、ただ、視界はなく真っ白な中を登るので精神的には苦痛だったとのこと。これを聞いて愕然とした。 だめだ。 こんな屈強な若者たちが1日で登れないところを体力も技術もない私が登れるはずもない。 雨量計のところまで車が入れて初めて標高差1200m。 ここからでは1500m以上もある。 もう断念するより他に道はない。 

白雲台から見るトムラウシ山

2人の男性に別れを告げて元来たトノカリ林道を曙橋まで引き返す。 オプタテシケ山とも縁がなかったということだ。 天気予報では明日は十勝地方でも午後からの降水確率が高くなっている。明日登るというのは選択枝にはない。せっかくここまできたのだから、トムラウシ温泉に寄っていくことにした。 東大雪荘はトムラウシ登山をする人にとって有名な宿である。 あらかじめ夕方の遅い時間まで日帰り入浴を受け付けているということなので、ここで骨休めしながら明日どこへ行くか考えることとしよう。 曙橋まで戻ってそこから北に進む。 道はしばらく舗装道路だったがやがて未舗装の道となった。この未舗装区間は次第に減ってあと7㎞くらいが未舗装だそうだ。ただし路面は圧着されているので先ほどの林道よりは走りやすい。途中、白雲台と呼ばれる展望のよいところを通った。 上部が隠れてはいるがトムラウシ山の姿をそこから見ることができた。

トムラウシ温泉

 東大雪荘に17:20到着。山荘の前には来客者用の駐車場があるが、その手前にも登山者用の駐車場がある。 トムラウシ温泉は本当に秘境の温泉と呼ぶにふさわしいだろう。 1965年に温泉として開発され町民保養所「東大雪荘」(その後国民宿舎に変更)の開業もこの年である。この他に民営旅館が2軒あったがその後廃業したという。 泉温が91度というからかなり高温である。東大雪荘の入り口の手前にトムラウシ山への登山口がある。 最近は、短縮登山口から登る人が多くなったので、この登山口を利用する人がどのくらいいるのかわからないが、もともとはこっちがトムラウシ山への表登山口だったはずだ。 ルートはまだ雪に覆われているのだろうが、温泉の地熱のせいか、登山口はきれいの夏道歩道が表に現れている。 

エゾクロテン

 風呂に入るために、東大雪に進んでいく。 と、面白いものを見つけた。 秘境・東大雪森の隣人「エゾクロテン」である。 最初、エゾオコジョかと思ったが、さにあらず。 この隣人の毎日の訪問は、東大雪荘のホームページにも記載されている。 自動販売機のとなりに宿舎の人が餌をあげているのか木の実が入ったかごのようなものが置いてある。 おそらく、このエゾクロテンは、餌を求めて宿舎に近づいてくるようだ。 写真を撮ろうと思ってカメラを構えて近づくと、生意気にももちらを見て、「ワン」と吠えるようなしぐさをする。 ネコ目、イタチ科なんだけど、なんとなくネコよりもキツネに近いような気がする。 自販機の下に隠れたりしたがうまく出てきたところを一枚パチリ。5月末には毛変わりと同時にエサの豊富な山へと戻ってゆくらしい。 この時期に訪れた人だけに見ることができる特権のようだ。

国民宿舎東大雪荘

東大雪荘は大きな建物だ。 冬場の雪も多いのだろう。 屋根は切り立って作ってある。中に入るとやはりゴールデンウイークの中日だけあって浴衣を着た宿泊客が何人か館内でくつろいでおられた。 入浴券を販売機で500円で購入して早速風呂に入る。 脱衣場がかなり大きいのは、7-8月の登山最盛期のことを想定してか。 ただ私の入った18時前は食事時ということもあるせいかさほど入浴している人は多くなかった。 泉質は含硫黄・ナトリウム・塩化物、炭酸水素塩泉で約93℃の泉源を持ち、神経痛、リュウマチ、胃腸病、糖尿病などに効果があるという。露天風呂は外のひんやりした空気を吸いながら正面の川のせせらぎを楽しみながら風呂を味わえる。 ひととき露天風呂を楽しんだあとは、ここでもミストサウナで汗を流した。湯につかりながら、明日は、佐幌岳に登ろうかという決心を固めた。 帰りに受付でサホロリゾートまでの場所を聞く。 お土産物には日本百名山登頂記録図が販売されていた。18:30、東大雪荘を出る。 結局、オプタテシケ山にも行けなかった。 標高651mのトムラウシ山登山口である東大雪荘、ここを持ってオプタテシケ山登山の私の山頂とする。 と宣言。 このせりふ、今日余市岳に次いで2回目である。

 オプタテシケ山に登れなかったのは残念であるが、十勝に入ってからは結構気分は晴れ晴れしていた。 雨が降っていなくて青空が見えているというのはこ、こうまで人の気持ちを晴れやかにするものなのか。 オプタテシケ山は今度チャンスを見つけて美瑛岳とセットで夏に行くことにしよう。 秘境の温泉に入ることができただけで十分話のネタにはなった。 朝キロロリゾートで目覚めて、夜サホロリゾートまで行く。 スキー場の梯子も楽しいドライブの一日となった。
(2013年5月 記)

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地図の引用画像は国土地理院発行の数値地図50000(地図画像)と数値地図50mメッシュ(標高)を利用しています。(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。承認番号  平13総使、第301号)
登山ルートの俯瞰図は、DAN杉本氏の開発したソフトウエア「カシミール3D」にて作成しています